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医療保険は本当にいらない? 医療保険の加入するべきメリットとデメリット・必要性を分かりやすく解説

記事更新日: 2024年11月06日医療保険は本当にいらない? 医療保険の加入するべきメリットとデメリット・必要性を分かりやすく解説

監修者 株式会社400F オンラインアドバイザー
伴海 大介
公的保険アドバイザー / 2級FP技能士 / 証券外務員二種

「医療保険はいらない」と聞いて、加入すべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。

はじめに結論をお伝えすると、十分な貯蓄がある方、公的医療保険で十分と考える方や会社の福利厚生が充実している方であれば、民間医療保険に加入する必要性は低いと考えられます。

一方、将来の病気やケガに対して不安を感じている方、十分な貯蓄がない方は、民間医療保険に加入しておくと万一の際も安心して治療に専念できるでしょう。

民間医療保険のメリットとデメリットを踏まえた上で、医療保険の必要性について解説します。

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※調査概要:申込数をもとに算出。オカネコ保険比較調べ、集計期間:2024/09/16〜2024/10/15(申込数が同数の場合は、資料請求数と各社ソルベンシーマージン比率をもとに算出)
※ご検討にあたっては、「商品パンフレット」・「契約概要・注意喚起情報」・「ご契約のしおり・約款」等を必ずご確認ください。

医療保険はいらないと言われる理由

はじめに、医療保険はいらないと言われる理由をおさらいしておきましょう。

一般的に、民間医療保険が不要と言われるのには、次のような理由が挙げられます。

保障が充実している「公的医療保険」があるため

日本では国民皆保険制度が採用されており、誰もが次の3つの特徴がある「公的医療保険」に加入しています。

公的医療保険制度の3つの特徴
  • 国民皆保険:安心して治療を受けられるように全国民が公的医療保険に加入している
  • フリーアクセス:どの医療機関においても一切の制限なく医療サービスの受診ができる
  • 現物(医療サービス)給付:窓口での医療費支払いが一部の負担のみに抑えられる

参照:我が国の医療保険について|厚生労働省

公的医療保険の被保険者は、医療機関の受診時に健康保険証を提示することで、窓口で支払う金額が医療費の1〜3割負担に抑えられます。

公的医療保険の自己負担割合
6歳未満2割負担
6歳〜70歳未満3割負担
70〜74歳未満一般:2割負担
現役並みの所得:3割負担
75歳以上一般:1割負担
一定以上の所得:2割負担
現役並みの所得:3割負担
参照:我が国の医療保険について|厚生労働省
参照:医療費の一部負担(自己負担)割合について|厚生労働省

また、日本国内場所を問わず医療機関を自由に選ぶことができ、後述の「高額療養費制度」が利用できます。

さらに、入院中の食事代が1食あたり490円(2024年10月時点)の負担で済んだり、出産時には「出産育児一時金」が受け取れたりなど、保障が充実していることが特徴です。

会社員・公務員が加入する「健康保険」の場合、上述の公的保障に加えて「出産手当金」や「傷病手当金」など、さらに手厚い保障を受けられる上、保険料は勤務先との折半となるなど、さまざまなメリットもあります。

