住宅ローンを利用してマイホームを購入する場合、土地や建物の価格以外にさまざまな諸費用が発生します。
諸費用の支払いは基本的に「現金」のため、たとえフルローンであってもある程度まとまった金額を用意しなければなりません。
本記事では、諸費用の内訳と目安、支払いタイミングについて詳しく解説します。諸費用を抑える方法も紹介するので、マイホーム購入を考えている人はぜひ参考にしてください。
| 諸費用が抑えられるおすすめの住宅ローン3選 | |||
| 金融機関 | 詳細 | ||
| SBI新生銀行 | ・保証料、印紙代(電子契約の場合)、ATM出金手数料、一部繰り上げ返済手数料、団信保険料(一般団信・安心保障付団信)が無料 | ||
| ソニー銀行 | ・保証料、印紙代(電子契約の場合)、団信保険料(一般団信・がん団信50)が無料 ・繰り上げ返済は一部返済も全額返済も無料 | ||
| 楽天銀行 | ・保証料、繰り上げ返済手数料、団信保険料(一般団信・がん保障特約・全疾病特約)が無料 ・事務手数料が一律330,000円 | ||
- 住宅ローンにかかる諸費用の金額は購入物件や銀行によって異なるが、一般的に新築物件は購入価格の3~6%程度、中古物件は購入価格の6~8%程度の費用がかかる
- 新築マンションでは基本的に仲介手数料がかからないため、戸建住宅よりも諸費用の負担は軽くなるが、新築マンションは入居時に修繕積立基金が必要
- 諸費用を抑える方法として、「頭金を多くして借入金額を減らす」「返済期間を短くする」などが挙げられ、銀行選定時も融資事務手数料がお得な銀行や金利が低い銀行を選ぶなど、トータルコストを見て選ぶことが大切
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住宅ローン借入時にかかる諸費用の目安と内訳
諸費用の金額は購入物件や銀行によって異なりますが、一般的な目安は下記のとおりです。
- 新築物件:購入価格の3~6%程度
- 中古物件:購入価格の6~8%程度
国土交通省の調査※によると、初めて分譲戸建住宅を購入した場合の平均購入資金は4,183万円。そのうち、3,160万円を住宅ローン(借入金)で購入しています。
仮に4,000万円の住宅を購入したとすると、120~240万円の諸費用がかかる計算です。実際にある住宅ローンでシミュレーションしながら、内訳を細かく見てみましょう。
※参考:国土交通省「令和5年度 住宅市場動向調査 報告書」
3,000万円の住宅ローンにかかる諸費用はいくら?
「新築戸建住宅」「新築マンション」の2パターンに分け、それぞれ3,000万円を住宅ローンで借入した場合に、どのくらいの諸費用がかかるのかシミュレーションしてみます。
新築戸建住宅の新規借入シミュレーション
前提条件
- 新築戸建住宅の購入価格:4,000万円
- 自己資金:1,000万円
- 住宅ローン借入金:3,000万円
| 【新築戸建住宅】3,000万円の住宅ローンにかかる諸費用 | |||
|---|---|---|---|
| 概要 | 目安 | ||
| 仲介手数料 | 不動産会社に支払う成功報酬。物件価格×3%+6万円+消費税が上限 | 138.6万円(税込)程度 | |
| 融資事務手数料 | 銀行に支払う手数料。借入金額×2.2%(税込)程度で設定している銀行が多い | 66万円(税込) | |
| 保証料 | 保証会社に支払う保証料。不要な銀行もある | – | |
| 印紙税(不動産売買契約書) | 不動産会社との不動産売買契約時、契約書に貼る印紙税 | 軽減措置適用で1万円 | |
| 印紙税(金銭消費貸借契約書) | 銀行との住宅ローン契約時、契約書に貼る印紙代※電子契約時は不要 | 2万円 | |
| 火災保険料・地震保険料 | 損害保険会社に支払う保険料 | 年間5万円程度 | |
| 登記費用(司法書士報酬) | 登記代行の依頼料 | 10万円 | |
| 登記費用(登録免許税) | 不動産登記に必要な税金。原則は借入金額×0.4%だが、軽減措置が適用されると借入金額×0.1% | 軽減措置適用で3万円 | |
| 不動産取得税 | 不動産購入・建築時などにかかる税金。軽減措置を適用すればかからない場合も | 軽減措置適用で0円 | |
