法人口座の開設時には、多くの書類提出を求められます。
そこで本記事では、法人口座開設の必要書類と口座開設時の流れを解説します。銀行ごとの特徴や審査基準、おすすめの法人口座も案内しているため、ぜひ参考にしてください。
- 事業の内容や取引実態が明確であるかどうかが、法人口座開設時の審査で確認される可能性が高いため、公式サイトや会社案内、取引先との契約書や請求書など、事業の内容と実態を証明できる材料をそろえることが大切
- ネット銀行の場合、基本的に口座開設時の面談が不要のため、審査がスピーディかつ銀行によっては申込後に即日で口座開設が可能
- 2025年5月に三井住友銀行が中小企業向け法人口座サービス「Trunk」をリリースしたことで、他のメガバンク、都市銀行でも中小企業向け法人口座の展開が進む可能性がある
注記:当サイトを経由したお申し込みがあった場合、当社は提携する各企業から報酬の支払いを受けることがあります。提携や報酬の支払いの有無が、当サイト内での評価に影響を与えることのないようにしています。

【共通】法人口座開設に必要な書類
法人口座開設の際、一般的に求められることが多い必要書類は下記のとおりです。
一般的に提出が必要な書類 | ||
---|---|---|
必要書類 | 補足 | 取得場所 |
履歴事項全部証明書 | 発行後6か月以内の原本 | 法務局 |
法人の印鑑登録証明書 | 発行後6か月以内の原本 | 法務局 |
代表者(または手続きを行う担当者)の本人確認書類 | マイナンバーカードや運転免許証など | 書類により異なる |
主たる事業の許認可証(必要な場合のみ) | 有効期限内のもの | 業種により異なる |
実質的支配者を確認できる書類(代表者以外に株主や役員などがいる場合) | 法人の定款や実質的支配者情報一覧など | ・実質的支配者情報一覧:法務局 ・法人の定款:会社 |
一部ネット銀行では、必要書類が「履歴事項全部証明書」「本人確認書類」のみでよい場合もあります。業種や事業の状況によって必要書類は変わってくるため、申込みの際は必ず銀行に確認するようにしてください。
追加で求められることがある書類
上記のほか、事業内容や事業実態を確認するための書類も追加で求められることがあります。
【事業内容の確認書類】
- 会社案内
- パンフレット
- 事業計画書
- 会社の公式サイト
【事業実態の確認書類】
- 取引先との調印済契約書
- 取引先からの請求書+その入出金が確認できる口座明細
- (事業実績が1年以上の場合)他行で開設済みの事業用口座の通帳・明細等、決算書、確定申告書
会社を設立したての新規法人は事業実態がないため、会社案内や事業計画書など、事業内容がわかる書類を一通りそろえましょう。また、公式サイトは無料サイトやSNS利用ではなく、独自ドメインの公式サイトを用意したほうが信頼性が高まります。
すでに事業を開始している法人であれば、取引先との調印済契約書や請求書を提出します。法人成りした場合は、個人事業者の取引書類を提出してください。調印済の業務委託契約書や請求書を提出し、順調な取引の末に法人化したことを強調しましょう。
金融機関別の法人口座開設時の審査の特徴・注意点
法人口座の審査は金融機関によって違いがあります。ここでは、以下の銀行のタイプ別に審査の特徴と注意点を解説します。
メガバンク・都市銀行
- 審査が非常に厳しい
- 必要書類が多い
- 面談が必要になることが多い
都市銀行、中でもメガバンク3行(三菱UFJ、三井住友、みずほ銀行)は審査が厳しい傾向にあります。
元来、メガバンクの主要取引法人は日本を代表する大企業や上場企業が中心です。取引においては法人の規模や信用力の高さ、事業実態や実績を重視しています。そのため、新設したばかりの法人や目立った実績がないマイクロ法人だと、審査に通る可能性は低いと考えられます。
とはいえ、2025年5月に三井住友銀行が中小企業向け法人口座サービス「Trunk」をリリースしました。これを機に、今後は他のメガバンク、都市銀行でも中小企業向け法人口座の展開が進むかもしれません。

地方銀行・信用金庫
- 登記上の所在地が営業エリア内であることが開設条件
- 柔軟な審査対応が期待できる
- 面談が必要になることが多い