つまり、日本では誰もが充実した医療保障を受けられる状態で暮らしているため、わざわざ民間医療保険に加入する必要はないと言われています。

患者が負担する高額な医療費を補う「高額療養費制度」があるため

公的医療保険により窓口で支払う金額が1〜3割負担に軽減されるとは言え、医療機関を受診する機会が増えれば、それに応じて患者が負担する医療費も増大します。

そこで日本の公的医療保険では、ひと月で負担した医療費が自己負担限度額を超えた場合、その差額分が後から払い戻される高額療養費制度」があります。

高額療養費制度の自己負担限度額は、年齢や所得状況によって次のように定められています。

69歳以下の医療費上限額
適用区分ひと月の上限額(世帯ごと)
年収約1,160万円〜
・健保:標準報酬月額83万円以上
・国保:旧ただし書き所得901万円超
252,600円+(医療費-842,000円)×1%
年収約770〜約1,160万円
・健保:標準報酬月額53〜79万円 
・国保:旧ただし書き所得600〜901万円
167,400円+(医療費-558,000円)×1%
年収約370〜約770万円
・健保:標準報酬月額28〜50万円 
・国保:旧ただし書き所得210〜600万円
80,100円+(医療費-267,000円)×1%
〜年収約370万円
・健保:標準報酬月額26万円以下
・国保:旧ただし書き所得210万円以下
57,600円
住民税非課税者35,400円
※1つの医療機関等での自己負担(院外処方代含む)では上限額を超えない場合でも同じ月の別の医療機関等での自己負担(69歳以下の場合は21,000円以上であることが必要)を合算することができます
参照:高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)|厚生労働省
70歳以上の医療費上限額
適用区分自己負担限度額
外来(個人ごと)外来・入院(世帯ごと)
①現役並み所得者年収約1,160万円〜
・標準報酬月額83万円以上
・課税所得690万円以上
252,600円+(医療費-842,000円)×1%
年収約770万円〜約1,160万円
・標準報酬月額53万円以上
・課税所得380万円以上
167,400円+(医療費-558,000円)×1%
年収約370万円〜約770万円
・標準報酬月額28万円以上
・課税所得145万円以上
80,100円+(医療費-267,000円)×1%
②一般所得者年収約156万円〜約370万円
・標準報酬月額26万円以下
・課税所得145万円未満等
18,000円(年144,000円)57,600円
③低所得者Ⅱ住民税非課税世帯8,000円24,600円
Ⅰ住民税非課税世帯(年金収入80万円以下等)15,000円
※1つの医療機関等での自己負担(院外処方代も含む)では上限額を超えない時でも、同じ月の別の医療機関等での自己負担を合算することができます。合算額が上限額を超えれば高額療養費の支給対象です
参照:高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)|厚生労働省

たとえば、年収が約370万円〜770万円の70歳以上の方(医療費3割負担)が、ひと月に100万円の医療費(窓口負担30万円)を支払った場合、自己負担限度額87,430円を超過した212,570円が後から払い戻される仕組みです。

このように、日本では誰もが高額療養費制度によって医療費負担が大幅に軽減される状態にあるため、医療保険に加入する必要はないと言われています。

公的保障との重複で余計な保険料を負担する可能性があるため

先述のとおり、日本では国民皆保険制度が採用されており、国民健康保険や健康保険など、国民全員が何かしらの公的医療保険に加入しています。

つまり、わざわざ民間医療保険に加入せずとも、公的医療保険によって誰もが一定の医療保障を備えた状態で生活を送っている状況です。

民間医療保険の保障内容は公的医療保険と重複する部分もあり、毎月の保険料負担が発生します。

過剰な保障を備えるために余計な保険料を支払い続けることになる可能性があるため、人によっては民間医療保険に入る必要はないと言われています。

ただし、公的医療保険の対象外となる医療費(差額ベッド代や入院中の生活費、先進医療費など)も存在します。公的医療保険の保障内容をしっかりと理解し、不足分を補う形で民間医療保険への加入を検討することが大切です。

保険金支払いには給付条件が設けられているため

民間医療保険は、保険商品や給付金の種類によって、保険金の給付条件が設けられています。

がん保険を例に挙げると、がん治療の入院時に支払われる「がん入院給付金」は、通院治療が選ばれた場合に支給されないケースも少なくありません。

また、がん保険には保障が開始されるまでの空白期間(免責期間)や支払限度日数が設けられているのが一般的で、場合によってはがんに罹患した場合でも保険金を受け取れない可能性があります。

医療保険における免責期間と支払限度日数
免責期間入院をしても保険金が支払われない期間のこと
たとえば免責日数が4日間の場合、5日以上の入院のみ保険金が支払われる
支払限度日数入院給付金の支払い対象となる入院日数の上限
30日、60日、120日など商品ごとに決まっている

入院給付金を受け取る際には「1入院の定義」についても確認しておかなければなりません。

多くの保険会社では、退院後180日以内に同じ病気やケガで再入院をした場合は1回の入院とみなされます。

たとえば、支払限度日数が60日の医療保険に加入中で40日間の入院をした後、180日以内に同じ病気で再入院をすると「1入院」とみなされ、残り20日間分までの入院給付金しか受け取れません。

