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がん保険は本当にいらない? がん罹患割合やメリット・デメリットからがん保険の必要性を解説

記事更新日: 2024年11月25日がん保険は本当にいらない? がん罹患割合やメリット・デメリットからがん保険の必要性を解説

監修者 株式会社400F オンラインアドバイザー
上田 雄貴
公的保険アドバイザー / 2級FP技能士 / 証券外務員二種

目次

家族や知人から「がん保険はいらない」と聞いて、加入するかどうか迷っている方も多いのではないでしょうか。

がん保険に加入すれば、がんの診断時や治療のための入院時にまとまった保険金が支払われるため、安心して治療に専念できる点がメリットです。

一方、がん保険に加入していても保険金を受け取れないケースがあり、誰もが利用可能な「公的医療保険」でも一定の保障が受けられるため、がん保険は不要と考える方も一定数います。

そこで、がん保険の加入を検討中の方に向けて、がんの罹患割合やがん保険に加入するメリット・加入しないデメリットを踏まえた上で、がん保険の必要性について解説します。

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※調査概要:申込数をもとに算出。オカネコ保険比較調べ、集計期間:2024/09/16〜2024/10/15(申込数が同数の場合は、資料請求数と各社ソルベンシーマージン比率をもとに算出)
※ご検討にあたっては、「商品パンフレット」・「契約概要・注意喚起情報」・「ご契約のしおり・約款」等を必ずご確認ください。

がんになる割合は男性が約62%、女性が約49%

はじめに、日本人が生涯でがんにかかる割合(罹患割合)を確認していきましょう。

国立がん研究センターの「最新がん統計」によると、がんになる割合は男性が約6割女性が約5割となっています。

性別の累積がん罹患リスクの割合(2020年データに基づく)
部位障害がん罹患リスク何人に1人か
男性女性男性女性
全がん62.1%48.9%2人2人
食道2.3%0.5%43人192人
8.9%4.2%11人24人
結腸6.1%5.7%16人18人
直腸3.6%2.2%28人46人
大腸9.7%7.8%10人13人
肝臓2.9%1.4%35人73人
胆のう・胆管1.5%1.3%68人80人
膵臓2.7%2.7%37人37人
9.6%4.7%10人21人
乳房(女性)10.6%9人
子宮3.4%30人
子宮頸部1.3%80人
子宮体部2.1%48人
卵巣1.5%65人
前立腺10.2%10人
甲状腺0.5%1.4%188人69人
悪性リンパ腫2.3%2.0%43人50人
白血病1.1%0.8%95人133人
参照:最新がん統計|国立研究開発法人国立がん研究センター

厚生労働省の「令和5年(2023)人口動態統計(確定数)の概況」によると、日本人の死因別順位数の第1位は「悪性新生物(がん)」です。

性別にみた死因順位別死亡数・死亡率(人口10万対)(令和4年)
順位総数男性女性
全死因1,576,016人(1,300.48%)802,536人(1,362.5%)773,480人(1,241.7%)
1悪性新生物:382,504人(315.6%)悪性新生物:221,360人(375.8%)悪性新生物:161,144人(258.7%)
2心疾患:231,148人(190.7%)心疾患:113,133人(192.1%)老衰:136,660人(219.4%)
3老衰:189,919人(156.7%)老衰:53,259人(90.4%)心疾患:118,015人(189.5%)
4脳血管疾患:104,533人(86.3%)脳血管疾患:51,684人(87.7%)脳血管疾患:52,849人(84.8%)
5肺炎:75,753人(62.5%)肺炎:43,554人(73.9%)肺炎:32,199人(51.7%)
※()内は死亡率を表しています
参照:第6表 性別にみた死因順位(第10位まで)別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合|令和5年(2023)人口動態統計(確定数)の概況|厚生労働省

