資産運用には「預貯金」と「投資」の2種類あり、お金の使い方によってうまく使い分けることで、効率よくお金を管理することが可能です。
「なぜ預貯金だけでなく投資を考える必要があるのか」「どのような場合投資をすべきか」「初心者におすすめの投資方法」を紹介します。資産運用を基礎から知りたい人に役立つ情報ですので、ぜひ最後までご覧ください。
資産運用とは?資産運用は「預貯金」と「投資」の2種類がある
そもそも資産運用とは、自分の持っているお金を運用して効率的に増やすことです。
「お金を運用する」というと、株式投資などをイメージする人は多いかもしれませんが、資産運用は「投資」に限らず、銀行にお金を預ける「預貯金」も資産運用の一つです。
同じ資産運用でも預貯金と投資には異なる点が多く、それぞれ次のような特徴があります。

「預貯金」は低リスクのためお金を守ることに強く、比較的自由に引き出して使いやすい点が特徴です。
「投資」は預貯金よりはリスクがある分、お金を増やしやすく、長期的に資産を築くのに適しています。
生活費や1年以内に使うお金は預貯金、老後資金や教育資金など将来使うお金は投資というように、それぞれの特徴に合った資産運用を選択することが大切です。
資産運用は本当に必要?みんなが投資をする理由
国が投資を推進しているとはいえ、「本当に投資は必要なのか」「なぜみんな投資しているのか」と疑問をもつ人もいるでしょう。投資が必要な理由として以下のことが考えられます。
なぜ投資が重要なのか、理由がわかれば納得して始められますので、それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
低金利なので預金ではお金が増えにくい
ひとつ目の理由に、超低金利時代のため銀行にお金を預けてもほとんど増えない点が挙げられます。金利が高かった時代は、普通預金にお金を入れているだけで自然と増えました。しかし現在は状況が異なります。
メガバンクの普通預金の金利の多くは約0.001%。この場合、100万円を1年間、普通預金に預けていても10円しか増えないという計算です。(税金等考慮せず)
普通預金よりは金利が高めに設定されている定期預金でも、金利は多くの場合0.002%~0.003%であり、普通預金とほとんど大差ありません。
このままインフレが続きさらなる物価上昇となれば、銀行にお金を預けていても支出ばかりが大きくなってしまうことが予想されますので、資産運用を考えることが大切なのです。
受け取れる年金に対する不安
みんなが投資をする理由の2つ目は、将来もらえる年金受給額が不透明かつそれだけでは足りない可能性があることです。
厚生労働省年金局の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参照すると、2021年度の公的年金の平均的な受給額がわかります。
年金受給額の平均月額(令和3年度) | ||
---|---|---|
年度 | 国民年金(老齢基礎年金) | 厚生年金(老齢厚生年金) |
平成29年度 | 55,518円 | 144,903円 |
平成30年度 | 55,708円 | 143,761円 |
令和元年度 | 55,946円 | 144,268円 |
令和2年度 | 56,252円 | 144,366円 |
令和3年度 | 56,368円 | 143,965円 |
参照:表9 厚生年金保険(第1号) 受給権者平均年金月額の推移|令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況10ページ|厚生労働省年金局
参照:表 23 国民年金 受給権者の平均年金月額の推移|令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況21ページ|厚生労働省年金局
令和3年度の国民年金(老齢基礎年金)の平均額は約5.6万円、厚生年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金)の平均額は約14.4万円でした。現在の収入や毎月の生活費を鑑みると、公的年金だけを頼りにしていては、老後にゆとりある生活を送るのは難しいといわざるを得ません。
ただ、国民年金や厚生年金の受給額は、それぞれの加入期間によって大きく変動します。ご自身が将来的に受け取れる公的年金の支給額(年金見込額)は、日本年金機構の「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」などで確認可能ですので、老後資金が気になる方はぜひ調べてみてください。
受け取れる退職金に対する不安
退職金についても以下の図からわかるように、勤続年数が長いケースほど減少傾向にあることがわかります。