他の医療保険においても同様で、保険金支払いには必ず給付条件が定められているため、医療保険に加入して保険料を負担したからといって、必ずしも保険金を受け取れるわけではないことを理解しておきましょう。

少ない保険料で大きな保障を備えられるのが医療保険のメリットですが、給付条件があることを踏まえると、保険料として払い込む金額を現金で手元に残しておいたほうが安心という考え方もできます。

監修者 株式会社400F オンラインアドバイザー
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医療保険はいらないと言われる理由としてはここまでのように「公的医療保険があるから」や「高額療養費制度があるから」といった理由が多くを占めるかと思います。

日本の公的医療保険制度は世界に誇るべき社会保障ですし、一定の自己負担で高いレベルの医療が受けられるのはそれだけでも安心ですね。これにより、一定の自己負担が問題なく収入や貯蓄からの支払いが可能そうであれば医療保険の必要性は薄くなります。

しかし、いくら公的医療保険制度が充実していても、入院や治療の長期化や病院にかかる頻度が多くなり、一定の自己負担も嵩むと大きな経済的損失に繋がります。また、病気やケガは一生涯付きまとうリスクですので、長い目で本当に必要ないかを判断するようにしましょう。

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※調査概要:申込数をもとに算出。オカネコ保険比較調べ、集計期間:2024/09/16〜2024/10/15(申込数が同数の場合は、資料請求数と各社ソルベンシーマージン比率をもとに算出)
※ご検討にあたっては、「商品パンフレット」・「契約概要・注意喚起情報」・「ご契約のしおり・約款」等を必ずご確認ください。

医療保険に加入しない人の割合は約34%

医療保険はいらないと言われる理由を確認したところで、続けて医療保険に加入しない人の割合についても確認しておきましょう。

生命保険文化センターが公開する「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、医療保険の加入率は男性が約60%女性が約70%全体平均で約66%となっています。

つまり、約34%(10人に3人)の人たちは医療保険に加入していないことがわかります。

全国の医療保険加入率(2022年度)
年度全体男性女性
1996年(平成8年)71.7%74.8%69.1%
1998年(平成10年)72.4%74.4%70.7%
2001年(平成13年)73.0%73.9%72.1%
2004年(平成16年)69.3%70.0%68.8%
2007年(平成19年)71.3%70.5%72.1%
2010年(平成22年)72.3%70.6%73.7%
2013年(平成25年)74.0%72.1%75.4%
2016年(平成28年)72.1%69.5%74.1%
2019年(令和1年)73.1%69.5%75.9%
2022年(令和4年)65.7%60.2%70.1%
※疾病入院給付金付き生命保険の加入率を参照しています
参照:1. 生命保険・個人年金保険加入率|2022(令和4)年度 生活保障に関する調査<全体版>272ページ|生命保険文化センター

同調査では生命保険の非加入理由(医療保険以外の保険商品を含む)も公開されており、最も多い理由は「経済的余裕がない(37.6%)」、次点で「生命保険の必要性をあまり感じていない(23.7%)」、「保険料が高い(16.7%)」と続いています。

医療保険の主な加入目的

生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」を参照し、生命保険(医療保険以外の保険商品を含む)の直近加入契約の加入目的を見てみましょう。

直近加入契約の加入目的(2022年度)
項目男性女性
ケガや病気になった際の医療費のため43.4%62.9%
万一死亡した時のため40.2%20.0%
老後の生活資金のため5.4%6.9%
ケガや病気で収入が途絶えた時のため4.5%2.5%
貯蓄のため1.5%2.2%
要介護状態になった時のため0.5%1.8%
教育・結婚資金のため0.5%0.4%
その他2.1%1.8%
わからない1.8%1.5%
参照:<図表 VII-7> 直近加入契約の加入目的〔性・年齢別〕|2022(令和4)年度 生活保障に関する調査<全体版>211ページ|生命保険文化センター

これらは医療保険以外の保険商品を含む生命保険全体の加入目的ですが、男女ともに「ケガや病気になった際の医療費への備え」として生命保険(医療保険)に加入しています。

公的医療保険では、入院中の生活費や食事代、差額ベッド代、入院時の収入減少までは保障されません。これらの費用を賄う手段として、多くの方が医療保険を活用していることが伺えます。

