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老後に向けた生命保険の選び方、老後資金準備と生活リスクから分かりやすく解説します

記事更新日: 2024年09月11日老後に向けた生命保険の選び方、老後資金準備と生活リスクから分かりやすく解説します
監修者
株式会社400F オンラインアドバイザー 黒木信一郎株式会社400F オンラインアドバイザー
黒木 信一郎
公的保険アドバイザー / AFP(日本FP協会認定) / TLC(生保協会認定FP)

老後資金の準備をしている人は66.5%

老後生活に対する不安

人生100年時代といわれる昨今、自身や家族の老後資金に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

老後の生活資金を備えるためには、公的年金や企業保障だけに頼ることなく、自助努力で資産形成に取り組む必要があります。

ですが、生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、老後資金の準備をしていると回答した方は全体の66.5%に留まっていることがわかっています

老後資金のための準備をしている割合
項目全体男性女性
準備している66.5%64.0%68.4%
準備していない31.4%33.6%29.6%
わからない2.1%2.3%2.0%
参照:老後の準備はどのような金融商品で行っている?|生命保険文化センター

老後資金の準備をしていると回答した方の年齢・性別割合をみてみると、20歳代で老後資金の準備をしているのは3〜4割程度で、30歳代に突入しても準備をしている方は6割程度しかいません

「準備している」と回答した人の年齢・性別割合
年齢男性女性
20歳代32.8%39.5%
30歳代65.1%66.4%
40歳代69.9%66.9%
50歳代73.2%75.4%
60歳代70.9%77.0%
70歳代64.4%71.4%
参照:老後の準備はどのような金融商品で行っている?|生命保険文化センター

また、男女ともに約半数が「預貯金」で準備を進めており、次いで「各種保険」、「有価証券(株券や債権、投資信託など)」の順となっています。

老後資金準備方法

参照:老後の準備はどのような金融商品で行っている?|生命保険文化センター

約半数の方が預貯金で老後資金の準備を進めていますが、昨今の日本では低金利が続いています。

たとえば、とある銀行の1年もの定期預金金利0.020%(税引前)に100万円を預け入れたとしても、わずか200円しか利息は付きません。さらに、利息200円に課税されるため、実際に受け取れる金額はもっと少なくなります。

預貯金はもっとも手軽に資産を減らさない貯蓄方法といえますが、老後を見据えた資産形成としては、大きく資産を増やすことは難しい方法ともいえます。

監修者
株式会社400F オンラインアドバイザー 黒木信一郎株式会社400F オンラインアドバイザー
黒木 信一郎
公的保険アドバイザー / AFP(日本FP協会認定) / TLC(生保協会認定FP)

日本社会において、老後資金の準備をしている人の割合は高いです。日本の社会保障制度は高齢化社会の影響を受け、将来の年金支給に不安を感じる人が多いため、自己責任での老後資金準備が重要視されています。

老後資金の準備が必要な理由はいくつかあります。

  • 年金制度の不安定性
    • 日本の年金制度は、高齢化や出生率の低下により、将来の持続可能性に疑問符がついています。これにより、将来の年金支給額が不確実なため、自己資金で老後を支える必要性が高まります。
  • 健康と医療費の増加
    • 高齢化に伴い、健康問題や医療費の増加が予想されます。長寿化が進む一方で、高齢者の医療費は増加の一途を辿ります。これに備えるためにも、十分な貯蓄や資産を持つことが重要です。
  • 生活費の増加
    • 高齢になると、生活費も増加します。趣味や余暇活動、旅行などの余裕を持った生活を送るためにも、経済的な余裕が必要です。
  • 介護費用の問題
    • 高齢化に伴い、介護が必要になるリスクも増加します。介護サービスや施設の費用は高額であり、これを賄うための貯蓄や保険が必要です。

以上の理由から、日本では老後資金の準備が不可欠とされています。個々人が将来に備えて貯蓄や投資を行うことで、安心して老後を迎えることができるでしょう。

公的年金だけでは老後の生活費は不足する

日本では誰もが国民年金または厚生年金に加入しているため、原則65歳になると公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)を受給できるようになります。

老後の主な収入源となる公的年金ですが、老後にゆとりある生活を送るためには、公的年金だけでは不十分になる可能性があります。

ここで、総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」の公開情報を参照し、65歳以降の1ヶ月あたりの生活費をみてみましょう。

