投資信託のスポット購入とは?新NISAでの活用方法を解説

新NISAで投資信託の購入を考えたときに、王道として紹介されるのは「つみたて投資枠」を利用した方法です。しかし新NISAでは、「成長投資枠」を使えば投資信託のスポット購入ができます。

本記事では、スポット購入の仕組みとメリット、デメリットを説明します。また、資産形成に向けた活用方法についても解説するため、新NISAでスポット購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

このコンテンツの3行まとめ
  • スポット購入とは、投資信託を一時期にまとまった金額で購入することをいう。新NISAでは、成長投資枠を使ってスポット購入ができる
  • スポット購入はいつでもでき、短期にポートフォリオを構築できるメリットがあるほか、大きな金額を運用したい時やボーナス時に購入もできる。ただし、タイミングを見極めることが難しいため注意が必要
  • 投資初心者の方は、まずはつみたて投資枠で積立投資を実施し、それでも余裕資金がある人や慣れてきた人はスポット購入に挑戦するのがおすすめ。「長期の資産形成は積み立て」「余裕資金の運用はスポット」と使い分けるのも良い

投資にはリスクがあります。最終的な投資の決定はご自身の判断でお願いいたします。

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目次

新NISAのスポット購入は成長投資枠のみ

スポット購入とは、投資信託を一時期にまとまった金額で購入することです。スポット購入は、積み立てではないので、新NISAで利用する際は「成長投資枠」を使って購入することになります。

成長投資枠の対象商品は、株やETF、投資信託など幅広くありますが、スポット購入はこれら対象商品の中で、「投資信託」に対して使われる用語です。

2023年までのNISAでは、毎月分配型やデリバティブ取引を用いた投資信託も対象でしたが、2024年からの新NISAでは、毎月分配型やデリバティブ取引を用いた投資信託は対象外となったため、成長投資枠でもこれらの投資信託は購入できません。

2024年以降のNISA制度

成長投資枠では、1年間の投資枠上限は240万円と決められており、240万円に達するまではスポット購入で何回かに分けた購入や、積立投資もできます。

つまり、10万円や20万円で何回かに分けて購入しても良いですし、1回で240万円を購入することも可能ということです。

新NISAでスポット購入するメリット

新NISAでのスポット購入は、以下のメリットがあります。

購入時期を柔軟にできる

積み立て購入の場合は、毎月決められた日付でしか購入できませんが、購入時期を柔軟にできる点はスポット購入のメリットです。

スポット購入の購入時期の一例

  • 政策の変更などで相場がしばらく上がりそうなタイミング
  • 大きく相場が下がり比較的割安に購入できそうなタイミング
  • ボーナス等、まとまった収入があったタイミング

早くポートフォリオが構築できる

積み立て投資では、まとまった金額になるまでには時間がかかります。一方で、まとまった金額を運用したい時には、ポートフォリオを短時間で構築することも必要です。

スポット購入であれば、積み立て投資のように時間をかけずに、一度にまとまった額で購入できるので、短い時間で想定するポートフォリオを組むことが可能です。

資金効率が良い

1,000万円をつみたて投資枠を使って投資した場合、全額投資を完了するまでに8年以上かかります。一方、成長投資枠を利用してスポット購入すれば、4年強で全額投資が可能です。

スポット購入は積立投資に比べてリスクは上がるものの、投資資金を早く投入できるので資金効率は良いと言えます。

成長投資枠が使える

新NISAのつみたて投資枠を利用した積立投資は、リスクが抑えられ老後資金など長期的な資産形成に最適です。そのため投資初心者の方でも利用しやすいですが、成長投資枠はあまり活用ができていない方が多いかもしれません。

新NISAの非課税保有限度額をしっかり活用したい場合は、成長投資枠もうまく使いたいところです。

成長投資枠を使ったスポット購入は、新NISAの非課税枠を使い切るための有効な手段とも言えるでしょう。

短期でもリターンが期待できる

投資のセオリーとして基本的に、安い時に買い、高い時に売ることが大きな利益が期待できるポイントです。しかしその判断は難しく、それが初心者の方は積み立て投資が良いと言われる理由です。

投資に慣れてくると、短期的な利益が期待できる局面もわかることがあります。積立投資では短期的な利益は狙えませんが、スポット購入であればまとまった金額で購入できるので、短期的な利益も狙うことができます。

複利効果を生かせる

複利効果とは、投資によって得た利益を再投資して、さらに利益を増やしていくことです。複利効果は期間が長くなるほど効果を発揮します。

再投資しない運用と再投資する運用で同じ投資元本だった場合、長期投資になればなるほど利益に大きな開きが出ます。スポット購入を使ってなるべく早い時期に購入し、より長く投資期間を持つことで複利効果を生かすことができるでしょう。

新NISAでスポット購入するデメリット

新NISAでスポット購入を行うデメリットには、主に以下の3つがあげられます。

売買のタイミングを見極めるのが難しい

スポット購入を行う際に、一番難しいのがタイミングを見極めることです。

相場の格言に「頭と尻尾はくれてやれ」というものがあり、相場の底で買って天井で売るのは難しいので、「尻尾(底)の少し上で買って、頭(天井)の少し下で売るべき」ということを示唆します。

