企業にとって、法人口座の開設は法的な義務ではありません。個人口座でも事業経営を行うことに問題はないため、法人口座なしで起業した人もいるでしょう。
しかし、ビジネスにおいては法人口座がないと困る場面が多いのが実情です。会社の売上・経費などの資金管理、取引先との信頼関係構築などを考えると、いずれ法人口座は必要になるでしょう。
そこで今回は、法人口座の開設を検討している人におすすめの銀行や選び方を解説します。法人口座開設に際しよくある疑問もQ&A形式で紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
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法人口座が作れる金融機関とメリット・デメリット
法人名義の口座は幅広い金融機関で開設できます。
ここでは代表的な銀行を「都市銀行」「地方銀行・信用金庫」「ネット銀行」の3つに分け、それぞれの特徴と口座開設のメリット・デメリットを解説します。
都市銀行 (メガバンク含む)のメリット・デメリット
都市銀行 (メガバンク含む)のメリット・デメリット | |||
---|---|---|---|
メリット | ・資金力があるため大規模な融資を受けやすい ・取り扱う金融商品が豊富で幅広いサービスを受けられる | ||
デメリット | ・口座開設時の申込要件が厳しい ・申込時の提出書類が多く、審査に一定の時間がかかる |
都市銀行とは、都市部に本店を持ち、全国規模で展開する銀行のことです。メガバンクは、その中でもとりわけ大きな資産規模・収益力を持つ3行(みずほ銀行・三井住友銀行・三菱UFJ銀行)を指します。
いずれも日本全国に支店を持ち、広範なネットワークと充実したサービスで法人顧客にサービスを提供します。
ただし、申込要件が厳しいため特に新設法人や資本金が少ない中小企業の場合、口座開設を断られる可能性があるでしょう。
地方銀行・信用金庫のメリット・デメリット
地方銀行・信用金庫のメリット・デメリット | |||
---|---|---|---|
メリット | ・ローカルビジネスの支援に強い | ||
デメリット | ・地域外やオンラインのサービスが弱い |
地方銀行・信用金庫は、特定の地域を営業基盤とした金融機関です。地域内に複数の支店・ATMを持ち、地元の中小企業や個人事業主を対象に事業支援を行っています。
地方銀行・信用金庫は地元の企業や団体と強固なネットワークを築いているため、地域に根ざした事業を行う場合、心強い相談相手になるでしょう。
一方で、地域に特化したサービスを展開していることから、サービス面が都市銀行やネット銀行に劣ると感じるかもしれません。
ネット銀行のメリット・デメリット
ネット銀行のメリット・デメリット | |||
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メリット | ・他行宛振込手数料など各種手数料が安い ・操作性の高いアプリやサイトを提供している ・口座開設時の申込基準が比較的やさしい | ||
デメリット | ・対面型の銀行と比べて融資限度額が小さい傾向にある ・対面での経営相談ができない |
ネット銀行とは、ネット完結型の金融サービスを展開する金融機関です。
基本的に店舗を持たないため対面サービスの提供はなく、オンラインサービスが中心です。ネット取引が主体の法人であれば、非常に使い勝手がよいでしょう。
一方で店舗がないため、現金での取引機会が多い事業では不便さを感じるかもしれません。

法人口座におすすめの銀行5選
法人口座におすすめの銀行として、以下の5つの銀行を紹介します。各行の特徴とあわせて、おすすめの理由を解説するので、ぜひ参考にしてください。
三井住友銀行「Trunk」 | GMOあおぞらネット銀行 | 住信SBIネット銀行 | PayPay銀行 | 楽天銀行 | |
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ネットバンキング費用(維持費) | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