医療保険に加入しないデメリット

ここまで、統計データを用いて医療保険の加入率を紹介しました。

約34%もの人々が医療保険に加入していないことがわかりましたが、医療保険に加入しないと、次のデメリットと常に隣合わせの状況で日々を過ごすことになってしまいます。

入院中の収入減少に耐えられない可能性がある

民間医療保険に加入していないと、もしものときの長期入院による収入減少に耐えられなくなる可能性があります。

生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、直近5年間における入院のうち、逸失収入(病気やケガで得られなかった収入のこと)があると回答した人の平均割合は17.4%です。

年齢別に見ると、逸失収入があると回答した人の割合は40歳代が最も高く、次いで50歳代、60歳代と続きます。

直近の入院時における逸失収入の有無(2022年度)
年代逸失収入あり逸失収入なしわからない
全体17.4%62.7%19.9%
20歳代9.1%70.5%20.5%
30歳代15.8%70.2%14.0%
40歳代26.3%49.5%24.2%
50歳代22.3%57.7%20.0%
60歳代17.6%59.9%22.5%
70歳代13.8%68.5%17.6%
参照:<図表 II-16> 直近の入院時の逸失収入の有無〔年齢別〕|2022(令和4)年度 生活保障に関する調査<全体版>69ページ|生命保険文化センター

また、直近5年間における逸失収入の金額は平均30.2万円となっており、入院日数で除した1日あたりの逸失収入は平均21,000円です。

自己負担費用と逸失収入の総額は平均26.8万円となっており、公的医療保険が適用された後でも患者が負担する医療費は高額なことがわかります。

収入が少ない傾向にある20歳代、結婚や出産などのライフイベントが起こりやすい30歳代、マイホームの購入や子どもの教育資金などの支出が増えやすい40歳代など、長い人生のなかでは医療費以外にも多額の資金が必要です。

会社員が加入する健康保険では「傷病手当金」が支給されますが、給与として受け取っていた金額のおよそ3分の2程度しか受け取れず、支給開始日から通算で1年6ヵ月までしか支給されません。

自営業やフリーランスの方が加入する国民健康保険には傷病手当金に該当する制度が存在しないため、長期入院で働けない期間が発生すると、その影響が収入に直結してしまいます。

民間医療保険に加入していないと、これらの費用をすべて貯蓄で賄わなければならず、入院中の収入減少に貯蓄が耐えられなくなる可能性があります。

高額な医療費が理由で治療の選択肢が狭まる可能性がある

民間医療保険に加入していないと、高額な医療費が理由で治療の選択肢が狭まってしまう可能性もあります。

公的医療保険は、基本的に病気やケガの治療で発生した医療費が保障対象です。以下の諸費用は公的医療保険の保障対象外となっています。

治療時に発生する諸費用の一例
  • 先進医療費
  • 自由診療費
  • 入院時の差額ベッド代
  • 入院中の食事代
  • 入院中の生活費
  • 通院治療時または入院時の家族分の交通費

公的医療保険の対象外となる治療法のうち、厚生労働大臣により有効性や安全性が認められ、保険給付の対象とするか評価段階にある治療法を「先進医療」と呼びます。

先進医療は難病の治療法や手術として研究・開発されたばかりの比較的新しい医療で、公的医療保険が適用されないことから非常に高額な医療費が発生します。

生命保険文化センターが公開するデータを参考に、先進医療費の目安を確認してみましょう。

先進医療の例と費用の目安
先進医療技術技術料(1件当たり平均額)平均入院期間年間実施件数
陽子線治療2,659,010円15.6日824件
重粒子線治療3,135,656円4.2日462件
抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺伝子検査37,514円50.6日202件
ウイルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法)28,140円2.7日844件
細胞診検体を用いた遺伝子検査80,522円4.3日282件
内視鏡的胃局所切除術210,717円8.6日37件
子宮内膜受容能検査1130,409円4,847件
参照:中央社会保険医療協議会「令和5年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」
技術料は先進医療費総額÷年間実施件数にて算出

これらは、がん治療の際に選択されることが多い先進医療です。日本人は世界的に見てもがんに罹患しやすい国とされており、将来的に先進医療を受ける機会が出てくるかもしれません。