65歳以降の1ヶ月あたりの生活費(令和4年度)
項目夫婦のみ世帯単身世帯
食料67,746円37,485円
住居15,578円12,746円
光熱・水道22,611円14,704円
家具・家事用品10,371円5,956円
被服および履物5,003円3,150円
保健医療15,681円8,128円
交通・通信28,878円14,625円
教育3円0円
教養娯楽21,365円14,473円
その他の消費支出49,430円31,872円
合計(消費支出)236,696円143,139円
非消費支出(税金や保険料など)31,812円12,356円
総合計268,508円155,495円
参照:2022年(令和4年)家計の概要19ページ|家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)|総務省統計局

令和4年度における65歳以降の1ヶ月あたりの生活費は、夫婦二人暮らしで約27万円、一人暮らしで約16万円となっています。

一方、厚生労働省年金局の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参照して、主な収入源となり得る公的年金の受給金額を確認してみましょう。

1ヶ月あたりの公的年金受給額の平均
年度国民年金(老齢基礎年金)厚生年金(老齢厚生年金)
平成29年55,518円144,903円
平成30年55,708円143,761円
令和元年55,946円144,268円
令和2年56,252円144,366円
令和3年56,358円143,965円
※厚生年金には国民年金(老齢基礎年金)も含まれます
参照:令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況10・21ページ|厚生労働省年金局

令和3年度における公的年金の平均受給金額は、会社員や公務員の方が加入する厚生年金(国民年金を含む)では約15万円、自営業やフリーランスなどが加入する国民年金では約6万円でした。

上述の「65歳以降の生活費」と「公的年金平均額」を踏まえると、65歳以降に不足すると考えられる生活費は以下の通りです。

65歳以降に不足すると考えられる生活費(一例)
期間夫婦のみ世帯単身世帯
生活費268,508円155,495円
公的年金(厚生年金)147,051円147,051円
1ヶ月の差額– 121,457円– 8,444円
1年間の差額– 1,457,484円– 101,328円
20年間(85歳)– 29,149,680円– 2,026,560円

独身の方は月約8,000円、夫婦で暮らしている方は月約12万円が不足する計算です

厚生労働省の「令和4年 簡易生命表の概況」を参照すると、日本人の平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳となっており、老後を迎えてから平均寿命を全うするまで平均20年ほどの期間があります。

つまり、公的年金が受け取れることを考慮しても、老後資金として数百万円〜数千万円の不足分が発生することになり、その分については貯蓄を取り崩して生活しなければならない可能性が高いということです。

監修者
株式会社400F オンラインアドバイザー 黒木信一郎株式会社400F オンラインアドバイザー
黒木 信一郎
公的保険アドバイザー / AFP(日本FP協会認定) / TLC(生保協会認定FP)

日本では、公的年金だけでは老後の生活費が不足する可能性があります。これは、高齢化の進展や長寿化に伴い、公的年金制度の持続可能性に関する懸念が高まっているためです。

公的年金は基本的な生活費を補うものであり、十分な老後の生活を維持するためには他の収入源が必要です。例えば、自助努力として積極的に貯蓄を行ったり、個人年金や投資信託などに積極的に投資を行うことが重要です。

長期的な視点で資産形成を行うことが、老後の安定した生活を確保するために必要になります。

また、企業の提供する年金制度や、個人が自ら積み立てる確定拠出年金といった追加の年金制度に加入することで、公的年金だけでは足りない老後の生活費を補うことも可能です。

老後に向けて、生活費を抑えるためにライフスタイルを見直すことも有効です。支出を管理し、必要最低限の生活費で暮らせるように計画することが大切です。

これらの複数の対策を組み合わせることで、公的年金だけでは不足する可能性がある老後資金を補うことができます。個人の状況やライフスタイルに応じて、最適な対策を選択することが重要です。