参照:平成30年 退職給付(一時金・年金)の支給実態、平成20年 退職給付(一時金・年金)の支給実態
退職金を老後の生活費に充てることを考えている方もいるかもしれませんが、受け取れる金額が不確定であれば万一に備えておくと安心です。
資産運用を始める前に押さえておきたい5つのポイント(注意点)
資産運用を始める前に、押さえておきたい5つのポイントを見ていきます。
ポイント1. 資産運用をする目的をはっきりさせる
まず「何のために資産運用をするのか」「資産運用で蓄えたお金を何に使うのか」のように目的をはっきりさせましょう。目的や目標に応じてやるべき資産運用は異なるので、明確にしておくことが大切です。
参考までに、日本証券業協会の「2021年度(令和3年) 証券投資に関する全国調査(個人調査)」による金融商品の保有目的は以下の通りです。

参考:2021年度(令和3年) 証券投資に関する全国調査(個人調査)
約7割近い人が「将来・老後の生活資金」のために、金融商品を活用していることがわかります。
また目的を考える際は、いくら必要なのか目標金額の目安を考えておくことも重要です。今後どのようなライフイベントが発生する可能性があり、それにはどのくらい費用がかかるものなのでしょうか。
今から備えておきたい、結婚前の人が控える主なライフイベントを3つピックアップして解説します。
備えるべきライフイベント「結婚」
「ゼクシィ結婚トレンド調査2022調べ」、「新婚生活実態調査2020(リクルートブライダル総研調べ)」によると、結婚資金の全国平均は約371.3万円です。
結婚資金の内訳と、その平均額は次のとおり。
- 結納式 : 約16.6万円
- 両家顔合わせ : 約6.6万円
- 婚約・結婚指輪 : 約61.9万円
- 結婚式・披露宴 : 約303.8万円
- 新婚旅行 : 約33.9万円
- 新生活の費用 : 約59.0万円
※「婚約・結婚指輪」はそれぞれの平均額の合計
※「新婚旅行」は土産代を含む
※「結納・婚約~新婚旅行までにかかった費用 総額」の算出時に用いた各項目の平均金額を掲載しているが、これは結納・会場費および両家の顔合わせ・会場費については実施した人の、その他の項目については費用の発生した人の平均金額であり、各項目の平均金額の合計は、「結納・婚約~新婚旅行までにかかった費用 総額」とは一致しない
参照:▼結納・婚約〜新婚旅行までにかかった費用|3)結婚費用の総額|ゼクシィ結婚トレンド調査2022首都圏 39ページ|ブライダル総研
参照:結婚を機としたインテリア・家具購入実態 3ページ|新婚生活実態調査2020|ブライダル総研
上記はあくまで一般的な一例であるため、カップルや夫婦の状況によって費用は大きく変動しますが、結婚式の開催費用以外にもさまざまな費用が発生することがわかります。

備えるべきライフイベント「子どもの教育」
幼稚園から大学までの公立・私立の教育費は以下の通りです。
公立の学校の場合 | 年間 | 通算 |
---|---|---|
幼稚園 | 約22万円 | 約66万円 |
小学校 | 約32万円 | 約192万円 |
中学校 | 約49万円 | 約147万円 |
高等学校 | 約46万円 | 約138万円 |
大学 | 約63万円 | 約250万円 |
私立の学校の場合 | 年間 | 通算 |
---|---|---|
幼稚園 | 約53万円 | 約159万円 |
小学校 | 約160万円 | 約960万円 |
中学校 | 約141万円 | 約423万円 |
高等学校 | 約97万円 | 約291万円 |
大学(文系) | 約85万円 | 約340万円 |
幼稚園から大学までの子どもの教育費は、すべて公立の場合は約800万円、すべて私立の場合は約2200万円の費用がかります。
参考:幼稚園から高等学校までのデータ:平成30年度子供の学習費調査の結果について(文部科学省)
参考:大学のデータ:「国公私立大学の授業料等の推移」、「令和元年度 私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
(※)幼稚園から高等学校の通算は、学校教育費・学校給食費・学校外活動費も含めた金額です。また、大学の通算金額には4年間の授業料・入学料が含まれています。
備えるべきライフイベント「老後」
65歳以降の夫婦世帯のひと月あたりの生活費内訳は以下の通りです。
夫婦世帯の老後の生活費内訳の一例(令和3年度) | ||
---|---|---|
区分 | 項目 | 二人以上世帯 |
収入 | 社会保障給付 | 216,519 |
その他 | 20,057 | |
実収入(上記合計) | 236,576 | |
支出 | 消費支出 | 224,436 |
食料 | 65,789 | |
住居 | 16,498 | |
光熱・水道 | 19,496 | |
家具・家事用品 | 10,434 | |
被覆及び履物 | 5,041 | |
保健医療 | 16,163 | |
交通・通信 | 25,232 | |
教育 | 2 | |
教養娯楽 | 19,239 | |
その他 | 46,542 | |
非消費支出 | 30,664 | |
支出合計(消費支出+非消費支出) | 255,100 | |
可処分所得(実収入 – 非消費支出) | 205,911 | |
不足分(実収入 – 支出合計) | – 18,524 |
参照:Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支|家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)19ページ|総務省統計局
65歳以上の夫婦高齢無職世帯における生活費は、社会保障給付込みの実収入が約24万円、税金や社会保険料などの非消費支出を含む総支出は約26万円となっています。
つまり、毎月2万円ほどの赤字となる計算に。それまでに貯金した資産を取り崩しながら生活を送っているものと推測されます。
ポイント2. お金を短期・中期・長期で使うものにわける

