投資信託の利回りとは【平均や相場まとめ】ランキングも紹介

投資信託の利回りとは?平均を簡単解説

2024年より新NISAが始まり、投資信託を購入して投資を始めようとする人が増えています。そこで、いざ購入する投資信託を選ぼうとした時に気になるのが「利回り」です。

  • 利回りはできるだけ高い商品を選んだ方が良いの?
  • そもそも利回りって何なの?
  • 利回りだけで購入する投資信託を決定して大丈夫?

この記事では、以上のような疑問にお答えできるように、利回りとは何か、投資信託のパフォーマンスを確認したいときに見るべき指標など、投資信託の利回りに関することをまとめて解説します。

このコンテンツの3行まとめ
  • 投資信託の平均利回りとは、通常1年あたりの投資金額に対してどれくらいの収益があったかの割合を示すもので、他にも投資信託の値上がり益を計る指標として、騰落率トータルリターン分配金利回りなどがある。これらは証券会社や投資信託協会、投信会社のホームページなどでも調べることができる
  • 投資信託の利回りは投資対象や投資地域により大きく異なる。
  • 投資信託を選ぶ際には利回りだけでなく、市場全体に対してどの程度の超過利益が出ているかも確認する必要がある。そこであわせて確認しておきたいのがベンチマークに対する成果であり、そのパフォーマンスを計る尺度として、シャープレシオトレイナー測度があげられる
目次

投資信託の平均利回りとは何?

投資信託の平均利回りとは、投資金額に対してどのくらいの収益があったかの割合を示すものです。通常は1年あたりのパーセンテージ(%)で示します。

利回り(%)=1年間の(値上がり益+分配金)÷期初の基準価額×100

例えば、期初の基準価額が10,500円であった投資信託が、1年後には11,500円まで上昇し、また期中に100円の分配金を出したとします。値上がり分の1,000円に分配金100円を加え、年間の利益は1,100円です。

期初の基準価額が10,500円ですので、利回りは1,100円÷10,500円×100=10.48%となります。

1年で見ればそれほど複雑になりませんが、運用が何年かにわたる場合には、分配金を再投資した基準価額を用いて年率換算するため、計算式が複雑になっていきます。

平均利回り=〔{(1+合計の値上がり益)}^(1/運用年数)-1〕×100
※合計値上がり益とは、分配金込みの基準価額をもとに計算します。

平均利回りは、年数が長くなると累乗根を使うことになり、計算が複雑になります。

投資信託の利回りを知ることができる指標は複数ある

平均利回り以外にも投資信託の値上がり益を計る指標としては、騰落率やトータルリターン、分配金利回りなどがあります。それぞれの内容について説明します。

騰落率

騰落率は基準価額の値上がり率になります。投資開始時点から評価日までの値上がりを年率換算したものになります。一般的に騰落率には分配金が含まれませんので、分配金を多く出す投資信託は、騰落率が低くなります。無分配型の投資信託であれば、騰落率と平均利回りは一致します。

トータルリターン

投資信託においてトータルリターンと言われるものは2つあります。一つ目は金融庁の要請に伴うトータルリターン通知制度のトータルリターンです。この場合のトータルリターンとは、

トータルリターン=評価金額+累計受取分配金額+累計売付金額-累計買付金額

で表され、分配金のある投資信託を保有している場合に、実際に受け取った分配金額を含めた損益を金額で表すものです。

もう一つのトータルリターンは、平均利回りと同様のものです。

トータルリターン=〔{(1+合計の値上がり益)}^(1/n)-1〕×100

このトータルリターンは分配金込みの基準価額で計算されますので、投資信託の実際の利回りをよく表しています。ただし、年率換算する場合には累乗根が必要になりますので、計算が複雑になります。

分配金利回り

分配金利回りは、1年間の分配金を基準価格で割ったものです。分配金を多く支払う投資信託では分配金利回りが高くなります。ただし基準価額が上昇していなくても分配金を支払う投資信託もありますので、騰落率などを確認して、無理な分配金が支払われていないかを確認することが大切です。

投資信託の平均利回りはどこで確認できる?

