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がんの治療費は平均いくら? 高額療養費制度を使った場合の自己負担額や1日の入院費用を解説

記事更新日: 2024年11月22日がんの治療費は平均いくら? 高額療養費制度を使った場合の自己負担額や1日の入院費用を解説

がんになった際にかかる平均治療費

がんに罹患すると、治療期間が長期化しやすく、それに伴い治療費も高額になりがちです。

厚生労働省の「医療給付実態調査」によると、がん治療における部位別の平均費用は以下の通りでした。

【入院】がん治療における部位別の平均費用(令和3年度)
1件あたりの医療費総額1件あたりの自己負担(3割)1件あたりの平均日数1日あたりの自己負担(3割)
胃がん667,620 円200,286円11.6日17,292円 
結腸がん673,787円202,136円10.9日18,585円
直腸がん784,293円235,288円11.7日20,036円
肝がん657,694円197,308円10.7日18,472円
肺がん730,616円219,185円11.3日19,418円
乳がん602,845円180,854円8.7日20,844円
子宮がん646,188円193,856円9.2日21,053円
悪性リンパ腫1,072,335円321,701円15.2日21,134円
白血病1,765,683円529,705円18.7日28,334円
その他の悪性新生物676,464円202,939円11.1日18,233円
良性新生物及びその他581,307円174,392円7.9日21,981円
※1件あたりの医療費総額は、点数÷件数で計算された結果の小数点第一位を四捨五入した数値を記載しています
※1件あたりの平均日数は、日数÷件数で計算された結果の小数点第一位を四捨五入した数値を記載しています
※点数は1点=10円で計算し、自己負担分は現役世代の3割負担で計算を行っています
参照:令和3年度医療給付実態調査(表番号5 統計表第3表)|厚生労働省

部位によって金額は異なるものの、がんの入院治療における1日あたりの自己負担額は2万円前後の治療費が発生します。

上記はあくまで平均値なので、場合によっては治療の長期化に伴い、高額な治療費が発生してしまう可能性もあるでしょう。

多くの場合、公的医療保険における「高額療養費制度」で後から自己負担限度額を超えた分の払い戻しを受けられますが、一時的とは言え高額な治療費を立て替える必要があるため、患者は大きな経済的負担を抱える恐れがあるということです。

入院前や退院後の外来(通院)費用

がん治療は入院だけに留まらず、入院前や退院後に継続して通院治療を受ける必要がある場合もあります。

厚生労働省の「医療給付実態調査」では、入院外費用の平均も公開されているので確認していきましょう。

【外来】がん治療における部位別の平均費用(令和3年度)
1件あたりの医療費総額1件あたりの自己負担(3割)1件あたりの平均日数1日あたりの自己負担(3割)
胃がん43,771円 13,131円1.5日8,527円
結腸がん45,432円13,630円1.5日8,873円
直腸がん61,727円18,518円1.7日11,130円
肝がん100,850円30,255円1.7日18,186円
肺がん111,019円33,306円1.6日20,731円
乳がん58,864円17,659円1.6日10,945円
子宮がん33,335円10,000円1.5日6,600円
悪性リンパ腫76,341円22,902円1.6日14,586円
白血病96,301円28,890円1.6日18,392円
その他の悪性新生物69,895円20,968円1.6日13,106円
良性新生物及びその他20,079円6,024円1.4日4,441円
※1件あたりの医療費総額は、点数÷件数で計算された結果の小数点第一位を四捨五入した数値を記載しています
※1件あたりの平均日数は、日数÷件数で計算された結果の小数点第一位を四捨五入した数値を記載しています
※点数は1点=10円で計算し、自己負担分は現役世代の3割負担で計算を行っています
参照:令和3年度医療給付実態調査(表番号5 統計表第3表)|厚生労働省

