監修者 | |
株式会社400F オンラインアドバイザー 松井 大輔 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / CFP® / 証券外務員一種 この専門家にチャットでお金の相談をする(チャット相談は無料診断後に可能です) |
早期退職や老後に向けて、不労所得を得たい。その中で資産形成の手段として、安定した収入を得られるイメージが強い「アパート経営」に興味を持つ人が多くなっています。
アパート経営は、始める前に以下のポイントを把握しておきましょう。知識がないまま始めてしまうと、思いもよらないところで損失を生んでしまうかもしれません。
- アパート経営の成功確率や初期費用
- アパート経営のメリットとリスク
- アパート経営の準備と流れ
アパート経営について、分かりやすく解説します。
- 賃料収入から経費や税金を差し引いた分が手元に残ることになるため、賃料すべてが不労所得になるわけではない。実質利回りが3~4%のアパート経営の方が利回りがよいと判断できる
- アパート経営のメリットとして「資産価値の安定性が高い」「不労所得を得られる」「税負担の軽減が期待できる」という3点があげられる
- 「空室によるリスク」「建物の老朽化によるリスク」「災害によるリスク」というリスクはもちろん、固定資産税等の税負担までもしっかりと理解し、でき得る準備・対策は立てた上で始められることをがおすすめ
アパート経営は儲からない? 成功確率や初期費用
アパート経営に挑戦する前に、一番知っておきたいのが本当に儲かるかどうかですよね。次の4つの視点から、アパート経営の成功確率と初期費用について解説します。
賃料の目安は東京23区で7.8万円
賃料は、アパート経営者の不労所得につながります。
アパート賃料の相場 | ||
---|---|---|
東京23区(※1) | 7.8万円 | |
東京都他(※1) | 6.1万円 | |
横浜・川崎(※1) | 6.5万円 | |
神奈川県他(※1) | 5.3万円 | |
千葉県(※1) | 5.5万円 | |
埼玉県(※1) | 5.5万円 | |
近畿圏(※2) | 5.87万円 |
※2 : 東日本レインズ「賃貸マンションの成約状況」より抜粋
しかし、賃料収入から経費や税金を差し引いた分が手元に残ることになるため、賃料すべてが不労所得になるわけではありません。
とはいえ、「賃料×部屋数」で大まかな収入の目安を算出できます。
一棟アパート利回りは8.04%
「不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家 ( けんびや ) 」のレポートによると、2023年11月時点の一棟アパートの表面利回りは、全国で8.04%(前期比+0.22ポイント)です。
ここから、維持管理費や委託費、税金が引かれるため、実質利回りは通常3~4%になるといわれています。
投資信託の平均利回りである3~11%をもとに3%と仮定した場合、そこから税金が引かれるため、実質利回りが3~4%のアパート経営の方が利回りがよいと判断できます。
投資信託への投資は通常、融資を受けることができないため、不動産投資と同じ運用益を出すとしてもより多くの自己資金が必要になります。
そのため、投資額に対する自己資金に対して利回りを高くできるのが不動産投資の特徴です。また、利回りの振れ幅も小さいことから、アパート経営は安定性が高いといえるでしょう。
アパート経営の費用は5,000万円以上
新築アパートの建設からアパートの経営を行う場合、初期費用は5,000万円以上にのぼるといわれています。そのうち、アパートの建設費用は3,000~4,000万円です。
それ以外は、下記の項目で消費します。
- 物件に対するローン関連の費用
- 登記費用
- 不動産所得税
- 火災保険費用
建売のアパートを買うと初期費用を抑えられますが、場合によっては利回りの低下や、部屋の間取りを変更できないといった不便が生じる可能性があります。
このため、初期費用は最低5,000万円と仮定して計画を進めることで、新築の建設と建売の購入、どちらにも対応できるはずです。
取得理由の47.4%が「利益を得るため」
国交省の調査を見ると、「所有する賃貸住宅の取得経緯」がわかります。
所有する賃貸住宅の取得経緯 | |
---|---|
経緯 | 割合 |
相続により取得 | 32.1% |
本業として取得 | 3.9% |
貯蓄の一環として取得 | 11.1% |
老後の備えとして取得 | 16.7% |
節税対策として取得 | 8.7% |
投資を目的として取得 | 15.7% |
