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高額療養費制度とは? 計算と申請方法・自己負担額の抑え方を分かりやすく解説します

記事更新日: 2024年09月04日高額療養費制度とは? 計算と申請方法・自己負担額の抑え方を分かりやすく解説します
監修者
株式会社400F オンラインアドバイザー 軽部良典株式会社400F オンラインアドバイザー
軽部 良典
公的保険アドバイザー / 2級FP技能士 / 証券外務員一種・二種

高額療養費制度とは

高額療養費制度の仕組み

高額療養費制度とは、1カ月あたりの医療費負担が高額になった場合、後から一定額が払い戻される制度です。

日本では公的医療保険によって、医療機関を受診する際、健康保険証を提示して医療費の1〜3割を負担すれば、誰もが場所を選ばずに高度な医療を受けられます。

ですが、治療が長期化した場合は自己負担分が積み重なり、数十万円や数百万円を超える高額な医療費が家計を圧迫する事も起こりえます。

そうした事態に備えて、年齢や所得要件ごとに定められた自己負担限度額をひと月あたりの医療費が超過した場合、その超過分が後から払い戻される仕組みが高額療養費制度です。

たとえば、年収が400万円の方で、1カ月あたりの総医療費が50万円だった場合、高額療養費制度で払い戻される金額は、次の計算式で算出できます。

例:年収400万円(標準報酬月額28万〜50万円に該当)でひと月あたりの総医療費が50万円の場合
  • 年齢 : 40歳
  • 自己負担分:50万円×3割=15万円
  • 自己負担限度額:80,100円+(総医療費50万円-26.7万円)× 1% =82,430円
  • 超過分の払い戻し:自己負担分15万円 – 自己負担限度額82,430円 = 67,570円

    ※自己負担限度額は年齢および所得による適用区分によって計算式が異なります
    ※平成30年8月診療分以降の自己負担限度額を参照しています

上記の計算例でいうと、自己負担分15万円のうち、約6.8万円が高額療養費制度によって払い戻されることになります。

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軽部 良典
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ネットの普及により、さまざまな情報に触れる機会が増え、高額療養費について知っている方も増えてきました。

1ヶ月あたりの医療費負担が高額になった場合、後から一定額が払い戻される制度が一般的に案内されますが、医療機関窓口での支払いを自己負担限度額までとする方法が2つあります。

限度額適用認定証やマイナ保険証を活用することで、この方法が利用できます。後から払い戻しを受けるよりも、初めから限度額までの支払いとすることで、一時的な家計の負担を軽減できます。制度の概要だけでなく、詳細も確認しておきましょう。

自己負担限度額の計算式

高額療養費制度における自己負担限度額は、「年齢」と「所得要件」によってひと月あたりの上限額が異なります

全国健康保険協会(協会けんぽ)が公開する一覧表で、自身の年齢と所得要件に照らし合わせて、自己負担限度額を確認しておきましょう。

なお、会社員や公務員で勤務先の独自の健康保険組合に加入している方は、全国健康保険協会とは自己負担限度額が異なる場合があるので、勤務先で確認しておくと安心です。

69歳以下の医療費上限額
適用区分ひと月の上限額(世帯ごと)
年収約1,160万円〜
・健保:標準報酬月額83万円以上
・国保:旧ただし書き所得901万円超
252,600円+(医療費-842,000円)×1%
年収約770〜約1,160万円
・健保:標準報酬月額53〜79万円
・ 国保:旧ただし書き所得600〜901万円
167,400円+(医療費-558,000円)×1%
年収約370〜約770万円
・健保:標準報酬月額28〜50万円 
・国保:旧ただし書き所得210〜600万円
80,100円+(医療費-267,000円)×1%
〜年収約370万円
・健保:標準報酬月額26万円以下
・国保:旧ただし書き所得210万円以下
57,600円
住民税非課税者35,400円
※1つの医療機関等での自己負担(院外処方代含む)では上限額を超えない場合でも同じ月の別の医療機関等での自己負担(69歳以下の場合は21,000円以上であることが必要)を合算することができます
参照:高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)|厚生労働省
70歳以上の医療費上限額
適用区分自己負担限度額
外来(個人ごと)外来・入院(世帯ごと)
①現役並み所得者年収約1,160万円〜
・標準報酬月額83万円以上
・課税所得690万円以上
252,600円+(医療費-842,000円)×1%
年収約770万円〜約1,160万円
・標準報酬月額53万円以上
・課税所得380万円以上
167,400円+(医療費-558,000円)×1%
年収約370万円〜約770万円
・標準報酬月額28万円以上
・課税所得145万円以上
80,100円+(医療費-267,000円)×1%
②一般所得者年収約156万円〜約370万円
・標準報酬月額26万円
・課税所得145万円未満等
18,000円(年144,000円)57,600円
③低所得者Ⅱ住民税非課税世帯8,000円24,600円
Ⅰ住民税非課税世帯
(年金収入80万円以下等)
15,000円
※1つの医療機関等での自己負担(院外処方代も含む)では上限額を超えない時でも、同じ月の別の医療機関等での自己負担を合算することができます。合算額が上限額を超えれば高額療養費の支給対象です
参照:高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)|厚生労働省

