預金1,000万円以上のときに資産を分けるべき理由・守りながら運用できる預け先

金融広報中央委員会の調査によると、年齢を重ねるほど預金(金融資産)が1,000万円以上ある人の割合が増えていきます。

そうすると、「このまま1つの銀行に預けていて大丈夫?」「資産を分けるべき?」と不安になる人は少なくないでしょう。

※「貯金」は預貯金以外に株式や債券、不動産などを含む金融資産全般を指します
※金融資産非保有世帯を含む場合の割合を記載しています
参照:家計の金融行動に関する世論調査[総世帯調査] 令和5年調査結果 各種分類別データ シート4|知るぽると 金融広報中央委員会

実は、日本の預金保険制度(ペイオフ)では、1つの金融機関につき1人あたり元本1,000万円とその利息までが保護対象になります。

言い換えると、1,000万円を超える部分の預金は、金融機関が万が一破綻した際に保証されない可能性があるということです。

本記事では、預金1,000万円以上になったときに資産を分けるべき理由と、安全かつ効率的にお金を預ける方法を解説します。銀行の選び方や適切な預け先、おすすめの分け方も紹介するため、ぜひ参考にしてください。

このコンテンツの3行まとめ
  • 資産が1,000万円を超えた場合、金融機関が破綻したときに全額守られない点やインフレで現金の価値が目減りするリスクがあることから、資産を複数箇所にわけて管理することが大切
  • 銀行預金のほか、他の金融機関の定期預金個人向け国債投資信託等で資産運用をしながら、物価上昇率以上の利回りを目指す
  • 資産の預け先は用途別・預入期間別で預け先を分けたり、ライフプランニングをして綿密に計画を立てることで、より家計に合った効率的な資産運用が可能に

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目次

預金1,000万円以上のときに資産を分けるべき理由

預金額が1,000万円を超えると、資産の預け先を分ける必要が出てきます。理由は主に以下の2つです。

金融機関が破綻したときに全額守られない

日本の預金保険制度(ペイオフ)では、金融機関が破綻した際に「1金融機関あたり1人につき元本1,000万円まで+利息」が保護されます。

預金保険制度の対象となる金融機関は、日本国内に本店があるすべての銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、信金中央金庫、全国信用協同組合連合会、労働金庫連合会です。

つまり、日本で一般的な普通預金口座を保有している場合、預金額が保護されるボーダーラインは誰でも1,000万円までとなります。

預金保険制度の保護の範囲
用途保護の範囲
当座預金・利息の付かない普通預金全額保護
利息の付く普通預金・定期預金・元本補てん契約のある金銭信託(ビッグ等)・金融債など金融機関ごとに1人当たり 「元本1,000万円まで+利息」まで保護
外貨預金・譲渡性預金、他人名義の預金など保護対象外

たとえば、1,500万円を1つの口座に集中して預けている場合、万が一その銀行が破綻したときに保護されるのは元本1,000万円まで+利息分のみです。金融機関の破綻状況によって異なりますが、残りの500万円は戻ってこない可能性があります。

なお、「1,000万円」は金融機関単位で管理されます。同じ銀行で複数の支店に分けて口座を作っても、保護対象の金額が増えることはありません。

金融機関破綻リスクに対処する際は、異なる銀行に口座を作り資産を分けることが重要です。

インフレで預金の価値が目減りするリスクがある

預金だけで多額の資産を保有していても、インフレでいずれお金の価値が目減りするリスクもあります。

インフレとは、物やサービスの価格が上がり続け、相対的に現預金の価値が目減りしてしまう現象を指します。

たとえば、銀行口座に1,000円を預けて数十年経ったとき、同じ1,000円でも購入できる商品の数は大きく異なります(図参照。利息はないものとする)

インフレとはなにか?

かつては1,000円で10個購入できたりんごが、数十年後には5個しか買えなくなってしまう。これがインフレリスクです。

経済が正常にまわっている社会では、基本的に物価は上がり続けていくものです。将来のインフレリスクに備えるためには、物価上昇率以上の利回りを得られる資産にお金を預けることも考えなければなりません。

預金が1,000万円超えた場合の預け先

では、預金額が1,000万円を超えるとどうすればよいのでしょうか。預け先の候補は以下の2つです。

預金が1,000万円超えた場合の預け先の候補

他の銀行口座へ資産を分ける

基本的な方法は、異なる銀行口座に資産を分散させることです。

同じ銀行で支店を分けても保護額は増えません。しかし、A銀行に500万円、B銀行に700万円という形で資産を分散すれば、各口座で元本1,000万円+利息まで保護されます。