お金は一箇所に固めておかず、短期で使うお金は出し入れが自由な預貯金、中期のお金は少しでも金利の良い定期預金、長期のお金は投資信託のように、それぞれに適したお金の置き場所を用意することで、無駄のない資産管理が実現します。
短期・中期で使うお金の預入先は、金利の高い銀行を選ぶことも大切です。特に、一般的なメガバンクや都市銀行よりも、ネット銀行のほうが金利は高めに設定されています。たとえば、ネット銀行の一例とその金利は、次のとおりです。
銀行名 | 定期預金の金利 | 普通預金の金利 |
---|---|---|
SBI新生銀行 | 最大0.1% | 最大0.003% |
UI銀行 | 最大0.2% | 0.1% |
SBJ銀行 | 最大0.2% | 0.02% |
あおぞら銀行BANK | 最大0.25% | 0.2% |
なお、一部のネット銀行で高金利を実現するためには、一定額以上の預け入れが必要だったり、給与受取口座に指定する必要があったり、さまざまな条件が定められている場合があります。
一方、特定の銀行やコンビニのATMなら回数制限無しで手数料が無料になる、取引回数に応じて優遇措置が受けられるなど、ネット銀行ならではのメリットがあります。
ネット銀行の特徴と金利をよく調べたうえで、なるべく高金利の銀行を活用すると良いでしょう。

ポイント3. 資産運用にはリスクがあることを理解する
資産運用にはリスクがつきものであることを理解しておきましょう。「リスクがあるから怖い」「損をしたくない」という理由から投資を避ける人は多いですが、投資に限らず預貯金にもリスクは存在します。預貯金は元本保証されているとはいえ、経済状況によって価値が目減りします。
例えば、今まで100円で買えていたものがインフレなどによって150円出さないと買えなくなることが起きます。これは物の価値が上がったのではなく、円の価値が下がったことが原因。したがって、この状況が続く場合、預貯金という形で保有している資産の価値は下がっていくという事態になると言えます。
預貯金だから安全とは言えず、自分が許容できるリスクを理解した上で資産運用に取り組むことが重要です。
以下の全国銀行協会が提供する「リスク許容度診断テスト」で、自身のリスク許容度チェックができるので、気になる方は試してみてください。
また、次にご紹介する「分散投資」「長期投資」でリスクを低減させることができます。安定した収益を目指すために、ぜひ参考にしてください。
ポイント4. 分散投資でリスクを軽減させる
資産運用におけるリスクを軽減させるには、分散投資が大切です。分散投資とは複数の金融商品に資産を分けて保有することを指します。
投資の世界では「卵はひとつのカゴに盛るな」という言葉があります。卵をひとつのカゴに入れると、そのカゴを落としたとき中身がすべて駄目になってしまいますが、卵を2つ・3つのカゴに分けて入れれば、落としたカゴ以外は中身が無事です。
特定の銘柄が値下がりしても、別の銘柄が値上がりしていれば損をカバーでき、価格変動のリスクが軽減されます。特に資産運用初心者にとっては、分散投資は非常に重要ですので意識しましょう。
ポイント5. 長期的な視点で考える
資産運用は短期で結果を求めず、長期的な視点で考えましょう。中には短期で利益が出る金融商品もありますが、大抵はハイリスクで投資初心者にはおすすめできません。
長期視点で運用結果がどのくらい変わるか、月3万円を年利3%・年利5%でそれぞれ30年間運用したときのシミュレーションを見てみます。