2人に1人は一生のうちにがんと診断される結果で、多くの方ががんで亡くなっていることから、がんに対する備えを用意しておく必要性は高いと考えられます。

がん治療にかかる費用は入院治療で約20万円前後、通院治療で約2万円前後

厚生労働省の「医療給付実態調査」によると、令和3年度におけるがん治療の部位別の平均費用は、次のとおりです。

【部位別】がん治療の平均費用(令和3年度)
傷病名入院入院外
項目医療費総額自己負担(3割)医療費総額自己負担(3割)
胃がん688,874円206,662円48,712円14,614円
結腸がん679,963円203,989円45,082円13,525円
直腸がん791,798円237,539円60,564円18,169円
肝がん673,051円201,915円109,702円32,911円
肺がん733,932円220,180円107,293円32,188円
乳がん618,330円185,499円58,599円17,580円
子宮がん677,965円203,390円37,142円11,143円
悪性リンパ腫1,200,748円360,224円79,559円23,868円
白血病1,825,901円547,770円98,070円29,421円
その他の悪性新生物697,457円209,237円71,855円21,557円
良性新生物及びその他592,673円177,802円20,075円6,023円
※点数÷件数で計算された結果の小数点第一位を四捨五入した数値をまとめています
※点数は1点=10円で計算し、自己負担分は現役世代の3割負担で算出しています
参照:令和4年度医療給付実態調査(表番号5 統計表第3表)|厚生労働省

がんの入院治療はおよそ20万円前後通院治療は約2万円前後の医療費が発生します。

がんを含む病気やケガの医療費は「公的医療保険」があるおかげで、患者の自己負担額は医療費の1〜3割に軽減されます。

ですが、がん治療は長期化しやすい上、「先進医療費」や「差額ベッド代」、入院中の生活費などは公的医療保険の対象外なため、がんの治療にかかる諸費用は非常に高額です。

医療費が高額になった場合は「高額療養費制度」で自己負担限度額の超過分が後から払い戻されますが、手続きから審査完了まで約3ヵ月の時間がかかるため、一時的とは言え高額な医療費を自己負担で賄う必要があります。

一時的な支払いは大きな負担になりますが、この場合は事前にマイナ保険証・限度額適用認定証を利用することで、医療機関窓口での1か月のお支払いが最初から自己負担限度額までとすることができます。

しかし、公的医療保険が適用されない諸費用(差額ベッド代や先進医療費など)もあるため、病気やケガの治療を受けるには上記以外にも想定以上の出費が伴います。

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※調査概要:申込数をもとに算出。オカネコ保険比較調べ、集計期間:2024/09/16〜2024/10/15(申込数が同数の場合は、資料請求数と各社ソルベンシーマージン比率をもとに算出)
※ご検討にあたっては、「商品パンフレット」・「契約概要・注意喚起情報」・「ご契約のしおり・約款」等を必ずご確認ください。

がん保険と医療保険の違い

がんの医療費は、一般的な医療保険の保障範囲にも含まれています。

そのため、医療保険に入ればがん保険は必要ないのでは?と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。

本項目で、がん保険と一般的な医療保険の違いを確認しておきましょう。

がん保険と医療保険の違い
保険がん保険医療保険
特徴診断給付金や通院給付金、先進医療保障など、がんの治療による医療費全般を保障病気やケガ全般(がんを含む)の入院・手術時の医療費に保障が適用される
保障対象悪性新生物・上皮内新生物※一部例外あり病気・ケガ※がんを含む
保障内容・がん診断給付金
・がん入院給付金
・がん手術給付金
・がん通院給付金
・がん治療給付金
・先進医療特約 など
・入院給付金
・手術給付金
・その他特約 など
免責期間通常90日間なし※一部例外あり
支払限度日数無制限※一部例外あり制限あり※60日、120日など
通算入院支払限度日数無制限※一部例外あり制限あり※1,000日、1,095日など

一般的な医療保険は、病気やケガ全般の入院時や手術時に保険金が支払われます。

特約を付加すれば、がんや三大疾病など、さまざまな病気に対する保障を上乗せすることも可能です。

一方のがん保険は、がんに特化した医療保険です。がんの治療時にしか保障を受けることはできませんが、がんに罹患した際には一般的な医療保険よりも手厚い保障を受けられます。