他行宛振込手数料 | 一律145円 | 一律145円※1,2 | 一律145円※3 | 一律145円 | 150-229円 |
ATM利用手数料 | 当行ATM:0-110円 提携ATM:220-330円 | 110円※2 | 110円(ゆうちょ銀行ATM330円) | 3万円以上:0円 3万円未満:165円(ゆうちょ銀行ATM330円)※4 | 220-275円 |
当日振込可能時間 | 24時間対応 | 24時間対応 | 24時間対応 | 24時間対応 | 24時間対応 |
総合振込の可否 | あり | 最大9,999件振込可 | 最大9,999件振込可 | 最大3万件振込可 | 最大3,000件振込可 |
法人用キャッシュカードの発行 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
海外送金 | 不明 | 〇 | 〇 | 〇(提携サービス) | 〇 |
融資商品 | 不明 | ビジネスローン(1,000万円) | ・最大3,000万円融資 ・資金調達支援サービス | ビジネスローン(1,000万円) | ー |
詳細ページ | 詳細 | 詳細 | 詳細 | 詳細 | 詳細 |
公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※1:新規法人口座開設で、開設日の翌々月まで他行宛振込手数料が月20回まで無料。設立1年未満の法人の場合、他行宛振込手数料が設立月から12か月間、月20回無料
※2:月額500円(振込料金とくとく会員入会)で、振込手数料一律129円/件、ATM出金手数料が月5回無料
※3:振込件数に応じて振込手数料が最大130円まで下がる。口座開設日の当月および翌月は月10回無料
※4:毎月最初の1回は入金も出金も0円(利用金額が3万円以上でもその月の最初の1回としてカウント)
三井住友銀行「Trunk」
三井住友銀行「Trunk」
\ 三井住友銀行の中小企業向け法人口座 /
- 当行ATM
- 平日(8:45-18:00):0円
- 時間外:110円
- 提携ATM:
- 平日(8:45-18:00):220円
- 時間外:330円
- 同行宛:無料
- 他行宛:140円
初期費用・維持費 | 無料 |
当日振込可能時間 | 24時間 |
- 三井住友銀行が2025年5月に開始した、中小企業向けのデジタル総合金融サービス
- 口座開設や各種手続きをオンラインに特化
- 初期費用や維持費は0円で、振込手数料は業界最安水準
- 法人用クレジットカードの発行も可能でVポイントも貯まる
- 取引可能なATM:イーネットATM・ローソン銀行ATM・セブン銀行ATM
╲ 総額48,000円相当がお得になるリリースキャンペーン実施中!/
手数料はすべて税込みです。

GMOあおぞらネット銀行
GMOあおぞらネット銀行
\ 設立1年未満の法人でも申し込みでき手数料もお得! /
- 入金:110円
- 出金:110円※2
- 同行宛:無料
- 他行宛:145円※1,2
初期費用・維持費 | 無料 |
当日振込可能時間 | 24時間 |
※1:新規法人口座開設で、開設日の翌々月まで他行宛振込手数料が月20回まで無料。設立1年未満の法人の場合、他行宛振込手数料が設立月から12か月間、月20回無料
※2:月額500円の振込料金とくとく会員入会で、振込手数料一律129円/件、ATM出金手数料が月5回無料
- 初期費用や維持費は0円で、振込手数料は業界最安水準
- 月額500円の「振込料金とくとく会員」入会で他行宛振込手数料が月129円に
- 新設法人やバーチャルオフィス・携帯電話のみでも手続き可能
- 取引可能なATM:セブン銀行ATM・イオン銀行ATM・ゆうちょ銀行ATM
╲ 新規口座開設月の翌々月まで他行宛手数料が月20回まで無料/
手数料はすべて税込みです。
住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行