運用開始から3年目は元本が108万円のところ、年利3%が113万円(+5万円)、年利5%が116万円(+8万円)積立されています。
運用30年目を見ると利益はさらに拡大します。元本1,080万円に対し、年利3%が1,748万円(+668万円)、年利5%が2,497万円(+1,417万円)が最終的に積み立てられました。(税金等考慮せず)
長期視点で大きな金額差がつくのは、「複利」が大きく関係しています。複利とは利子を元金に組み入れて運用することで、長期間になるほど元金が増えていく仕組みです。増えた元金に対し金利が発生するため、雪だるま式にお金が増えていくのです。

初心者におすすめの資産運用
実際にどのような資産運用があるのか確認していきましょう。初心者の方におすすめな比較的リスクが低く、金額的に始めやすい資産運用方法をご紹介します。

NISA・つみたてNISA
NISA・つみたてNISAは、少額から金融投資を始めることができ、年間の非課税枠の範囲内なら、得られた利益は全額非課税となる制度です。
一般NISAとつみたてNISAでは、それぞれで投資可能な上限額や非課税保有期間が次のように定められています。
期間 | 2023年まで | 2024年以降 | ||
---|---|---|---|---|
区分 | 一般NISA | つみたてNISA | 成長投資枠 | つみたて投資枠 |
非課税保有期間 | 5年間 | 20年間 | 無期限化 | 無期限化 |
年間非課税枠 | 120万円 | 40万円 | 240万円 | 120万円 |
非課税保有限度額 | – | – | 1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで) | |
投資可能商品 | ・上場株式 ・ETF ・公募株式投信 ・REIT等 | ・長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託 (※金融庁への届け出が必要) | ・上場株式 ・投資信託等 | ・長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託 (※金融庁への届け出が必要) |
払出し制限 | なし | |||
対象年齢 | 20歳(※2023年1月以降は18歳以上) | 20歳※2023年1月以降は18歳以上 | 18歳以上 | 18歳以上 |
従来のNISA制度では、運用可能期間が5年や20年と決まっていましたが、2024年以降から始まる新NISAでは、非課税保有期間が無期限化されます。
つまり、50代から始めても決して遅すぎることはなく、将来を見据えた貯金をしながら、税金面で大きなメリットが得られることが特徴のおすすめの制度といえます。
なお、現行のNISA・つみたてNISAの買付・積立投資は2023年で終了となりますが、従来の非課税保有期間は2024年以降も別枠で継続されます。
2024年以降はこれまでのNISAやつみたてNISAの非課税保有枠を利用できなくなってしまうため、現行のNISA制度を活用していない方は、これを機にぜひ検討してみましょう。
SBI証券や楽天証券などのネット証券なら、オンライン上で簡単にNISA口座の開設手続きができます。

iDeCo

iDeCo(イデコ)は「個人型確定拠出年金」とよばれる制度で、老後を見据えた資産形成を目的とした運用方法です。
原則として60歳になるまで資産を引き出すことはできませんが、掛け金が全額所得控除の対象で、運用益が非課税になるなどの大きなメリットがあります。
また、60歳以降で資産を引き出す際にも所得控除が受けられるため、老後資金の貯蓄に備えながら税負担の軽減効果が期待できます。
なお、iDeCoの加入対象者は、国民年金の第1〜第3号被保険者や任意加入保険者となっており、それぞれで拠出可能な限度額も異なる点にはご注意ください。
これまでのiDeCoは「企業型DC(企業型確定拠出年金)」との併用ができませんでしたが、2022年の法改正に伴い、両者の併用が可能となりました。
より効率よく資産形成を行うことができるので、確定拠出年金制度を利用していない方は、ぜひ積極的にご活用ください。
参照 : iDeCo公式サイト
株式投資

