持病がある方で「保険に入れないのでは?」と不安に感じている方は多いのではないでしょうか。
また、過去に加入を断られた経験がある方や契約更新に不安がある方、家族のために持病があっても入れる保険を探している方もいることでしょう。
結論をお伝えすると、持病がある方が加入できる死亡保険や医療保険は存在しますが、実際の加入可否は持病の種類や保険会社の審査条件で大きく異なります。
そこで、保険に入れない病気の種類や持病がある方でも加入しやすい保険について解説します。
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調査概要:申込数をもとに算出。オカネコ保険比較調べ、集計期間:2025/1/16〜2025/2/15(申込数が同数の場合は、資料請求数と各社ソルベンシーマージン比率をもとに算出) ※ご検討にあたっては、「商品パンフレット」・「契約概要・注意喚起情報」・「ご契約のしおり・約款」等を必ずご確認ください。
持病とは?
「持病」とは、一般的に「常にまたは稀に発症するなかなか治癒しない病気」をさす言葉として使われています。
ただし、法律上は持病の定義が存在しないため、保険会社や保険商品によっては「既往症」や「慢性疾患」、「基礎疾患」などの言葉で表現される場合があります。
各表現の意味
- 既往症:これまでに罹患した病気の中で、すでに完治した病気のこと。「既往歴」と呼ばれる場合もある
- 慢性疾患:複数の原因で引き起こされ、症状がゆるやかに現れる病気の総称
- 基礎疾患:下記の厚生労働省の定義参照
厚生労働省では、以下の病気を基礎疾患と定義しています。
基礎疾患を有する者
- 以下の病気や状態の方で、通院/入院している方
- 慢性の呼吸器の病気
- 慢性の心臓病(高血圧を含む。)
- 慢性の腎臓病
- 慢性の肝臓病(肝硬変等)
- インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病又は他の病気を併発している糖尿病
- 血液の病気(ただし、鉄欠乏性貧血を除く。)
- 免疫の機能が低下する病気(治療や緩和ケアを受けている悪性腫瘍を含む。)
- ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている
- 免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患
- 神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸障害等)
- 染色体異常
- 重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態)
- 睡眠時無呼吸症候群
- 重い精神疾患(精神疾患の治療のため入院している、精神障害者保健福祉手帳を所持している(※)、又は自立支援医療(精神通院医療)で「重度かつ継続」に該当する場合)や知的障害(療育手帳を所持している(※)場合)
- (※)重い精神障害を有する者として精神障害者保健福祉手帳を所持している方、及び知的障害を有する者として療育手帳を所持している方については、通院又は入院をしていない場合も、基礎疾患を有する者に該当する。
2. 基準(BMI 30以上)を満たす肥満の方
持病があると保険に加入しづらくなる理由
持病があると生命保険に加入しづらいとされる理由は、健康な方に比べて持病がある方のほうが保険金や給付金を受け取る可能性が高いためです。
生命保険の基本的な原則として「収支相等の原則」と「給付反対給付均等の原則」の2つがあります。
生命保険の基本的な原則 | ||
---|---|---|
原則 | 内容 | |
収支相等の原則 | 保険料による「収入」と保険金支払いによる「支出」を等しくすべきという原則 | |
給付反対給付均等の原則 | 契約者間の公平性を保つため、保険契約者が支払う保険料(反対給付)は、リスクに応じて保険会社が支払う保険金(給付)にみあうようにすべきという原則 |
生命保険は、契約者のうちの誰かが死亡した際や病気にかかった際、保険会社が大勢の契約者から徴収した保険料を財源として保険金や給付金を支払う「助け合い(相互扶助)」の仕組みで成立しています。
ただし、年齢や性別、健康状態や職業などのさまざまな要素で、個人の死亡率は大きく異なります。また、一般的には年齢を重ねていくと健康リスクが増大します。
