監修者 | |
株式会社400F オンラインアドバイザー 伴海 大介 公的保険アドバイザー / 2級FP技能士 / 証券外務員二種 |
定期医療保険とは
定期医療保険とは、一定期間に絞って手厚い医療保障を備えられるタイプの医療保険を指します。
同額の医療保障を用意した場合、終身医療保険に比べて保険料の負担を抑えられることが特徴です。
保障期間が一定期間で終了するため、終了のタイミングに合わせて定期的な見直しができ、将来の物価変動やライフプランの変化に柔軟な対応ができます。
ただし、保険期間満了時に契約を更新した場合、更新時の年齢で保険料が再計算されるため、同じ保障内容のまま保険料だけが値上がりする点には注意が必要です。
定期医療保険と終身医療保険の違い
医療保険には、保障期間が一定期間の「定期医療保険」、一生涯の医療保障を備えられる「終身医療保険」の2種類が存在します。
どちらも病気やケガの治療で発生する高額な医療費に備えられますが、保障期間や保険料の払込期間などに違いがあります。
定期医療保険と終身医療保険の違い | |||||||||||
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種類 | 定期医療保険 | 終身医療保険 | |||||||||
特徴 | ・割安な保険料で一定期間に絞って手厚い保障を備えられる ・同じ保障内容で比較すると終身タイプより保険料は割安 | ・契約時の保険料のまま一生涯の保障を備えられる ・同じ保障内容で比較すると定期タイプより保険料は割高 | |||||||||
保障期間 | 一定期間のみ | 一生涯 | |||||||||
保険料 | 更新時に値上がり | 一生涯変わらない | |||||||||
保険料払込期間 | 基本的に保障期間と同一 | 終身払い・短期(有期)払いなど選択可能 |
定期医療保険は保障期間が一定期間に絞られている代わりに、割安な保険料で大きな医療保障を備えられます。
基本的に保障期間中は保険料を払い込み続ける必要があり、保障期間の終了時に契約更新をする場合は、それまでよりも保険料が値上がりすることが特徴です。
一方の終身医療保険は、加入時の保険料のまま一生涯の医療保障を備えられます。
保険料の払込方法は、一生涯にわたって保険料を支払い続ける「終身払い」の他、保険料を一定期間のうちに支払い終える「短期(有期)払い」を選択できる場合もあります。
ただし、同じ内容の医療保障で比較すると、定期医療保険よりも終身医療保険のほうが保険料は割高に設定されています。
これらの特徴から、保険料重視の方や定期的に見直しをしたい方は「定期医療保険」、一生涯の医療保障を備えておきたい方は「終身医療保険」を検討するのが良いでしょう。
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医療保険を一生涯ではなく、現役世代の働いている期間のみ、または子どもの教育費がかさむ時期や預貯金が1,000万円貯まるまでの間など、ある程度の保障期間を限定して定期医療保険で計画的に備えることで、保険料を節約することができ、合理的です。
一方で、若いうちに入院や手術を経験した場合、定期医療保険では保障が終わってしまうことがあり、終身医療保険に加入しておけばよかったという後悔が生まれる可能性もあります。
合理性を追求するのか、感情面もふまえた安心をとるのかをよく考えて、終身医療保険か定期医療保険を選ぶことをおすすめします。
定期医療保険の加入率
定期医療保険のみの加入率のデータがないため、医療保険全体での加入率について解説します。
生命保険文化センターが実施した世帯員2人以上の世帯を対象とした「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、2021年(令和3年)の医療保険・医療特約の加入率は次の通りです。
参照:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査58ページ|生命保険文化センター
民保(かんぽ生命を除く)に加入している世帯が対象
一方、18〜79歳の個人を対象とした「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、疾病入院給付金の支払われる生命保険の加入率は65.7%となっています。
また、個人年金保険を含む生命保険加入者に限定すると、80.9%もの人が疾病入院給付金を受け取れる生命保険に加入していることがわかります。
疾病入院給付金の支払われる生命保険の加入率 | ||||
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項目 | 全生保 | 加入者限定 | 民保限定 | |
疾病入院給付金あり | 65.7% | 80.9% | 81.1% | |