居住用に取得したが使用しなくなったため賃貸 | 10.6% |
その他 | 1.2% |
収益性を求める「本業として取得」「貯蓄の一環として取得」「老後の備えとして取得」「投資を目的として取得」の割合をあわせると、47.4%となります。
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アパート経営のメリット
アパート経営のメリットは、次の3つです。
アパート経営は入居者がいる限り安定した収入が入ってくる点と、アパート自体が資産にもなるため、魅力的な投資です。ただし、元々土地を所有していたり全額自己資金でアパートを建てるのであればリスクはそれほど無いですが、多くの人は金融機関からローンを組んで始めることになるため、慎重な資金計画が必要となってきます。
不労所得が得られるからと安易にスタートするのではなく、後述のリスクや対策等をしっかりと理解した上で始められると良いでしょう。
資産価値の安定性が高い
アパート経営を含む不動産投資において、資産価値は土地の価格に左右されます。土地の価格は、株式や投資信託といった金融商品と比べると変動幅が小さいため、安定しているのです。
このため、不動産は資産価値の安定性が高く、高い初期費用をかけたとしても長い目で見るとリターンが大きいといえます。
費用を割いて物件管理を丸ごと委託してしまえば、家主が手をかけることなく不労所得を得られる点も魅力です。
不労所得を得られる
アパート経営を含む不動産投資において、もっとも大きなメリットは不労所得を得られることです。部屋が埋まる状況を作れば、安定した収入が発生します。
逆に、空室が多い、あるいは家賃の滞納が発生するという状況では、安定した収入を得られません。
安定した入室数を確保するためには、アパートの建設地域や想定利用者に合わせたデザイン、間取りを具体的にしてから物件を決めることが大切です。
安定した不労所得を得るために、計画段階で手を抜かないようにしましょう。
税負担の軽減が期待できる
アパート経営を始めることで、税負担を軽減できる可能性があります。
- 所得税
- 住民税
- 相続税
- 贈与税
- 固定資産税
- 都市計画税
特に、すでに土地をお持ちの場合、更地のまま手元に残しておくよりも、アパート経営を始める方が相続税や固定資産税を軽減できます。
土地の活用方法をお考えなら、アパート経営が選択肢のひとつになるかもしれません。
アパート経営のリスクと失敗対策
アパート経営は不労所得を得られる不動産投資の一種ですが、一方でリスクもあります。
アパート経営は、空室リスク等のリスクはもちろん、固定資産税等の税負担までもしっかりと理解し、でき得る準備・対策は立てた上で始められることをおすすめします。
また、記載のリスク以外にもローンを組んだ場合には金利上昇リスクというものもあります。ローン金利が上昇して返済額がある程度増えたとしても生活に支障をきたすことがないよう、無理なく続けられる資金計画が大切となってきます。
リスクを考慮してアパート経営を始めなければ、大きな失敗につながってしまいます。リスクとともに、対策についても紹介しますので、参考にしてみてください。
空室によるリスク
アパート経営において、空室が埋まらないと安定した収入を得られません。計画していた家賃収入が得られなければ、利回りが低下し、赤字になる恐れがあります。
失敗しないためには、アパートを建設する地域に合ったターゲティングと、ターゲットのニーズを満たした間取りや構造にすることが大切です。事前に調査を行い、ニーズを満たしたアパートを建設しましょう。
建売の場合は、アパートがターゲットのニーズを満たせるかを事前に調査して、空室リスクの低い物件か見極める必要があります。
建物の老朽化によるリスク
アパートが老朽化すると、修繕費用がかかります。主な修繕として下記のようなものがあります。
- 外壁の塗装
- 屋上の防水加工
- 給湯器・エアコンの交換
- 床や壁紙の張り替え
大規模な修繕は、毎月アパートの住民から集金する「家賃」の一部を財源として積み立てて行うのが一般的です。建物の老朽化が進むと修繕費用がかさみ、修繕積立金の金額が高くなるため、空室リスクが上がります。
建物は経年劣化によって必ず修繕が発生しますが、回数や費用が予想を上回ると困りますよね。このため、ある程度余裕をもって修繕費用を積み立てられるように「長期修繕計画書」を作っておきましょう。
日頃からこまめにメンテナンスを行っておくと、大規模修繕の時の負担が軽減できる可能性があります。
災害によるリスク