70歳以上の場合は所得要件に加え、個人ごとの外来診療・世帯ごとの外来・入院費用で上限額が異なるので気をつけましょう。

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自己負担限度額の計算については記載のとおりですが、この計算式は常に同じだったわけではありません。制度が創設された1973年当時、限度額は30,000円でした。

その後、1989年に57,000円、1996年に63,600円と変更があり、現在の計算式に至っています。今後、少子高齢化が進む日本で、高額療養費制度の自己負担限度額が現行のまま維持されるとは限らないかもしれません。

同じ世帯で69歳以下と70歳以上がいる場合の自己負担額

同じ世帯で69歳以下と70歳以上の家族がいる場合、以下の手順で家族全員分の自己負担額を合算し、合計が世帯全体の自己負担上限を超えないように調整されます。

69歳以下と70歳以上が同じ世帯にいる場合の自己負担額
手順内容
70歳以上について、外来の自己負担額を個人ごとに合算し、70歳以上の外来における負担の上限額をそれぞれに当てはめた上で差額分を支給
70歳以上について、入院分の自己負担額と、①によってもなお残る自己負担額を合計し、70歳以上の世帯における負担の上限額を当てはめ、差額分を支給
69歳以下の自己負担額と、②によってもなお残る自己負担額を合計した世帯全体の自己負担額に、世帯全体における負担の上限額を当てはめ、差額分を支給
参照:高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分)18ページ|厚生労働省

高額療養費の対象外で自己負担になる費用

高額療養費制度は、公的医療保険適用後の自己負担分が自己負担限度額を超えた場合に利用可能な公的制度です。

したがって、公的医療保険が適用されない医療費に対しては高額療養費制度を利用できません

公的医療保険の対象外となる費用の一例
  • 差額ベッド代(患者自らが希望した場合)
  • 入院時の食事代(1食あたり460円 ※2024年3月時点)
  • 入院中の生活費(日用品代など)
  • 家族の見舞いの交通費
  • 出産費用(自然分娩時)
  • 先進医療(技術料)
  • 自由診療(インプラント治療、美容整形手術など)
  • 健康診断、人間ドック、結核診断など

上記以外にも、労災保険加入者の業務上の病気やケガ、通勤途上の事故による医療費は公的医療保険ではなく労災保険の対象となるため、高額療養費制度の対象外です。

これらの費用について、労災保険加入者の場合、医療費は全額給付されるものの、そうでない場合は全額を自己負担で賄わなければならないため、十分な貯蓄を作れていない方や将来の医療費が不安な方は、少額の保険料で大きな医療保障を備えられる民間医療保険を検討しましょう。

異常分娩による出産は公的医療保険の対象=高額療養費制度も利用可能

自然分娩による出産は公的医療保険が適用されませんが、帝王切開や吸引分娩などの異常分娩による出産は公的医療保険の対象です

異常分娩による出産の一例
  • 帝王切開、緊急帝王切開
  • 吸引分娩
  • 骨盤位分娩
  • 鉗子分娩(かんしぶんべん)
  • つわり(重症妊娠悪阻)
  • 妊婦高血圧症候群
  • 流産・早産
  • その他、誘発剤・陣痛促進剤を用いた出産など

公的医療保険が適用される医療費については高額療養費制度の対象となるため、異常分娩による出産費用は高額療養費制度で払い戻しを受けられる可能性があります。

詳細は後述しますが、高額療養費制度は事前申請で「限度額適用認定証」を発行しておけば、はじめから高額療養費制度が適用された自己負担分を窓口で支払うだけで済みます

妊娠・出産時には予期せぬトラブルや様々なリスクが想定されるため、万が一に備えて限度額適用認定証を発行しておき、もしものときの高額な医療費に備えておきましょう。

さらに自己負担額を抑えるには

高額療養費制度を利用する際、一定の条件を満たすことでさらに自己負担額を軽減することができます。

高額療養費制度で自己負担額を抑えるための仕組み

それぞれの仕組みを理解して、もしものときの高額な医療費に備えるようにしましょう。

世帯合算

世帯合算とは、複数の医療機関を受診した際や同じ世帯の他の方の自己負担分を1カ月単位で合算できる仕組みのことです。

世帯合算を利用するための条件
  • 複数の医療機関を受診した際の自己負担分(窓口で支払った分)
  • 同じ医療機関で別々の窓口で支払った自己負担分(入院と外来など)
  • 同じ医療保険に加入中で同じ世帯の他の方が支払った自己負担分