疾病入院給付金なし | 4.7% | 5.8% | 8.7% | |
疾病入院給付金の有無が不明 | 10.8% | 13.3% | 10.2% | |
非加入 | 15.3% | – | – | |
不明 | 3.4% | – | – |
また、同調査によると、疾病入院給付金日額(全生保)は平均8,663円、疾病入院給付金一時金額(全生保)は平均18.7万円です。
生命保険や個人年金保険なども含めたデータとはなりますが、個人が生命保険に対して支払う年間保険料の総額は、全体平均が17.9万円(月額14,917円)、男性が20.6万円(月額17,167円)、女性が16.0万円(月額13,333円)となっています。
定期医療保険の必要性が高い人・低い人
定期医療保険が必要な人と不要な人の特徴は次の通りです。
定期医療保険の必要性が高い人・低い人 | |
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必要性が高い人 | 必要性が低い人 |
・医療費を賄えるだけの貯蓄がない人 ・定期的に保障内容を見直ししたい人 ・扶養家族がいる人(子ども、両親など) ・自営業やフリーランスの人 | ・医療費を賄えるだけの十分な貯蓄がある人 ・勤務先の福利厚生が充実している人 |
日本では公的医療保険制度が充実しているため、基本的には医療費の1〜3割の自己負担で高度な医療を受けられます。
ですが、差額ベッド代や先進医療費といった一部の医療費に対しては保障が適用されず、全額を自己負担で賄う必要があります。
また、長期入院ともなれば積み重なった自己負担分が家計を圧迫する大きな要因にもなりかねません。
そのため、医療費を賄えるだけの十分な貯蓄がない方や、養育費や教育資金など将来的に大きな支出が控えている扶養家族がいる方は、少額の保険料で大きな医療保障を備えられる定期医療保険の必要性は高いと言えるでしょう。
ライフステージの変化に合わせて保障内容の定期的な見直しをしたい方は、保険料が割高な終身医療保険より、一定期間ごとの見直しがしやすい定期医療保険がおすすめです。
一方、医療費を賄えるだけの十分な貯蓄がある方や、会社員や公務員などで勤務先の福利厚生が充実している方は、わざわざ保険料を払ってまで定期医療保険に加入する必要性は低いと考えられます。
なお、医療保険への考え方は個人によって様々です。上記はあくまで参考程度にとどめておき、自分や家族のライフスタイルに合わせて、必要な医療保障を備えることを心がけましょう。
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フリーランスや自営業の方は、入院すると収入が減る可能性が高いです。そのため、終身医療保険で入院日額10,000円や20,000円を設定すると、保険料が高くなりがちです。
さらに、老後もその保険料を払い続けるのは負担になります。保障はしっかり確保したいけれど、保険料が心配という方には、終身医療保険で入院日額5,000円、定期医療保険で入院日額5,000円のハイブリッドプランを検討してみてください。
働き盛りの期間だけ入院保障を手厚くしつつ、保険料も抑えることができます。
定期医療保険のメリット・デメリット
定期医療保険のメリット・デメリットは、次の通りです。
定期医療保険のメリット・デメリット | |
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メリット | デメリット |
・加入時の保険料が割安 ・保障内容を見直しやすい ・割安な保険料で大きな保障を準備できる | ・満期を迎えると保障がなくなる ・更新すると保険料が上がる ・再加入型の場合は健康状態によって更新(=再契約)できない場合もある |
定期医療保険のメリット
定期医療保険は、同じ保障内容の終身医療保険に比べて、加入時の保険料が割安なことが最大のメリットです。
免責期間や支払限度日数などには注意が必要ですが、契約時点から大きな医療保障を備えられるため、十分な貯蓄がない方や日々の生活費で精一杯の方に向いています。
一定の期間で保障が終了してしまう点はデメリットと考えられますが、裏を返せば一定期間ごとに保障内容を見直しやすいというメリットとも考えられます。
保障内容を見直すことで保険料を軽減できる場合も多いので、ライフステージの変化に合わせて保険の見直しをしたいと考えている方には大きなメリットがあります。
定期医療保険のデメリット
定期医療保険のデメリットは一定期間で保障がなくなってしまうことに加え、契約更新のタイミングで保険料が値上がりしてしまう点です。
一般的に、医療保険をはじめとした生命保険に加入する際は、加入者に対して健康状態の告知義務が設けられています。
