監修者 | |
株式会社400F オンラインアドバイザー 松井 大輔 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / CFP® / 証券外務員一種 この専門家にチャットでお金の相談をする(チャット相談は無料診断後に可能です) |
新しく賃貸物件を借りるとき、マイホームを購入したとき、引越しやリフォームのときには、火災保険を見直しましょう。見直しを行わなかった場合、保険料が割高になる可能性や、万一の際に保険金が支払われないリスクがあります。
この記事では、火災保険を見直す適切なタイミングや、見直し時にチェックしたいポイントをお伝えします。
- 火災保険の補償内容や保険金額は、現在の自分の状況に合わせて設定する必要がある。引っ越しのタイミングだけでなく、リフォームをしたときや家族構成が変化したときなども見直しのタイミングとなる
- 火災保険の見直しにはメリット・デメリットがある。現在は5年を超える長期契約ができないため、契約期間5年超の火災保険に加入している方はご注意を
- 見直す際のポイントとして「補償範囲を見直す」「新価か時価か」「長期契約を検討する」「地震保険の加入も検討する」「不要な補償は削る」「補償の空白期間を作らない」といった点があげられる
火災保険の見直しが推奨される理由
火災保険とは、火災や落雷、風災、盗難などによる建物や家財の損害を補償する保険です。
火災保険の補償内容や保険金額は、現在の自分の状況に合わせて設定する必要があります。火災保険も生命保険や医療保険と同じように、定期的な見直しを行いましょう。
ただし賃貸物件の場合は、不動産会社や大家さんから、指定の火災保険への加入や一定の特約付加を求められることがあります。賃貸物件の火災保険を見直す際は、事前に不動産会社や大家さんに確認したうえで進めることが大切です。
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火災保険の見直しのタイミング
火災保険の見直しは、以下のタイミングで行うのがおすすめです。
物件を契約したとき
進学するとき、社会人になったとき、結婚するときなど、新しく賃貸物件を契約する際は火災保険に加入しましょう。
火災保険への加入は、法律で義務付けられているわけではありません。しかし、火災保険に加入しなければ賃貸契約を結んでもらえない場合がほとんどです。少しでも保険料を抑えたいのであれば、自分で選んだ火災保険に加入したい旨を不動産会社や大家さんに相談するとよいでしょう。
また、たとえ不動産会社や大家さんから求められなくても、自分自身のために火災保険へ入ることをおすすめします。なぜなら火災保険に加入していなければ、火災や水漏れを起こしてしまったとき、近隣住民が引き起こした火災に巻き込まれたときなどの補償を持てないためです。
賃貸物件を契約する際は、「家財補償」「借家人賠償責任補償」「個人賠償責任補償」の3つを検討し、万一のリスクに備えましょう。
- 家財補償…自身の家具・家電といった家財の損害に対する補償
- 借家人賠償責任補償…物件に損害を与えてしまった際の大家さんへの賠償補償
- 個人賠償責任補償…階下への水漏れなどによる第三者への賠償保障
個人賠償責任補償については、一家にひとつあれば同居のご家族全員を守ってくれます。ご同居のご家族の自動車保険、傷害保険、火災保険をチェックし、限度額が無制限などで示談交渉サービスが付いているものをひとつ残し、それ以外ははずすようにしましょう。
複数あっても、保険料の重複となるのみで、補償金額が大きくなるわけではありません。
新しい物件に引っ越したとき
新しい物件に引っ越す際は、火災保険の見直しが必要です。現在契約している火災保険を引越し先でも引き継げるかどうかは、引越しのパターンによって異なります。
引越し先への火災保険契約引継ぎ可否 | ||||
---|---|---|---|---|
引越し前 | 引越し先 | 引越し先への契約引継ぎ | 備考 | |
賃貸 | 賃貸 | 可 | 手続きにより現契約の引継ぎが可能。 | |
賃貸 | 持ち家 | 不可 | 現契約は解約。 引越し先用の火災保険に新規加入が必要。 | |
持ち家 | 賃貸 | 不可 | 持ち家を手放す場合、現契約は解約。 持ち家を手放さない場合、現契約は継続。 そのうえで、引越し先用の火災保険に新規加入が必要。 | |
持ち家 | 持ち家 | 可 | 手続きにより現契約の引継ぎが可能。 |
上の表のとおり、「賃貸から持ち家」もしくは「持ち家から賃貸」へ引っ越す場合、現在の火災保険契約を引越し先に引き継ぐことができず、引越し先用の火災保険を新しく契約する必要があります。
一方で、「賃貸から賃貸」もしくは「持ち家から持ち家」へ引っ越す場合は、各保険会社へ連絡し手続きを行えば、現在の火災保険契約をそのまま引き継ぐことが可能です。