日本では、特に地震の被害が多いですが、大雨による水害や大寒波による雪害など、さまざまな災害のリスクがあります。予期せぬ災害によって、建物が倒壊したり浸水したりする可能性もあるため、事前の準備が必要です。
- 保険に加入して修繕費を確保する
- 委託先をしっかり選ぶ
地域のハザードマップから、どのような災害が多い地域なのかを確認し、適切な保険に加入しておけば修繕費の確保が可能です。
さらに、アパート経営が豊富な委託業者は、自然災害に備えて先手を打って対応してくれる可能性が高いため、委託業者は慎重に選びましょう。委託前に、自然災害が起きた時の対応について確認しておくのもよいでしょう。
アパート経営の準備と流れ
アパート経営の基本的な準備と流れは、次のとおりです。
アパートの管理を委託業者に任せるとしても、アパート経営はあくまで「経営」と考える。つまり、事業を行う感覚ではじめられることをおすすめします。
アパートを建てて実際にはじめてみたら想定と違ったということが無いよう、始める前に目的と計画をしっかりと立てて、場合によってはFP等の専門家に事前に収支のシミュレーションを依頼してみるのも良いでしょう。
目的を明確化する
最初に「なんのためにアパート経営を行うのか」目的を明確にしておきましょう。
- 不労所得を得たい
- 老後の収入源にしたい
- 相続物件を活用したい
- 所有の空き土地を有効活用したい
目的が「不労所得を得たい」なら、空室がないようにするためにはどうするかという視点で、計画を立てられます。目的によって、建物の大きさや築年数も変わるはずです。
アパート経営をする目的をはっきりさせることで、より明確な計画を立てられるようになります。
資金計画を立てる
目的を明確にしたら、大まかな資金計画を立てましょう。
- 初期費用
- ローンや融資の費用
- 維持管理費の目安
- 税金の目安
- 家賃収入の予測
アパートの建設段階から始まり、経営スタート後の家賃収入まで収支のシミュレーションを行います。この際、次の項目についても考慮しておくと、より詳細な計画が立てられます。
- 建物を建てる地域の想定利用者
- 想定利用者のニーズ
- 想定利用者のニーズに合ったアパートのイメージ
不動産や経営の知識がなく、何から手をつけてよいかわからないという場合は、不動産投資会社のサービスを利用するなどを検討しましょう。
ご自身の資産状況に合わせて、適切なプランを立てるためのアドバイスをしてくれます。
委託業者を見つける
アパート経営の委託業者を見つけて、計画の精度を上げましょう。
国交省が実施した「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(家主)」によると、アパートを含む賃貸住宅管理において、一部あるいはすべての管理を委託業者に任せている人の割合は、81.5%にのぼります。
その理由は、次の通りです。
- 契約更新・終了時のトラブルをなくしたいから
- 自分自身の賃貸契約および管理に関する専門知識が不足していると感じるから
- 建物に関するトラブル発生時に、適時適切に対応してほしいから
- 入居者とのトラブル発生時に、第三者として間に入って調整してほしいから
管理業務をスムーズに行うために、委託業者に間に入って欲しいと考える人は多いようです。管理業務はすべて自分でやる必要はなく、業者に委託することでアパート経営の負担を軽減できます。
アパート経営の経験が豊富な業者なら、立てた計画に対しても適切なアドバイスをくれるはずです。委託業者を選ぶ際には、適切なアドバイスをしてくれるかという観点も大切にするとよいでしょう。
経営に必要な知識を得る
アパート経営を委託業者に任せるとしても、何の知識もないまま始めてしまうと、失敗につながる恐れがあります。ある程度の準備ができたら、少しずつアパート経営に関する知識を身につけるためにご自身でも勉強を進めましょう。
特に、アパート経営に関わる税金の知識を習得しておくと、上手に税負担を軽減して収益を上げられるようになります。わからないことは委託業者にもサポートしてもらいつつ、都度知識を吸収していきましょう。
まとめ
アパート経営は、不労所得を得られる資産形成のひとつの選択肢です。老後資金の準備や夢のFIREに向けて、まずは資金計画から始めましょう。
資金計画を立てる際には、自己資産を把握し、目的を明確にすることが大切です。ご自身で判断ができない場合は、不動産投資会社や不動産投資に強いファイナンシャルプランナーにサポートしてもらうことをおすすめします。
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※2024年6月24日当社データベースより概算(オカネコサービスすべての実績総数)