子どもの保険加入目的
生命保険文化センターの調査によると、子どもがいる調査対象世帯のうち、子どもを対象とした生命保険(個人年金保険を含む)の加入率は46.7%です。
子どもの保険加入目的の中で、特に回答が多かったのは以下の6つです。
子どもの保険加入目的の一例 | |
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加入目的 | 保険商品の例 |
医療費や入院費のため(57.4%) | ・医療保険 ・傷害保険 |
万一のときの家族の生活保障のため(35.6%) | ・医療保険 ・傷害保険 |
子どもの教育・結婚資金のため(18.6%) | ・学資保険 ・貯蓄型の生命保険 |
災害・交通事故などにそなえて(11.2%) | ・個人賠償責任保険 ・傷害保険 |
老後の生活資金のため(10.1%) | ・生命保険 ・個人年金保険 |
貯蓄のため(10.1%) | ・貯蓄型の生命保険 ・個人年金保険 |
※加入率:調査対象世帯の子ども(未婚で就学前・就学中)の総数に占める加入率(かんぽ生命、JA・県民共済・生協等を含む)
※加入目的:直近加入契約(かんぽ生命を除く民保)の加入目的(複数回答)
子どもが加入できる保険商品は意外と多くあります。病気やケガ、家族の生活保障、災害・交通事故などに備えるほか、保険を教育・結婚資金、老後資金といった将来の資金準備に活用することも可能です。
SBI生命
メディケア生命
チューリッヒ生命
※調査概要:申込数をもとに算出。オカネコ保険比較調べ、集計期間:2024/09/16〜2024/10/15(申込数が同数の場合は、資料請求数と各社ソルベンシーマージン比率をもとに算出)
※ご検討にあたっては、「商品パンフレット」・「契約概要・注意喚起情報」・「ご契約のしおり・約款」等を必ずご確認ください。
子どもに保険が必要ないと言われる理由
子どもの保険の必要性は各家庭の加入目的やライフプラン、家計の状況などで異なるため、一概に必要性を判断できるものではありません。
それでも「小さい子どもに保険は必要ない」と言われる理由として、主に考えられるのは以下の3点です。
公的医療保険制度や、自治体の医療費助成が充実している
日本では、原則としてすべての国民が公的医療保険制度に加入します。また、すべての都道府県・市区町村が子どもの医療費を独自に助成しているため、自治体によっては子どもの通院・入院時の自己負担が一切ありません。
こうした公的保障の充実により、「民間の医療保険や傷害保険に子どもが加入する必要はない」という意見もあります。
ただし、公的医療保険制度や医療費助成の対象になるのは保険適用の治療のみです。保険適用外の先進医療費や、子どもの入院付き添いによって生じる親の収入減少はカバーできません。
また、子どもの医療費助成は自治体によって内容が異なるため、地域によって差がある点には注意が必要です。
子どもの入院は相対的に少ない
子どもの入院は大人に比べて少ないため、「入院保障メインの医療保険を持つ必要性は低い」と言われることもあります。
たしかに、厚生労働省の「患者調査」によると、所定の期間中に入院した患者総数約121万人のうち、0歳~19歳の入院患者は約3万人です。入院患者の大半を占めるのは65歳以上の高齢者で、子どもを含めた若年層の入院は相対的に少なくなっています。(※)
とはいえ、一定の子どもが入院しているのもまた一つの事実です。生まれた後に先天的な疾患や難病が見つかり、長期の入院を余儀なくされているケースもあるでしょう。万が一、入院が必要になったときの経済的な備えについては、保険に限らず考えておく必要があります。
※参照:厚生労働省「令和2年度 患者調査」より、年齢階級別にみた推計患者数
学資保険の魅力が低下
子どもの教育資金準備に活用されている、「学資保険の魅力が低下している」という意見もあります。
学資保険は、高校や大学進学時などにまとまった学資金を受け取れる貯蓄型保険です。積み立てた保険料以上に受け取れる学資金が多いこと、契約者である親に万が一のことがあれば以降の保険料払込が免除されるという特徴があります。(※)
近年は学資保険の返戻率が好景気の時と比べて軒並み低下しており、高くて110%程度、中には105%に満たない商品もあります。幼少期から10数年積み立てを続けてもリターンが小さいため、違う方法で資金を積み立てたほうがいいという意見もあるのです。
とはいえ、学資保険には強制的に教育資金を積み立てられるというメリットもあります。リターンだけではなく保険の仕組みに魅力を感じる人もいるため、「各家庭の状況に適しているかどうか」を考えることが大切です。