ただし、現在よりも保険料が高くなったり、保険料の追加払込みが発生する可能性があるため、別の火災保険に新規加入した場合の保険料の見積もりを行ったうえで、現契約を引き継ぐかどうか判断するのがおすすめです。
新たに住宅を購入したとき
マイホームを購入したときも、火災保険へ加入しましょう。
「新築戸建てのオール電化住宅だから、火災のリスクは低いと思うけど…」という方にも、火災保険は必要です。なぜなら、いくら自分が気をつけていても、近隣の住宅が火事になり被害に巻き込まれる可能性があるから。
近隣が起こした火災でマイホームが焼けてしまっても、火災を起こした人に重大な過失がなければ法律上の損害賠償責任はなく、自己負担で再建を行わなければなりません。住宅ローンの残債を抱えながら、さらに再建費用を支払うのは、経済的負担があまりに大きすぎます。火災保険は、こうしたリスクから私たちを守る重要な役割を果たしてくれるのです。
また火災保険は、火災による損害だけでなく、台風や雪といった自然災害・水災・水濡れ・盗難による損害なども補償してくれます。マイホームを購入する際は、引き渡し日が補償開始日となるように、前もって火災保険を契約しておきましょう。
住宅の増築・改築・リフォーム時
住宅を増築・改築・リフォームすると、建物評価額や建物の構造などが変わるため、火災保険の見直しが必要です。住宅の耐火性能が上がったり、延床面積が減ったりした場合は、保険料が安くなる可能性もあります。
また、増築・改築・リフォームを行う際は、保険会社への通知を必ず行ってください。建物評価額や建物の構造は、火災保険の保険料に影響する重要な項目。保険会社への通知を怠れば、いざというときに保険金が支払われなかったり、契約解除されたりする可能性もあるため注意しましょう。
家族構成が変化したとき
火災保険の対象は、「建物」と「家財」の2つです。家族構成が変化したときは、このうち家財に対する補償を見直すとよいでしょう。
例えば現在、夫婦2人とお子さん2人の4人家族で、それに応じた目安金額をもとに家財補償の金額を設定しているとします。この場合、お子さんが自立し夫婦2人暮らしになったとき、家財補償の金額が過剰になってしまう可能性が高いです。
家財補償の金額が高いほど、火災保険の保険料も高くなります。月々の保険料が割高にならないよう、家族構成が変化したタイミングで一度火災保険を見直すのがおすすめです。
退職したとき
退職による収入減をきっかけに、火災保険の保険料負担が気になり始める方もいるでしょう。しかし、賃貸か持ち家かにかかわらず、火災保険はいざというときの生活を守るために必要な保険なので、むやみに解約するのはおすすめできません。
火災保険の保険料は、補償内容を見直したり、保険会社を乗り換えたりすることで、安くなる可能性があります。今後の生活基盤を整えるという意味でも、会社を退職したタイミングで火災保険の見直しを行い、月々の保険料負担をできるかぎり軽減しましょう。
更新のタイミングを迎えたとき
火災保険の更新時期が近づくと、保険会社から通知が届くので、ぜひこのタイミングで火災保険を見直しましょう。新しい商品やプラン、割引制度の登場により、現契約よりも保険料が安くなる可能性があります。
現在契約している保険会社だけでなく、ほかの保険会社の火災保険も確認し、比較検討してみてください。
火災保険料の改定時
直近では2022年10月に、火災保険料の値上げが行われました。
先述のとおり、火災保険は火災による損害だけでなく、台風や雪といった自然災害・水災・水濡れ・盗難による損害への備えにもなります。自然災害が増加傾向にある今、将来的に火災保険料がさらに値上がりする可能性は決して低くありません。
今後、火災保険料が改定される際は、できるだけ月々の保険料を抑えられるよう、補償内容の見直しや乗り換え検討を行うことをおすすめします。
自然災害が増えていることもあり、火災保険料・地震保険料ともに上がっています。可能であれば長期(5年)で組むなどの工夫が必要です。また、使える割引はすべて使いましょう。
例えば、オール電化住宅の場合には、割引となる保険会社もあります。 また逆に、家財の評価額を出す際には、保険料を下げたいからと少なく見積もる方もいらっしゃいますが、いざというときに足りないことのないよう、実態に即した金額設定をしておくようにしましょう。
火災保険見直しのメリット・デメリット
火災保険の見直しには、以下のようなメリット・デメリットがあります。
火災保険見直しのメリット・デメリット | ||
---|---|---|
メリット | ・保険料を抑えられる可能性がある ・補償内容の確認ができる ・最新の補償を備えられる | |
デメリット | ・保険料が高くなる可能性がある ・5年を超える長期契約ができない |
