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65歳以上の高齢者に生命保険は必要? 公的保障から考える民間保険の必要性

記事更新日: 2024年12月16日65歳以上の高齢者に生命保険は必要? 公的保障から考える民間保険の必要性

子どもの自立後に生命保険の見直しをする世帯は多いですが、年齢を重ねると健康リスクが高まるため、必要最低限の保障は残しておかなければなりません。

保険料の節約を意識するあまり、本当に必要な保障まで削ってしまうのは本末転倒なので注意が必要です。

この記事では、誰もが受けられる高齢者向けの公的保障の内容を踏まえつつ、高齢者にとっての民間保険の必要性やおすすめの保険の種類を解説します。

なお、「高齢者とする年齢の定義」は意見が分かれるところですが、この記事では世界保健機関(WHO)の定義に則って、65歳以上の方を高齢者と定義して解説していきます。

高齢者の多くは病気・ケガのリスクを認識

厚生労働省の「患者調査の概況」によると、令和2年度における年代別の医療機関の受療率(人口10万対)は次のとおりです。

一般的に、年齢を重ねることで医療機関の受療率は右肩上がりで増加していくことがわかります。

年齢階層別の受療率

参照:令和2年 患者調査の概況|厚生労働省

生命保険文化センターの調査結果によると、年代別の医療保険の加入率は次のとおりで、年齢が上がるにつれて医療保険の加入率も増加しています。

医療保険全体の加入率

※疾病入院給付金付きの生命保険加入率を参照しています
参照:2022(令和4)年度 生活保障に関する調査|生命保険文化センター

生命保険文化センターの「2023年度ライフマネジメントに関する高年齢層の意識調査」によると、65歳以上69歳以下の64.5%が自分の病気やケガに対して経済的不安を抱えていると回答しています。

日本では公的医療保険が充実しているため、医療機関を受診する際の医療費は1〜3割の自己負担に抑えられますが、医療機関を受診する機会が増えれば自己負担分も積み重なり、家計を圧迫する大きな要因となります。

65歳以上の高齢者を対象とした高齢者医療制度も整備されていますが、それでも経済的不安を抱えている方が多いのが現状です。

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※調査概要:申込数をもとに算出。オカネコ保険比較調べ、集計期間:2024/10/16〜2024/11/15(申込数が同数の場合は、資料請求数と各社ソルベンシーマージン比率をもとに算出)
※ご検討にあたっては、「商品パンフレット」・「契約概要・注意喚起情報」・「ご契約のしおり・約款」等を必ずご確認ください。

高齢者医療制度とは?

日本では、65歳以上を対象とした2種類の高齢者医療制度が整備されています。

高齢者医療制度の種類
  • 後期高齢者医療制度:75歳以上の方が対象
  • 前期高齢者医療制度:65歳〜74歳までの方が対象

日本では国民皆保険制度が採用されているため、原則として誰もが公的医療保険に加入しています。

この項目では、誰もが利用できる高齢者医療制度の概要を解説します。

後期高齢者医療制度

後期高齢者医療制度は、75歳以上の方または65歳〜74歳で一定の障害があると認定された方(寝たきりなど)が対象の公的医療保険です。

74歳以下の方は「国民健康保険」または「被用者保険(健康保険など)」に加入していますが、75歳の誕生日以降は「後期高齢者医療制度」と呼ばれる独立した制度へ移行する必要があります。

後期高齢者医療制度では、医療費負担が原則1割負担(現役並み所得者は3割負担・一定以上の所得のある方は2割負担)となり、入院時の諸費用や介護サービスの利用者負担額が援助される特別措置が講じられています。

後期高齢者医療制度の保険料は、公的年金受給額が年間18万円以上の場合は年金からの天引き、それに満たない場合は送付される納付書や口座振替などで市区町村へ納める流れとなります。

前期高齢者医療制度

前期高齢者医療制度は、65歳〜74歳までの高齢者が対象の制度です。

65歳〜69歳まではこれまでと同様の医療費負担(原則3割)で、70歳になると「高齢受給者証」が交付され、70歳〜74歳までの医療費負担は原則2割負担(現役並み所得者は3割負担)となります。

前期高齢者医療制度は、先述の後期高齢者医療制度のように独立した制度ではなく、通常の公的医療保険制度のなかに設けられた特別な枠組みのイメージです。

そのため、65歳になっても特別な手続きは不要で、それまで加入していた公的医療保険を継続する形となります。

前期高齢者医療制度が登場した背景

前期高齢者医療制度は、簡単に説明すると「国民健康保険」と「被用者保険」の間における医療費負担の不均衡を調整する制度として登場しました。

一般的に、企業に属する方が加入する「被用者保険」は65歳以下の方が加入しており、65歳以降の定年退職を迎えた後は、国民の誰もが加入する「国民健康保険」に移行します。