1回あたりの医療費が自己負担限度額を超えない場合でも、世帯合算の仕組みを利用して合算額が一定を超えれば、超過分については高額療養費制度で払い戻しを受けられます。

たとえば、共に75歳の高齢夫婦を例に挙げて、世帯合算のシミュレーションをみてみましょう。

例:75歳夫婦の世帯合算シミュレーション
自己負担分
夫(75歳、一般所得者)病院A(入院):60,000円病院A(外来):5,000円
妻(75歳)病院B(外来):10,000円病院C(外来):6,000円
合計81,000円

70歳以上の一般所得者の自己負担限度額は57,600円のため、世帯合算を利用することで81,000円-57,600円=23,400円が高額療養費として返金される計算です。

なお、世帯合算は同じ世帯で同じ医療保険に加入している方に限られていますが、単身赴任などの理由で異なる住所に住んでいる場合でも、同じ健康保険に加入していれば世帯合算の対象となります。

一方、健康保険の被保険者と後期高齢者医療制度の被保険者(原則75歳以上)が同居する場合、異なる医療保険制度に加入している形なので、医療費の合算対象とはなりません

69歳以下の方の受診については21,000円以上の自己負担のみ合算対象など、細かな注意点が多いので気をつけましょう。

多数回該当

多数回該当とは、上限額に達した回数が過去12カ月以内に3回以上の場合、4回目以降の上限額が引き下げられる仕組みのことです。

多数回該当の場合の自己負担限度額は、以下の通りです。

多数回該当時の自己負担限度額
適用区分69歳以下70歳以上
年収約1,160万円〜の方140,100円140,100円
年収約770〜約1,160万円の方93,000円93,000円
年収約370〜約770万円の方44,400円44,400円
〜年収約370万円44,400円44,400円
住民税非課税者24,600円なし
参照:高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分)7ページ|厚生労働省

たとえば、69歳以下で年収400万円の方の場合、通常は80,100円+(総医療費-267,000円)×1%で計算されますが、多数回該当が適用されると上限額が一律44,400円にまで引き下げられます。

治療が長期化すると医療費の自己負担分も大きくなりますが、多数回該当で上限額が引き下げられることで、高額療養費制度による払戻額が増え、結果的に医療費負担の軽減効果を期待できます。

なお、住民税非課税者の場合、69歳以下の方は多数回該当の対象となりますが、70歳以上の方は多数回該当が適用されないので気をつけましょう。

監修者
株式会社400F オンラインアドバイザー 軽部良典株式会社400F オンラインアドバイザー
軽部 良典
公的保険アドバイザー / 2級FP技能士 / 証券外務員一種・二種

高額療養費制度というと、ひと月の自己負担限度額についてのみ知っている方が多いですが、多数回該当で限度額が引き下げられる仕組みも知っておくことが重要です。

自分の適用区分において、仮に1年間ずっと治療が必要な場合の医療費の最大金額を知っておくことで、医療保険に対する考え方が変わるかもしれません。

限度額適用認定証

限度額適用認定証とは、通常は後から超過分の払い戻しを受ける高額療養費制度を事前に利用できる仕組みのことです。

窓口で健康保険証と限度額適用認定証を提示すれば、はじめから高額療養費制度が適用された自己負担分だけの支払いで済みます

高額療養費制度は申請から実際の払い戻しまで3〜4カ月程度の時間がかかるため、限度額適用認定証を発行しておけば、高額な医療費の立て替え払いが不要になる点がメリットです。

限度額適用認定証は、加入中の医療保険制度に対して事前申請をすれば発行してもらえますが、有効期限がある点には十分注意しましょう。

マイナ保険証

マイナ保険証(健康保険証利用登録を行ったマイナンバーカード)を医療機関の窓口で提示し、「限度額情報の表示」に同意する方法でも、高額療養費制度が適用された自己負担分だけの支払いで済みます。

