住宅ローンの繰り上げ返済で得するワザ6選!シミュレーションでお得なタイミングを解説

住宅ローンの返済期間の短縮や総返済額の軽減のために繰り上げ返済は有効ですが、方法やタイミング等を工夫することで、より総返済額が抑えられたり、その他のメリットが得られる場合があります。

本記事では住宅ローンの繰り上げ返済で得する6つのワザを紹介します。いつ、どのように繰り上げ返済をするとお得なのかがわかるため、繰り上げ返済を検討している方や、住宅ローンの返済計画を見直したい方などは、ぜひ最後までご覧ください。

このコンテンツの3行まとめ
  • 住宅ローンの繰り上げ返済の種類は、「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つがあり、基本的に「返済期間短縮型」を選ぶ方が総返済額が抑えられる
  • ほかに繰り上げ返済で得するワザとして、「早いタイミングで実施する」「返済額の見直しが入るタイミングで実施する」「住宅ローン控除対象者は年明けに実施する」「基本的に繰り上げ返済資金を長期で資産運用に回した方がお得になる可能性が高い」「金利の高いローンから返済する」ことが挙げられる
  • 繰り上げ返済時には手数料がかかる場合があったり、繰り上げ返済をせずに住宅ローン控除を受けるほうが得になる場合があるため、シミュレーションをしたうえでメリットのある方法やタイミングを検討することが大切

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目次

住宅ローンの繰り上げ返済方法の種類

住宅ローンの繰り上げ返済の種類は、「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つがあります。

返済期間短縮型・返済額軽減型の比較表
返済期間短縮型返済額軽減型
返済期間短縮される変わらない
月々の返済額変わらない軽減される
利息の軽減効果

返済期間短縮型・返済額軽減型のどちらを選ぶかによって、繰り上げ返済後に得られる結果は変わってきます。

返済期間短縮型返済額軽減型の特徴やメリット・デメリットをさらに詳しく見ていきましょう。

返済期間短縮型

住宅ローン返済期間短縮型

「返済期間短縮型」は、月々の住宅ローン返済額は現状のままで、返済期間を短縮する方法です。

返済期間短縮型の繰り上げ返済を行うと、住宅ローン完済の時期を早められます。例えば、老後も住宅ローンの支払いを続けるプランから定年退職前までの完済を目指すプランに変更したい場合は、返済期間短縮型を選びましょう。

ただし、返済期間短縮型の繰り上げ返済では、月々の住宅ローン返済額が軽減されることはありません。返済期間短縮型を選ぶ際は、金利上昇やライフスタイルの変化などで出費が増えてしまったときに、資金不足で困らないかをよく考える必要があります。

返済期間短縮型の概要
メリット・住宅ローンの返済が早く終わる
・返済額軽減型よりも利息の軽減効果が高い
デメリット・月々の住宅ローン返済額は軽減されない
・金利上昇時やライフスタイルが変化した際の返済負担を軽減できない
こんな方におすすめ・定年退職前までにローンを完済したい方

返済額軽減型

住宅ローン返済額軽減型

「返済額軽減型」は、住宅ローンの返済期間は現状のままで、月々の返済額を軽減する方法です。

これから来るライフイベントに備えて月々の返済負担を減らしたい場合や、金利上昇時に返済負担が増えるのを抑えたい場合は、返済額軽減型を選ぶとよいでしょう。

注意点として、返済額軽減型は返済期間短縮型と比べると利息の軽減効果が低く、住宅ローンの総支払額を大幅に減らすことはできません。そのため、住宅ローンの総支払額を減らすために繰り上げ返済を行うなら、返済期間短縮型のほうが効率的です。

返済額軽減型の概要
メリット・月々の住宅ローン返済額を軽減できる
・金利上昇に備えられる
デメリット・返済期間短縮型よりも利息の軽減効果が低い
・住宅ローンの返済期間は変わらない
こんな方におすすめ・毎月のローン負担額を減らし、他の支出に備えたい方
・金利上昇で返済負担が増えるのを抑えたい方

何を目的に住宅ローンの繰り上げ返済を行うのかによって、返済額軽減型・返済期間短縮型を選択しましょう。

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住宅ローンの繰り上げ返済で得するワザ6選

住宅ローンを繰り上げ返済を考えている方に向け、繰り上げ返済で得する6つのワザを紹介します。

損をしないためにも、ベストなタイミングや方法を事前に確認しておきましょう。

「返済期間短縮型」の方がお得額が大きい

住宅ローンの繰り上げ返済方法には「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」がありますが、総返済額(元本+支払利息額)で比較した場合、「返済期間短縮型」の方がお得になります。

具体例として、借入額3,000万円(ボーナス返済無し/月々返済額99,378円)、返済期間35年、固定金利年2.0%で借りた場合をシミュレーションしてみます。

10年後に100万円を繰り上げ返済した場合、「返済期間短縮型」では返済期間が1年4か月短縮され、利息軽減額は624,333円です。

一方「返済額軽減型」では、繰り上げ返済後の月々の返済額は95,129円と4,249円軽減されますが、利息軽減額は270,637円のため、「返済期間短縮型」の方が総返済額が低くなりお得であることがわかります。