老後資金の準備は、保険と投資をバランスよく活用する

国の公開する統計データをご覧いただいた通り、ゆとりある老後生活を送るためには、公的年金以外の自助努力で資産形成に取り組む必要があります。

老後資金を準備するには、「保険」と「投資」をバランスよく活用することがおすすめです

老後資金におすすめの資産形成
メリットデメリット主な資産形成手段
保険・もしものときの保障を備えられる
・大きな損をする可能性が低い
・運用先が決まっている場合が多い
・大きく資産を増やすことは難しい
・毎月の保険料負担が発生する
・早期(短期)解約で元本割れの可能性がある
・終身保険(低解約返戻金型)
・個人年金保険
・外貨建て保険 など
投資・資産を大きく増やせる可能性がある
・複利効果で効率よく資産を増やしやすい
・不労所得を得やすい
・元本割れの可能性がある
・資産運用にかける時間の捻出が必要
・経済情勢や為替相場の情報を常に仕入れ、取捨選択するための知識が必要
・初期費用の負担が大きめ
・株式投資、投資信託
・不動産投資信託(REIT)
・NISA ※2024年から新NISAに改正
・iDeCo(個人型確定拠出年金) など

資産形成の方法としては「投資」を連想する方が一般的ですが、資産を大きく増やせる可能性がある一方で、元本割れのリスクや資産運用にかける時間の捻出が必要など、時間と手間のコストがかかります。

一方、保険商品の中には「解約返戻金」として、それまでに払い込んだ保険料が返ってくる貯蓄型保険も存在するため、もしものときの保障を備えながら将来を見据えた資産形成にも取り組めます。

ただし、保険商品だけで大きく資産を増やすことは難しい場合がほとんどなので、毎月の家計収支を把握して無理のない範囲で、保険と投資をバランスよく活用して資産形成に取り組むことを心がけましょう

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黒木 信一郎
公的保険アドバイザー / AFP(日本FP協会認定) / TLC(生保協会認定FP)

貯蓄性のある保険とさまざまな投資をバランスよく活用することで、老後資金を確保し、リスクを最小限に抑えつつ資産を増やすことができます。

個々の状況や目標に合わせて、適切な手段を選択することが重要です。また、定期的な見直しやアセットアロケーションの調整を行いながら、老後資金の準備を進めることが望ましいでしょう。

老後に想定されるリスク

老後を見据えて生命保険に加入するには、老後に想定されるリスクについても知っておく必要があります。

個人によって想定されるリスクは様々ですが、一般的には次の3つのリスクが起こることが想定されます。

入院日数の長期化

年齢を重ねることで健康上のリスクが増大し、入院日数が長期化するリスクが高まります。

令和3年度 医療給付実態調査」を参照すると、年齢を重ねるにつれて平均入院日数が増えていることがわかります。

平均入院日数と自己負担額の平均
年代平均入院日数入院費用自己負担額1日当たりの入院費
20〜24歳9.7日434,260.1円130,278.0円13,426.4円
25〜29歳8.6日346,988.1円104,096.4円12,049.9円
30〜34歳8.7日350,957.6円105,287.3円12,117.0円
35〜39歳10.0日423,704.2円127,111.3円12,686.0円
40〜44歳11.9日529,957.7円158,987.3円13,400.4円
45〜49歳13.1日591,936.6円177,581.0円13,558.1円
50〜54歳13.7日610,886.8円183,266.1円13,359.0円
55〜59歳14.2日626,122.4円187,836.7円13,259.7円
60〜64歳14.3日639,193.7円191,758.1円13,430.8円
65〜69歳14.5日644,762.7円193,428.8円13,348.4円
70〜74歳14.6日649,105.9円194,731.8円13,360.0円
75〜79歳15.1日641,413.0円192,423.9円12,784.6円
80〜84歳16.6日623,602.9円187,080.9円11,240.8円
85〜89歳18.2日593,260.3円177,978.1円9,791.4円
90〜94歳19.2日557,713.3円167,314.0円8,717.3円
95〜99歳19.9日529,131.7円158,739.5円7,995.6円
100歳〜20.6日500,518.0円150,155.4円7,273.4円
※平均入院日数:第1表入院の「制度・計」の項目にある「日数÷件数」で算出しています
※入院費用:第1表入院の「制度・計」の項目にある「点数÷件数」で算出しています(1点=10円)
※自己負担額:「入院費用×0.3(自己負担3割)」で計算しています
※1日当たりの入院費:「自己負担額÷平均入院日数」で計算しています
参照:表番号5 統計表 第1表 年齢階級別、診療種類別、制度別、件数、日数(回数)、点数(金額)|医療給付実態調査(令和3年度)|e-Stat政府統計の総合窓口

