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    小1からSAPIX通いで総額◯◯万円!誰も語らない“中学受験のリアル”を人気ブロガーが大公開

    世の中にある様々な「やりたい」にかかる費用をその経験者とそのテーマに詳しいファイナンシャルプランナーとで試算するプロジェクト、『〇〇の見積もり』。

    今回は「中学受験の見積もり」をテーマに、お子さんの中学受験体験を綴った月間100万PVを誇る大人気ブログ『戦記』を運営する通称・戦記さんと、お子さんの受験を経験したファイナンシャルプランナー石橋紀子さんが対談しました。
    戦記さんのご家庭のように首都圏の難関校を目指す場合、中学受験はどのくらい準備が必要なのか、塾は行くべきなのか、一体いくらかかるのか。なかなか語られない中学受験のリアルを、今年お子さんの中学受験を終えたばかりだという戦記さんとFPの石橋さんが語り尽くします!

    このインタビューに登場する人

    • 戦記さん

      『戦記』月間PV100万を誇る人気ブロガー!

      戦記さん

      家族:妻、長女(中学1年生)
      2016年よりお子さんの中学受験について、ブログ『戦記』で記録。2020年にアメブロで月間100万PV以上を達成したことを機にブログをアメブロから独立。教育投資と資産運用について詳細に記録している。尚、お子さんは2022年2月に桜蔭中学校不合格、鉄緑会(※)レギュラーコース合格という結果に。

      ※桜蔭中学校とは全国トップクラスの進学実績を誇る中高一貫の私立女子校で東京都内私立の「女子御三家」と呼ばれる難関女子校の一つ。鉄緑会は中高6年一貫校の生徒を対象とした東京大学受験の専門塾。

    • 石橋紀子さん

      ファイナンシャル"受験経験"プランナー

      石橋紀子さん

      家族:夫、長女、次女(ともに社会人)
      新卒で株式会社リクルートに入社し、人事採用や住宅情報『SUUMO』広告営業に携わる。その後不動産デベロッパーや金融業界を経て、Treeties株式会社の代表取締役に就任。現在は独立系FPとして活動。2人の子供の幼稚園・中学・高校・大学受験を経験。

    中学受験させようと思ったきっかけ

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    石橋FP

    戦記さんの娘さんは今年中学受験を終えられたんですね。そもそも中学受験を目指すきっかけは何だったのですか?
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    戦記さん

    元々私は商社に勤めていたので、海外転勤の可能性がありました。「海外に行ったらいつ帰国できるかわからないし、いずれ子どもが受けるであろう中学受験塾の市場を早めに知っておかないと」と思って調べ始めたのがきっかけです。そこで子どもが幼稚園の年長のときに軽い気持ちでSAPIX(※)の入塾テストを受けてみたんです。

    ※首都圏の大手塾。SAPIX小学部は難関中学受験を対象としている

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    石橋FP

    結果はどうでしたか?
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    戦記さん

    Aクラスでした。「やった!」と思ったのもつかの間で、よく見ると偏差値は42。実はSAPIXのクラス分けはAクラスが最低ランクで、ギリギリ最低ランクで受かっていたんです。「うちの子ならできるだろう」と思っていたのが、蓋を開けてみたら全然できなかったという(苦笑)その瞬間、教育担当だった妻をクビにして「俺が引き受ける!」と教育プランを作成しました。SAPIXは成績順にクラスが分かれているので、いきなりヒエラルキーの世界を実感しましたね。
    石橋さんのお子さんも中学受験されているんですよね。きっかけは何でしたか?
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    石橋FP

    娘は2人とももう社会人で、受験したのは随分昔のことになりますが、きっかけはママ友との会話でした。子育てしていた当時はたまプラーザに住んでいたんですが、その地域は非常に中学受験が過熱していて、ある日近所のママから「うち地域の小学校の8割〜9割が中学受験をするから、受験当日は6年生はお休みなのよ」と、受験するのが当たり前という様子を聞いて。うちの長女はのほほんとしているタイプだったので、「この子は受験競争には向かないのではないか」と不安に思い始めたんです。夫婦で今後のことを考えた結果、幼稚園から受験することに決めました。
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    戦記さん