- 地域の創業支援も積極的に行っている
地方銀行・信用金庫は全国対応ではなく、その地域に本社や事業所を構える必要があります。
一方で、地域に根ざした事業や法人への支援が手厚く、審査も柔軟に対応してもらえる点は大きなメリットです。銀行によっては創業支援も行っているため、新設法人でも口座開設や創業融資相談などが可能です。
メガバンクや都市銀行と同様、審査にはある程度時間がかかること、ウェブまたは対面での面談が必要な点には注意してください。
ネット銀行
- 申込みから書類提出までオンラインで手続き可能
- 審査がスピーディ
- 必要書類が少ない
- 面談が不要なことが多い
ネット銀行はオンラインですべての手続きを行えるうえ、多くの場合で口座開設時の面談が不要です。面談がないため審査がスピーディで、申込後に即日で口座開設できる銀行もあります。
一方で、提出書類に不足や間違いがあったとしても、対面で指摘してくれる担当者はいません。不備によって口座開設が不可になる可能性もあるため、書類を用意する際は間違いがないように気を付けてください。このように、手続きの際に対面で相談できない点に注意が必要です。

法人口座の開設方法・流れ
法人口座開設時の一般的な流れは下記のとおりです。
- 銀行の選定:法人の規模や利用目的に合った銀行を選ぶ
- 必要書類の準備:共通書類と追加書類をそろえる
- 口座開設を申込む:オンラインまたは対面、電話で申し込む
- 必要書類提出:オンラインまたは郵送、対面で提出
- 行員と面談:対面またはウェブ面談を行う(ネット銀行は不要)
- 審査期間(即日〜3週間):銀行によって異なる
- 口座開設完了:通帳やキャッシュカードを受け取る
以前は、法人口座の開設と言えば対面での手続きが主流でした。
しかし近年は、メガバンクや地方銀行でもオンライン申込みやウェブ面談の対応を拡充しています。最近は三井住友銀行が中小企業向け法人口座サービス(Trunk/トランク)の提供を開始し、法人口座のありかたも少しずつ変わってきています。
そのため、申込みの方法や必要書類の内容、審査期間はその都度異なる可能性があります。申込みの際は事前に各行に確認するようにしてください。
▼三井住友銀行の中小企業向け法人口座「Trunk」の詳細はこちら

法人口座におすすめの銀行5選
法人口座におすすめの銀行として、以下の5つの銀行を紹介します。各行の特徴とあわせて、おすすめの理由を解説するので、ぜひ参考にしてください。
GMOあおぞらネット銀行 | 三井住友銀行「Trunk」 | 住信SBIネット銀行 | PayPay銀行 | 楽天銀行 | |
---|---|---|---|---|---|
ネットバンキング費用(維持費) | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
他行宛振込手数料 | 一律145円※1,2 | 一律145円 | 一律145円※3 | 一律145円 | 150-229円 |
ATM利用手数料 | 110円※2 | 当行ATM:0-110円 提携ATM:220-330円 | 110円(ゆうちょ銀行ATM330円) | 3万円以上:0円 3万円未満:165円(ゆうちょ銀行ATM330円)※4 | 220-275円 |
当日振込可能時間 | 24時間対応 | 24時間対応 | 24時間対応 | 24時間対応 | 24時間対応 |
総合振込の可否 | 最大9,999件振込可 | あり | 最大9,999件振込可 | 最大3万件振込可 | 最大3,000件振込可 |
法人用キャッシュカードの発行 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
海外送金 | 〇 | 不明 | 〇 | 〇(提携サービス) | 〇 |
融資商品 | ビジネスローン(1,000万円) | 不明 | ・最大3,000万円融資 ・資金調達支援サービス | ビジネスローン(1,000万円) | ー |
詳細ページ | 詳細 | 詳細 | 詳細 | 詳細 | 詳細 |
公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※1:新規法人口座開設で、開設日の翌々月まで他行宛振込手数料が月20回まで無料。設立1年未満の法人の場合、他行宛振込手数料が設立月から12か月間、月20回無料