| 合計 | 225.6万円 | ||
新築戸建住宅でもっとも負担が大きい費用は、不動産会社に支払う仲介手数料です。仲介手数料は法律で上限が定められており、実際の取引では上限額を支払うケースがほとんどです。
融資事務手数料や保証料の設定は住宅ローンによって異なりますが、「借入金額×2.2%程度」が一般的な相場です。各行でシミュレーションのうえ確認してみてください。
新築マンションの新規借入シミュレーション
前提条件
- 新築マンションの購入価格:4,000万円
- 自己資金:1,000万円
- 住宅ローン借入金:3,000万円
| 【新築マンション】3,000万円の住宅ローンにかかる諸費用 | |||
|---|---|---|---|
| 概要 | 目安 | ||
| 仲介手数料 | 不動産会社に支払う成功報酬。新築マンションでは基本的に発生しない | – | |
| 修繕積立基金 | 新築マンション引き渡し時、管理組合に支払う。居住エリアや建物の構造等さまざまな条件により異なる | 20~100万円程度 ※マンションにより大きく異なる | |
| 融資事務手数料 | 銀行に支払う手数料。借入金額×2.2%(税込)で設定している銀行が多い | 66万円(税込) | |
| 保証料 | 保証会社に支払う保証料。不要な銀行もある | 3万3,000円(税込) | |
| 印紙税(不動産売買契約書) | 不動産会社との不動産売買契約時、契約書に貼る印紙税 | 軽減措置適用で1万円 | |
| 印紙税(金銭消費貸借契約書) | 銀行との住宅ローン契約時、契約書に貼る印紙代※電子契約時は不要 | 2万円 | |
| 火災保険料・地震保険料 | 損害保険会社に支払う保険料 | 年間1.5万円程度 | |
| 登記費用(司法書士報酬) | 登記代行の依頼料 | 8万円 | |
| 登記費用(登録免許税) | 不動産登記に必要な税金。原則は借入金額×0.4%だが、軽減措置が適用されると借入金額×0.1% | 軽減措置適用で3万円 | |
| 不動産取得税 | 不動産購入・建築時などにかかる税金。軽減措置を適用すればかからない場合もある | 軽減税率適用で0円 | |
| 合計 | 104.8~184.8万円 | ||
新築マンションでは基本的に仲介手数料がかからないため、戸建住宅よりも諸費用の負担は軽くなります。また、マンションは戸建住宅よりも耐火性能が高いケースが多いため、火災保険料の相場も大きく下がります。
ただし、新築マンションでは入居時に修繕積立基金が必要です。マンションによって必要な金額には幅があるため、上記表以上にかかる場合もあるでしょう。購入時にはよく確認してください。
住宅ローンの諸費用はいつ支払う?タイミングとは
新築戸建住宅を住宅ローンで購入する場合、関連する諸費用を支払うタイミングは下記表のとおりです。
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| 【新築戸建住宅】住宅ローンの諸費用を支払うタイミング | ||
|---|---|---|
| タイミング | 支払う相手 | 諸費用の項目 | 
| 売買契約時 | 不動産会社 | 印紙税(不動産売買契約書) 仲介手数料(前金) | 
| 住宅ローン契約時 | 銀行 | 印紙税(金銭消費貸借契約書) | 
| 住宅の引き渡し前日まで | 保険会社 | 火災保険料・地震保険料 | 
| 住宅ローン融資実行・引き渡し時 | 銀行 | 登記費用(司法書士報酬/登録免許税) | 
| 不動産会社 | 仲介手数料(残金) | |
| 入居後 | 都道府県 | 不動産取得税 | 
住宅の売買契約から引き渡しまでは、不動産会社や銀行がある程度リードしてくれるため、手続きの流れを確認しながら各支払いに対応しましょう。
ただし、不動産取得税については自治体から納税者本人(住宅購入者)に通知がきます。自治体から納税通知書が届いたら、納税者本人が速やかに対応してください。
不動産取得税には軽減措置があり、取得する住宅によって異なります。事前に不動産会社に確認しておくとよいでしょう。
住宅ローンにかかる諸費用の支払い方法
原則として、住宅ローンに関連して発生する諸費用は現金による一括払いです。ただし、近年は銀行によって他の支払い方法が可能な場合もあります。