一方、日本では平均寿命の延伸化に伴い、65歳以上の高齢者が増加しており、それに伴い公的保障が負担する「高齢者の医療費」も増大しています。

公的保障目線で捉えると、65歳以下の加入者が多い「被用者保険」に比べ、全年代が加入する「国民健康保険」のほうが高齢者の医療費負担が大きく、両者間で医療費負担の公平性が失われてしまいます。

被用者保険と国民健康保険の不平等をなくす目的で前期高齢者医療制度が登場し、被用者保険が「国民健康保険が負担する医療費の一部」を負担する仕組みが整えられました。

高齢者に保険はいらない?民間保険の必要性

先述のとおり、日本では公的医療保険が充実しているため、高齢者に保険は必要ないと言われることがあります。

しかしながら、公的医療保険が適用されても1〜3割の医療費は自己負担で賄わなければなりません。医療機関を受診する機会が増えれば、自己負担が積み重なり医療費も高額になります。

ひと月あたりの医療費が自己負担限度額を超過した際には「高額療養費制度」を利用できますが、事前の手続きを踏まなければ、超過分が払い戻されるまでに数ヶ月以上の時間が必要です。

さらに、公的医療保険はすべての医療費に適用されるわけではなく、先進医療や自由診療、入院時の差額ベッド代などは全額を自己負担で支払わなければなりません。

また、死亡後に執り行われる葬儀にも高額な費用がかかります。葬儀の規模によって費用は大きく変動しますが、株式会社鎌倉新書の「第6回お葬式に関する全国調査(2024年)」によれば、葬儀費用の平均は118.5万円にも上ります。

民間の生命保険に加入しておけば、万一の事態に保険金が支払われるため、もしものときの高額な医療費や葬儀費用への補填が可能です。

年齢を重ねるにつれて健康リスクは増大する一方なので、病気やケガに対して経済的な不安を感じる方は、民間の生命保険に加入して万一の事態に備えておくと安心です。

高齢者が民間保険への加入を検討する際の注意点

65歳以上の方が新たに民間保険へ加入する場合、以下の注意点があります。

高齢者が民間保険への加入を検討する際の注意点

若い年代より保険料が割高になる

一般的に、民間保険は年齢を重ねるにつれて保険料が値上がりしていきます。

その理由は、加齢に伴う健康リスクの増大により、若い年代に比べて高齢者のほうが保険金を請求する確率が高いためです。

新たに加入する生命保険の保険料が家計にとって大きな負担となる可能性も十分に考えられるため、複数の保険会社を比較して慎重に検討する必要があります。

保険に加入できない可能性がある

民間保険に加入する際は、健康状態の告知義務や加入年齢の上限がある点に注意が必要です。

多くの生命保険は70歳や80歳を加入年齢の上限としており、上限年齢を超えていると健康であっても、新たに生命保険へ加入することはできません。

また、加入時の健康状態によっては保障内容の一部削減、加入を断られてしまう可能性も十分に考えられます。

その際は、「引受基準緩和型」や「無選択型」の商品を販売している保険会社がありますので、検討してみましょう。

引受基準緩和型と無選択型の違い
  • 引受基準緩和型:一般的な保険に比べて保険会社が被保険者を引き受ける際の基準が緩和された生命保険
  • 無選択型:健康状態の告知や医師の診査不要で、誰でも加入可能な生命保険

これらは一般的な生命保険に比べて保険料が割高な代わりに、健康状態に不安がある方や既往歴がある方でも加入しやすい点が特徴の保険です。

ただし、保険料が家計を圧迫する大きな要因になりかねないため、高齢の方もまずは通常の生命保険への加入を検討し、保険に加入できなかった場合に引受基準緩和型や無選択型保険を検討するようにしましょう。

高齢者の民間保険の選び方

65歳以上の高齢者が民間保険に加入する際は、以下の2つのポイントを意識するのがおすすめです。

公的医療保険でカバーしきれない費用を補填する

高齢の方が民間保険に加入する際、まずは公的医療保険でカバーしきれない費用を把握することが大切です。

先述のとおり、日本では公的医療保険が充実しており、年齢に応じて前期高齢者医療制度、後期高齢者医療制度を利用できます。これらの公的保障により、窓口での医療費負担は1〜3割に抑えられます。

事前の手続きがないと払い戻しを受けられるまでに時間はかかるものの、1ヶ月の医療費が自己負担限度額を超過した際には高額療養費制度も利用できます。

一方、公的医療保険は入院中の差額ベッド代や生活費、先進医療や自由診療に対しては適用されません。全額が自己負担となってしまうため、これらの費用をカバーできる生命保険を検討するのがおすすめです。