上記以外にも、患者が個室や特別療養室を希望した際に発生する差額ベッド代、先述の入院期間における収入減少や生活費なども公的医療保険の保障対象外です。

民間医療保険に加入していない場合、これらの費用を全額自己負担で賄わなければならず、医療費が理由で治療法の選択肢が狭まってしまう可能性が考えられます。

貯蓄を取り崩すことで老後の生活資金が不足する可能性がある

高額な医療費に対して貯蓄を充当した場合、老後の生活資金が不足してしまう可能性もあります。

生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考えられる最低日常生活費は月額平均で約23.2万円、旅行やレジャーなどを楽しむためのゆとりある老後生活費は月額平均で約37.9万円です。

一方、厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参照すると、令和4年度の国民年金平均受給額は約5.6万円厚生年金平均受給額(国民年金を含む)は約14.4万円となっています。

各年金受給権者の平均年金月額の推移(令和4年度)
年度国民年金厚生年金(国民年金を含む)
平成30年度55,708円143,761円
令和元年度55,946円144,268円
令和2年度56,252円144,366円
令和3年度56,368円143,965円
令和4年度56,316円143,973円
参照:令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(PDF)P10,P21|厚生労働省

夫婦共働きで平均額の厚生年金を受け取れるケースを想定すると、ひと月あたりの厚生年金受給額はおよそ28.8万円で、夫婦2人がゆとりある老後を送るには、毎月10万円程度の貯蓄を取り崩す必要があります。

日本人の平均寿命は延伸化が進んでおり、65歳の老後を迎えた後も20〜30年程度の生活費が必要です。これらを踏まえると、毎月10万円×12ヵ月×20年=2,400万円の貯蓄が必要な計算となります。

老後を迎えるまでの働き方によって老後の年金受給額は変動するため、人によってはより多くの貯蓄が必要になるケースも考えられます。

民間医療保険に加入していない場合、万一の事態が発生すれば高額な医療費を貯蓄から賄わなければならず、老後の生活資金を食い潰してしまう可能性がある点に注意が必要です。

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医療保険に加入しないデメリットとしては、まずは「経済的不安」を自己責任(自助努力)で補わないといけない点があります。

「高額療養費制度があるから」「しっかり貯蓄をしているから」といった理由で医療保険に加入されない方もいらっしゃるかと思いますが、「高額療養費制度」もあくまで「ひと月ごと」の医療費上限が決まっているだけであり、想定以上に入院や治療が長期化した場合は、最終的な自己負担額が大きくなることもあります。

しっかり貯蓄をしていることも大変素晴らしいことですが、おそらく将来の医療費に充てるために貯蓄をされている方は少ないでしょう。

多くの方はご自身の老後資金やお子さまの教育資金、住宅やお車の購入のために貯蓄をされているかと思います。真の目的ではない医療費に使ってしまうことにより、理想としていたライフプランが崩れてしまう恐れもありますので注意が必要です。

医療保険に加入するメリット

民間医療保険に加入すると、次のようなメリットがあります。

貯蓄を減らさずに高額な医療費に備えられる

民間医療保険に加入する最大のメリットは、貯蓄を減らさずに高額な医療費に備えられる点です。

公的医療保険を適用しても1〜3割の医療費を負担する必要があるため、もともとの医療費が高額な場合や医療機関を受診する機会が多い場合は、患者の医療費負担が増大してしまいます。

自己負担限度額を超えた分は「高額療養費制度」で後から払い戻しを受けられますが、実際に払い戻しを受けられるまで3ヵ月以上の期間が必要です。

一時的な支払いは大きな負担になりますが、この場合は事前にマイナ保険証・限度額適用認定証を利用することで、医療機関窓口での1か月のお支払いが最初から自己負担限度額までとすることができます。

しかし、公的医療保険が適用されない諸費用(差額ベッド代や先進医療費など)もあるため、病気やケガの治療を受けるには上記以外にも想定以上の出費が伴います。

民間医療保険に加入していれば、給付条件を満たしている場合に保険金を受け取れます。保険会社によって保険金が支給されるまでの期間は異なりますが、数日〜1週間程度で支払われるケースが一般的です。