\ 必要書類は代表者の運転免許証のみで最短翌営業日に口座開設 /
- 入金:110円(ゆうちょ銀行ATMは330円)
- 出金:110円(ゆうちょ銀行ATMは330円)
- 同行宛:無料
- 他行宛:145円※
初期費用・維持費 | 無料 |
当日振込可能時間 | 24時間 |
※振込件数に応じて振込手数料が最大130円まで下がる。口座開設日の当月および翌月は月10回無料
- 初期費用や維持費は0円で、振込手数料は業界最安水準
- 完全オンラインで口座開設でき、必要書類は法人代表者の運転免許証のみ
- 事業性融資dayta(デイタ)は口座を利用するだけで借入条件をご案内
- 取引可能なATM:セブン銀行ATM・イオン銀行ATM・ゆうちょ銀行ATMほか
╲ 新規口座開設月と翌月は他行宛手数料が月10回まで無料/
手数料はすべて税込みです。
PayPay銀行
PayPay銀行
\ 各種手数料がお得に利用できる! /
- 3万円以上:0円
- 3万円未満:165円(ゆうちょ銀行は330円)
- 同行宛:無料
- 他行宛:145円※
初期費用・維持費 | 無料 |
当日振込可能時間 | 24時間 |
※前月の預金平均残高(円普通預金、円定期預金)が3,000万円以上の場合、振込手数料が同行宛・他行宛合計月5回まで無料。新規口座開設月の翌々月末までの他行宛振込手数料が毎月5回無料
- 初期費用や維持費は0円で、振込手数料は業界最安水準
- 提携ATMの入出金手数料は3万円以上の利用であればいつでも0円
- 一定の条件を満たせば法人代表者の運転免許証のみで口座開設手続き可能
- 取引可能なATM:セブン銀行ATM・イオン銀行ATM・ゆうちょ銀行ATMほか
╲ 新規口座開設月の翌々月末までの他行宛振込手数料が毎月5回無料/
手数料はすべて税込みです。
楽天銀行
楽天銀行
\ ビジネスカードの発行や海外送金が多い方におすすめ! /
- 入金・出金:220~275円(提携ATMによって異なる)
- 同行宛:52円
- 他行宛:3万円未満150円/3万円以上229円
初期費用・維持費 | 無料 |
当日振込可能時間 | 24時間 |
- 2024年7月時点で預金口座数は1,600万口座を突破(個人口座含む)
- 提携ATMが多く(9つ)、使い勝手が良い
- 還元率1%のビジネスデビットカードの発行が可能(与信審査不要で最大9,999枚まで発行可能)
- 海外送金手数料は1,000円(非課税)と業界最低水準
- 取引可能なATM:セブン銀行ATM・イオン銀行ATM・ゆうちょ銀行ATMほか
╲ 利用者が多く法人口座も使いやすい /
手数料はすべて税込みです。
法人口座の選び方とおすすめの銀行
法人口座のニーズは企業によって異なります。企業に適した法人口座を選ぶために、見るべきポイント別におすすめの銀行を紹介します。
維持費(月額料金)が安い銀行
通常、法人口座の維持には一定の月額料金がかかります。少しでも経営コストを抑えるためには、維持費がかからないネットバンキングの法人口座がおすすめです。
今回紹介した5つの銀行(三井住友銀行のTrunk、GMOあおぞらネット銀行、住信SBIネット銀行、PayPay銀行、楽天銀行)は法人口座の月額料金が無料で利用できます。
他行宛の振込手数料が安い銀行
ビジネスに企業間の振込は欠かせないため、他行宛振込手数料の安さも重要です。振込件数や利用状況に応じて、他行宛振込の無料回数が付く場合もあります。
GMOあおぞらネット銀行は、月額500円の「振込料金とくとく会員」になれば129円/回に下げることが可能です。
住信SBIネット銀行は振込件数に応じて最安で130円/回になるプログラムがあり、振込が多い企業ほどお得に利用できます。
- 三井住友銀行Trunk:145円/回
- GMOあおぞらネット銀行:145円/回(500円の月額会員になると129円/回。新規口座開設日の翌々月まで月20回無料)
- 住信SBIネット銀行:145円/回(振込件数に応じて130円/回になる。新規口座開設日の当月および翌月は月10回無料)