がん保険の商品によっては、がんと診断された時点で保険金が支払われる「がん診断給付金」、特定のがん治療を受けた際に支払われる「がん治療給付金」など、通常の医療保険では受け取れない給付金も存在します。

ただし、がん保険には加入してから保障が開始されるまでの免責期間が設けられており、この期間中は一切の保障を受けられません

通常の医療保険と比べて、がん保険は支払限度日数が無制限な代わりに、保障が開始されるまでに一定の空白期間がある点が大きな違いと言えます。

がん保険の給付金・保険金の種類

がん保険の給付金や保険金の種類は、次のとおりです。

がん保険の主な保障内容
主な保障内容概要
がん診断給付金(診断一時金)がんと診断された場合に一時金が支給される
商品によって初回のみ、複数回など給付回数が異なる
がん入院給付金がんで入院した場合、入院日数に応じた金額が支給される
一般的な医療保険と異なり、支払限度日数や通算日数などの制限がないケースが多い
がん通院給付金がんの通院治療を受ける場合、通院日数に応じた金額が支給される
がん手術給付金がんの治療で所定の手術を受けた場合に一時金が支給される
1回の手術で10万円、または入院給付日額の10〜40倍を支給など、商品によって給付金額が異なる
放射線治療給付金がんの放射線治療を受けた場合に一時金が支給される
1回の放射線治療につき10万円などの定額で支払われるケースが多い
抗がん剤・ホルモン剤治療給付金抗がん剤治療、ホルモン剤治療を受けた場合、一時金が支給される
がん先進医療特約がん治療で先進医療を受けた場合、技術料を補填するための一時金が支給される
通算での支払限度額が定められているケースが多い

がん保険は、通常の医療保険と同様で、がんを治療するための入院時や手術時に給付金が支払われます。

また、がんと診断された時点で支払われる「がん診断給付金」、放射線治療を受けた際に支給される「放射線治療給付金」など、がんに特化した手厚い保障を受けられることが特徴です。

近年では医療技術が進歩し通院治療が選ばれることも増えており、通院治療が選ばれた際にも保険金が支払われる「がん通院給付金」などの保障も受けられます。

ただし、がん保険はがん治療に特化した医療保険のため、がん以外の病気やケガに対して一切の保障が受けられない点には注意が必要です。

監修者 株式会社400F オンラインアドバイザー
上田 雄貴
公的保険アドバイザー / 2級FP技能士 / 証券外務員二種

がん保険の保障内容は時代によって日々進化しています。様々な治療方法に合わせられるような保障内容であったり、以前までは対象外であったものが給付対象になったりと、昨今の医療事情に合わせた内容に変化しています。

がん保険に数十年前に加入された方も数年前に加入された方も、現在の保障内容がご自身が希望する内容になっているか、一度点検してみることをおすすめします。

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がん保険はいらないと言われる理由

先述のとおり、日本人の死因順位は悪性新生物が上位を占めているため、がん保険の必要性は高いと考えられます。

一方、以下の理由から「がん保険はいらない」とする意見もあります。

がん保険の必要性は個人の考え方で異なりますが、上記の理由でがん保険は不要とする意見もあるので、がん保険の加入を検討中の方は参考にしてください。

公的医療保険制度を利用できるから

日本では国民皆保険制度が採用されており、誰もが「公的医療保険制度」を利用できる状況です。

日本国内の場所を問わず、医療機関を自由に選ぶことができ、医療機関の窓口で健康保険証を提示すれば医療費負担が1〜3割負担に抑えられます。

公的医療保険の医療費負担の割合
年齢自己負担割合
6歳未満2割負担
6歳〜70歳未満3割負担
70〜74歳未満一般:2割負担
現役並みの所得:3割負担
75歳以上一般:1割負担
一定以上の所得:2割負担
現役並みの所得:3割負担
参照:我が国の医療保険について|厚生労働省
参照:医療費の一部負担(自己負担)割合について|厚生労働省

