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株式会社400F オンラインアドバイザー 黒木 信一郎 公的保険アドバイザー / AFP(日本FP協会認定) / TLC(生保協会認定FP) |
引受基準緩和型・無選択型の死亡保険とは
一般的な生命保険には、新規加入の際に年齢や性別、健康状態などの告知義務があります。
そのため、健康状態に不安がある方や持病がある方は、診査結果によっては生命保険への加入を断られてしまうケースが起こり得ます。
ですが、引受基準緩和型保険や無選択型保険なら、たとえ健康状態に不安がある場合や持病がある方でも、万一の保障を備えられる可能性があることが特徴です。
注意点としては、引受基準緩和型保険・無選択型保険のどちらも、新規加入から一定期間は保障を削減される「支払削減期間」が設けられています。
誰もが保障を備えられる一方で、通常の生命保険に比べて毎月の保険料負担が重くなりがちな点にも注意が必要です。
また、引受基準緩和型・無選択型のどちらにおいても定期型と終身型の2種類がありますが、一般的には終身型がほとんどである点も理解しておきましょう。
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従来の保険商品のような細かな告知事項が必要なく、限られた告知項目や告知自体が必要ないことが特徴的です。
健康状態に不安を感じる方、または既往症や持病がある方にとって保険加入の選択肢が広がるため特に有用です。
しかし、保険料が通常よりも高くなる可能性があることや、保障内容が制限される場合があることを理解しておくことが重要です。
引受基準緩和型と無選択型の違い
混同されがちな引受基準緩和型保険と無選択型保険ですが、主に次のような違いがあります。
引受基準緩和型保険と無選択型保険の違い | ||||
---|---|---|---|---|
種類 | 引受基準緩和型 | 無選択型 | ||
保険料 | 無選択型よりも割安 ※ 一般的な生命保険よりも割高 | 引受基準緩和型よりも割高 | ||
告知の有無 | あり ※ 3〜5つ程度 | なし | ||
既往症への保障 | 一定の条件下で保障対象 | 保障対象 | ||
保障の免責 | 一定期間、保障額が減額されるケースが多い | 一定期間(90日など)は保障が受けられない |
引受基準緩和型保険は、保険会社が加入者を引き受ける際の基準が、通常よりも緩和されている生命保険のことです。
一般的な生命保険よりも保険料は割高ですが、告知項目が3〜5つ程度と少ないため、告知項目に該当しなければ持病や既往症がある場合でも生命保険に加入できます。
無選択型死亡保険は、生命保険に新規加入する際の告知項目が一切設けられていない保険商品のことです。
一切の告知義務が課せられていないため、引受基準緩和型保険の告知項目に該当してしまった方でも、医療保障や死亡保障を備えられます。
ただし、通常の生命保険や引受基準緩和型保険よりも保険料が割高に設定されており、多くの無選択型保険で90日間の免責期間が設けられている点には注意が必要です。
緩和型死亡保険の告知の例
引受基準緩和型保険の一般的な告知項目は、次のとおりです。
- 最近3ヶ月以内に医師から入院・手術・検査・先進医療を勧められたか
- 過去2年以内に入院をしたことがあるか
- 過去5年以内にがん・肝硬変・慢性肝炎で医師の診察・検査・治療・投薬を受けたことがあるか
これらの項目に該当しなければ、一般的には、引受基準緩和型保険に加入できる可能性が高いです。
なお、職業によっては引受基準が追加、または制限されるケースがあるため、検討中の生命保険がある場合は基準を事前に確認しておきましょう。
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緩和型の死亡保障の場合、告知項目は概ねどの保険会社も同じ診査項目となることが多いですが、保険商品によっては特定疾病による保険料払込免除の特約(特則)などが付帯できる商品の場合、基本の項目に加えてさらに重たい病気に関しても告知事項が増えるため注意が必要です。
緩和型・無選択型と通常の死亡保険の違い
一般的な死亡保険と比べ、引受基準緩和型保険や無選択型保険の特徴を一覧にしてまとめました。
それぞれの違いについて確認しておきましょう。
緩和型・無選択型と通常の死亡保険の違い | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
種類 | 通常の死亡保険 | 引受基準緩和型保険 | 無選択型保険 | |||
告知・診査 | あり ※ 告知書に記載された6〜15程度の質問事項に「はい」「いいえ」のどちらかで回答 | あり ※ 3〜5つの質問事項に「はい」「いいえ」のどちらかで回答 | なし | |||
加入対象 | 健康的な人 | 告知項目に該当しない人 | すべての人※年齢上限あり | |||