入院日数が長引けば、それに伴って入院費用もかさむため、医療保険に加入して高額な医療費に備えておく必要性は高いといえるでしょう

また、昨今では第1子を出産する際の母親の平均年齢が上昇傾向にあり、場合によっては定年退職を迎える年齢に達しても、子供の生活費や教育費用がかかるケースもあります。

厚生労働省の「令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によれば、昭和50年(1975年)時点の第1子出産平均年齢が25.7歳であるのに対し、令和3年(2021年)においては平均30.9歳にまで上昇しています。

子供が独立するまでの期間が長い場合は、その間の死亡保障を備えておくための費用もかさんでいきます。

若い頃に終身保険に加入している場合は保険料が変わることはありませんが、定期保険で契約を更新する場合、年齢が高いことで保険料が値上がりしてしまう可能性もあるので注意が必要です。

介護費用の負担

老後には自身や家族の介護が必要となるケースも考えられます。

日本では40歳以降になると「公的介護保険」への加入が義務付けられるため、条件を満たしていれば誰もが公的介護保険を利用できます。

公的介護保険は、基本的に65歳以上で市区町村から要介護認定を受けた方が対象として、1〜3割の自己負担分で様々な介護サービスを受けられます。

介護サービスの一例
  • 訪問サービス:訪問介護、訪問入浴、訪問看護、訪問リハビリ、夜間対応型訪問介護など
  • 施設サービス(通所):通所介護(デイサービス)、通所リハビリ、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護など
  • 施設サービス(入所):介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設(老健)など
  • 福祉用具:福祉用具貸与、福祉用具販売 など
  • その他:居宅介護支援、短期入所生活介護(ショートステイ)など

参照:公表されている介護サービスについて|介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム|厚生労働省

なお、40〜64歳の方においては、下記16種類の老化が原因とされる特定疾病が原因で、介護認定を受けた場合しか介護サービスを受けられません。

特定疾病の範囲
  • 末期がん
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靱帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • 初老期における認知症
  • 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患)
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

参照:特定疾病の選定基準の考え方|厚生労働省

ただし、公的介護保険ではあくまで1〜3割程度の自己負担分が発生するため、介護期間が長引くほど介護費用も高額になっていきます

たとえば、生命保険文化センターの「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護期間は平均61.1ヶ月(5年1ヶ月)です。また、介護に要した一時的な費用の平均は約74万円、月々の支払い費用は平均8.3万円(年間約99.6万円)となっています。

もしもの場合に備えて民間の介護保険に加入しておくと、公的介護保険が適用されない場合やカバーされない費用についても保障を備えられるようになります。

貯蓄状況や老後の公的年金だけで介護費用を賄うことに不安がある場合は、民間の介護保険の加入も視野に入れておくのが良いでしょう。

葬儀費用や身辺整理代の発生

老後には自身や家族の葬儀費用、身辺整理代も発生します。たとえば、葬儀式の費用に加えて、通夜振る舞いや精進落とし、僧侶やお寺へのお布施など、様々な費用がかかります。

株式会社鎌倉新書の「第5回 お葬式に関する全国調査」を参照すると、一般的な葬儀費用の平均はおよそ110.7万円ですが、身辺整理代やお墓の購入費用などを踏まえると、合計で200万円以上の費用がかかる可能性も考えられます。

貯蓄などで賄えるのであれば問題はありませんが、経済的に不安がある場合には保険料が割安な「葬儀保険」に加入して、もしものときに備えておくのが良いでしょう。

ただし、葬儀保険は掛け捨て型の商品なので、解約しても払い込んだ保険料が戻ってくることはありません

貯蓄機能も欲しい場合には、毎月の保険料負担は大きくなるものの、解約返戻金として保険料が返ってくることが多い「終身保険」で葬儀費用に備えておくのがおすすめです。

監修者
株式会社400F オンラインアドバイザー 黒木信一郎株式会社400F オンラインアドバイザー
黒木 信一郎
公的保険アドバイザー / AFP(日本FP協会認定) / TLC(生保協会認定FP)