支払われる保険金は用途が限定されていないケースが多いため、公的医療保険では保障されていない入院中の生活費に充てることもできます。

万一の事態が発生しても、少なくとも医療費への不安は軽減されるため、安心して治療に専念できる点も大きなメリットと言えるでしょう。

特約を付加すれば特定の病気やケガの保障を手厚くできる

医療保険の基本的な保障内容は、手術時と入院時における医療費の給付です。

保険会社によっては主契約に保障を上乗せできる「特約」を付加できる場合があり、特定の病気やケガに対する保障を手厚くできる点が特徴です。

医療保険に付加できる特約の代表例は、次のとおりです。

医療保険の主な特約
種類概要注意点
先進医療に関する特約公的医療保険が適用されない「先進医療」で発生した医療費に対して保険金が支給される・先進医療の対象は随時見直しが行われるため、特約付帯時は対象でも実際の受療時に対象外となる場合がある
・先進医療を受けられる医療機関は厚生労働省の認可を得た施設に限定される
がんや特定疾病に関する特約がんや三大疾病など、特定の疾病と診断されたり入院したりする場合に保険金が支払われる・特定疾病以外は一切の保障を受けられない
・同じ疾病でも保険会社や商品によって保険金の支払事由が異なる
通院に関する特約入院を必要としない通院治療、または退院後の通院で保険金を受け取れる・通院給付金額の支払限度日数は主契約よりも短めなケースが多い
・保険会社や商品によって通院保障の内容が異なる
女性疾病に関する特約女性特有の疾病(乳がんや子宮頸がんなど)に特化した医療特約
主契約に上乗せして保険金が支払われる
・主契約でも女性特有の疾病は保障対象
・保障が過剰となる場合もある

たとえば、「先進医療特約」を付加していれば、先進医療を受ける際に通常の医療保険よりも手厚い保障を受けられるようになります。

がん特約は、がんと診断された際に保険金が支給される「がん診断給付金」、がん治療で入院する際は「がん入院一時金」など、主契約に保障を上乗せできるので万一の際も安心です。

なお、特約を付加した場合は特約分の保険料も発生するため、ご自身や家族にとって本当に必要な保障に絞って加入することを念頭に置く必要があります。

払い込んだ保険料は生命保険料控除の対象で税負担を軽減できる

医療保険に加入すると、保険会社に対して定期的に保険料を払い込むことになります。

払い込んだ保険料は「生命保険料控除」の対象となるため、確定申告や年末調整で所定の手続きを行えば、税負担の軽減につながります。

医療保険(生命保険)の場合、年間の支払保険料等が一定の金額以上の場合に最大40,000円の所得控除が受けられます。

新契約に基づく場合の生命保険料控除額
年間の支払保険料等控除額
20,000円以下支払保険料等の全額
20,000円〜40,000円以下支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円〜80,000円以下支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円以上一律40,000円
参照:生命保険料控除|国税庁

納税額を計算する際のベースとなる「課税所得」から、上記で算出された「生命保険料控除額」が差し引かれるため、結果として税負担の軽減効果が期待できます。

監修者 株式会社400F オンラインアドバイザー
伴海 大介
公的保険アドバイザー / 2級FP技能士 / 証券外務員二種

医療保険に加入するメリットとしては、まずは病気やけがによる入院や手術、通院にかかる医療費をカバーできることです。特に高額な医療費が発生した場合でも、保険金によって経済的な負担を軽減できます。

これにより、病気やけがをした際の「経済的不安」と「精神的負担」のうち「経済的不安」をあらかじめ取り除くことができます。

また、医療保険は病気や事故による入院・手術に対して幅広く保障を提供し、特定の疾病に特化した保険もあり、個々人のニーズに応じた備えができます。さらに、医療保険のほとんどは終身型の保険であるため、この先一生涯の医療費負担の軽減を図ることができるのです。

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※調査概要:申込数をもとに算出。オカネコ保険比較調べ、集計期間:2024/09/16〜2024/10/15(申込数が同数の場合は、資料請求数と各社ソルベンシーマージン比率をもとに算出)
※ご検討にあたっては、「商品パンフレット」・「契約概要・注意喚起情報」・「ご契約のしおり・約款」等を必ずご確認ください。