複数年の平均利回りの計算は難しいので、すでに計算された平均利回りを見ていくのが簡単です。投資信託の平均利回りは、証券会社や投資信託協会、投信会社のホームページなどでも調べることができます

ただし、各社計算方法や表示方法が若干異なっている場合があるので、内容を確認することが大切です。例えば、SBI証券は、利回り表示としては「騰落率」と「トータルリターン」があり、楽天証券は「リターン」で表示しています。

SBI証券のトータルリターンは、分配金を再投資した基準価格で計算されていますので、ここで示してきた平均利回りと同じものです。騰落率は、分配金を除いた基準価額で計算されていますので、基本的にはトータルリターンを見るのが良いでしょう。

楽天証券のリターンは、分配金再投資基準価額を用いた年換算となっており、平均利回りと同じものです。楽天証券では最長で20年までのリターンが表示されますので、長期にわたって運用されているかを調べるのが容易です。

投資信託の平均利回りの相場

投資信託の利回りは、投資対象(株や債券など)、投資地域(日本や海外など)の違いにより大きく異なってきます。したがって、平均利回りを比較する際にはカテゴリーごとに分けて比較する必要があります。

NISAのつみたて投資枠、成長投資枠の銘柄で過去20年の平均利回りがあるものについて調べてみました。

投資カテゴリー別リスク度合いと平均利回りの目安
投資カテゴリーリスク度合い平均利回りの目安
債券リスク小0%~7%程度
バランスリスク小1%~6%程度
日本株式リスク中1%~10%程度
海外株式リスク大7%~14%程度
※2024年5月14日時点
※今後の利回りを予想するものではありません。
※平均利回りは、NISAのつみたて投資枠、成長投資枠の銘柄で過去20年の平均利回りがある商品に限定した情報です。
参照:投信スーパーサーチ|投資信託|楽天証券

20年という長期間で見ると、上記の調査対象とした178銘柄のうちマイナスになる銘柄は1銘柄しかありませんでした。しかしながら平均利回りは、このところの株高、円安で上昇しているので、多少割り引いて見る必要はあると考えます。

つみたて投資枠対象商品の利回りランキング

つみたて投資枠対象商品の利回りランキング
順位商品名平均利回り特徴
1位iFreeNEXTFANG+インデックス39.37%米国NYSE FANG+指数に連動
2位iFreeNEXTNASDAQ100インデックス27.74%米国NASDAQ100指数に連動
3位フィデリティ・米国優良株ファンド22.52%米国S&P500指数がベンチマーク
4位eMAXISSlim米国株式(S&P500)22.35%米国S&P500指数に連動
5位iFree S&P500インデックス22.20%米国S&P500指数に連動
6位iシェアーズ米国株式(S&P500)インデックスファンド21.91%米国S&P500指数に連動
7位米国株式インデックスファンド21.86%米国S&P500指数に連動
8位楽天・全米株式インデックスファンド21.35%USトータル・マーケット・インデックスに連動
9位たわらノーロードNYダウ18.46%米国ダウ・ジョーンズ工業株価平均に連動
10位iFreeNYダウ・インデックス18.46%米国ダウ・ジョーンズ工業株価平均に連動
※2024年5月14日時点
※今後の利回りを予想するものではありません。
参照:投信スーパーサーチ|投資信託|楽天証券を使用し、リターン・5年を平均利回りとして高い順に並び替えたものを掲載しています。

つみたて投資枠対象の投資信託であっても、ここ数年の株高、円安傾向から、米国株式に投資する投資信託のパフォーマンスが好調でした。上位10銘柄すべて米国株式に投資する商品です。