得られる保障と保険料のバランスが合っているか

高齢の方が民間保険を検討する際は、得られる保障と保険料のバランスが合っているかを見極めることも大切です。

そのためには、まずはご自身が何のために新たな生命保険を検討しているのか、生命保険に加入する「目的」を明確にするところから始めましょう。

生命保険は多くの保険会社が販売しており、保険商品によっては特約を付帯することで保障内容をより手厚くカスタマイズできます。

保障内容が手厚いほど万一の事態が発生した際も安心ですが、その分だけ保険料が高くなってしまうため、本当に必要な保障に絞って生命保険を検討することを意識してください。

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※調査概要:申込数をもとに算出。オカネコ保険比較調べ、集計期間:2024/10/16〜2024/11/15(申込数が同数の場合は、資料請求数と各社ソルベンシーマージン比率をもとに算出)
※ご検討にあたっては、「商品パンフレット」・「契約概要・注意喚起情報」・「ご契約のしおり・約款」等を必ずご確認ください。

高齢者におすすめの保険

65歳以上の方におすすめの生命保険は、以下の3種類が挙げられます。

高齢者におすすめの保険

それぞれの生命保険の特徴を解説するので、保険選びの参考にしていただければ幸いです。

医療保険

医療保険は、突然の病気や事故により発生した医療費を保障する生命保険です。

医療保険のなかには様々な種類の商品が存在します。一般的な「終身医療保険」や「定期医療保険」に加え、女性特有の疾病を手厚く保障する「女性保険」、持病や既往歴がある方でも加入しやすい「引受基準緩和型医療保険」や「無選択型医療保険」などがあります。

主な保障内容は「入院給付金」と「手術給付金」の2種類で、公的医療保険では保障されない先進医療や自由診療の医療費、入院中の生活費や差額ベッド代も補填できる点が特徴です。

保険会社によって、特約を付帯することで保障内容を自由にカスタマイズできる医療保険も存在します。

がん保険

がん保険は、がんの治療時に発生する医療費の保障に特化した医療保険です。

通常の医療保険でもがんに対する保障は受けられますが、がん保険では入院時や手術時以外にも、診断時や通院治療、その他先進医療でも保障が受けられます

日本人は世界的に見ても「がんに罹患しやすい」と言われています。国立研究開発法人国立がん研究センターのがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)によれば、一生のうちにがんと診断される確率(2020年データに基づく)は男性が62.1%女性は48.9%と非常に高い数値です。

がん治療は長期化しやすく、転移や再発の可能性が高いことから、医療費も非常に高額化しやすい傾向にあります。それに加え、放射線療法や化学療法など、自由診療に該当する医療費も発生します。

がん保険に加入していれば、保険金で高額な医療費や治療期間中の生活費を賄えるようになり、治療の選択肢を広げられる点が特徴です。

終身保険

終身保険は、一度加入すれば解約するまで、一生涯にわたって死亡保障を備えられる生命保険です。

一般的な掛け捨て型保険に比べて毎月の保険料負担は割高ですが、ご自身が亡くなるまで継続する一生涯の保障を備えられます。

なお、終身保険は貯蓄性のある生命保険の代表格として挙げられますが、加入から一定期間が経過しないと、中途解約しても払い込んだ保険料以上の解約返戻金を受け取れません。

65歳以上の方が終身保険に加入しても、元本割れを起こしてしまう可能性が高いため、高齢の方が終身保険に加入する際は、貯蓄性ではなく一生涯の保障を備えられる点を重視して検討するのが良いでしょう。

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※調査概要:申込数をもとに算出。オカネコ保険比較調べ、集計期間:2024/10/16〜2024/11/15(申込数が同数の場合は、資料請求数と各社ソルベンシーマージン比率をもとに算出)
※ご検討にあたっては、「商品パンフレット」・「契約概要・注意喚起情報」・「ご契約のしおり・約款」等を必ずご確認ください。

まとめ

子どもの自立後に生命保険の見直しをする世帯は多いですが、保険料の節約を意識するあまり、すべての生命保険を解約してしまうのはたいへん危険です。

65歳以上の高齢者が利用可能な公的保障も充実していますが、基本的には自己負担分が発生するため、医療機関を受診する機会が増えれば、自己負担分が家計を圧迫する大きな要因になり得ます。

一般的に、年齢を重ねるにつれて健康リスクは増大します。もしものときに備えられるだけの十分な貯蓄がある場合は必要ありませんが、予測ができない病気やケガのリスクに対して、経済的な不安を抱えている方は民間保険の必要性は高いと考えられます。

本記事で解説した注意点や高齢の方の民間保険の選び方を参考にしていただければ幸いです。

オカネコ保険比較 編集部

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