ただし、オンライン資格確認を導入している医療機関等である必要がありますので、利用検討の際は事前に確認しておきましょう。

高額療養費制度の申請方法

高額療養費制度による払い戻しを受けるには、加入中の医療保険に対して被保険者が自分で申請手続きを行う必要があります。

「事前申請」と「事後申請」の2パターンがあるので、それぞれの申請方法について解説します。

事前に申請する場合

高額療養費制度の事前申請には、以下の書類が必要です。

必要書類の入手場所や提出先も含めて、一覧にしてまとめてご紹介します。

高額療養費制度の事前申請
医療保険健康保険(協会けんぽの場合)国民健康保険
対象者会社員とその扶養者自営業、フリーランス、その家族など
必要書類健康保険限度額適用認定申請書または健康保険限度額適用・標準負担額減額認定申請書+健康保険証
※住民税課税世帯の場合は非課税証明書も必要
所定の国民健康保険限度額適用(・認定負担額減額)認定申請書+健康保険証
申請書の入手場所協会けんぽのホームページ市区町村役場のホームページ
申請書の提出先健康保険証記載の協会けんぽ支部お住まいの住所を管轄する市区町村役場の担当窓口
有効期限申請書に記載した交付必要期間(最長1年間)

基本的な流れとしては、申請書の取得→必要事項の記入→加入中の健康保険へ必要書類を提出することで、高額療養費制度の事前申請が可能です。

事前申請を受け付けてもらうと、限度額適用認定証(住民税非課税世帯の場合は限度額適用・標準負担額減額認定証)が発行されます。

事前申請の期限は定められていませんが、発行された書類には最長1年間の有効期限が設けられているので気をつけましょう。

事後に申請する場合

高額療養費制度で現物給付を受ける場合、必要書類を用意して医療保険の担当窓口に提出する必要があります。

詳細については以下の一覧表をご覧ください。

高額療養費制度の事後申請
医療保険健康保険(協会けんぽの場合)国民健康保険
対象者会社員とその扶養者自営業、フリーランス、その家族など
必要書類健康保険高額療養費支給申請書+添付書類国民健康保険高額療養費支給申請書+添付書類(健康保険証など)
※一部自治体では手続きが簡素化(自動振込対応)されている
申請書の入手場所協会けんぽのホームページ市区町村役場のホームページ
申請書の提出先健康保険証記載の協会けんぽ支部お住まいの住所を管轄する市区町村役場の担当窓口
申請期限診療月の翌月1日から2年以内

高額療養費制度を事後申請する場合、診療月の翌月1日から数えて2年以内の手続きが必要です。

一部の医療保険では一度の申請手続きを行うことで以降の申請手続きが免除され、自動的に高額療養費制度による払い戻しが受けられる場合があります。

申請時の添付書類については年齢や所得区分によって異なる場合があるので、高額療養費制度を申請する前に担当窓口まで確認しておくと安心です。

高額療養費に関するその他の支援制度

この項目では、高額療養費制度以外で医療費の自己負担分に備えるための支援制度をご紹介します。

高額な医療費を保障するための支援制度
  • 高額医療・高額介護合算療養費制度
  • 高額医療費貸付制度(高額療養費貸付制度)
  • 高額療養費受領委任払制度

高額療養費制度は、自己負担限度額の超過分が後から払い戻される仕組みのため、一時的に高額な医療費を自己負担で立て替えなければなりません

事前申請をすれば一時的な立て替え払いが不要になりますが、限度額適用認定証には最長1年間の有効期限があり、突然の入院や手術時には時間的な余裕がないことから、手続きが間に合わない方も多いことでしょう。