ただし、連動する指数をみてみると、NASDAQが2、S&P500が5、ダウジョーンズ工業株価が2、その他が1で、NASDAQに連動する2銘柄が際立ったパフォーマンスを見せています。一方、老舗企業の多いダウジョーンズ工業株価は、S&P500よりも劣り、米国でもグロース株の値上がりが大きいことが感じられます。

ランキング1位の投資信託の運用シミュレーション

ランキング1位の投資信託を運用した場合に将来どの程度の金額になるかシミュレーションしてみましょう。

今回の平均利回りは5年のものを使いましたので、iFreeNEXTFANG+インデックスを5年間毎月1万円ずつ積み立てたとして、5年後の投資元本と運用収益を計算します。

  • 投資元本=1万円×12月×5年=60万円
  • 運用収益=121万円
  • 合計=181万円

    ※2024年5月14日時点の平均利回りが将来も続くものと仮定してシミュレーションしています。将来の運用成果を保証するものではありません。
    つみたてシミュレーター|金融庁を使用して計算

5年間では、運用収益が121万円と元本の2倍以上となりました。もしつみたてNISAが始まった2018年からiFreeNEXTFANG+インデックスを選択して積み立てをしていれば、運用資産は元本の約3倍までになったのです。

成長投資枠対象商品の利回りランキング

成長投資枠対象商品の利回りランキング
順位商品名平均利回り特徴
1位野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)42.25%MSCI All Country World半導体指数がベンチマーク
2位iFreeNEXTFANG+インデックス39.37%米国NYSE FANG+指数に連動
3位eMAXISNeoバーチャルリアリティ34.39%S&P Kensho バーチャル・リアリティ指数に連動
4位イノベーション・インデックス・AI29.45%STOXXグローバルAI指数に連動
5位iFreeNEXTNASDAQ100インデックス27.74%米国NASDAQ100指数に連動
6位米国NASDAQオープンBコース26.14%米国NASDAQ総合指数に連動
7位HSBCインド・インフラ株式オープン26.04%主にインドのインフラに関連株式等に投資
8位トルコ株式オープン25.94%主にトルコ株式に投資
9位三菱UFJNASDAQオープンBコース25.40%NASDAQ市場上場株式に投資
10位iTrustロボ24.77%世界のロボティクス関連企業の株式に投資
※2024年5月14日時点
※今後の利回りを予想するものではありません。
参照:投信スーパーサーチ|投資信託|楽天証券を使用し、リターン・5年を平均利回りとして高い順に並び替えたものを掲載しています。

成長投資枠対象の銘柄でも、米国株式は多く見られますが、半導体、AI、バーチャルリアリティ、ロボティクスなど、テーマを絞った投資信託が多くなっています

また、ベンチマークを持たない投資信託も上位に挙がっており、選択の幅が広いと言えます。指数に連動を目指さないアクティブファンドでは、管理コストも高くなりますので、良く調べるようにしましょう。

またテーマに沿った投資信託は、市場の関心がそのテーマから離れると、資金の流出からパフォーマンスが悪くなることもあるので、注意が必要です。

ランキング1位の投資信託の運用シミュレーション

成長投資枠でランキング1位となった投資信託をシミュレーションしてみましょう。野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)の平均利回りは、つみたて投資枠1位のiFreeNEXTFANG+インデックスの39.37%を上回る42.25%でした。
※2024年5月14日時点

今回の平均利回りは5年のものを使いましたので、野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)を5年間毎月1万円ずつ積み立てたとして、5年後の投資元本と運用収益を計算します。

  • 投資元本=1万円×12月×5年=60万円
  • 運用収益=198万円
  • 合計=258万円

    ※2024年5月14日時点の平均利回りが将来も続くものと仮定してシミュレーションしています。将来の運用成果を保証するものではありません。
    つみたてシミュレーター|金融庁を使用して計算

5年間では、運用収益が198万円と元本の3倍以上となりました。もし2019年から野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)を選択して積み立てをしていれば、運用資産は元本の4倍以上になったのです。

平均利回りが高い投資信託を選ぶのは危険?