仮に契約者全員が同じ金額の保険料を負担することになると、年齢が若く健康的な人は保険金を受け取る機会が少なく、損をすることになりかねません。
そのため、保険会社は「予定死亡率」や「予定利率」、「予定事業費率」の3要素で被保険者ごとに保険料を計算し、契約者間の公平さを確保しています。
持病がある方は、他の人に比べて保険金を受け取る機会が増える可能性が高いため、リスクに応じて高額な保険料を設定されるケースや、保険加入を断られてしまうケースが発生するのです。
なお、「引受基準緩和型保険」や「無選択型保険」なら持病がある方でも保険に入れる場合があります。詳細は後述するので、保険に入れるか不安な方や加入を断られた経験がある方は、ぜひ参考にしてください。
保険に入れない病気一覧
生命保険は、保険会社や保険商品によって加入条件が異なります。
この項目では死亡保険と医療保険の2項目に分けて、保険に入れない病気の一例をご紹介します。
死亡保険の場合


死亡保障のある生命保険(死亡保険)は、保険期間中に死亡または高度障害状態となった場合に備えられる保険です。
保険会社や商品によって加入条件は異なりますが、基本的に持病(厚生労働省が定義する「基礎疾患を有する者」を含む)や既往歴がある方、健康状態に問題がある方は死亡保険に加入しづらいといえます。
持病がある方も加入しやすい商品に「引受基準緩和型保険」がありますが、通常の保険商品より条件が緩和されているものの、特定の病気に該当しない場合に保険加入が認められています。
引受基準緩和型保険に加入できない病気の例
- がん(悪性新生物)
- 上皮内新生物
- 肝硬変
- 統合失調症
- 認知症
- アルコール依存症 など
上記に加え、うつ病などの精神疾患を抱えている場合も死亡保険の加入を断られてしまう場合があります。詳細は保険商品の加入条件や保険会社までお問い合わせください。
医療保険の場合


医療保険は、病気やケガの治療で入院・手術を受ける際に保険金が支払われる保険商品です。
基本的には死亡保険と同様で、持病や既往歴がある方、健康状態に問題がある方は死亡保険に加入しづらいと考えられます。
たとえば、引受基準緩和型医療保険は、以下にまとめた病気に該当しない場合に加入できます。
医療保険に加入できない病気の一例 | ||
---|---|---|
「がん」に含まれるもの | がん/肉腫/リンパ腫/白血病/多発性骨髄腫/骨髄異形成症候群/真性赤血球増加症(多血症)/本態性(出血性)血小板血症/カルチノイド など | |
「肝疾患」に含まれるもの | 肝炎(肝炎ウイルス感染を含む)/肝硬変/肝機能障害/肝しゅよう/肝のう胞 など | |
「精神疾患」に含まれるもの | うつ病/そううつ病/双極性障害/神経症/統合失調症/自律神経失調症 など | |
「腎疾患」に含まれるもの | 腎炎/腎症/腎不全/腎機能障害/腎しゅよう/腎のう胞/のう胞腎/腎結石/腎盂結石 など |
なお、引受基準緩和型保険の加入条件には「直近◯か月以内」と記載されているケースが多いため、仮に上記に該当する病気に罹患したことがある方でも、直近数か月以内に発症していなければ保険に加入できる場合があります。
先述のとおり、保険会社や商品によって加入条件は異なります。詳細については保険会社や保険商品の告知項目でご確認ください。
持病があっても加入しやすい保険
この項目では、持病がある方でも加入しやすい保険の種類を2つご紹介します。
引受基準緩和型保険
引受基準緩和型保険は、一般的な生命保険よりも保険会社が加入者を引き受ける条件が緩和されているタイプの保険商品です。
生命保険に加入する際は健康状態の告知義務が課せられますが、引受基準緩和型保険は告知項目の数が3つ程度に絞られており、通常よりも保険に加入しやすくなっています。
主な告知項目は以下のとおりですが、保険会社によって一部の告知内容は異なる場合があります。
健康状態に関する告知項目の例
- 最近3か月以内に、医師から入院・手術をすすめられたことがある。
- 過去2年以内に、入院・手術をしたことがある。
- 過去5年以内に、がん・上皮内がん、肝硬変、統合失調症、認知症、アルコール依存症で、医師の診察・検査・治療・投薬のいずれかを受けたことがある。
持病がある方でも加入しやすい点が最大の特徴で、契約前から抱えている持病の悪化や治療歴のある病気の再発や悪化も保険金の支払い対象に含まれます。
ただし、引受基準緩和型保険は通常の生命保険よりも毎月の保険料が割高に設定されており、契約前に医師の診断で入院や手術を勧められた病気については保険金の支払い対象外です。