医療保険の必要性が低い人

ここまで、医療保険に加入しないデメリットと加入するメリットについて解説してきました。

これらを踏まえた上で、医療保険の必要性が低い人の特徴は、次のとおりです。

十分な貯蓄がある人

民間医療保険は、公的医療保険では保障されない医療費負担の軽減を目的とした生命保険です。毎月少額の保険料を払い込むことで、万一の事態に備えて大きな保障を準備できます。

ただし、長期入院時の収入減少や高額な医療費を賄えるほどの十分な貯蓄がある方であれば、民間医療保険に加入する必要はありません。

貯蓄で賄えるかどうかの判断基準は個人によって異なりますが、生活費やローンの支払い、子どもの教育資金などを考慮しながら、少なくとも半年〜1年以上の無収入期間に耐えられるだけの貯蓄があると安心です。

公的医療保険制度や勤務先の福利厚生で十分だと思える人

先述のとおり、日本では国民皆保険制度が採用されており、誰もが国民健康保険や健康保険に加入している状況です。

特に、会社員や公務員が加入する被用者保険(健康保険や共済組合など)には、突然の病気やケガで働けない期間が発生しても、その期間中の収入減少に備えるための「傷病手当金」があります。

高額療養費制度や傷病手当金に加え、勤務先独自の福利厚生でさらに手当が支給されるケースもあるため、公的医療保険や勤務先の福利厚生が充実している方は、民間医療保険に加入する必要は低いと考えられます。

医療保険の必要性が高い人

一方、民間医療保険の必要性が高い人の特徴は、次のとおりです。

貯蓄や収入が少ない人

日本では公的医療保険が充実しているとは言え、医療機関の受診時は窓口で1〜3割の医療費を支払う必要があります。

また、高額療養費制度は審査が完了するまで約3ヵ月の時間が必要なため、一時的に高額な医療費を立て替えなければなりません。

この場合は事前にマイナ保険証・限度額適用認定証を利用することで、医療機関窓口での1か月のお支払いが最初から自己負担限度額までとすることができます。

しかし、公的医療保険が適用されない諸費用(差額ベッド代や先進医療費など)もあるため、病気やケガの治療を受けるには上記以外にも想定以上の出費が伴います。

民間医療保険に加入していれば、少額の保険料を払い込むことで、万一の事態が発生した際に大きな保障を受けられます。

免責期間が設けられている一部の医療保険を除き、契約時点から大きな医療保障を備えられるため、貯蓄や収入が少ない人は民間医療保険に加入しておくと安心です。

小さい子どもを育てている人

子どもの養育費や教育資金は、長い人生のなかでも特に高額な支出のひとつに数えられます。

たとえば、文部科学省の「子供の学習費調査」によると、令和3年度における学校種別学習費総額は次のとおりです。

学校種別学習費総額(令和3年度)
学校種別公立私立
幼稚園165,126円308,909円
小学校352,566円1,666,949円
中学校538,799円1,436,353円
高等学校512,971円1,054,444円
※令和3年度における「年額」です
参照:表1 学校種別学習費総額の推移|令和3年度 子供の学習費調査|文部科学省