諸費用の支払い方法
- [基本]現金の一括払い
- [銀行によって可能]住宅ローンの借入金額に諸費用を含める
- [銀行によって可能]住宅ローンとは別に諸費用の支払いに使えるローンを組む
基本的な方法は1ですが、銀行によっては2や3の方法で諸費用を用意できます。2の方法は住宅購入価格に諸費用を上乗せするもので、住宅ローンの低い金利が適用されるため、一般のローン商品よりは金利負担を抑えられるでしょう。
3は住宅ローンとは別にもう1本ローンを組む方法で、金利負担はやや大きくなります。銀行によって金利や含められる諸費用などは異なるため、詳細は各行によく確認してください。
住宅ローンの諸費用の額を抑える方法
住宅ローンに関する諸費用の大部分を占めるのは融資事務手数料と保証料です。ここでは、主にこの2つを抑えることで諸費用を軽減する方法をいくつか紹介します。
なお、諸費用を支払った後は、新居への引っ越し費用や家具家電の購入費も必要です。住宅購入にはさまざまな支出が発生するため、諸費用を含めたトータルコストを抑えるよう工夫しましょう。
頭金を多くして借入金額を減らす
融資事務手数料や保証料の設定は銀行によって異なりますが、多くの場合、借入金額や返済期間に連動して金額が決まります。頭金を多めに入れて借入金額を少なくすれば、その分融資事務手数料や保証料を抑えることができるでしょう。
また、銀行によっては頭金を入れることで優遇金利を受けられることがあります。返済比率を下げれば安定したローン返済につながる効果もあるため、頭金は多めに用意しましょう。

返済期間を短くする
都市銀行や地方銀行など、一部の住宅ローンでは返済期間が諸費用に影響を与える場合もあります。
返済期間を短くすると毎月の返済額は上がりますが、住宅ローンの総支払額は少なくなり、諸費用も抑えやすくなります。無理のない範囲で返済期間を調整し、諸費用を抑えるようにしましょう。
また、返済期間の短期化は、契約後であっても有効な場合があります。保証料の支払いを「外枠方式」にしている人が一部繰り上げ返済をすると、保証料の一部が戻ってくることがあるのです。保証料については、後述の解説(保証料の支払いは「外枠方式」にする)もあわせてご確認ください。
融資事務手数料がお得な銀行を選ぶ
一部の銀行では、借入金額にかかわらず融資事務手数料を固定にして、諸費用の負担を抑えています。最初から融資事務手数料がお得な銀行を選べば、諸費用を大幅に削減することも可能でしょう。
ただし、諸費用が安くても住宅ローン金利が高い場合、住宅ローンにかかるトータルコストはそう変わらない場合があります。金利もふまえたトータルコストを見て、本当にお得な銀行を選ぶようにしてください。
保証料の支払いは「外枠方式」にする
住宅ローンに保証料を設定している場合、支払い形式は下記の2つあります。
- 内枠方式(金利上乗せ型):住宅ローンに0.2%程度の金利を上乗せして保証料を支払う方法
- 外枠方式(一括前払い型):住宅ローン契約時に保証料全額を一括で支払う方法
一見すると、最初にまとまった現金が必要ない内枠方式がよさそうに思えます。しかし、内枠方式は金利が高くなってしまうため、長期で見ると外枠方式よりも保証料の総額が重くなりがちです。
また、外枠方式を選ぶと一部繰り上げ返済をした場合、短縮した返済期間に応じて保証料の返還(戻り保証料)があります。
戻り保証料もふまえると、総額で保証料の総額を抑えられるのは外枠方式と言えるでしょう。
電子契約にして印紙代を抑える方法も
融資事務手数料や保証料ほどの節約効果はありませんが、電子契約にする方法でも諸費用の削減にはなります。
住宅ローンの電子契約とは、銀行と結ぶ金銭消費貸借契約書をWeb上で行う方法です。申込から融資実行まですべてをWeb上で行うため、銀行に行く手間や、対面契約の際に必要な収入印紙代が不要になります。
3,000万円の住宅ローンを電子契約する場合、通常はかかる収入印紙代2万円を軽減できます。手間もコストも削減できる方法ですが、一部の銀行では別途「電子契約手数料」がかかることがあるため、利用時は詳細をよく確認してください。
諸費用が抑えられる住宅ローン3選
ここでは、諸費用が抑えられる住宅ローン3選を紹介します。
| 諸費用が抑えられるおすすめの住宅ローン3選 | |||