※契約年齢によっては元本割れすることもあります。また、保険料払込免除特則を付帯しなければ払込免除の保障はありません
子どもの保険の必要性がある人
子どもの保険が必要になるのはどのようなケースでしょうか。
ここでは、必要ないと言われる理由をふまえたうえで、逆に「子どもの保険の必要性がある人」の特徴を解説します。
公的保障でカバーできない費用に備えたい
公的医療保険制度や自治体の医療費助成では、以下のような費用をカバーできません。
- 親が付き添い入院をする際の食事代など諸費用
- 付き添い入院や看病で親が仕事を休んだときの収入減少分
- 親が付き添い入院をして、家事や育児を代行してもらう場合の費用
子どもがまだ乳幼児だと、親が付き添い入院をするケースもあります。
その際にかかる実費は公的医療保険適用外になるため、食事代や着替えの用意など細かい実費が発生します。また、その間に仕事を休めば、収入が減少する可能性もあるでしょう。
また、兄弟児がいる場合は入院中の世話や家事をどうするのかという問題が出てきます。もう一方の親の仕事の調整が難しい、シングルマザー・ファザー世帯で頼れる人がいない場合は、家事代行サービス等を依頼する費用も必要です。
こうした費用をカバーしたい人は、子どもの医療保険で備える方法もあります。
医療費助成終了後の負担増に備えたい
医療費助成制度は都道府県や市区町村によって異なり、中には、入院・通院ともに就学時に助成が終了する自治体もあります。
お住まいの地域の助成制度に不安がある人や、助成期間終了後の負担が気になる人は、医療保険や傷害保険で保障をカバーすることが可能です。
まずは、お住まいの都道府県・市区町村の助成制度の期間や条件をよく調べてください。所得制限を設けている自治体もあるため、所得がいくらになれば助成制度がなくなるのかも確認が必要です。
教育資金を確実に積み立てたい
「計画的な貯蓄が苦手で、預貯金などいつでも引き出せる資金は使ってしまいそう」という人は、教育資金を確実に積み立てられる学資保険が向いています。
学資保険は投資という面では返戻率が低いものの、子どもの教育資金を必要な時期に用意でき、保険加入時に「資金の出口を確定できる」という特性があります。一方で、投資商品は資金効率が良くなるものの、いざ資金が必要なときに株価暴落などにより元本割れしてしまう可能性があります。
教育資金を準備する方法にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、どの方法が良いとは一概に言えません。強制的に、かつ確実に教育資金を積み立てたいという人には、学資保険の必要性は高いと言えます。
将来、子どもに保険を贈与したい
将来の資金贈与もふまえて保険を考えている家庭もあるでしょう。
一般的に、保険は健康リスクが低い若年層ほど保険料が安くなります。保険料が割安な子どものうちに、終身型の保険に加入しておき、短期で保険料を払い終える契約にしておけば、子どもが成人する頃に保険料払済の保険をプレゼント(贈与)できます。
贈与は年間110万円まで非課税のため、子どものうちにコツコツ保険料を払っておけば、着実に資産を移転できます。(※)この場合、終身型の保険で10年~20年程度で保険料を払い終える契約にするといいでしょう。
※贈与目的の場合、金額によっては定期贈与とみなされ、年間110万円以下でも贈与税が発生する可能性があります。契約の際は税理士等に相談しましょう。
子どもの保険の選び方
子どもの保険は、以下の3点をふまえて選びましょう。それぞれ選び方のポイントを解説します。
保険で備える目的を明確にして優先順位をつける
子どもの病気やケガ、教育資金や将来の贈与に備える保険にはさまざまな種類があります。すべて保険で備えるのは現実的ではないため、各家庭で備える目的を明確にし、優先順位をつけて保険を活用しましょう。
優先順位の付け方は各家庭のライフプランや家計・資産の状況、保険や投資など金融商品に対する価値観、ニーズなどで異なります。
家族でよく話し合い、家庭にとってもっとも重要な備えを明確にしてください。
ライフプランや家計を考慮して保障期間を決める
一般的に、子育て世帯は子どもの成長にしたがい出費が増えていくものです。
教育費だけではなく、体の成長に伴い食費や被服費が増えたり、年齢を重ねて習いごとや家庭学習の費用が増えたりします。また、中学生以降などはスマートフォンを持つ可能性があるため、端末代や通信費の増加もあるでしょう。