がんは他の臓器や器官に転移する可能性があるため、別の箇所と合わせて治療期間が長期化し、結果として通院治療も長引いてしまうケースは少なくありません。

がんの通院治療では、平均1日あたり4,000〜20,000円程度の支払いが発生し、患者に大きな治療費負担がのしかかります。

先進医療の治療費

先進医療とは、厚生労働大臣によって有効性や安全性が認められた医療のうち、公的医療保険の対象とするか評価段階にある治療法を指します。

がん治療では、陽子線治療や重粒子線治療などの先進医療が選ばれるケースも少なくありませんが、その治療費は非常に高額です。

たとえば、中央社会保険医療協議会が公開する参考資料によると、がん治療における代表的な先進治療費等は、以下の通りです。

がん治療における代表的な先進医療の費用等(令和3年7月1日〜令和4年6月30日)
1件あたりの費用平均入院期間年間実施件数
陽子線治療3,207,847円14.9日1,293件
重粒子線治療3,361,088円5.3日562件
抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺伝子検査3,841,931円44.0日227件
※1件あたりの費用は参照先の総合計(円)÷年間実施件数(件)で計算しています
参照:令和4年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について|中央社会保険医療協議会

がん治療における先進治療費は、1件あたりの費用が数百万円を超えるケースが一般的です。

さらに、先進医療の技術料に関しては公的医療保険の対象外であり、全額を自己負担で賄わなければなりません。

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※調査概要:申込数をもとに算出。オカネコ保険比較調べ、集計期間:2024/09/16〜2024/10/15(申込数が同数の場合は、資料請求数と各社ソルベンシーマージン比率をもとに算出)
※ご検討にあたっては、「商品パンフレット」・「契約概要・注意喚起情報」・「ご契約のしおり・約款」等を必ずご確認ください。

がんの治療にかかる主な費用

がんの治療にかかる費用

がんの治療にかかる主な費用は、大きく分けると「公的医療保険の対象となる費用」と「対象外の費用」の2種類に分けられます。

たとえば、がん治療で総額100万円の入院費用が発生し、そのうちの20万円が公的医療保険の対象外費用と仮定した場合、患者の自己負担額は次の通りです。

例:入院費総額100万円(内20万円が公的医療保険対象外)の時の自己負担額
  • 公的医療保険の対象外費用:20万円
  • 公的医療保険の対象費用:100万円-20万円=80万円
  • 公的医療保険適用時の自己負担(3割負担と仮定):80万円×0.3=24万円
  • 自己負担合計:20万円+24万円=44万円

上記の例で計算すると、がん治療で総額100万円の入院費用が発生した場合、患者が負担する治療費は44万円です。

また、公的医療保険適用時の自己負担額は、高額療養費制度によって後から払い戻しを受けられる場合もあります。その場合は、実質負担額はさらに少なくなるでしょう。

公的医療保険等の対象となる費用

日本では国民皆保険制度が採用されており、誰もが健康保険や国民健康保険などの公的医療保険に加入しています。

公的医療保険の基本的な保障内容は次の通りです。

公的医療保険制度の基本保障
  • 療養の給付:医療機関を受診する際、健康保険証を提示することで1〜3割の治療費負担に抑えられる
  • 入院時食事療養費:病気やケガで入院した際、一律460円/食で食事の給付が受けられる(※2024年5月時点)
  • 入院時生活療養費:65歳以上を対象とした入院時の生活療養費を給付する制度
  • 高額療養費制度:1カ月あたりの治療費が自己負担限度額を超えた場合、超過分が後から払い戻される制度

がんの治療時においては、診察費や検査費、入院費のほか、がん治療の三大療法(手術、放射線治療、薬物治療)の費用、介護サービス費などが公的医療保険の対象です。

なお、会社員が加入する健康保険では、病気やケガで働けない期間中に所定の条件を満たせば「傷病手当金」が支給されます。

一方、自営業やフリーランスの方が加入する国民健康保険には、傷病手当金のような制度が存在しません

がん治療で働けない期間が長期化すると、その影響が収入面に直結することになりかねないので、がん保険や医療保険などで高額な治療費と収入減少に備えておく必要があります。

公的医療保険等の対象外になる費用

以下に該当する費用については、公的医療保険が適用されないため、全額が自己負担となります。

公的医療保険の対象外となる費用の一例
  • 差額ベッド代(患者自らが希望した場合)
  • 入院時の食事代(1食あたり460円)
  • 入院中の生活費(日用品代など)
  • 家族の見舞いの交通費
  • 自由診療、先進医療(陽子線治療や重粒子線治療など)
  • 治療の副作用の補填費用(医療用ウィッグなど)