このときおすすめしたいのは、普通預金よりも金利が高い「定期預金」です。

預金平均金利

しばらく使う予定のないお金であれば、金利が高い定期預金に一定期間預けるのがおすすめです。

資産分散の効果を高める方法として、「外貨預金」という選択肢もありますが、外貨預金は預金保険制度の対象外になるため、多額の資産を預ける際は注意しましょう。

定期預金金利が高い銀行

一般的には、メガバンクよりもネット銀行のほうが定期預金金利が高い傾向にあり、各種手数料がお得になる特典が多くあります。

定期預金の金利が高いおすすめのネット銀行9選を、預入期間ごとに金利が高い順にランキングにしました。

\ 2025年10月最新! /
1年もの定期預金金利が高い銀行ランキング

🥇1位 : UI銀行1.0%(スーパー定期預金)

🥇1位auじぶん銀行1.0%※2(デビュー応援定期預金)

🥉3位SBI新生銀行0.85%(スタートアップ円定期預金/パワーダイレクト円定期預金)

🥉3位オリックス銀行0.85%※1(スーパー定期/大口定期)

2025年10月1日時点の金利です。金利は税引き前の年利です。適用金利は条件によって変わる場合があります。
※スマホ専用のアプリダウンロード画面のため、スマートフォンからアクセスしてください。
※1:新規口座開設者限定金利/上限1,000万円
※2:新規口座開設者限定金利

一部の資産を運用する

先述したように、経済成長に物価上昇は付きもので、インフレリスクへの対応は不可欠です。物価上昇率に劣らない利回りで資産運用を行うことも考えましょう。

基本的には、元本保証かつ預金保険制度の保護対象である「円定期預金」をベースに、ご自身の価値観やリスク許容度にあわせた運用方法を追加することをおすすめします。

おすすめの資産運用方法

  • 安全重視型:円定期預金・個人向け国債などの債券
  • バランス型:円定期預金・投資信託またはロボアドバイザー
  • 積極型:円定期預金・投資信託・株式投資 など

投資信託や株式、債券といった有価証券は「投資者保護基金」の対象です。

証券会社の口座でこれらの有価証券を保有している場合、会社破綻時には原則として証券会社の分別管理により資産は全額返還されますが、もし分別管理が行われていない場合は1人当たり1,000万円までの資産が補償されます。銀行預金とはまた別の保障制度があるため、ご安心ください。

預金1,000万円以上の資産を上手に管理するコツ

1,000万円以上の資産をうまく管理するコツは次の4つです。

用途別に資産の預け先を分ける

目的が違うお金をまとめて管理してしまうと、適切な運用管理ができず、不必要にお金を使ってしまう可能性があります。

用途別(預入期間別)に預け先を分けると、資産の性質に応じた運用を選択しやすくなるでしょう。

生活防衛資金は引き出しやすい方法で管理する

生活防衛資金とは、失業や病気、災害など、予期せぬ緊急事態に遭遇した際、当面の生活を維持するために確保しておくお金です。

万が一に備え、半年〜1年分の生活費を生活防衛資金としてキープしておき、普通預金に保管しておくとよいでしょう。

ネット銀行の普通預金なら金利が高めで、提携ATMやスマホなどで24時間引き出せるため、おすすめです。

生活防衛資金の管理におすすめの銀行

島根銀行(しまホ!)

普通預金金利:0.5%

条件なしで高金利な普通預金金利が適用。スマホアプリで手続きや資金管理ができるサービス。

住信SBIネット銀行

普通預金金利:0.2~0.21%

10個まで預金専用口座(目的別口座)を作成でき、備えたい費用ごとに管理できる。自動積立設定も可能

金利は2025年10月1日時点の税引前の年利
※スマホ専用のアプリダウンロード画面のため、スマートフォンからアクセスしてください。

投資をする場合は余裕資金で行う

投資はインフレリスクへの対応や長期の資産形成に欠かせません。しかし、相場の状況によっては含み損を抱える可能性もあります。

先述した生活防衛資金や、数年以内に使う予定がある確実に必要なお金については、投資ではなく預金で持つほうが安全です。

投資はあくまで余裕資金の範囲で行い、日常生活の支払いに支障が出ないようにしましょう。

ライフプランニングで適切な預け先を見つける

適切な預け先は今後のライフプランによっても異なります。

子どもが小学生になる5年後に住宅購入を予定している人と、独身で老後資金をじっくり貯めたい人とでは、資産形成の計画が大きく変わります。

可能であれば、FPなどの専門家にライフプランニング相談を行い、各家庭のライフイベントにそった預け先を検討してみてください。

銀行口座を検討している方におすすめ

「今の貯金額だと定期預金が最適?」
「他にどんな貯金方法があるの?」
「いつまでにいくら貯めるべき?」

120万人以上が体験しているオカネコでは、そのような悩みをFPにオンラインで無料相談ができます。

■FPからもらえるアドバイス・提案の一例

  • ヒアリングの上で詳細なライフプランニング表の作成
  • おすすめの家計管理方法
  • 目的別の効率的な貯金方法
  • 老後までに必要な貯金額とやるべき対策