定期医療保険の契約更新時は告知義務がないものの、その時点の年齢と保険料率で改めて医療保険を再契約する形となるため、同じ保障内容のまま保険料だけが値上がりしてしまいます。
そのため、医療保険に長期加入することを前提とした場合、複数回の契約更新を行うことで、保険料の払込総額が終身医療保険を上回ってしまう可能性がある点には注意が必要です。
また、多くの定期医療保険には更新回数の上限(更新限度)が設けられており、再加入型の場合は健康状態の告知内容によって加入を断られてしまう可能性もあります。
定期医療保険に加入する際は、更新限度や更新時の条件、更新後の大まかな保険料について確認を取ってから比較検討するようにしてください。
定期医療保険の見直しタイミング
定期医療保険に加入した後は、次のタイミングで見直しを行うことを心がけましょう。
契約更新時に適切な保障に見直す
定期医療保険の場合は保険会社から満期に関する案内が届くのが一般的で、そのタイミングに合わせて保障内容の見直しをしやすいことが特徴です。
特に、医療技術は日進月歩で進化しており、過去に加入した医療保険のままでは現代の医療環境に対応しきれないケースも考えられます。
たとえば、厚生労働省の「令和2年(2020)患者調査の概況」の平均入院日数と在宅医療患者数の年次推移を参照すると、入院日数は減少する一方、在宅医療の患者数は増加傾向にあることがわかります。
参照:図7 施設の種類別にみた退院患者の平均在院日数の年次推移|3 退院患者の平均在院日数等|令和2年(2020)患者調査の概況|厚生労働省
参照:図3 在宅医療を受けた推計外来患者数の年次推移|1 推計患者数|令和2年(2020)患者調査の概況|厚生労働省
定期医療保険の見直しを行うことで、昨今の医療環境に適した保障内容にカスタマイズができ、通院治療に適した保障内容に変更することも可能です。
ライフステージの変化に合わせて見直す
就職や転職、結婚、出産、マイホームの購入など、長い人生の中では様々なライフステージの変化が訪れます。
ライフステージが変化した際は、その時々の家族構成やライフスタイルに合わせて、定期医療保険の見直しを行うようにしましょう。
たとえば、独身時代に加入した医療保険のままでは、結婚や出産で家族が増えたときの高額な医療費に備えられないかもしれません。
特に、入院が長期化した場合は医療費以外にも収入減少の問題も起こり得るため、家族が生活に困らないようにするためにも、医療保障を充実させておく必要があるでしょう。
反対に、妊娠・出産のタイミングに合わせて加入した医療保険は、子どもの自立後は保障内容が過剰になりがちなので、医療保険の見直しで保障を削減し、保険料の節約に努めるべきだと考えられます。
転職や起業など、社会保障区分が変わったとき
転職や起業など、社会保障区分が変わったタイミングも、定期医療保険の見直しを行う必要があります。
日本の公的医療保険制度は、自営業やフリーランスが加入する国民健康保険よりも、会社員や公務員の加入する被用者保険(健康保険や共済保険など)のほうが保障内容は手厚くなっています。
たとえば、健康保険では病気やケガで働けない期間中の「傷病手当金」や、子どもの出産時は出産育児一時金に加えて、別途「出産手当金」が支給される点が挙げられます。
就職や転職の際には勤務先の福利厚生でどのような医療保障を受けられるのかを確認し、必要に応じて定期医療保険の保障内容を削減するのが良いでしょう。
一方、起業や個人事業主として独立をする場合、公的医療保険による保障は会社員や公務員ほど充実していないため、より手厚い医療保障への見直しを検討するのがおすすめです。
まとめ
定期医療保険は、一定期間に絞って手厚い保障を備えられるタイプの医療保険で、次のメリットとデメリットがあります。
定期医療保険のメリット・デメリット | |
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メリット | デメリット |
・加入時の保険料が割安 ・保障内容を見直しやすい ・割安な保険料で大きな保障を準備できる | ・満期を迎えると保障がなくなる ・更新すると保険料が上がる ・再加入型の場合は健康状態によって更新(=再契約)できない場合もある |
一定期間しか保障が受けられない点や契約更新時に保険料が値上がりする点がデメリットですが、少額の保険料で大きな医療保障を備えられることが最大のメリットです。
もしものときの高額な医療費に備えるだけの貯蓄が確保できていない方や、将来的に高額な支出が発生する子どもがいる世帯、公的医療保障が不十分な自営業やフリーランスの方は、定期医療保険の必要性が高いと言えます。
また、終身医療保険よりも保険料が割安なので、とにかく保険料を安く抑えつつ、大きな医療保障を備えておきたいという方におすすめです。
定期医療保険に加入する際は、上記のメリットとデメリットを理解した上で検討することを心がけてください。