差額ベッド代とは、個室や少人数部屋などの特別療養環境室を利用する際、患者が自ら希望した場合や同意書に署名をした場合に発生する費用です。

差額ベッド代とは

中央社会保険医療協議会の「主な選定療養に係る報告状況(令和5年7月5日)」を参照すると、1日あたりの差額ベッド代の平均費用は約6,620円となっています。

差額ベッド代の平均

※記載の数値は令和4年7月1日時点の統計です
参照:主な選定療養に係る報告状況|第548回 中央社会保険医療協議会 総会議事録|厚生労働省

上述の通り、がん患者の平均在院日数は18.2日なので、18日入院した場合の差額ベッド代は、約12万円にのぼります。

差額ベッド代は自己負担で支払わなければなりませんが、がん保険に加入していれば診断給付金や入院給付金が支給されるため、保険金を差額ベッド代やその他の支払いに充てられるでしょう。

がんの治療費の負担を軽くする公的制度

がんの治療費負担を軽減できる公的制度として、次の3つの制度が挙げられます。

がんの治療費の負担を軽くする3つの公的制度

国立がん研究センターの統計結果(2019年データに基づく)によると、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男女ともに50%を超えており、2人に1人はがんと診断される可能性があります。

もしもの時に備えて、がんの治療費負担を軽減できる公的制度について学んでおきましょう。

高額療養費制度

高額療養費制度は、がんの治療に限定せず、1カ月あたりの治療費が年齢や所得要件によって異なる「自己負担限度額」を超えた場合に、超過分が支給される公的制度です。

高額療養費制度の自己負担限度額は、以下の一覧表を参照してください。

69歳以下の医療費上限額
適用区分ひと月の上限額(世帯ごと)
年収約1,160万円〜
・健保:標準報酬月額83万円以上
・国保:旧ただし書き所得901万円超
252,600円+(医療費-842,000円)×1%
年収約770〜約1,160万円
・健保:標準報酬月額53〜79万円
・ 国保:旧ただし書き所得600〜901万円
167,400円+(医療費-558,000円)×1%
年収約370〜約770万円
・健保:標準報酬月額28〜50万円 
・国保:旧ただし書き所得210〜600万円
80,100円+(医療費-267,000円)×1%
〜年収約370万円
・健保:標準報酬月額26万円以下
・国保:旧ただし書き所得210万円以下
57,600円
住民税非課税者35,400円
※1つの医療機関等での自己負担(院外処方代含む)では上限額を超えない場合でも同じ月の別の医療機関等での自己負担(69歳以下の場合は21,000円以上であることが必要)を合算することができます
参照:高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)|厚生労働省
70歳以上の医療費上限額
適用区分自己負担限度額
外来(個人ごと)外来・入院(世帯ごと)
①現役並み所得者年収約1,160万円〜
・標準報酬月額83万円以上
・課税所得690万円以上
252,600円+(医療費-842,000円)×1%
年収約770万円〜約1,160万円
・標準報酬月額53万円以上
・課税所得380万円以上
167,400円+(医療費-558,000円)×1%
年収約370万円〜約770万円
・標準報酬月額28万円以上
・課税所得145万円以上
80,100円+(医療費-267,000円)×1%
②一般所得者年収約156万円〜約370万円
・標準報酬月額26万円以下
・課税所得145万円未満等
18,000円(年144,000円)57,600円
③低所得者Ⅱ住民税非課税世帯8,000円24,600円
Ⅰ住民税非課税世帯(年金収入80万円以下等)15,000円
※1つの医療機関等での自己負担(院外処方代も含む)では上限額を超えない時でも、同じ月の別の医療機関等での自己負担を合算することができます。合算額が上限額を超えれば高額療養費の支給対象です
参照:高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)|厚生労働省

たとえば、年齢が30歳で年収300万円の場合、自己負担限度額は57,600円となり、57,600円を超えた場合は、高額療養費制度によって後から払い戻しを受けられるということです。