FPから無理に商品を勧められることはありません。目的や希望に応じて適切な提案がもらえるため、納得のいく選択ができるでしょう。

<相談前に無料家計診断もできる!>

登録して家計に関する約20問の質問に回答すると、住んでいる地域 × 家族構成が同じ人と比べてあなたの世帯年収・貯金額・金融資産は高いのか低いのかを、A~Eランクで診断します。

診断結果には簡易ライフプラン表もついてくるので、このままいくと老後資金がいくら貯まるのかも一目でわかります。

オカネコは完全無料で利用できて、約3分で簡単に診断できます。家計見直しのきっかけにもなるでしょう。

※2025年6月1日当社データベースより概算(オカネコサービスすべての実績総数)

【例】預金1,000万円の分け方

資産を分けるときは、ご自身の価値観やリスク許容度、目的にあわせた方法で行いましょう。

ここでは、「安全性重視タイプ」や「積極運用タイプ」など、タイプ別に適した資産配分の例を紹介します。

<タイプ別>資産1,000万円の資産管理方法の例
資産配分の例おすすめの人
安全重視タイプ普通預金:300万円
定期預金:700万円
・投資には抵抗がある
・元本割れは極力避けたい
・50~60代の方
バランスタイプ普通預金:200万円
定期預金・個人向け国債:300万円
投資信託:500万円
・安全性を確保しつつ、投資も試してみたい
・手堅く資産運用したい
積極運用タイプ普通預金:100万円
個人向け国債:200万円
投資信託・個別株:700万円
・積極的に投資して資産を増やしたい
・20~30代の方

上記はあくまで一つの配分例です。資産の分け方に正解はないため、ライフイベントやリスク許容度等に応じて、各家庭の最適解を考えてみると良いでしょう。

【Q&A】預金1,000万円以上の資産保有方法についてよくある質問

預金が1,000万円以上ある場合の資産保有方法について、よくある質問をQ&A形式で解説します。

銀行口座は複数持てる?

銀行口座はいくつでも開設できるため、複数持つことは可能です。

預金額が1,000万円を超えた場合は、預金保険制度の上限を意識しつつ、複数の銀行に資産を分けることを検討しましょう。

「生活費用」「貯蓄用」など口座を分けておけば、家計管理もスムーズになるはずです。

生活費用口座におすすめの銀行

Olive(三井住友銀行)

普通預金金利:0.2%

1枚でキャッシュカードのほかクレジット払い・デビット払い・ポイント払いが可能。アプリで一元管理ができるため、生活費を管理するための口座として最適

ソニー銀行

普通預金金利:0.2%

Visaデビット付きキャッシュカードが発行され、Visaタッチ決済に対応。利用額の0.5~2.0%がキャッシュバックされる

金利は2025年10月1日時点の税引前の年利

貯金用口座におすすめの金利が高い銀行

SBI新生銀行

スタートアップ円定期預金(預入額30万円~)
3か月もの:1.3%
1年もの:0.85%

新規口座開設者限定の高金利な定期預金口座を用意

オリックス銀行

eダイレクト預金(預入額100万円~)
1年もの:1.2%※1
2年もの:0.65%
3年もの:0.65%

1年ものの定期預金金利が高く、貯金口座に特化した銀行

金利は2025年10月1日時点の税引前の年利
※1:新規口座開設者限定金利/上限1,000万円

1つの銀行にはいくらまで預けられるの?

銀行口座には、法的な「預け入れ上限額」はありません。1つの銀行口座に何千万円でも、何億円でも預けることは可能です。

ただし、いくら預けていても預金保険制度の保護対象は「1人当たり1つの金融機関につき元本1,000万円まで+利息」です。預金額が多くても、保護対象が広がることはない点にご留意ください。

相続・贈与を考え名義預金を作った場合のリスクは?

名義預金は相続や贈与の場面でトラブルになりやすく、節税対策で口座を作っても逆効果になる可能性があります。

名義預金とは、預金の名義人と実際にお金を出している人が異なる預金のことです。以下のような事例は「名義預金」とみなされやすく、相続税や贈与税の課税対象になる場合があります。

  • 親が子ども名義の口座にお金を入金している(子どもは口座の存在を知らない)
  • 通帳・印鑑を親や配偶者が管理している

税務調査で名義預金の指摘を受けると、通常の納税額よりも重い追徴課税を受けることがあります。名義預金にはほとんどメリットがないため、口座管理には気をつけましょう。

まとめ

預金が1,000万円を超えたら、預金保険制度の上限を意識して資産を分けることが重要です。

1つの銀行に多額の資産を預けておくと、金融機関破綻時に預金の一部が戻ってこない可能性があります。今後のインフレ対策のためにも、さまざまな方法で資産を運用し、リスクに備えておくとよいでしょう。

また、投資信託や株式といった金融商品には「投資者保護基金制度」という保護制度があります。それぞれの保護制度をうまく活用しながら、将来のための資産形成を行いましょう。

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オカネコマガジン編集部

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