また、契約後1年間は給付金額が半額になるなど、保障内容に一定の制約があるタイプの保険商品も存在します。
無選択型保険
無選択型保険は、保険加入時の告知義務や医師の診査を一切必要としないタイプの保険商品です。
健康状態の告知などが一切ないため、基本的には持病がある方でも加入しやすい保険商品といえます。
万一の事態には死亡保険金が支払われますが、基本的には契約後2年間はすでに払い込んだ分の保険料相当額が支払われるなど、一定の制約が設けられている点が特徴です。
また、誰でも加入できる無選択型保険は、通常の生命保険や引受基準緩和型保険に比べて、毎月の保険料は割高で保険金の上限は低めに設定されています。
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持病のある方の保険加入時の注意点
持病のある方が保険に加入する際は、以下の注意点に気をつけましょう。
それぞれの注意点を解説するので、持病を抱えている方や過去に加入を断られた経験がある方は、ぜひ参考にしてください。
告知はありのままに、正確に
生命保険に加入する際は、保険会社の告知書や医師の診断などを受けて、現在の健康状態や既往症の有無などを正確に保険会社へ報告する「告知義務」が課せられます。
告知義務に背いて正確な情報を伝えなかった場合は「告知義務違反」に該当し、告知義務違反が発覚すると、保険会社は該当保険契約の一方的な解除が可能となります。
保険金が受け取れなくなる可能性がある点に加え、それまでに払い込んだ保険料が返還されることもありません。
告知書に記載された質問事項に対しては、嘘偽りなく、ありのままを告知することを心がけてください。
複数の保険会社の商品を比較検討する
先述のとおり、持病がある方でも加入しやすい保険として「引受基準緩和型保険」や「無選択型保険」があります。
これらの生命保険は、通常よりも加入しやすい点が特徴ですが、その代わりに保険料が割高で保険金に上限が設定されているケースが一般的です。
保険会社や保険商品によって加入条件は異なるため、仮に持病がある方でも通常の生命保険に加入できる可能性があります。
生命保険に加入する際は、必ず複数の保険会社の商品を比較した上で検討することを心がけましょう。
特約を付帯すると告知項目が増えることがある

生命保険の中には、主契約のオプションとして保障を上乗せできる「特約」を付帯できます。
ただし、特約の付帯時は告知項目が増えるケースも多く、引受基準緩和型保険でも場合によっては加入を断られてしまう可能性があります。
持病を抱えている方が生命保険の特約を検討する際は、特約の告知項目も必ず確認するようにしましょう。
支払削減期間の有無や内容を確認する
持病を抱えている方が加入しやすい「引受基準緩和型保険」と「無選択型保険」には、一定期間の支払い削減期間が存在します。
一般的に、引受基準緩和型保険は「契約後1年間は給付金額が半額」になり、無選択型保険は「契約後2年間はすでに払い込んだ保険料相当額の給付金」しか受け取れません。
支払い削減期間のある保険商品のほうが保険料を安く抑えられる可能性はありますが、有事の際に十分な保障を受けられない可能性も考えられます。
もしものときに必要な保障を受けられるかどうかという観点で、慎重に保険商品を選ぶことを心がけてください。
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調査概要:申込数をもとに算出。オカネコ保険比較調べ、集計期間:2025/1/16〜2025/2/15(申込数が同数の場合は、資料請求数と各社ソルベンシーマージン比率をもとに算出) ※ご検討にあたっては、「商品パンフレット」・「契約概要・注意喚起情報」・「ご契約のしおり・約款」等を必ずご確認ください。
まとめ
持病があると生命保険に加入しづらいと言われるのには、生命保険の基本的な仕組み(相互扶助、加入者間の公平性の担保)が理由として挙げられます。
ただし、近年では「引受基準緩和型保険」や「無選択型保険」など、たとえ持病を抱えている方でも加入しやすい生命保険が登場しています。
持病を抱えていて生命保険への加入を諦めてしまった方や過去に加入を断られた経験がある方も多いかもしれませんが、生命保険の加入条件は保険会社や保険商品によって異なります。
告知項目に該当しなければ、持病がある方でも通常の生命保険に加入できる可能性があるので、諦めずに複数の保険会社の商品を比較検討してみましょう。