株式投資は、証券会社に口座を開設し、企業の株式を購入して利益を得る運用方法です。投資の王道ともいえる方法で、株式の売買益によるキャピタルゲイン、または株主に分配される配当金によるインカムゲインの2軸で利益を得ます。
従来の株式投資は、購入可能な1単元が100株や1,000株に設定されていることが多く、数十万円を超える資金が必要となるケースが一般的でした。
昨今では、数万円から購入可能なミニ株が登場しており、資金が少ない方でも株式投資に挑戦できるようになりました。
ただし、株式相場は世界情勢や経済動向の影響を受けて大きく変動するため、安定した利益を得るためには、情報収集を怠らず、さまざまな分野の知識を身につける必要があります。
常に知識を吸収する貪欲さが求められるので、まずは投入資金が少なく済むミニ株から始めて、本格的な株式投資に少しずつ慣れていきましょう。
投資信託

投資信託は、投資家から集めた資金をファンドマネージャーが運用し、その運用で利益が出た場合に配当金が受け取れる運用方法です。
初心者の方におすすめの理由は、少額から資産形成を開始でき、投資家の代わりにプロの専門家が運用を行ってくれるので、自分で売買のタイミングを判断しなくて良いというメリットがあるためです。
投資信託による運用は、株式や債券、不動産など、多岐に渡る分散投資で行われるので、リスク分散が可能な点もメリットといえます。
一方で、投資信託で運用をする際には、定期的な運用コストが発生する点には注意が必要です。また、元本保証がされているわけではないため、市場相場によっては元本割れを起こしてしまう可能性もあります。
運用先を選ぶためにはある程度の金融知識も必要です。どれにすべきか迷ったときは、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談してみましょう。
債券
投資の世界における債券とは、投資家が国や地方公共団体などに対して資金を提供し、それに対して利子を得る方法をいいます。
資金の提供を受けた団体は「債券」という証書を投資家に発行し、償還までの期間中は利子を支払い続け、償還のタイミング(満期)を迎えたら額面全額を投資家に返却します。
債券の発行者は多種多様で、国や地方公共団体をはじめ、民間企業など多岐にわたります。発行者の信用度が高ければ高いほど、リスクが低い投資方法といえます。
債券の途中売却も可能ですが、途中売却の場合は損失が出る可能性があり、為替相場の状況によっても為替差損が発生する可能性があります。
また、発行者の財務状況が悪化すると、元本や利子の支払い不要リスクなどがある点には注意が必要です。
とはいえ、他の金融商品への投資方法に比べて、比較的リスクが低めの方法です。
税制上の優遇制度である「NISA・つみたてNISA」や「iDeCo」を活用したうえで、なお余剰資金がある場合に検討するのがおすすめです。
財形貯蓄制度
財形貯蓄制度は、一定金額を勤務先の給料から天引きの形で、企業が提携する銀行口座へ自動的に貯金できる制度です。
毎月の給与から自動的に先取り貯金ができるので、わざわざ貯金用口座にお金を移す手間や手数料がかからず、お金の使いすぎを予防できます。
また、財形貯蓄制度には、貯金の目的によって「住宅用」「年金用」「その他」の3つに分類され、場合によっては税負担の軽減効果が期待できたり、住宅ローン融資が受けられたり、さまざまなメリットがあります。
制度の仕様上、財形貯蓄制度を導入済みの企業で勤務している方しか利用できませんが、手元のお金をついつい使い込んでしまう方にはおすすめの制度です。
積立保険
積立保険(貯蓄型保険)は、終身保険や養老保険、学資保険など、将来的に払い込んだ保険料が返ってくる可能性がある保険商品全般の総称です。
- 終身保険:解約時に解約返戻金が受け取れる
- 養老保険:死亡保障を備えながら、満期を迎えた際に満期保険金が受け取れる
- 個人年金保険:一定期間まで保険料を払い込み、以降は一定額の年金を定期的に受け取れる
- 学資保険:子供が一定年齢に達するとお祝い金が受け取れる
万一のときの死亡保障を備えつつ、毎月の保険料という形で保険会社へ貯金していくことが可能です。貯蓄性のある保険の特徴として、一般的な掛け捨て型保険に比べて保険料が割高なのが欠点として挙げられます。