保険に加入する際は、こうしたライフプランや先々の家計を見通したうえで適切な保障期間を決めることが重要です。一般的に保障期間は更新型(定期型)と終身型があり、保障期間が決まっている定期型は保険料が割安です。
「高校生になったら医療費の備えより教育資金に注力したいから、医療保険は中学生まで」と決め、割安な定期型に入る方法もあります。この先の出費や家計の変化を見越して、適切な保障期間を決めましょう。
保険以外の選択肢も検討する
病気やケガ、教育資金などに備える方法は保険だけではないため、以下の選択肢もあわせて検討しましょう。
- 預貯金:資金の流動性が高く、積み立て・引き出しが容易にできる
- 投資:資金効率が良く、預貯金や保険より大きなリターンを期待できる
- ローン:国の教育ローンと金融機関のローンがあり、教育資金等が不足する際に利用できる
- 奨学金:主に教育資金目的の資金制度で、貸与型と給付型があり、給付型は返還不要。日本学生支援機構のほか、学校などの教育機関、民間企業、各種団体で多様な奨学金制度がある
一般的に、これらの方法に比べて子どもの保険が優位性を発揮するポイントは以下の3つです。
- 加入後すぐに大きな保障を得られる
- 生命保険料控除によって節税できる
- 将来、保障を子どもにプレゼントできる
それぞれの方法にメリット・デメリットがあるため、よく比較検討してください。
子どもにおすすめの保険
ここでは、子どもにおすすめの保険の概要や加入年齢、タイミングなどを紹介します。
子どもにおすすめの保険の概要 | |||
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おすすめの保険 | 加入目的 | 加入できる年齢 | 加入タイミング |
学資保険 | ・教育 ・結婚資金 | 妊娠中~6歳前後※一部、12歳頃まで加入できる商品もある | 妊娠中~出産後早めに |
医療保険 | ・医療費や入院費 ・家族の生活保障 | 0歳~ | 家庭による |
傷害保険 | ・医療費や入院費 ・家族の生活保障 ・災害 ・交通事故 | 0歳~ | 子どもの運動量が増えてから(自転車に乗り出す、スポーツを始める、小学校入学時など) |
個人賠償責任保険(他人や他人の物に対する賠償責任を補償) | ・災害 ・交通事故 | 0歳~ | |
生命保険 | ・教育 ・結婚資金 ・老後資金※将来の贈与も可 | 0歳~ | 家庭による |
学資保険は加入が早いほど返戻率が高くなるため、妊娠中から検討を始めておくといいでしょう。
医療保険の加入タイミングは家庭によりますが、出産後に先天的疾患や難病が見つかると、それ以降は保険に加入できない可能性があります。先天的疾患などの保障対応は保険商品によっても異なるため、各社の保障内容や自治体の助成内容等をよく調べたうえで、必要性や加入時期等を検討してください。
傷害保険や個人賠償責任保険は、子どものケガや損害賠償リスクを補償するため、子どもが活発に動き回るようになってから検討するといいでしょう。注意点として、任意の自動車保険に加入していれば、特約を付帯することでこれらの補償に備えられる場合があります。加入の際は、他の保険との補償の重複に気をつけてください。
生命保険は子どもに必要ないという意見もありますが、子どもの将来のため、贈与を前提に加入を希望する家庭もあるでしょう。贈与目的の場合は保険料払込期間をどうするか各家庭で相談し、適切な加入時期を決めてください。
まとめ
子どもの保険は、公的保障ではカバーできない支出への備えや、将来の資金準備として活用できます。ここで大切なのは「加入すべきか否か」ではなく、「各家庭の目的に適しているかどうか」という視点です。
特に子どもの保険の必要性が高い人は、以下のような特徴があります。
- 公的保障でカバーできない費用に備えたい
- 医療費助成終了後の負担増に備えたい
- 教育資金を確実に積み立てたい
- 将来、子どもに保険を贈与したい
保険を備える目的を明確にし、預貯金や投資など他の方法も検討したうえで、子どもにとって必要な保険に加入してください。
SBI生命
チューリッヒ生命
なないろ生命
※調査概要:申込数をもとに算出。オカネコ保険比較調べ、集計期間:2024/09/16〜2024/10/15(申込数が同数の場合は、資料請求数と各社ソルベンシーマージン比率をもとに算出)
※ご検討にあたっては、「商品パンフレット」・「契約概要・注意喚起情報」・「ご契約のしおり・約款」等を必ずご確認ください。