引受基準 | 保険商品によって異なる | 通常の保険商品よりもゆるい | 引受基準緩和型よりもゆるい | |||
保障内容 | 制約なし | 持病や既往症も保障対象に含まれる場合が多い 通常よりも保障額が低めに設定される可能性が高い | 持病や既往症は保障対象外のケースが多い 通常よりも保障額が低めに設定される可能性が高い | |||
保障期間 | 定期・終身 | 定期・終身 | 定期・終身 | |||
給付金等の制限 | 制約なし | 加入から一定期間(概ね1年間)は給付制限がある | 加入後90日間の免責期間がある | |||
保険料 | 保険商品によって異なる | 通常の死亡保険よりも割高 | 引受基準緩和型よりも割高 |
引受基準緩和型保険や無選択型保険は、健康状態の告知や診査のために通常の死亡保険へ加入できない方でも、死亡保障や医療保障を確保できます。
ただし、通常の死亡保険よりも保険料が1.5〜2倍ほどに設定されており、一定の給付制限や免責期間などが設けられているケースが一般的です。
オプションとして特約を付帯できるケースもありますが、これらも通常の死亡保険よりも保険料が割高なので気をつけましょう。
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それぞれの保険商品の違いとして告知診査の有無や保障内容の一部制限、保険料設定が挙げられます。
まずはご自身の健康状態と照らし合わせて、必要となる保険についてどのような備え方や手段が適しているのか、
どのようなメリットやデメリットがあるのかを把握することが大切です。
緩和型・無選択型死亡保険の選び方のポイント
引受基準緩和型保険や無選択型死亡保険を選ぶ際は、次の2つのポイントを意識して選ぶことを心がけましょう。
通常の死亡保険に加入できないか検討する
健康状態に不安がある方や、持病・既往症がある方でも、まずは通常の死亡保険に加入できないか検討するところから始めましょう。
生命保険会社の引受基準は各社が独自に設定しているため、仮に保険会社Aで加入を断られてしまっても、保険会社Bなら通常の死亡保険に加入できる可能性があります。
一般的に、引受基準緩和型保険や無選択型保険よりも通常の生命保険のほうが、毎月の保険料負担は割安で、充実した保障を備えられます。
持病がある方や健康状態に不安がある方も、まずは通常の生命保険を検討し、告知や診査を経て加入が難しい場合に引受基準緩和型や無選択型保険を検討するのがおすすめです。
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一昔前と比べても、保険会社各社の引受基準は徐々に緩和されてきている傾向にあり、昔は加入が難しかったり、
一部保障の制限などが設けられていたものも、今では医療に関する資料の提出や詳細な告知によって加入できるケースも増えてきています。
あくまで引受基準緩和型の保険商品は最終手段の選択肢としてご検討いただき、まずは一般的な通常の保険商品で加入できるか否かをご判断いただくことをお勧めします。
死亡保険金額と支払保険料のバランスを考える
引受基準緩和型・無選択型のどちらも、通常の死亡保険より保険料負担が重くなる傾向にあります。
死亡保障を手厚くすればそれに応じて支払う保険料も高額になるため、保険金額と支払保険料のバランスを考えるようにしましょう。
また、生命保険に加入することで万一の事態に備えられるようになりますが、もしものときの経済的リスクに備える方法は死亡保障や医療保障だけではありません。
将来的に支払うことになる保険料相当額を貯蓄や資産運用へ回して、必要な保障額を増やすという選択肢も考えられます。
他の方法で経済的リスクに備えることも視野に入れて、総合的に判断することを心がけてください。
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どの保険にも同じことが言えますが、万一の時にに受け取る保険金額と保険期間における支払保険料の総額には注意が必要です。
特に一生涯の保障を備えられる終身保険に関しては、同じ死亡保障の定期保険などと比べ支払保険料が割高なこともあり、一定期間以上を超えると保険金額よりも支払保険料の方が大きくなってしまうこともあります。
ご自身のライフプランを鑑みた上でどの保障が、いくら、いつまで必要なのか、また保険で備える部分と貯蓄など資産形成で賄える部分などのバランスを考えて総合的に判断することが重要です。
まとめ
引受基準緩和型・無選択型ともに、通常の死亡保険よりも加入のハードルが低いことが特徴の生命保険です。
持病や既往症がある方、年齢などが理由で保険加入を諦めていた方でも、もしものときの保障を備えられるという大きなメリットがあります。
その反面、毎月の保険料が割高で一定の免責期間が設けられているなど、生命保険に加入する上で見過ごせない重大なデメリットも存在します。
まずは通常の死亡保険への加入を検討し、健康状態の告知や診査を経て保障を備えるのが難しいと判断した場合に、最後の手段として引受基準緩和型や無選択型保険を検討するようにしましょう。