高齢になると、糖尿病、高血圧、がん、心疾患、脳血管疾患などの慢性疾患のリスクが高くなります。これらの生活習慣病は、治療期間が長期化しやすく、入院生活も長引くため、医療費が高額になることがあります。

そのため、日頃からバランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理など、健康的な生活習慣を維持することが重要です。

また、老齢による認知機能の低下や、アルツハイマー病などの認知症リスクも高くなり、介護費用の負担が生じます。条件を満たすことで公的介護保険が適用されますが、介護期間が長引くと自己負担分の介護費用も高額になります。

これらの対応策として、介護保険に加入することや、老後資金や介護資金の積み立てを計画的に行い、必要なときに利用するための準備をすることが大切です。

日頃からの健康的な生活習慣の維持と併せて、定期的に医師による認知症のスクリーニングや健康チェックを受けることで、早期に症状を発見し、適切な対処を行うことができます。

老後生活に向けた生命保険見直しのポイント

老後生活を見据えて生命保険を見直す場合は、次の2つのポイントを意識しておきましょう。

医療保険、死亡保険は終身型で検討する

定期医療保険の仕組み
終身医療保険の仕組み

医療保険や死亡保険には、定期型と終身型の2種類が存在します。

定期型と終身型の違い
メリットデメリット特徴
定期型・同じ保障内容の終身型に比べて保険料が割安
・保険料負担を安く抑えながら大きな保障を備えられる
・定期的な保険の見直しがしやすい
・契約更新のタイミングで保険料が値上がりする場合が多い
・総支払い金額が終身型よりも高額になる可能性がある
・保険料は掛け捨てで解約返戻金などは設けられていない
5年や10年などの一定期間のみ保障が受けられる
終身型・一度加入すれば一生涯にわたって同じ保障を継続できる
・契約時の保険料が一生涯続く
・解約時には解約返戻金として払い込んだ保険料が返ってくる(貯蓄性がある)
・同じ保障内容の定期型に比べて保険料が割高
・短期解約で元本割れの可能性がある
・保障内容の見直しがしづらい
一生涯にわたって保障が受けられる

定期型は保険料が掛け捨て型のケースが多く、毎月の保険料負担が安く抑えられている代わりに、払い込んだ保険料が将来的に返ってくることはありません

一方の終身型は、同じ保障内容の定期型に比べて保険料が割高な反面、解約時には払い込んだ保険料の総額に所定の率を乗じた「解約返戻金」が支払われます

老後資金の貯蓄を目的とする場合は、医療保障や死亡保障を終身型に変更することで、保険会社に預金するようなイメージで毎月の保険料を自身の資産として積み立てていくことが可能です。

ただし、定期型から終身型に変更すると保険料負担が大きくなる可能性が高いので、家計収支のバランスを考慮した上で検討しましょう。

必要に応じて、がん保険や介護保険を検討する

医療保障とがん保険の保障範囲
民間介護保険の仕組み

老後生活では病気やケガ、介護などの健康上のリスクが大幅に増大します。

それに伴い医療費や介護費用もかさんでいくため、必要に応じて「がん保険」や「介護保険」に加入して、高額な費用に備えておくことも視野に入れておきましょう

たとえば、日本人の死因として最も多い「悪性新生物(がん)」の治療においては、先進医療や自由診療の選択肢も増えますが、これらは公的医療保険制度の対象外なため、全額を自己負担で賄わなければなりません。

がんは通常の医療保険でも保障されますが、がん保険に加入していればより手厚い保障を受けられます。

一方の介護保険に関しても、日本では公的介護保険制度が充実しているものの、原則として65歳以上の要介護者を対象とした制度で、その対象者においても1〜3割の自己負担分の支払いが発生します。

40〜64歳の方においては、特定疾病が原因で要介護認定を受けた場合しか公的介護保険サービスを利用できないため、それらに該当しない場合の介護費用は全額自己負担で賄うことになります。

治療期間や介護期間の長期化によって費用が高額化するリスクがあるため、もしもの場合に備えてがん保険や介護保険に加入しておけば、少ない負担で大きな保障を備えておくことが可能です。

これらは通常の医療保険の特約として付帯できる場合もあるので、保険の見直しをする際には保険会社に確認しておくようにしましょう。

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黒木 信一郎
公的保険アドバイザー / AFP(日本FP協会認定) / TLC(生保協会認定FP)