さらに、会社員や公務員が加入する健康保険では、がん治療で働けない期間中の収入減少を補填する「傷病手当金」を受け取れることが特徴です。

がん保険に加入せずとも、誰もが一定の医療保障を受けられる状況にあるため、がん保険は不要と言われています。

高額療養費制度を利用できるから

公的医療保険制度には、ひと月の医療費が高額になった場合に利用できる「高額療養費制度」があります。

1ヵ月あたりの医療費が、年齢や所得要件で設けられた自己負担限度額を超えた場合、その差額分が後から払い戻される制度です。

高額療養費制度の自己負担限度額は、年齢や所得状況によって次のように定められています。

70歳以上の医療費上限額
適用区分自己負担限度額
外来(個人ごと)外来・入院(世帯ごと)
①現役並み所得者年収約1,160万円〜
・標準報酬月額83万円以上
・課税所得690万円以上
252,600円+(医療費-842,000円)×1%
年収約770万円〜約1,160万円
・標準報酬月額53万円以上
・課税所得380万円以上
167,400円+(医療費-558,000円)×1%
年収約370万円〜約770万円
・標準報酬月額28万円以上
・課税所得145万円以上
80,100円+(医療費-267,000円)×1%
②一般所得者年収約156万円〜約370万円
・標準報酬月額26万円以下
・課税所得145万円未満等
18,000円(年144,000円)57,600円
③低所得者Ⅱ住民税非課税世帯8,000円24,600円
Ⅰ住民税非課税世帯(年金収入80万円以下等)15,000円
※1つの医療機関等での自己負担(院外処方代も含む)では上限額を超えない時でも、同じ月の別の医療機関等での自己負担を合算することができます。合算額が上限額を超えれば高額療養費の支給対象です
参照:高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)|厚生労働省

たとえば、69歳以下で年収が500万円の方が1ヵ月で100万円(窓口負担30万円)の医療費を支払った場合、自己負担限度額は「80,100円+(1,000,000円 -267,000円)×1%=87,430円」となります。

窓口で負担した30万円から自己負担限度額87,430円を差し引いた残りの212,570円が、高額療養費制度で後から払い戻される仕組みです。

がん治療は長期化しやすく医療費も高額になりがちですが、高額療養費制度のおかげで患者が負担する医療費は大幅に軽減されています。

さらに、高額な医療費負担が1年間で3月以上ある場合、4月目以降は自己負担限度額が引き下げられる「多数該当高額療養費制度」もあるため、さらに患者の医療費負担が軽減されるようになっています。

若い世代はがんの罹患率が低いから

国立がん研究センターが公開する最新のがん統計によると、年齢別(人口10万対)のがん罹患率は次のとおりです。

男女別のがん罹患率
性別・年齢階級別のがん罹患率(人口10万対 2020年データ)
年齢総数男性女性
0-4歳19.5 21.0 18.0 
5-9歳10.7 10.9 10.5 
10-14歳12.0 12.6 11.4 
15-19歳15.2 14.4 15.9 
20-24歳24.4 20.2 28.8 
25-29歳41.3 31.4 51.8 
30-34歳76.1 46.6 107.0 
35-39歳125.4 68.9 183.6 
40-44歳210.7 113.5 310.7 
45-49歳314.6 185.5 446.8 
50-54歳435.9 329.4 543.5 
55-59歳629.3 615.5 643.1 
60-64歳945.5 1,109.3 785.7 
65-69歳1,375.2 1,786.6 986.9 
70-74歳1,819.7 2,520.1 1,193.6 
75-79歳2,247.6 3,262.3 1,432.9 
80-84歳2,382.7 3,515.4 1,585.8 
85-89歳2,454.0 3,714.6 1,763.5 
90-94歳2,390.4 3,760.3 1,869.1 
95-99歳2,319.6 3,714.4 1,999.2 
100歳以上1,697.8 2,817.0 1,541.7 
※全がんの罹患率を参照しています
参照:全国がん罹患データ(2016年~2020年)|最新がん統計|国立がん研究センターがん情報サービス

統計データを見ると、30歳代までの年齢が若い方は、男女ともにがんの罹患率が低い傾向にあります。

30歳代までの比較的年齢が若い方であれば、がんに特化した医療保障を備えるより、一般的な病気やケガに対しても保障が適用される「医療保険」に加入するのが良いでしょう。