高額療養費制度にあわせて上記の支援制度を活用することで、高額な自己負担分にも備えられるようになるので、ぜひ確認しておきましょう。

高額医療・高額介護合算療養費制度

高額医療・高額介護合算療養費制度は、医療保険と介護保険の自己負担分の基準額を超えた場合、その超過分が払い戻される制度です。

対象は毎年8月1日〜翌年7月31日の1年間で、年齢や所得要件によって基準額は異なります

高額医療・高額介護合算制度の基準額(協会けんぼの場合)
年齢区分所得等区分医療保険+介護保険の自己負担限度額
70歳未満を含む年収約1,160万円〜
・健保:標準報酬月額83万円以上
・国保:旧ただし書き所得901万円超
212万円
年収約770〜約1,160万円
・健保:標準報酬月額53〜79万円 
・国保:旧ただし書き所得600〜901万円
141万円
年収約370〜約770万円
・健保:標準報酬月額28〜50万円 
・国保:旧ただし書き所得210〜600万円
67万円
〜年収約370万円
・健保:標準報酬月額26万円以下
・国保:旧ただし書き所得210万円以下
60万円
〜年収約370万円
・健保:標準報酬月額26万円以下
・国保:旧ただし書き所得210万円以下
34万円
70~74歳の方①現役並み所得者標準報酬月額83万円以上212万円
標準報酬月額53万円~79万円141万円
標準報酬月額28万円~50万円67万円
②一般所得者(住民税課税世帯)
一般
56万円
③低所得者(住民税非課税世帯)
低所得2
31万円
(住民税非課税世帯)
低所得1
19万円
参照:高額療養費・70歳以上の外来療養にかかる年間の高額療養費・高額介護合算療養費 | こんな時に健保 | 全国健康保険協会

高額療養費制度が月単位の医療費負担を軽減する制度であるのに対し、高額医療・高額介護合算療養費制度はそれでもなお残る医療費負担を年単位で軽減するための制度です。

高額医療・高額介護合算療養費制度を利用するには、お住いの地域を管轄する市区町村役場または加入中の医療保険の介護保険窓口での手続きが必要となります。

高額医療費貸付制度(高額療養費貸付制度)

高額医療費貸付制度は、高額療養費制度の支給見込額の一部(最大8〜9割)が無利子で融資を受けられる制度です。

基本的には、加入している医療保険に対して「高額医療費貸付金貸付申込書」と添付書類を提出することで貸付が受けられます。

たとえば、全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合は申込書に加えて、以下の添付書類が必要です。

高額医療費貸付制度の申し込みに必要な添付書類
  1. 医療機関(病院等)の発行した、保険点数(保険診療対象総点数)のわかる医療費請求書
  2. 被保険者証又は受給資格者票等
  3. 高額医療費貸付金借用書
  4. 高額療養費支給申請書

なお、あくまで貸付制度なので将来的に貸付金の返済が必要です。

支給申請を行った高額療養費の給付金から差し引かれる形で返済され、残額分は指定した金融機関に振り込まれます。

一方、医療費の減額や不支給などの理由で貸付金の未返済または不足分が発生した場合、送付される返納通知書を以て期日までに返納する必要があります。

監修者
株式会社400F オンラインアドバイザー 軽部良典株式会社400F オンラインアドバイザー
軽部 良典
公的保険アドバイザー / 2級FP技能士 / 証券外務員一種・二種

高額療養費制度に比べて、高額医療費貸付制度を知っている人はまだ少ないと思います。将来、大病になって多額の医療費がかかる人もいれば、そうでない人もいます。

リスクへの備え方は人それぞれですが、もしも将来、大病になった場合、お金を借りるという選択肢も考えておくと良いかもしれません。

ただし、大病を患うと収入が減る可能性もあり、収入が減った状況で借金をすることには不安が伴います。そのため、慎重に判断することをおすすめします。

高額療養費受領委任払制度

高額療養費受領委任払制度は、被保険者ではなく医療機関に対して高額療養費が支給される制度です。

医療機関に対して高額療養費制度による払い戻しが行われるため、患者が窓口で支払う金額は自己負担限度額が上限となり、医療費負担を抑えられます。

ただし、加入中の公的医療保険の種類によって、高額療養費受領委任払制度を利用できない場合があります。

たとえば、全国健康保険協会(協会けんぽ)では本制度を利用できません。他の公的医療保険でも利用できない場合があるので、事前にしっかりと確認しておきましょう。

まとめ

日本では国民皆保険制度の採用により、誰もが1〜3割の自己負担で高度な医療を受けられます。

しかしながら、治療が長期化すれば自己負担分も積み重なり、医療費が家計を圧迫する大きな要因になりかねません。

高額療養費制度は、1カ月あたりの自己負担分が限度額を超えると、後から超過分が払い戻される制度なので、実質的に医療費負担を大きく軽減する効果が期待できます。

また、事前手続きで発行される「限度額適用認定証」を窓口に提示すれば、高額療養費制度が適用された後の自己負担分のみの支払いで済みます。

ただし、公的医療保険が適用されない医療費(差額ベッド代や先進医療の技術料など)には、高額療養費制度も適用されない点には注意が必要です。

これらの医療費への備えを準備しておきたい方は、生命保険会社や損害保険会社が販売する民間医療保険への加入を検討するようにしてください。

株式会社400F オンラインアドバイザー 軽部良典

軽部 良典

株式会社400F オンラインアドバイザー
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オカネコ保険比較 編集部

オカネコ保険比較 編集部

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