    幼稚園受験されたんですね。
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    石橋FP

    はい、幼稚園から大学までエスカレーター式のところに限定して受験をさせました。でも長女は小学2年生になったとき、「お父さんの仕事調べ」という授業をきっかけにパイロットになりたいと言うように。他の親御さんにパイロットのお父さんがいて、その話に影響されたんですね。その方から「頑張って勉強して、できるだけ良い大学に入ればパイロットになれる可能性が高い」といったような話を聞いて、長女は「良い大学ってどんな学校なのか」と考えるようになり、中学生のときに大学受験を念頭に都立高校を目指すことに決めました。その後理系の大学に進学して結局パイロットではなくCAになりました。
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    戦記さん

    2人目の娘さんも幼稚園受験されたんですか?
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    石橋FP

    はい、次女も長女と同じ幼稚園に入り、小学校に内部進学しました。でも、本人は小学生のときからずっと同じ環境にいることに違和感を覚えたみたいで。娘の意向で中学受験にチャレンジすることを決めました。地元の塾で勉強しましたが、中学入学後は塾に通うことなく、大学に内部進学しました。次女は高校・大学受験に使う予定だった時間を利用して、将来のための経験に使っていましたね。海外に興味があったので中3、高2、高3と海外のサマースクールに行ったり、大学ではフランスに交換留学。そして今はイギリスの企業で働いています。

    小1から有名塾SAPIXへ。6年間でかかった費用を大公開

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    石橋FP

    小学1年生からSAPIXに通わせて、中学受験が終わるまで総額いくらかかりましたか?
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    戦記さん

    総額で623万円でしたね。内訳は以下の通り。小学1年生からSAPIXと公文、小学2年生から算数専門塾に通っていました。他にもいろいろな教材やサービスを使い倒しましたが、それらはカウントせずに623万円です(笑)
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    戦記さん

    SAPIXは小学6年生になると結構恐ろしい引き落とし明細が来るんです。
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    戦記さん

    どうでしょう。「銀行口座に穴が空いてるんじゃないか?」と思えるスピードで引き落とされていきます(笑)
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    石橋FP

    すごいですね...! そして、通っていたのはSAPIXだけではないんですね?
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    戦記さん

    今って1つの塾で完結しないんですよ。よく「公文やってるからいいじゃん」とか「SAPIX行っているんだから十分」と巷では言われていますが、現実はSAPIXに行っている子も他の塾をたくさん掛け持ちしています。SAPIXの低学年クラスは、そこだけやればいいというカリキュラムになっていません。算数というより試行錯誤系のクイズに近いので、しっかりとした算数をするには公文で計算をやる必要があります。
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    石橋FP

    SAPIXを選ばれた理由は何ですか?
    熾烈な中学受験事情を淡々と語る戦記さん
    熾烈な中学受験事情を淡々と語る戦記さん
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    戦記さん

    一つ目の理由は通塾のしやすさです。我が家は共働きで娘が一人で通塾することを考えると、自宅から近いことは必要条件でした。二つ目の理由は、SAPIXのノウハウを知ることが受験する上で役立つと思ったから。ただ娘が通っていた2016年のSAPIXは常に募集をかけているほどで、クラスにも常に空きがあって誰でも普通に入れましたが、今は常に枠が満杯で年長児の10月の入塾テストで合格しないとその校舎に入る機会を永遠に失う、というほど加熱していますだから、皆さんまず枠を取るために小学1年生から通わせています。私が始めた2016年当時と2022年現在でも、これほど状況が変わっているんですね。
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    石橋FP

    そんなに人気なんですね。SAPIXの授業は特殊なんですか?
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    戦記さん

    特殊ですね。小学校1年生から6年生まで一環して学力的に上位10%だけを対象にした塾で、「ついて来れないならついて来なくてもいいよ」という雰囲気。もちろんSAPIXの先生はそんなことは言いませんが、実際のオペレーションはそんな感じです。SAPIXの低学年クラスの算数では通称「思考力」を鍛える問題が多く、試行錯誤したり、考えたりする問題が多いですね。計算はあまりやりません。「家庭教育で計算と漢字はしっかりやっているよね」という前提なんです。