しかし、格言があるということは、難しくそれができない人が多いということです。スポット購入を行う際は、知識を身に着け、冷静にしっかり見極めることが重要です。

心理的なストレスを感じやすくなる

行動経済学におけるプロスペクト理論によれば、「投資家は収益よりも損失のほうに敏感に反応し、収益が出ている場合は損失を回避したいがために利益確定に走りやすい」とされています。

スポット購入は買値がはっきりわかるため、損失が発生していると不安になり、利益が出ていてもあまり安心できない可能性があります。心理的なストレスに弱い人は、大きな金額のスポット購入は控えたほうが良いでしょう。

積み立てと比較して損失が大きくなる可能性がある

スポット購入を行うと、投資信託をまとまった額で一括購入するため、その後に相場が下がった場合、積立投資と比較して損失が大きくなる可能性があります。

積立投資は時間も分散して投資するので、高値掴みをすることはありませんが、スポット購入の場合は購入した日が高値になってしまうことがあるでしょう。

したがって、スポット購入で高値近辺で購入すると、積立投資の場合より損失が大きくなることがある点に注意が必要です。

新NISAはスポット購入と積立どっちがおすすめ?

新NISAは投資期間が無期限で、2023年までのNISAよりも投資枠が大きくなりました。

投資初心者の方や長期で資産形成したい方は、まずは「つみたて投資枠」から始めるのが良いでしょう。少額からスタートでき、長期の投資期間を生かせるからです。

ただし、つみたて投資枠の年間非課税枠は年間120万円(月間10万円)のため、枠一杯まで活用できる方は多くないかもしれません。

「成長投資枠」の年間非課税枠も年間240万円ありますので、ボーナスをもらったタイミングなどで投資できる資金があれば、スポット購入を利用するのも一つの方法です。

「長期の資産形成は積立投資」「余裕資金の運用はスポット購入」と使い分けても良いでしょう。

新NISAでスポット購入する時のタイミングやコツは?

スポット購入は、比較的大きな金額を一括投資するので、その後の相場上昇が見込まれるときに行うのがベストのタイミングです。

ただし、相場の底や天井を見分けるのは非常に難しいものです。代表的なタイミングの例を紹介しますので、参考にしてみてください。

<相場急落時>

相場が大きく急落した後は、リバウンドで戻ることがあります。2024年8月の急落時や1987年のブラックマンデーの時などは、翌日に大きく上昇しました。

政策の変更>

中央銀行の利下げや政府による景気刺激策などは、株式市場が反応しやすい材料です。代表的な例としては2013年4月に日本銀行が発表した量的、質的金融緩和の導入、いわゆる「黒田バズーカ」です。

新NISAのスポット購入のやり方

新NISAを使い、どのようにスポット購入を行うか手順を説明します。

  1. 証券会社に口座を開設する(NISAの設定も同時に行う)
  2. 口座を開設した証券会社に購入代金を送金する
  3. 購入する投資信託を決定する
  4. 選択した投資信託の目論見書、補完書面等を閲覧する
  5. 預り区分・購入金額・分配金受取方法を入力し発注する
  6. 当日もしくは翌営業日に約定

証券会社の口座を持っていない方は、口座開設から始めます。ネット証券であれば即日口座開設が可能なところもあります。NISA口座の開設も同時にできるので、忘れずに行いましょう。口座開設が済んだら購入予定代金を証券会社に送金します。

発注の際は、預かり区分で「NISA」を選択するのを忘れないようにしましょう。分配金受取方法は基本的には複利効果を狙うために、「再投資」を選択してください。購入代金を入力して発注すれば、基本的に国内ものなら当日に、海外ものなら翌営業日に約定します。(時刻の制約あり)

NISA口座おすすめネット証券
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楽天証券
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新NISAで効果的に資産運用を行うには?

新NISAで資産運用を行うときは、まずは自身の投資スタンスやリスク許容度を見極めましょう。株と債券では想定される利回りは違いますし、先進国と新興国ではリスクの大きさが異なります。

つみたて投資枠で投資できる投資信託は、長期・分散投資に適していますが、想定利回りやリスクは商品によってさまざまです。多くの投資信託の商品の中で、自分にあうものを選択する必要があります。

投資初心者の方であれば、まずはつみたて投資枠を活用するのがおすすめです。余裕資金の多い方や投資に慣れてきた方は、スポット購入に挑戦しても良いでしょう。

複数の商品を購入してポートフォリオが大きくなってきたら、年に1、2回はチェックをします。見直しの際に上がっている銘柄を売却して下がっている銘柄を購入し、投資比率を最初の比率に戻します。これを「リバランス」と言い、適度なリバランスはリスクを低減させる効果があります。

まとめ

投資信託のスポット購入とは、投資信託をまとまった金額で一括購入することです。

新NISAでもスポット購入を行うことはできますが、成長投資枠でしかスポット購入はできないため注意しましょう。

また、スポット購入はいつでも行え、短期にポートフォリオを構築できるメリットがあります。加えて、大きな金額を運用したい時やボーナス時に購入することも可能です。

ただし、タイミングを見極めることは難しく、しっかり知識を身に着ける必要があります。

新NISAの成長投資枠でスポット購入する場合は、つみたて投資枠と併用することでリスク低減が計れ、パフォーマンスの改善を狙えます。スポット購入を上手に利用して、資産形成にお役立てください。

オカネコマガジン編集部

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