火災保険を見直し、不要な補償をなくしたり、別の商品に乗り換えたりすることで、月々の保険料を今より抑えられる可能性があります。また、改めて現契約の補償内容を確認でき、時代に合った最新の補償を持つ商品に出会える点も、火災保険を見直す大きなメリットです。
一方で、火災保険を見直すと、保険料が高くなる場合もあります。また、火災保険の最長契約期間が10年から5年に短縮されたため、現在は5年を超える長期契約ができません。契約期間5年超の火災保険に加入している方はご注意ください。
火災保険を見直す際のポイント
火災保険を見直す際に、必ずチェックしたいポイントは以下の6つです。
補償範囲を見直す
火災保険の対象は、「建物」と「家財」の2つです。また、補償対象となる損害の種類や特約の内容も契約によって異なります。例えば水災や水濡れ、盗難による損害は、火災保険によっては補償の対象とならないため注意が必要です。
もし必要な補償がついていなければ、いざというときに保険金が足りなかったり、もらえなかったりするリスクがあります。逆に、過剰な補償がついていると保険料が割高になってしまうので、自分に必要な補償範囲の火災保険に入ることが大切です。
新価か時価か
火災保険の建物に対する保険金額は、建物評価額に左右されます。火災保険における建物評価額は「新価」と「時価」の2つの基準があるため、どちらをもとに保険金額が決まるのかを必ず確認しましょう。
- 新価(再調達価額)…対象となる建物を新たに取得する場合に必要となる金額
- 時価…新価から経年による価値の減少を差し引いた金額
以前は時価により保険金額の決まる火災保険が多かったものの、最近は新価を基準に保険金を支払う火災保険のほうが増えてきています。
時価では万一の際に保険金が足りない可能性もあるため、現在時価の火災保険に加入している方は、新価の火災保険に乗り換えるのがおすすめです。
長期契約を検討する
保険期間を長くするほど、1か月あたりの保険料が安くなる火災保険が多いので、火災保険の保険料を抑えたい方は1年契約ではなく長期契約を検討しましょう。
ただし、保険会社によっては「長期契約+一括払い」を割引の条件にしているところもあるので、割引が適用される支払い方法もあわせて確認してください。
地震保険の加入も検討する
火災保険に加入する際は、地震保険をセットでつけることもできます。
地震保険は、地震・噴火・津波によって発生した火災や建物倒壊、家財の損害を補償する保険です。火災保険では地震・噴火・津波による損害の補償は行われないため、地震保険で備える必要があります。
地震保険は単独での加入ができず、必ず火災保険とセットにしなければならないのが特徴。火災保険の契約途中でも地震保険への加入はできるので、火災保険を見直した結果、現契約の継続を決めた方も、地震保険を検討してみてはいかがでしょうか。
不要な補償は削る
火災保険の保険料を抑えるには、不要な補償を削り、本当に必要な補償だけに絞って契約することが重要です。火災保険を見直す際は、ハザードマップなども参考にしながら、自分に必要な補償はどれなのかを判断するとよいでしょう。
また、傷害保険や自動車保険で個人賠償責任補償をすでに持っている方は、火災保険の特約としては不要かもしれません。火災保険以外の保険とも照らし合わせながら、補償が重複しないようにしてください。
地域のハザードマップを参考にしながら、水災の補償が必要な地域なのかどうかを、まずはチェックしましょう。水災補償をつけるかどうかで保険料は大きく変わります。
水災というと河川の氾濫などを思い浮かべる方が多いと思いますが、ゲリラ豪雨での水災や、土砂崩れなども対象となります。近年ではゲリラ豪雨も増えていますので、対象外とするときには慎重に検討するようにしましょう。
補償の空白期間を作らない
火災保険を見直した結果、現契約から乗り換える場合は、補償の空白期間を作らないよう注意しましょう。補償の空白期間中に火災や自然災害などによる損害が発生した場合は、保険金を受け取ることができません。
火災保険を乗り換える際は、現契約の保険期間と新契約の補償開始日をしっかりと確認し、慎重に手続きを行ってください。
まとめ
火災や自然災害による住まいの損害は、賃貸か持ち家かにかかわらず起こり得るものです。万一のリスクに備え、適切な火災保険に加入しましょう。また火災保険加入後も、必要なタイミングで見直しを行ってください。
火災保険の見直しのタイミング | 火災保険を見直す際のポイント |
---|---|
・物件を契約したとき ・新しい物件に引っ越したとき ・新たに住宅を購入したとき ・住宅の増築・改築・リフォーム時 ・家族構成が変化したとき ・退職したとき ・更新のタイミングを迎えたとき ・火災保険料の改定時 | ・補償範囲を見直す ・新価か時価か ・長期契約を検討する ・地震保険の加入も検討する ・不要な補償は削る ・補償の空白期間を作らない |
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