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生命保険の告知義務違反とは? 告知義務がある理由と違反しないためのポイントを分かりやすく解説します

記事更新日: 2024年04月25日生命保険の告知義務違反とは? 告知義務がある理由と違反しないためのポイントを分かりやすく解説します

生命保険の告知義務違反とは

生命保険に加入する際は、保険会社の告知書や医師の診断などを受けて、現在の健康状態や既往症の有無などの事実を正確に告知する義務があります。

これを生命保険加入時の「告知義務」と呼び、契約者および被保険者に対して、健康状態の告知を義務付けています。

告知義務があるにも関わらず、現在の健康状態や既往症などの重要な情報を、故意または重大な過失によって事実と異なる告知をした場合や告知を行わなかった場合は、告知義務違反に該当します。

告知義務違反が発覚すると、保険会社は該当の保険契約を一方的に解除することが可能で、契約者は保険金を受け取れなくなる可能性があります。

また、意図せずに告知し忘れた内容がある場合も同様に告知義務違反となるため、生命保険へ加入する際は健康状態などを厳密に告知しなければなりません。

告知義務がある理由

生命保険の加入時に告知義務がある理由は、生命保険が相互扶助の仕組みで成り立っているためです。

保険会社は加入者の年齢や健康状態、過去の既往症の有無などをもとに保険料を決定しており、加入者全体の契約の公平性を保っています。

ですが、仮にすべての人を同条件で引き受けてしまうと、健康状態の悪い人やケガのリスクが高い職業についている人のほうが保険金を受け取れる可能性が高くなり、加入者間の公平性を保つことができません。

そのため、生命保険に加入する際は、全加入者に対して告知義務が課せられているのです。

一般的には「告知書」に必要事項を記入する形で健康状態の告知を行いますが、健康診断書や人間ドックの結果表の提出が求められるケースや、別に医師の診査が必要となるケースもあります。

なお、口頭では健康状態の告知を行ったことにならず、告知義務違反になる恐れがあるので、必ず告知書の提出を行うようにしてください。

一般的な告知事項の例

告知事項の一例は次のとおりで、健康状態や既往歴の有無などについては「はい・いいえ」の一問一答形式で回答します。

「はい」に該当する項目については、別途詳細な内容を記述する形で告知を行います。

一般的な告知事項の例
項目内容
基本情報氏名、生年月日、性別、身長、体重など
勤務先・業種・仕事内容被保険者の勤務先、業種、仕事内容について
健康状態加入時点の健康状態(入院、通院の有無、検査や治療勧告の有無など)について
既往歴過去数年内または数ヶ月内の病歴(医師の診察・検査、治療・投薬の有無など)について
障害の有無身体に障害があるか(手・足の欠損や機能障害、背骨・視力・聴力・言語・咀嚼機能等)
女性限定の質問妊娠の有無など
その他飲酒、喫煙習慣の有無、趣味のスポーツ(特に危険を伴うもの)など

これらの告知内容をもとに、保険会社は加入者の引受可否を決定する審査を行います。

特に問題がないと判断されれば「無条件での引き受け」となるケースが多く、場合によっては「特別条件付きで引き受け可」「引き受け不可」などの結果となる場合もあります。

なお、保険会社や保険の種類、商品などの違いで告知書に記載する事項は異なる場合が多いので、必ず検討中の生命保険の告知内容を確認するようにしてください。

告知義務違反したらどうなる?