投資で重要なことは、過去のパフォーマンスがそのまま続くことはないということです。金融庁の「NISAガイドブック」では、1989年以降の日本株式、日本債券、海外株式、海外債券のパフォーマンス比較を行っています。

保有期間が5年間であれば、-8%から+14%に利回りは散らばっていますが、保有期間が20年になると+2%から+8%の間に収斂しています。平均利回りが高い投資信託を選ぶ際は、なぜ平均利回りが高いのかを分析し、一時的な要因で上がっていないかを確認しましょう。

※2024年5月14日時点における金融庁の「NISAガイドブック(P.3)」の情報を基に執筆

投資信託は利回りだけで選んで良いの?

投資信託を選ぶ際に利回りを見るのは大切なことです。しかし、単に利回りだけでなく、市場全体に対してどの程度の超過利益が出ているかも確認する必要があります。株式市場全体のパフォーマンスが良ければ利回りも高くなるため、利回りだけではその商品のパフォーマンスの良し悪しを正しく判断できません。

そこで、あわせて確認しておきたいのがベンチマークに対する成果です。投資信託は、一般的にベンチマークという基準となる指標を持っていて、その指標に連動したり、上回ったりすることを目標に運用されています。

その商品が目標としているベンチマークに対する成果も見れば、パフォーマンスの良し悪しを判断しやすくなるでしょう。ベンチマークに対してのパフォーマンスを計る尺度としては、シャープレシオトレイナー測度があります。

シャープレシオ

シャープレシオとは、リスク1単位当たりの超過リターンを測るものです。
「シャープレシオ=(平均利回り―無リスク資産の利回り)÷リスク(標準偏差)」で計算します。

リスクとは標準偏差のことで、大きいほど収益のばらつきが大きくなります。超過リターンとは平均利回りから無リスク資産の利回りを引いたものです。つまり、平均利回りが高くても、リスクも大きければ、シャープレシオは低くなる場合もあります。

たとえば、平均利回りが12%の投資信託Aと14%のBがあったときに、ポートフォリオリスクがそれぞれ5%と10%、無リスク資産の利回りが2%だったとします。

  • 投資信託Aのシャープレシオ=(12-2)÷5=2.0
  • 投資信託Bのシャープレシオ=(14-2)÷10=1.2

表面の利回りはBの方が高いですが、リスク1単位当たりの利回りでは、Aの方が優れていると言えます。

トレイナー測度

トレイナー測度とは、ベータ1単位当たりの超過リターンを測るものです。
「トレイナー測度=(平均利回り―無リスク資産の利回り)÷ベータ」で計算します。

ベータとは、ベンチマークに対する連動性を表し、指数と同じ動きをすれば1となります。つまり超過リターンをベータ1単位で把握することで、指数よりも効率的な運用ができているかを知ることができます

たとえば、平均利回りが12%の投資信託Aと14%のBがあったときに、ベータがそれぞれ0.8と1.2、無リスク資産の利回りが2%だったとします。

  • 投資信託AAのシャープレシオ=(12-2)÷0.8=12.5
  • 投資信託Bのシャープレシオ=(14-2)÷1.2=10

表面の利回りはBの方が高いですが、ベータ1単位当たりの利回りでは、Aの方が優れていると言えます。

まとめ

投資信託の平均利回りは、証券会社の投資信託の銘柄選択のページで見ることができます。平均利回り以外にも、トータルリターンや騰落率、分配金利回りなど複数の用語があるので、間違えないようにしましょう。

このところの株高、円安で一部の投資信託の平均利回りは著しく上昇しています。ただし相場には上げ下げがつきものですので、一時的な数字に惑わされないようにしてください。平均利回りの意味をしっかりと理解して、投資信託の選択に生かしていくようにしましょう。

オカネコマガジン編集部

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