一方、がんの罹患率は40歳代から急激に上昇し始めるため、40歳代以降の方にはがん保険の必要性が高いと考えられます。

必ず保険金が受け取れるわけではないから

がん保険は、保険会社ごとに細かな給付条件が定められており、がんに罹患した場合でも必ず保険金が受け取れるわけではありません。

医療技術の進歩に伴い、近年のがん治療は従来までの入院治療から通院治療にシフトしています。がん入院給付金が基本保障のがん保険に加入した場合、通院治療が選ばれた際には保険金を受け取れず、保険料が無駄になってしまいます。

また、一般的ながん保険には加入から保障が開始されるまで、90日間(または3ヵ月間)の免責期間が通常設けられており、免責期間中は一切の保障を受けられないばかりか、保険契約が無効となる可能性もあります。

このように、保険料を支払ったからと言って必ずしも保険金が受け取れるわけではないため、がん保険は不要とする意見が一定数存在します。

がん保険に加入しないデメリット

ここまで、がん保険はいらないとする意見について解説してきました。

がん保険の必要性は個人の考え方によってさまざまです。がん保険に加入しない選択をする方も少なくないかと思いますが、その際には以下のデメリットがあることを理解しておかなければなりません。

がん治療の高額な医療費に貯蓄が耐えられない可能性がある

がん保険に加入していない場合、がん治療の高額な医療費に貯蓄が耐えられない可能性が考えられます。

厚生労働省の「医療給付実態調査」では、令和3年度におけるがん治療の自己負担費用に加えて、1件あたりの平均日数も公開されています。

自己負担額と平均日数から算出した治療1日あたりの自己負担費用は、次のとおりです。

治療1日あたりの自己負担費用
傷病名入院入院外
項目医療費総額自己負担(3割)1件あたりの日数1日あたりの自己負担(3割負担)医療費総額自己負担(3割)1件あたりの日数1日あたりの自己負担(3割負担)
胃がん688,874 円206,662円11日18,265円48,712円14,614円2日9,546円
結腸がん679,963円203,989円11日19,070円45,082円13,525円2日8,843円
直腸がん791,798円237,539円11日20,669円60,564円18,169円2日10,939円
肝がん673,051円201,915円11日19,189円109,702円32,911円2日19,808円
肺がん733,932円220,180円11日20,049円107,293円32,188円2日20,077円
乳がん618,330円185,499円9日21,743円58,599円17,580円2日11,022円
子宮がん677,965円203,390円9日22,252円37,142円11,143円2日7,379円
悪性リンパ腫1,200,748円360,224円15日24,402円79,559円23,868円2日15,242円
白血病1,825,901円547,770円18日30,214円98,070円29,421円2日18,136円
その他の悪性新生物697,457円209,237円11日19,387円71,855円21,557円2日13,495円
良性新生物及びその他592,673円177,802円8日23,004円20,075円6,023円1日4,476円
※点数÷件数で計算された結果の小数点第一位を四捨五入した数値をまとめています
※点数は1点=10円で計算し、自己負担分は現役世代の3割負担で算出しています
※1件あたりの日数は日数÷件数で算出し小数点第一位を四捨五入しています。
※1日あたりの自己負担費用は自己負担(3割負担)÷1件あたりの日数で算出しています
参照:令和4年度医療給付実態調査(表番号5 統計表第3表)|厚生労働省

上記のとおり、公的医療保険が適用された後の1日あたりの自己負担費用は、入院時でおよそ2万円前後通院時でおよそ1万円前後となっています。

がん保険に加入していれば保険金で治療費を賄うことができますが、がん保険に加入していない場合は全額を貯蓄から賄わなければならず、高額な医療費が貯蓄を食い潰してしまうおそれがあります。