大学に通わせることを踏まえると、子どもの養育費や教育資金はさらに高額となります。

長期入院中はご自身の医療費に加え、家族の生活費や子どもの教育資金の支払いも変わらず発生し続けます。

小さい子どもを育てている人は、万一の事態が発生した場合の収入減少や高額な医療費に備えて、民間医療保険の必要性は極めて高い状況にあると考えられます。

万一の際の治療法の選択肢を広げたい人

民間医療保険は、がん保障特約や三大疾病保障特約など、さまざまな病気やケガに対する保障を上乗せできます。

また、公的医療保険が適用されない先進医療費や自由診療費に対しても保障を上乗せできる場合があるので、万一の際の治療法の選択肢を広げたい人にも向いています。

特約を付加すると特約分の保険料が発生するため、家計とのバランスを考慮した上で本当に必要な保障に絞って加入することを心がけましょう。

自営業やフリーランスの人

自営業やフリーランスが加入する国民健康保険は、会社員や公務員が加入する健康保険の「傷病手当金」に該当する制度が存在しません

傷病手当金は被保険者が病気やケガで入院をしても、働けない期間中の収入減少を補填する目的で手当金が支給されます。

自営業やフリーランスの方は、働けない期間中の収入減少に自助努力で備えなければならず、会社員や公務員の方に比べて医療保険の必要性は高いと考えられます。

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※調査概要:申込数をもとに算出。オカネコ保険比較調べ、集計期間:2024/09/16〜2024/10/15(申込数が同数の場合は、資料請求数と各社ソルベンシーマージン比率をもとに算出)
※ご検討にあたっては、「商品パンフレット」・「契約概要・注意喚起情報」・「ご契約のしおり・約款」等を必ずご確認ください。

医療保険の選び方のポイント

医療保険はさまざまな保険会社から販売されており、どの医療保険を選べば良いかわからない方もいるのではないでしょうか。

医療保険を比較検討する際は、次の2点に着目することで、ご自身や家族に必要な医療保障を兼ね備えた医療保険を選べるようになります。

医療保険の選び方
  1. 入院給付金額を決める
  2. 付加する特約を検討する

医療保険の基本保障は、入院日数×入院給付金日額の計算式で算出される「入院給付金」と、所定の手術を受ける際の「手術給付金」の2種類です。

入院給付金額を決める際は、公的医療保険で保障されない差額ベッド代や入院中の食事代を考慮して、1日あたりの入院費用を10,000〜13,000円程度と見積もって決定するのが良いでしょう。

また、保険会社によって「三大疾病特約(がん・心筋梗塞・脳卒中)」や「がん保障特約」など、さまざまな種類の特約を付加できます。

特約を付加すると、特定の疾病と診断された場合に一時金が追加支給されるパターンや、支払限度日数が延長されるパターンなどがあります。

特約を付加して医療保険をカスタマイズすると、幅広い疾病やケガのリスクに備えられるようになるため、特約の種類や保障内容も吟味した上で、医療保険に加入することを心がけましょう。

まとめ

「医療保険はいらない」とされる理由には、主に次の4つが挙げられます。

医療保険はいらないと言われる理由
  • 保障が充実している「公的医療保険」があるため
  • 患者が負担する高額な医療費を補う「高額療養費制度」があるため
  • 公的保障との重複で余計な保険料を負担する可能性があるため
  • 保険金支払いには給付条件が設けられているため

日本では国民皆保険制度が採用されており、誰もが公的医療保険による保障を兼ね備えた状態で生活しています。

医療機関を受診する際は医療費の1〜3割負担で済み、高額療養費制度が利用できるなどの大きなメリットがあります。

ただし、公的医療保険では先進医療や自由診療、差額ベッド代や入院中の生活費までは保障されません

十分な貯蓄がある人や勤務先の福利厚生が充実している人であれば医療保険に加入する必要性は低いですが、予測が難しい病気やケガのリスクに備えるためにも、多くの人にとって民間医療保険の必要性は高いと考えられます。

特に、小さい子どもを育てている人や収入・貯蓄が少ない人、自営業やフリーランスの人は、高額な医療費負担が家計に大きな影響を与えることになりかねないため、医療保険への加入を積極的に検討しましょう。

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※調査概要:申込数をもとに算出。オカネコ保険比較調べ、集計期間:2024/09/16〜2024/10/15(申込数が同数の場合は、資料請求数と各社ソルベンシーマージン比率をもとに算出)
※ご検討にあたっては、「商品パンフレット」・「契約概要・注意喚起情報」・「ご契約のしおり・約款」等を必ずご確認ください。

株式会社400F オンラインアドバイザー 伴海大介

伴海 大介

株式会社400F オンラインアドバイザー
公的保険アドバイザー / 2級FP技能士 / 証券外務員一種

オカネコ保険比較 編集部

オカネコ保険比較 編集部

オカネコ保険比較は「オカネコ」を運営する株式会社400F(フォーハンドレッド・エフ、本社:東京都中央区、代表取締役社長:中村 仁)が運営、デジタル技術を駆使し、保険選びをシンプルで分かりやすく、そして便利にすることで、各人が自身に合った保険を見つけられるよう努め、手続きの煩雑さを減らすことを目指しています。

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