老後生活を迎えた際には、それまでの生活スタイルの変化に合わせて生命保険の見直しを考えることが大切です。

退職後の生活スタイルや収入源が変化することを考慮し、必要な保険や保障内容を見直します。例えば、子どもが独立して家族構成が変わった場合には、教育費用や生活費用に対する保険の必要性が変わってきます。

また、老後に向けて健康状態や家族の健康状況を確認し、適切な医療保険や介護保険の加入や見直しを行います。老後の健康管理のために予防医療や健康診断にも積極的に参加することをおすすめします。

併せて、保険料の支払いが負担となる場合や、老後に不要な保険がある場合にも見直しを行います。無駄な費用を節約し、老後の生活資金に充てることが重要です。

これらのポイントを考慮して、老後生活に適した保険プランを策定し、安心して老後生活を送るための準備を行いましょう。

老後の生命保険に関するよくある質問Q&A

老後の生命保険に関するよくある質問に回答します。

Q1. 老後資金を貯蓄するのにおすすめの方法は?

老後資金を貯蓄するのにおすすめの方法は、次のとおりです。

老後資金の貯蓄におすすめの方法
  • 終身保険(低解約返戻金型)
  • 個人年金保険
  • 外貨建て保険
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)
  • 企業型DC(企業型確定拠出年金)
  • NISA

老後を見据えた資産形成に取り組む際は、保険と投資をバランスよく活用するのがおすすめです

中でも「終身保険」は万一の場合の死亡保障を備えながら、保険会社に保険料を積み立てていく形で資産形成に取り組むことができます。

また、老後資金の貯蓄方法として注目を集めている「iDeCo」や「NISA」は、毎月の掛金額に上限がありますが、非課税制度を利用して資産を積み立てていくことができるので、投資初心者の方にも向いています。

Q2. 65歳以降の老後も生命保険は必要?

65歳以降の老後に生命保険が必要かどうかは、個人の考え方によって異なります。

すでに充分な貯蓄がある方で高額な医療費や介護費用も賄える場合は、必ずしも生命保険に加入する必要はありません

一方、扶養する家族がいる場合や住宅ローンなどの高額な支払いが残っている場合、もしものことが起きてしまうと残された家族の経済的な負担が大きくなってしまいます。

生命保険は契約者全員で本当に保障が必要な人を支える「相互扶助」の精神で成り立っており、少ない掛金(保険料)で大きな保障を用意できます。

老後の収入や貯蓄状況に不安がある場合は、生命保険に加入しておいたほうが医療費や介護費用についての不安は軽減されるでしょう。

Q3. 生命保険は何歳まで加入できる?

生命保険に加入できる年齢は保険会社によって異なります。

昨今では85歳まで加入可能な生命保険も登場していますが、健康状態の告知義務があるため、必ずしも生命保険に加入できるとは限りません

場合によっては、引受基準緩和型保険や無選択型保険を検討することも視野に入れておきましょう。

Q4. 老後に必要な死亡保障額はいくらが適切?

老後に必要な死亡保障額は、基本的に「遺族の支出(生活費など)- 遺族の収入」で計算するのがおすすめです。

公的年金だけでは老後の生活費は不足する」で解説したように、65歳以降の老後においては、公的年金だけで暮らしていくのが難しい状況にあるといえます。

現在の貯蓄状況や家計収支を把握した上で、無理のない範囲で死亡保障を備えておくのが良いでしょう。

まとめ

生命保険文化センターの調査によると、老後資金の準備をしていると回答した方は約66.5%に留まりました。

また、約半数は「預貯金」で老後資金の準備をしていると回答していますが、昨今の低金利が続く日本において、大きく資産を増やすことは難しい状況にあるといえます。

一方、総務省統計局や厚生労働省年金局の公開するデータを参照すると、老後にゆとりある生活を送るためには公的年金だけに頼らず、自助努力で資産形成へ取り組む必要性が高いことがわかっています。

すでに生命保険に加入している方も多いと思われますが、老後資金の貯蓄を目的に見直しする場合は、貯蓄性のある終身型への変更を検討しつつ、必要に応じてがん保険や介護保険に加入して大きな支出に備えるようにしましょう。

株式会社400F オンラインアドバイザー 黒木信一郎

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オカネコ保険比較 編集部

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