長期治療に伴う収入減少で家族の負担が増大する可能性がある

がん治療は転移や再発の可能性が高いことから治療が長期化する傾向にあり、それに伴い医療費も高額になります。

さらに、入院のために働けない期間が長期化すれば、その間の収入減少がご自身や家族の生活にも大きな影響を与えます。

生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、直近5年間における入院のうち、逸失収入(病気やケガで得られなかった収入のこと)があると回答した人の平均割合は17.4%です。

逸失収入の有無

参照:<図表 II-16> 直近の入院時の逸失収入の有無〔年齢別〕|2022(令和4)年度 生活保障に関する調査<全体版>69ページ|生命保険文化センター

また、直近5年間における逸失収入の金額は平均30.2万円となっており、入院日数で除した1日あたりの逸失収入は平均21,000円となっています。

自己負担費用と逸失収入の総額は平均26.8万円で、ご自身や家族が暮らしていくのに決して無視できない金額であることがわかります。

会社員や公務員が加入する健康保険には、働けない期間中の収入減少を補填するための「傷病手当金」がありますが、自営業やフリーランスなどが加入する国民健康保険には、傷病手当金に該当する制度が存在しません

また、傷病手当金を受け取れる場合でも、普段の給与のおよそ3分の2程度しか支給されず、支給開始日から数えて通算で1年6ヵ月の支払限度日数も存在します。

がん保険に加入しない場合は、収入減少が原因で高額な医療費を賄うことに加え、ご自身や家族の生活への負担が大きくなるおそれがある点を理解しておきましょう。

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一部のがん保険でも収入減少をカバーできるように備えることはできますが、「就業不能保険」という保険で備える方法がおすすめです。

がんに関わらず、病気やケガによる就業不能時の収入を月額単位で補填することができます。短期~長期の就業不能時までライフプランに合った備え方も可能となっています。

そのため、がん保険ではまずがんの治療費に備えることから考え、働けないことについては別個で「就業不能保険」で併せ持つことが良いでしょう。

高額な先進医療費や自由診療費が理由で治療の選択肢が狭まる可能性がある

がん保険に加入していないと、高額な先進医療費や自由診療費が理由で、治療の選択肢が狭まってしまう可能性があります。

日本では公的医療保険制度が充実していますが、先進医療や自由診療を受ける際の医療費は保障の対象外とされています。

先進医療と自由診療の違い
  • 先進医療:厚生労働大臣によって有効性や安全性が認められ、保険給付の対象とするか評価段階にあるもの
  • 自由診療:国の承認を受けるための要件を満たしておらず、有効性などが公的に確認されていないもの

がんの治療時には先進医療や自由診療が選ばれるケースも少なくありませんが、その費用はいずれも高額です。

生命保険文化センターでは、がん治療における先進医療でかかる費用の目安を公開しているので確認してみましょう。

先進医療の例と費用の目安
先進医療技術技術料(1件当たり平均額)平均入院期間年間実施件数
陽子線治療2,659,010円15.6日824件
重粒子線治療3,135,656円4.2日462件
抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺伝子検査37,514円50.6日202件
ウイルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法)28,140円2.7日844件
細胞診検体を用いた遺伝子検査80,522円4.3日282件
内視鏡的胃局所切除術210,717円8.6日37件
子宮内膜受容能検査1130,409円4,847件
参照:中央社会保険医療協議会「令和5年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」
技術料は先進医療費総額÷年間実施件数にて算出

がん治療で選ばれることが多い「陽子線治療」は約266万円「重粒子線治療」は約314万円と非常に高額な医療費が発生します。

保険会社の中には、がん保険に「先進医療特約」を付加できる場合があるため、がん保険に加入しておくことで万一の高額な医療費にも備えられるようになります。

一方、がん保険に加入していない場合は、これらの先進医療費を全額自己負担で賄わなければなりません。それ以外にも入院費用やその他の支払い、収入減少などの問題も発生するため、金銭面で患者に大きな負担がのしかかります。

がん保険に加入するメリット

がん保険に加入するメリットは、次のとおりです。

がん治療の高額な医療費に備えられる

がん保険に加入していれば、がん治療の際に発生する高額な医療費に備えられるようになります。

一般的な医療保険は入院給付金と手術給付金の2種類が基本保障となりますが、がん保険の場合は、がんと診断された時点で保険金が支払われる「がん診断給付金」が受け取れるタイプもあります。