    教育に関する情報は少ないが「実は裏でみんなやっている」

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    石橋FP

    低学年の間は月2万円以内ですが、4年生以降は費用がぐっと高くなりますね。小学4年生から受験準備が本格化するんでしょうか?
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    戦記さん

    おっしゃる通りです。6年前は「低学年なんて中学受験に関係ない」と言われていましたが、経験した立場としての結論は低学年の時点でほぼ成績は決まっています。実際私の娘も小学校4年生に上がったときの成績から受験時までほぼ変わりませんでした。小学4年生のはじめの成績から上げることはほぼ不可能…というくらい相当厳しいですね。トップクラスは固定化していました。
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    石橋FP

    シビアですね。
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    戦記さん

    当時は低学年で塾に通わせているというと「教育虐待じゃないか」なんて言われることもあったのですが、実態は全然嘘です。実は皆さん裏でこっそり勉強をしていて、早く始めた子供が上位でほぼ固定化してしまう恐ろしい社会なんです。わずか9歳で人生の学歴の50%がほぼ決まってしまっているんですよね。本当に「なんじゃこりゃ」の世界です。でも、こういった情報ってほとんど出回ってないんですよね。積極的にSAPIXに行っていますと言うだけでも恥ずかしいのに、3つ掛け持ちしているなんて言うと「虐待じゃないか」って言われかねませんから(苦笑)だから私はブログで情報発信しているんです。「ダマされるなよ」と(笑)石橋さんの娘さんの受験準備はいくらかかりましたか?
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    石橋FP

    次女は中学受験で塾に通ったのは1年間だけなので70万円くらいです。
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    戦記さん

    1年間しか通っていないのは珍しいのでは?
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    石橋FP

    そうですよね、中学受験するにはかなり準備が足りなかったと思います。うちの場合は私立小学校にいたので周りに受験する友達もいなくて情報がなかったんですよね。偏差値の高い学校は難しいので、中学受験では手が届きそうな偏差値だけど、高校・大学進学につれてだんだんと偏差値が上がっていく、まさにお買い得的な学校はないか探していました(笑)
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    戦記さん

    よく「入り口偏差値」「出口偏差値」って言うんですけど、入り口の偏差値は低くても、大学合格実績が高いと良い、という発想ですよね。名門と言われるブランド校でも入り口偏差値は非常に高いものの出口偏差値はそんなによくないケースも。一方で、いろんなアクティビティやカリキュラムがあって、すごく先進的なことやってるけど、その分受験対応を全くしてないために偏差値は低いという評価になっている中学校もあります。
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    石橋FP

    そういうのはあると思いますね。
    ちなみに、中学受験ではないですが、娘たちの受験準備にかかった費用は以下の通りです。やはり学年が上がるにつれて塾代も高くなっていきます。塾代以外にも交通費や食事代も必要になってきますから実際はもう少しかかっていたはずです。

    中学受験は子供だけじゃない!親も“やりきる”ことが大切

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    石橋FP

    戦記さんのブログを読んで感動したのは、お子さんが6年間で829冊の本を読んでいたという点。読書リストを見ると『大地の子』『サピエンス全史』とか大人が読むような本もありますよね。
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    戦記さん

    これは簡単な話で、読書経験が長く、慣れているからたくさん読めるんです。そうなるためには、早い段階で漢字を習得する必要があります。英単語を知らないと英語を読めないのと同じように、漢字を知らないと文章が読めません。娘は小学校2年生の終わりまでに6年生までの漢字を学び終えていました漢字さえ覚えれば、情報量が増えます。情報が増えると、親との会話が成立するようになります。そうすると論理的思考がついてきて、計算や算数もできるようになります。こうした考え方で勉強させている方ってたくさんいるんですけど、皆さんあまり外に言わないんですよね(笑)
    石橋FPは子育てや教育・受験に関する相談のほか、住宅購入の相談も得意分野
    石橋FPは子育てや教育・受験に関する相談のほか、住宅購入の相談も得意分野
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    石橋FP