※2:月額500円(振込料金とくとく会員入会)で、振込手数料一律129円/件、ATM出金手数料が月5回無料
※3:振込件数に応じて振込手数料が最大130円まで下がる。口座開設日の当月および翌月は月10回無料
※4:毎月最初の1回は入金も出金も0円(利用金額が3万円以上でもその月の最初の1回としてカウント)
GMOあおぞらネット銀行
GMOあおぞらネット銀行
\ 設立1年未満の法人でも申し込みでき手数料もお得! /
- 入金:110円
- 出金:110円※2
- 同行宛:無料
- 他行宛:145円※1,2
初期費用・維持費 | 無料 |
当日振込可能時間 | 24時間 |
※1:新規法人口座開設で、開設日の翌々月まで他行宛振込手数料が月20回まで無料。設立1年未満の法人の場合、他行宛振込手数料が設立月から12か月間、月20回無料
※2:月額500円の振込料金とくとく会員入会で、振込手数料一律129円/件、ATM出金手数料が月5回無料
- 初期費用や維持費は0円で、振込手数料は業界最安水準
- 月額500円の「振込料金とくとく会員」入会で他行宛振込手数料が月129円に
- 新設法人やバーチャルオフィス・携帯電話のみでも手続き可能
- 取引可能なATM:セブン銀行ATM・イオン銀行ATM・ゆうちょ銀行ATM
╲ 新規口座開設月の翌々月まで他行宛手数料が月20回まで無料/
手数料はすべて税込みです。
三井住友銀行「Trunk」
三井住友銀行「Trunk」
\ 三井住友銀行の中小企業向け法人口座 /
- 当行ATM
- 平日(8:45-18:00):0円
- 時間外:110円
- 提携ATM:
- 平日(8:45-18:00):220円
- 時間外:330円
- 同行宛:無料
- 他行宛:140円
初期費用・維持費 | 無料 |
当日振込可能時間 | 24時間 |
- 三井住友銀行が2025年5月に開始した、中小企業向けのデジタル総合金融サービス
- 口座開設や各種手続きをオンラインに特化
- 初期費用や維持費は0円で、振込手数料は業界最安水準
- 法人用クレジットカードの発行も可能でVポイントも貯まる
- 取引可能なATM:イーネットATM・ローソン銀行ATM・セブン銀行ATM
╲ 総額48,000円相当がお得になるリリースキャンペーン実施中!/
手数料はすべて税込みです。

住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行
\ 必要書類は代表者の運転免許証のみで最短翌営業日に口座開設 /
- 入金:110円(ゆうちょ銀行ATMは330円)
- 出金:110円(ゆうちょ銀行ATMは330円)
- 同行宛:無料
- 他行宛:145円※
初期費用・維持費 | 無料 |
当日振込可能時間 | 24時間 |
※振込件数に応じて振込手数料が最大130円まで下がる。口座開設日の当月および翌月は月10回無料
- 初期費用や維持費は0円で、振込手数料は業界最安水準
- 完全オンラインで口座開設でき、必要書類は法人代表者の運転免許証のみ
- 事業性融資dayta(デイタ)は口座を利用するだけで借入条件をご案内
- 取引可能なATM:セブン銀行ATM・イオン銀行ATM・ゆうちょ銀行ATMほか
╲ 新規口座開設月と翌月は他行宛手数料が月10回まで無料/
手数料はすべて税込みです。
PayPay銀行
PayPay銀行
\ 各種手数料がお得に利用できる! /
- 3万円以上:0円
- 3万円未満:165円(ゆうちょ銀行は330円)
- 同行宛:無料
- 他行宛:145円※
初期費用・維持費 | 無料 |
当日振込可能時間 | 24時間 |
※前月の預金平均残高(円普通預金、円定期預金)が3,000万円以上の場合、振込手数料が同行宛・他行宛合計月5回まで無料。新規口座開設月の翌々月末までの他行宛振込手数料が毎月5回無料
- 初期費用や維持費は0円で、振込手数料は業界最安水準
- 提携ATMの入出金手数料は3万円以上の利用であればいつでも0円
- 一定の条件を満たせば法人代表者の運転免許証のみで口座開設手続き可能