近年のがん治療は医療技術の進歩に伴い通院治療が選ばれるケースも増えているため、診断給付金タイプのがん保険に加入すれば、入院の有無を問わずまとまった一時金を受け取れます。

がん治療に特化した様々な保障で手厚い備えを準備できる

がん保険では、基本的な入院保障や手術保障に加え、所定の治療を受けた場合に上乗せの給付金が支給される場合があります。

たとえば、抗がん剤治療や放射線治療を受けた際に別途給付金が支給される場合があり、がんに対して一般的な医療保険よりも手厚い備えを準備できることが特徴です。

先述のとおり、がん治療に特化した先進医療特約を付加できる場合も多いので、金銭面に対する不安が軽減され、安心して治療に専念できるようになります。

支払った保険料は生命保険料控除の対象になる

がん保険に支払う保険料は、生命保険料控除の対象です。

確定申告や年末調整などで所定の手続きを行うことで、1年間のうちに支払った保険料に応じて最大40,000円の所得控除が受けられます。

新契約に基づく場合の生命保険料控除額
年間の支払保険料等控除額
20,000円以下支払保険料等の全額
20,000円〜40,000円以下支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円〜80,000円以下支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円以上一律40,000円
参照:生命保険料控除|国税庁
参照:がん保険の保険料|国税庁

万一の事態に備えてがんに対する手厚い保障を用意しながら、税負担の軽減効果も期待できます。

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※調査概要:申込数をもとに算出。オカネコ保険比較調べ、集計期間:2024/09/16〜2024/10/15(申込数が同数の場合は、資料請求数と各社ソルベンシーマージン比率をもとに算出)
※ご検討にあたっては、「商品パンフレット」・「契約概要・注意喚起情報」・「ご契約のしおり・約款」等を必ずご確認ください。

がん保険の必要性が低い人

ここまでに解説したがん保険に加入しないデメリット、がん保険に加入するメリットを踏まえた上で、がん保険の必要性が低い人の特徴は次のとおりです。

すでに十分な貯蓄や多額の資産を保有している場合

がん保険は、がんの治療を受ける際に発生する高額な医療費に備えるための保険です。

すでに十分な貯蓄や多額の資産を保有しており、がん治療の際に発生する医療費を賄える場合は、がん保険に加入する必要はありません。

ただし、がんの治療で先進医療や自由診療を選んだ場合、想定以上の高額な出費が発生する可能性もあるため、収入や貯蓄に少しでも不安がある方はがん保険や医療保険への加入を検討したほうが良いでしょう。

勤務先の福利厚生や健康保険で十分な保障を受けられる場合

会社員や公務員が加入する健康保険では、入院などで働けない期間が発生した際に「傷病手当金」が支給されます。

また、勤務先独自の福利厚生で上乗せの手当が支給されるケースもあるため、すでに十分な保障を受けられる状況にある人はがん保険の必要性は低いと考えられます。

他に加入中の医療保険で十分な保障を備えている場合

すでに医療保険に加入しており、がん保障特約や三大疾病特約を付加している場合も、がん保険に加入する必要性は低いと言えます。

保障内容が重複している場合、受け取れる保険金額には上限がある一方で、保険料は通常通り負担しなければなりません。

実質的に保険料を無駄に支払うことにもなりかねないため、すでに加入している医療保険がある場合は保障内容を確認し、がんに対する保障が不十分な場合にがん保険への加入を検討しましょう。

掛け捨て型の保険に加入したくない場合

がん保険の保険料は、掛け捨て型の保険商品が多い傾向にあります。

保障を用意しながら、同時に将来を見据えた貯蓄にも取り組みたい方は、解約返戻金がある貯蓄型保険(終身保険や養老保険など)を検討するのが良いでしょう。

がん保険の必要性が高い人

一方、がん保険の必要性が高い人の特徴は、次のとおりです。

収入や貯蓄が少ない人

がんの治療で発生する医療費は公的医療保険の保障対象に含まれています。ですが、がん治療が長期化すると自己負担分が積み重なり、結果的に患者が負担する医療費は高額となります。