    確かにあまり聞いたことがないですね。
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    戦記さん

    なぜ言わないかっていうと他が利するだけだから(苦笑)あとは、両親ともに高学歴の場合、そういう先取り教育は当然の取り組みで、そもそもノウハウとすら思っていませんだからどんどん格差が広がっていくんだと思います。SAPIXでは途中からずっと上のクラスだったので下のクラスと比べることで、そういう状況が手にとるようにわかりました。上のクラスの子は、小4で普通に二次方程式が解ける。それが普通の世界なんですよね。こういう事実やノウハウをもっと民主化したいと思って、ブログを執筆しています。
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    石橋FP

    小学2年生で6年生までの漢字をマスターするとなると、当然親のサポートが必要ですよね。戦記さん自身はどう時間を作られていたんでしょうか?
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    戦記さん

    私は当時商社マンだったので残業で死にかけていましたが、朝早く起きて一緒に勉強していましたね。学校が近かったので朝6時に起きれば登校までに2時間あります。食事の時間を差し引いても1時間はしっかり勉強時間を確保できました。
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    石橋FP

    共働きだと時間のやりくりが大変ですよね。戦記さんのように朝早く起きてやるとか、時間をどうにか捻出してコミットするしかないと。
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    戦記さん

    おっしゃるとおりです。低学年の子どもは体力がないので、朝の時間の価値を1とすると、夕方には0.5、夜になると0.2くらいに落ちてきます。だから一番フレッシュな状態の朝に勉強したほうが成功しやすいんです。そして、子どもって3日経つと忘れちゃう。だから、どんな状況でも1問でもいいから毎日やることが大切です
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    石橋FP

    世の中には子どもに勉強をやれと言うわりに、親はずっとテレビを見ているなんてこともありますよね。
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    戦記さん

    父親と母親の温度差が激しい家庭はよくありますよね。子どもが勉強しているなかで父親がビールを見ながらテレビを見ているというケースとか。でも、環境は極めて重要です。どのお子さんも塾で過ごす時間は一緒だから、塾では差別化できません。だから家にいる時間をどう活かすか、宿題のやり方ぐらいしか、もう改善するところがないんです。当然ながら夫婦げんかしてたら子どもは勉強なんてできませんし、早期に個室を与えても失敗しやすい。リビングで見守るなど環境作りをしっかりやることですね。塾にお金をたくさん払っていても家で勉強しないと意味がないんですよ。
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    石橋FP

    親も中学受験にしっかりコミットしてないと駄目ですね。
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    戦記さん

    僕の場合は突き詰めてくのが趣味なのですが(笑)でも夜型だった私もおかげでいつの間にか朝型になり、朝4時に起きて6時まで仕事をして、6時から子供と勉強というルーティンになっています。石橋さんも共働きだったんですよね。お子さんの受験準備はどうしていたんですか?
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    石橋FP

    我が家の方針として迷ったときは「あなたにとって今一番大事なものは何なのか?それをやるために何をするべきなのか」というのを小さい頃から子供に聞くようにして、優先順位を決めていましたね。でも、子どもの考えって結構変わりますから頑張れるときもあればそうでないときも。今大事なものを聞けばいいかと思います。子どもが大きくなるほど、親は我慢の連続になります。小さいうちは親が先導できますが、子どもは大きくなれば「親のこうしたい」というのにはついてこなくなりますよね。
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    戦記さん

    そうですね。うちももう女子中学生ですから、なんでも言うことを聞くわけではなくなりますね。
    FPねこ

    オカネコ編集部

    戦記さんのお子さんの中学受験に実際にかかった費用を見て驚いた方も多いのでは。費用はご家庭によって異なりますが、戦記さんの話を聞くと「我が家はどのくらいお金を用意しておくべき?」と考えてしまいますよね。費用についてどのように考えるべきなのかは、後半でお話していますのでぜひご覧ください。

    「中学受験の見積もり 後編」はこちらから

    後編はこちら
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