- 取引可能なATM:セブン銀行ATM・イオン銀行ATM・ゆうちょ銀行ATMほか
╲ 新規口座開設月の翌々月末までの他行宛振込手数料が毎月5回無料/
手数料はすべて税込みです。
楽天銀行
楽天銀行
\ ビジネスカードの発行や海外送金が多い方におすすめ! /
- 入金・出金:220~275円(提携ATMによって異なる)
- 同行宛:52円
- 他行宛:3万円未満150円/3万円以上229円
初期費用・維持費 | 無料 |
当日振込可能時間 | 24時間 |
- 2024年7月時点で預金口座数は1,600万口座を突破(個人口座含む)
- 提携ATMが多く(9つ)、使い勝手が良い
- 還元率1%のビジネスデビットカードの発行が可能(与信審査不要で最大9,999枚まで発行可能)
- 海外送金手数料は1,000円(非課税)と業界最低水準
- 取引可能なATM:セブン銀行ATM・イオン銀行ATM・ゆうちょ銀行ATMほか
╲ 利用者が多く法人口座も使いやすい /
手数料はすべて税込みです。
法人口座開設時の主な審査基準
法人口座の審査基準は非公開ですが、一般的には下記の項目がチェックされる傾向があります。
法人口座開設時に確認される可能性が高い項目
- 事業の内容や取引実態が明確か
- 資本金が少なすぎないか
- 代表者や役員の経歴・信用情報に問題はないか
もっとも重要なことは、事業の内容や取引実態が明確であるかどうかです。
必要書類の項で解説したとおり、公式サイトや会社案内、取引先との契約書や請求書など、事業の内容と実態を証明できる材料を一通りそろえましょう。
法人成りの場合を除き、まったくの新設法人でこれらの書類がない場合、審査通過は厳しくなることが予想されます。口座開設前に法人で事業の実績を作ることをおすすめします。
資本金や個人信用情報にも気を付けてください。法的には資本金1円でも法人設立は可能ですが、あまりに少ない金額では実態を疑われやすくなります。最低でも50~100万円程度、可能であれば100万円以上の資本金を用意すると審査も通りやすくなるでしょう。
また、代表者や役員の経歴も重要です。特に滞納や自己破産といった個人信用情報の傷がある場合は、その履歴が消えるまで口座開設を待つのも一つの方法です。
【Q&A】法人口座開設時の必要書類に関するよくある質問
法人口座開設時によくある質問をQ&A形式で解説します。
- 赤字決算だと追加の提出書類が必要?
-
口座開設は融資審査ではないため、赤字決算そのものが問題視されるわけではありません。重要なのは事業の実態と継続性です。
一時的な赤字や先行投資による赤字などで、将来的な黒字化の見込みが明確であれば、赤字でも許容される可能性はあります。
また、銀行によっては必要書類で決算書の提出を求めておらず、業績を注視されない場合もあります。
- 法人口座が作れないときはどうすべき?
-
法人口座の開設に法的な義務はありません。新設法人などでどうしても口座を作れないときは、実績ができるまで個人口座を活用しましょう。
ただし、個人口座は資金の流れが不透明になりやすく、取引先からの信頼性という面でも長期の利用は好ましくありません。円滑な経営を考えるといずれ法人口座は必要になるため、口座が作れないときは別の銀行で申し込むのも一つの方法です。
ネット銀行は比較的申込要件がゆるい傾向にあり、改めて申し込む際の候補におすすめです。なお、口座を作れなかった理由が書類の不備や不足であれば、必要な書類をしっかりと整えてから申し込むようにしてください。
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まとめ
法人口座をスムーズに開設するためには、事業の内容や実態が明確にわかる書類を用意することが重要です。各銀行の口座開設要件を確認し、参考例として記載されている書類や公式サイトはできる限りそろえるようにしましょう。
また、銀行によって審査の特徴は異なります。たとえば、メガバンクを含む都市銀行は審査が厳しく、新設法人やマイクロ法人では口座を作れない可能性があります。ご紹介した特徴をもとに、現在の取引状況や企業規模に適した銀行での法人口座開設を目指しましょう。
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