なお、勤務先の健康保険組合に加入している会社員や公務員の方は、上記とは自己負担限度額が異なる場合があるので、事前に確認しておくと良いでしょう。

傷病手当金

傷病手当金は、健康保険の被保険者(会社員)が病気やケガで会社を休んだ際に支給される手当金です。

支給額は「支給開始日以前の継続した12カ月間の各月の標準月額を平均した金額÷30日×2/3」で計算され、以下の支給要件を満たす場合に通算1年6カ月間は継続して支給されます。

傷病手当金の支給要件
  1. 業務外の事由による病気や怪我の療養のために休業していること
  2. 仕事に就けないない状態であること(療養担当者の意見などをもとに判断)
  3. 連続する3日間を含む4日以上仕事に就けないこと
  4. 休業期間中に事業主から給与の支払いがないこと

参照:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会

なお、傷病手当金が支給されるのは、健康保険や共済保険などの被用者保険の加入者に限定されています。

国民健康保険に加入している自営業者やフリーランスの方は、傷病手当金を受け取ることができないのでご注意ください。

障害年金

障害年金は、日常生活に支障が出るほどの障害状態となった場合に年金が支給される公的制度です。

大きく分けると国民年金加入者が受給可能な「障害基礎年金」、厚生年金加入者(会社員など)だけが請求できる「障害厚生年金」の2種類があります。

がん治療においては、抗がん剤などの薬物治療による副作用で日常生活や仕事に支障を来すと認められ、次の受給要件を満たした場合に請求手続きが可能です。

障害年金の受給要件
  1. 障害の原因となった病気や怪我の初診日が下記のいずれかであること
    (1)国民年金加入期間(障害厚生年金は厚生年金保険加入期間)
    (2)20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間(障害基礎年金のみ)
  2. 障害認定日に、障害等級表に定められる1〜2級(障害厚生年金は1〜3級)に該当する障害状態であること
  3. 初診日がある月の前々月までの被保険者期間中、保険料納付済期間が3分の2以上であること(免除期間を含む)

参照:障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構
参照:障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構

なお、障害年金は被保険者が自分で請求手続きを行う必要があります。

障害年金を請求する際には主治医との連携が必要なので、がん治療が普段の生活を妨げる可能性がある場合は事前に相談しておきましょう。

がんの治療費は医療費控除の対象

高額ながん治療費を負担した場合、その治療費は所得税における「医療費控除」の対象となる場合があります。

医療費控除とは、税務署に対して確定申告を行うことで税負担を軽減できる制度のことです。

一般的に、年間の医療費負担額が10万円を超えた場合は、医療費控除で所得税の還付を受けられる可能性があります。

なお、医療費控除の対象となる費用は、原則として公的医療保険の対象となる費用に限られるため、差額ベッド代や入院中の生活費、通院時の交通費などは医療費控除の対象外なので気をつけましょう。

まとめ

厚生労働省の「医療給付実態調査」によれば、がんの入院費用は1日あたり約7万円の治療費がかかるとされています。

また、がん患者の平均在院日数は18〜22日程度で、部位によって金額は変動するものの、一度の入院で数百万円を超える高額な治療費が発生する場合も。

ただし、日本では誰もが公的医療保険(健康保険や国民健康保険)に加入しており、窓口での治療費負担は1〜3割程度に抑えられます。

さらに、1カ月あたりの医療費負担額が自己負担限度額を超えた場合には「高額療養費制度」を利用できるので、実質的な治療費負担は大幅に軽減されるでしょう。

それ以外にも傷病手当金(被用者保険の被保険者限定)や障害年金が支給される場合もありますが、いずれも自分で申請手続きを行う必要があるので、もしもの時に備えて準備しておくことが大切です。

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※調査概要:申込数をもとに算出。オカネコ保険比較調べ、集計期間:2024/09/16〜2024/10/15(申込数が同数の場合は、資料請求数と各社ソルベンシーマージン比率をもとに算出)
※ご検討にあたっては、「商品パンフレット」・「契約概要・注意喚起情報」・「ご契約のしおり・約款」等を必ずご確認ください。

オカネコ保険比較 編集部

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