- PayPay銀行:145円/回(前月の預金平均残高に応じて無料回数あり。新規口座開設月の翌々月末までは毎月5回無料)
総合振込サービスのある銀行
総合振込とは、一度の手続きで複数の取引先に一括振込できるサービスで、毎月複数件の振込がある企業におすすめです。
PayPay銀行は最大3万件の振込指定ができます。
24時間即日振込に対応している銀行
24時間即日振込の有無も見ておきましょう。即日振込はネットバンキングであれば対応している銀行が多いです。
ATMや窓口に行く必要はなく、専用アプリやサイトにログインすれば、いつでもどこでも振込対応が可能です。
審査が通りやすい銀行
口座開設時の審査が通りやすいかどうかも重要です。とはいえ、法人口座の審査基準は非公開で、審査の結果は個々の状況によって異なります。
この前提をふまえたうえで、比較的審査が通りやすいと思われる銀行は申込要件が緩和されているネット銀行です。
特に以下の銀行は口座開設時の必要書類が少なく、申込手続きもオンラインで手軽にできます。
- 三井住友銀行Trunk:必要書類は本人確認書類(運転免許証またはマイナンバーカード)と事業実態確認書類1点
- 住信SBIネット銀行:必要書類は代表者の本人確認書類(運転免許証)のみ
- PayPay銀行:必要書類は代表者の本人確認書類(運転免許証またはマイナンバーカード)のみ
融資商品のある銀行
利用しやすい事業性融資商品の有無も重要です。GMOあおぞらネット銀行、住信SBIネット銀行、PayPay銀行は、オンラインで申し込める融資商品を提供しています。
特に住信SBIネット銀行の事業性融資「dayta(デイタ)」は決算書なしで申し込める手軽さがおすすめです。所定の要件を満たせば最短当日で融資を受けられるため、いざというときにスムーズな借入れができるでしょう。
- GMOあおぞらネット銀行:ビジネスローン(1,000万円)
- 住信SBIネット銀行:最大3,000万円融資/資金調達支援サービス
- PayPay銀行:ビジネスローン(1,000万円)
【Q&A】法人口座の開設に関するよくある質問
法人口座の開設に関してよくある質問とその答えを紹介します。
- 法人口座の審査に通りやすくするためには?
-
法人口座の審査では実際の事業実態が重視されます。事業内容がわかるサイトやパンフレット、名刺、取引の存在を証明する業務委託契約書や発注書などがあるとよいでしょう。
法人成りの場合は個人事業主時代の実績がわかる書類、創業期の場合は事業計画書などを用意してください。銀行によっては、事業用固定電話やオフィスの有無も重要です。
- 法人口座を複数持つメリットは?
-
法人に「一社一口座」という決まりはありません。複数の法人口座を使い分けると、資金管理や融資の面で有利になる可能性があります。
最初は1口座でスタートした場合でも、事業拡大にあわせて複数口座を開設し、適切に使い分けると良いでしょう。
- 法人口座の開設時に必要な書類は?
-
一般的な銀行では、以下の書類が必要です。
- 履歴事項全部証明書(発行から6か月以内のもの)
- 法人の印鑑登録証明書(発行から6か月以内のもの)
- 口座開設手続き担当者の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 許認可・届出等が必要な業種の場合は許認可証(有効期限内のもの)
ただし、ご紹介したネット銀行の法人口座では、必要書類が「履歴事項全部証明書のみ」「本人確認書類のみ」でよい場合もあります。詳細は各行にお問合せください。
まとめ
法人口座はスムーズな経営と資金管理、企業の信頼性を支える重要なインフラです。本記事でご案内した各行のメリット・デメリットや法人口座の選び方を参考に、事業に適した法人口座を見つけてください。
近年は振込手数料や維持費の安さやオンライン完結型など、コストパフォーマンスと実用性を重視したネットバンキングの法人口座が注目されています。
まずは一つ法人口座を開設し、必要に応じて使い分けを検討してみてはいかがでしょうか。
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