告知義務違反が発覚した場合、保険会社は一般的に次のような措置を取ることができます。

告知義務違反時の対応

告知義務違反が発覚した場合、特に重要視されるのは「その違反が故意か重大な過失か」という点です。

故意の場合、保険会社はより厳しい措置を取る可能性が高くなります。したがって、生命保険に加入する際は正確に健康状態を告知することが重要となります。

保険契約の解除

責任開始日から2年以内に告知義務違反が明らかとなった場合、保険会社から保険契約を強制的に解除される場合があります。

2年経過後においても、保険金の受け取り事由が責任開始日から2年以内だった場合は、保険契約解除の対象となる可能性が高いと言えます。

保険契約の解除に該当した場合、たとえ支払事由に該当したとしても保険金や給付金を受け取ることはできません。

一方、貯蓄型保険などの場合は解約返戻金として、それまでに払い込んだ保険料が一部返還される場合があります。

保険契約の取り消し

特に重大な告知義務違反が明らかとなった場合、保険会社から詐欺による取消として保険契約を取り消されるケースもあります。

保険金や給付金を受け取ることはできず、そもそも契約がなかったものとして扱われるため、それまでに払い込んだ保険料が解約返戻金として返還されることもありません。

契約解除されないケース

告知義務違反が発覚すると、保険契約の解除または取り消しといった重い対応がされます。

一方、下記に該当する告知義務違反については、一方的に契約を解除されることはありません。

契約解除されないケース
項目具体的なケース
時効・責任開始日から5年以内に保険金の支払事由に該当しなかった場合
・保険会社が解除の原因を知ってから1ヶ月以上が経過した場合 など
過失・過失によって告知義務違反をした場合
・契約締結時点で保険会社が解除の原因となり得る事実を知っていた場合 など
告知妨害・不告知教唆・生命保険募集人が正確な告知を妨げた場合
・保険募集人に事実と異なる告知を行うように提言された場合 など

また、告知義務違反の内容と因果関係がないと認められた場合については、保険金や給付金の支払いを受けられる場合があります。

告知義務違反にならないためのポイント

告知義務違反とならないためにも、生命保険を契約する際は次の3つのポイントを意識しましょう。

告知書は事実をありのままに記入する

告知書の作成は、一部の保険契約を除き、原則として被保険者が必要事項に記入する必要があります。

告知書に記載された質問事項に対して、事実をありのままに告知することを意識してください。

懸念点がある場合は事前に窓口や担当者に確認しておくと安心です。

曖昧な表現は避ける

告知書には記入例が記載されているので、その内容に従って正確に告知内容を記入してください。

また、告知書を作成する際は、曖昧な表現は避けたほうが無難です。

記憶が曖昧で記入が難しい場合は、診察券や診療報酬明細書など、過去にどのような診察を受けたかを事細かに記載し、情報を正確に伝えることに尽力しましょう。

過去の病気は、現在の状況までくわしく記入する

告知書の質問に「はい」と回答した項目については、現在の状況まで詳しく記入することを心がけてください。

記入すべき内容の一例
  • 傷病名・診断名
  • 部位
  • 検査名・医療機関名
  • 症状・原因
  • 診察・検査・治療・投薬開始時期
  • 入院の有無(ある場合は時期・期間)
  • 手術の有無(ある場合は手術内容)
  • 後遺症・合併症の有無
  • 現在の状況

記入すべき内容に不安点がある場合は、事前に窓口や担当者まで確認を取るようにしましょう。

また、健康状態が変化した場合には、速やかに保険会社に通知することも重要です。

告知が不要な保険はある?

生命保険の中には、健康状態の告知が不要な保険商品も存在します。

告知が不要な生命保険の一例
生命保険特徴
引受基準緩和型保険一般的な生命保険よりも引受基準が緩和された保険商品
加入後から一定期間の保障制限や保障額に上限を設けるなど、制約があるケースが多い
無選択型保険健康状態の告知義務が設けられていない生命保険
持病がある方でも保障を備えやすい一方、通常よりも保険料は割高

健康状態が不安な方や持病をお持ちの方でも、これらの生命保険なら万一のときの保障を備えられます。

ただし、一般的な生命保険よりも保障範囲や保障額が制限されているケースや、保険料が割高に設定されているケースがあります。

まずは一般的な生命保険への加入を検討し、どうしても審査を通過するのが難しい場合に、これらの告知不要な生命保険を検討するようにしましょう。

まとめ

生命保険を契約する際は、契約者や被保険者の年齢や性別、健康状態などを保険会社に報告する「告知義務」があります。

故意または重大な過失によって正確な内容を告知しなかった場合は「告知義務違反」となり、保険契約の強制解除または保険契約の取り消しといった重い対応がされます。

万一のときの保障を受けられないばかりか、それまでに払い込んだ保険料が無駄になってしまうので、これから生命保険に加入する方は、正確な告知を行うことを心がけましょう。

告知内容に不安がある場合や記憶が曖昧な場合は、事前に窓口や担当者まで確認を取っておくと安心です。

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