高額療養費制度を利用できるとは言え、自己負担限度額の超過分が払い戻されるのは手続きを行ってから3ヵ月程度の期間が空きます

この場合は事前にマイナ保険証・限度額適用認定証を利用することで、医療機関窓口での1か月のお支払いが最初から自己負担限度額までとすることができますが、公的医療保険が適用されない諸費用(差額ベッド代や先進医療費など)は自己負担となります。

一時的とは言え、想定外の支出が増える可能性は高く、収入や貯蓄が少ない人はがん保険に加入して、もしものときに備えておいたほうが安心です。

自営業やフリーランスなどの個人事業主

先述のとおり、自営業やフリーランスなどの個人事業主が加入する国民健康保険には、会社員や公務員が加入する健康保険の「傷病手当金」に該当する制度が存在しません。

がんの治療を受けるために働けない期間が長引いたり、稼働時間が減ったりすると、その影響が収入面に直結し家計の大きな負担となります。

治療期間が長引いた場合や収入が減少してしまった場合でも、がん保険に加入していれば保険金を生活費に充てられます。

会社員や公務員よりも公的保障が手薄なので、自営業やフリーランスなどの個人事業主の方は、優先的にがん保険への加入を検討しましょう。

子どもの教育資金や住宅ローンの支払いが続いている人

子どもの教育資金や住宅ローンの支払いなど、大きな出費が続いている人にとってもがん保険の必要性は高いと言えます。
たとえば、文部科学省の「子供の学習費調査」によると、令和3年度における学校種別学習費総額は次のとおりです。

学校種別公立私立
幼稚園165,126円308,909円
小学校352,566円1,666,949円
中学校538,799円1,436,353円
高等学校512,971円1,054,444円
※令和3年度における「年額」です
参照:表1 学校種別学習費総額の推移|令和3年度 子供の学習費調査|文部科学省

大学に通わせることを踏まえると、子どもの養育費や教育資金はさらに高額となります。

これらは入院中も継続して支払いが発生する上に、高額な医療費負担と収入減少の影響を受けて、経済的に厳しい状況に陥りがちです。

がん保険に加入していれば、まとまった一時金を受け取ることができるため、収入減少や高額な医療費への補填、教育資金や住宅ローンの支払いなどに保険金を充てられるようになります。

家族が生活に困らないようにするためにも、子どもの教育資金や住宅ローンの支払いが続いている人は、優先的にがん保険を検討するのがおすすめです。

まとめ

「がん保険はいらない」とされる理由には、主に次の4つの理由が挙げられます。

日本人の死因順位は悪性新生物(がん)が上位を占めており、生涯のうち、2人に1人はがんに罹患する可能性があると言われています。

がん保険の必要性は個人の考え方で異なりますが、以下に該当する場合はがん保険の必要性は高いと考えられます。

がん保険への加入を検討中の方は、本記事を参考にして加入すべきかをご判断ください。

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※調査概要:申込数をもとに算出。オカネコ保険比較調べ、集計期間:2024/09/16〜2024/10/15(申込数が同数の場合は、資料請求数と各社ソルベンシーマージン比率をもとに算出)
※ご検討にあたっては、「商品パンフレット」・「契約概要・注意喚起情報」・「ご契約のしおり・約款」等を必ずご確認ください。

株式会社400F オンラインアドバイザー 上田雄貴

上田 雄貴

株式会社400F オンラインアドバイザー
公的保険アドバイザー / 2級FP技能士 / 証券外務員二種

オカネコ保険比較 編集部

オカネコ保険比較 編集部

オカネコ保険比較は「オカネコ」を運営する株式会社400F(フォーハンドレッド・エフ、本社:東京都中央区、代表取締役社長:中村 仁)が運営、デジタル技術を駆使し、保険選びをシンプルで分かりやすく、そして便利にすることで、各人が自身に合った保険を見つけられるよう努め、手続きの煩雑さを減らすことを目指しています。

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