| 金融機関 | 詳細 | ||
| SBI新生銀行 | ・保証料、印紙代(電子契約の場合)、ATM出金手数料、一部繰り上げ返済手数料、団信保険料(一般団信・安心保障付団信)が無料 | ||
| ソニー銀行 | ・保証料、印紙代(電子契約の場合)、団信保険料(一般団信・がん団信50)が無料 ・繰り上げ返済は一部返済も全額返済も無料 | ||
| 楽天銀行 | ・保証料、繰り上げ返済手数料、団信保険料(一般団信・がん保障特約・全疾病特約)が無料 ・事務手数料が一律330,000円 | ||
SBI新生銀行
SBI新生銀行は保証料が無料で、SBI証券口座保有者であれば諸費用を抑えやすくなっています。
SBI証券の口座保有者は、SBI新生銀行との口座振替契約によって銀行独自のステップアッププログラムが「ダイヤモンドステージ」にランクアップ可能です。ダイヤモンドステージであれば融資事務手数料が5万円引きになるため、口座保有者はぜひ口座振替契約を利用しましょう。
また、不動産仲介手数料や事務手数料など借入にかかる手数料が住宅ローンに組み込めるため、手元の現金を減らしたくない方にもおすすめです。

変動金利年0.660%(半年型)
固定10年:年1.850%(当初固定金利)
固定20年:年2.500%(当初固定金利)
固定35年:年2.660%(長期固定金利(全期間固定))
- 当初固定金利が低金利
- 保証料、印紙代(電子契約の場合)、ATM出金手数料、一部繰り上げ返済手数料、団信保険料(一般団信・安心保障付団信)が無料
- 金利上乗せ0.1%でガン団信に加入できる
2025年10月1日時点。表示金利は、新規借入で自己資金10%以上の場合の当初借入金利です。手数料はすべて税込価格です。適用金利は申込内容や審査結果等によって変わる場合があります。
ソニー銀行
ソニー銀行の住宅ローンは保証料が無料なうえ、印紙代(電子契約の場合)や一部・全額繰り上げ返済の手数料も無料です。
また、死亡・高度障害を保障する一般団信に加えて「がん団信50」が無料で付帯されているのも大きなポイントです。がん団信50では、がんと診断確定されたときのローン残高を50%保障し、女性であれば入院一時給付金10万円を受け取れます。

変動金利年0.897%
変動セレクト住宅ローン
固定10年:年2.078%(固定セレクト住宅ローン)
固定20年:年2.821%(固定セレクト住宅ローン)
固定35年:年3.539%(住宅ローン)
- 保証料、団信保険料、印紙代(電子契約の場合)が無料
- 繰り上げ返済は一部返済も全額返済も無料
- 上乗せ金利なしでがん保障付きの団信に加入できる
2025年10月1日時点。手数料はすべて税込価格です。適用金利は申込内容や審査結果等によって変わる場合があります。
楽天銀行
楽天銀行の住宅ローン(変動金利・固定特約付き)は借入金額にかかわらず、融資事務手数料が一律33万円(税込)です。ネット銀行の融資事務手数料は「借入金額の2.2%(税込)」が相場のため、借入金額が多い人ほど諸費用を抑えられるでしょう。
また、一般団信には「がん保障特約」「重度がん保険金前払特約」「全疾病特約」が付帯されています。これにより、がんと診断確定されたときのローン残高50%保障や、所定の就業不能状態が1年続いたときのローン残高100%保障などを受けられます。
楽天銀行
変動金利年1.002%~
変動金利・固定特約付き
固定3年:年1.918%~
固定5年:年2.048%~
固定10年:年2.413%~
金利選択型
- 事務手数料が一律330,000円
- 保証料・繰り上げ返済手数料が無料
- 上乗せ金利なしで団信にがん保障・全疾病保障特約が付いている
2025年10月1日時点。手数料はすべて税込価格です。適用金利は申込内容や審査結果等によって変わる場合があります。
まとめ
マイホームを住宅ローンで購入すると、購入価格とは別に3~8%程度の諸費用がかかります。原則として諸費用は現金一括払いのため、余裕をもって備えておくことが重要です。
諸費用の支払いが厳しい場合は、「住宅ローンに諸費用を組み込む」「諸費用が安い住宅ローンを検討する」などの方法があります。
複数の方法をシミュレーションしたうえで、トータルコストを抑えられる方法を検討しましょう。