現在の家計を圧迫しては元も子もないので、毎月の収支状況とのバランスを見ながら、掛け捨て型保険と積立保険を併用するのがおすすめです。
ロボアドバイザー
ロボアドバイザーは、投資家の資産状況や年齢など、AIがさまざまな状況を鑑みて、投資先や金融商品のアドバイスをしてくれる運用方法です。
ロボアドバイザーは複数の企業が提供しており、投資家への助言が中心の「アドバイス型」、投資家の代わりに資産運用を自動的に進めてくれる「一任型」の2種類があります。
投資知識が乏しい初心者でも、ロボアドバイザーの案内に従って運用を行えば、その時々の状況に合わせた効率の良い資産形成が行えます。
ただし、ロボアドバイザーによる運用は長期投資を前提としており、数ヶ月や数年程度の短期間では、十分な利益を得るのが難しいといえます。
また、機械学習による運用とはいえ元本割れの可能性がゼロではなく、運用手数料などのランニングコストも発生する点には注意が必要です。
【Q&A】資産運用に関するよくある質問
最後に、資産運用でよくある質問を3つ紹介します。資産運用に興味がある人はぜひ参考にしてみてください。
- どのくらいの人が資産運用を始めているの?
- 資産運用でよくある失敗パターンは?
- 自分にあう資産運用方法が知りたい
- どのくらいの人が資産運用を始めているの?
-
実際のところ、日本の資産運用状況については投資よりも預貯金が圧倒的に多いです。
以下は日本証券業協会の「2021年度(令和3年) 証券投資に関する全国調査(個人調査)」による、金融商品別の保有率です。
参照:2021年度(令和3年) 証券投資に関する全国調査(個人調査)
保有している金融商品のうち預貯金は92.2%を占めています。一方で株式は13.6%、投資信託は10.8%と投資商品の保有割合はまだまだ少ないのが現状です。
ただし同調査によると、株式や投資信託に興味を持っている人は2018年度調査よりも増加傾向にあり、日本経済の状況や国が推進する投資制度などが影響し、資産運用の大切さを実感する人が増えたことが伺えます。複利や長期投資の観点からも、早めに資産運用を始めることが大切です。
- 資産運用でよくある失敗パターンは?
-
資産運用でよくある失敗パターンは以下のとおりです。
- 大きなリターンを期待してしまう
- 相場・タイミングを見極めようとしてしまう
- よく分からない商品に手を出してしまう
投資は長期視点で考える必要があるため、短期で大きなリターンを期待するとかえって損する可能性があります。
また、利益を出したいからと言って、相場が上がるタイミングを見極めるのはプロでも難しいもの。特に初心者は目先の利益を見すぎて行動しないよう、注意が必要です。
このような失敗の多くは、正しい情報が不足していたり、情報を判断できる知識がなかったりすることが原因です。運用しながら徐々に投資の知識をつけることや、FPなどお金のプロに相談することも考えてみましょう。
- 自分にあう資産運用方法が知りたい
-
投資信託やNISA・DeCoといった初心者向けの投資は数多くあるものの、自分には何が合っているか分からないと悩む人はたくさんいます。
知識がない人にとって、資産運用の方法を選ぶことが第一の壁。銀行などで相談することもできますが、「窓口へ行くのはハードルが高い」「商品の勧誘をされそう」という不安もあるでしょう。
「オカネコ」は、オンライン上で無料でお金の相談ができるサービスで、家族構成や世帯年収など家計状態を診断し、問題点をお金のプロがアドバイスしてくれます。投資商品をはじめ、ライフプランニングや家計・保険の見直しなどの相談をすることも可能ですので、ぜひ活用してみてください。
まとめ
資産運用には「預貯金」「投資」の2種類があり、それぞれをお金の使用目的にあわせて使い分けることが大切です。
預貯金は元本保証がありリスクが低い一方、資産価値の目減りが弱点。そのため、投資で効率的かつ長期的に資産を形成していくことも欠かせません。資産運用初心者におすすめな運用方法として、投資信託やNISA・iDeCoなどの投資があります。
また、資産運用を始める前に、投資目的やリスク許容度などもしっかりとチェックしておきましょう。最初から1人で取り組むのは大変なため、お金のプロに相談することもあわせて検討してみてくださいね。