※手数料等は考慮しておらず、実際は変動する場合があります。

早いタイミングで繰り上げ返済した方がお得

住宅ローンの返済方法は、元本と利息を合計し毎月の返済額を一定にする「元利均等返済」と、元金の返済額を毎月均等にしてそこにローン残高に応じた利息を乗せて返済する「元金均等返済」の2種類があります。

上の図からも分かるように、いずれの返済方法も借入当初は月々の返済額のうち利息の割合が多いため、早いタイミングで繰り上げ返済をした方が、利息の軽減額が増えてお得です。

以下の同条件下で、10年後と20年後の繰り上げ返済によるお得額を比較してみます。

シミュレーションの条件

  • 借入額:3,000万円(ボーナス払い0円)
  • 返済期間:35年
  • 金利:固定金利2.0%
  • 繰り上げ返済額:100万円
  • 繰り上げ返済方法:返済期間短縮型
10年後・20年後に繰り上げ返済した場合のお得額比較
借入れから10年後借入れから20年後
返済期間の短縮期間1年4か月短縮1年1か月短縮
減少する利息額624,333円333,376円
※手数料等は考慮しておらず、実際は変動する場合があります。
※「知るぽると:繰り上げ返済シミュレーション」より算出

同条件で比較すると、借入から20年後よりも10年後に繰り上げ返済をした方が、減少する利息額が大きく返済期間も短縮され、お得なことがわかります。

返済額の見直しが入るタイミングで繰り上げ返済する

フラット35のような「固定金利」であれば返済終了まで金利が変わることはありませんが、「変動金利」を選択した場合、短期プライムレートの変動によって金利が変更されることがあります。

短期プライムレートは、日本銀行の政策金利の変更にあわせて変更されることが一般的です。金利の見直しは金融機関により異なりますが、毎月もしくは半年ごとに行われます。

しかし、金利が変更されてもすぐに月々の返済額が変更されるわけではありません。毎月の返済額の変更は、5年ごとの決まった時にしか変更されないため、返済額が増えるタイミングで繰り上げ返済を検討するのがおすすめです。

返済額変更の通知は、事前に金融機関から送付されて確認ができます。同じ程度の返済額を維持したい場合は、返済額変更の直前に「返済額軽減型」を選択し、返済額の上昇分を繰り上げ返済すると良いでしょう。

住宅ローン控除対象者は年明けの実施がお得

住宅ローン控除では、控除額を算定する際の基準を年末時の住宅ローン残高としています。そのため住宅ローン控除対象の方の繰り上げ返済は、年明けに行う方がお得です。

例として、2024年末の住宅ローン残高の予定金額が2,500万円の人が、2024年12月と2025年1月に100万円を繰り上げ返済した場合の控除額を比較してみます。

住宅ローン控除実施のタイミングによる控除額の違い
繰り上げ返済タイミング2024年12月2025年1月
2024年末の住宅ローン残高2,400万円2,500万円
住宅ローン控除額168,000円(2,400万円×0.7%)175,000円(2,500万円×0.7%)
※2025年1月時点
※手数料等は考慮しておらず、実際は変動する場合があります。

上記の例では、年末よりも年始に繰り上げ返済をした方が、7,000円ほどお得になることがわかります。

なお繰り上げ返済の方法(返済期間短縮型/返済額軽減型)によって、住宅ローン控除額に差が出ることはありません。

「住宅ローン控除」について詳しく知りたい方はこちら

住宅ローン控除(住宅ローン減税・住宅借入金等特別控除)とは、個人が一定の条件を満たして住宅ローンで住まいを購入した際に、年末の住宅ローン残高の0.7%を最大13年間にわたり税金から控除する制度です。(2025年1月時点)

例えば、住宅ローンで新築住宅を購入し、年末の住宅ローン残高が3,000万円だった場合、その年は21万円が所得税から控除(還付)されます。

住宅ローン控除の適用要件は以下のとおりです。

住宅ローン控除の適用要件

  • 引き渡しから6か月以内に居住していること
  • 住宅ローンの返済期間が10年以上あること
  • 控除を受ける年の12月31日まで居住していること
  • 床面積が50㎡以上(※)で床面積の50%以上が居住専用であること
  • 合計所得金額が3,000万円以下(※)であること
  • 2以上の住宅を保有している場合は主な居住用であること

出典:国税庁|No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
(※)一部の住宅は40㎡以上50㎡未満、合計所得が1,000万円以下で適用可

住宅ローン控除の対象となる借入限度額や控除期間は、購入した住宅の種類によって異なります。

住宅の種類借入限度額控除期間
令和6年入居令和7年入居
新築長期優良住宅最大5,000万円4,500万円13年間
低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅最大4,500万円3,500万円
省エネ基準適合住宅最大4,000万円3,000万円
その他の住宅0円
中古長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅3,000万円10年間
その他の住宅2,000万円
出典:住宅ローン減税|国土交通省
※省エネ基準を満たさない住宅。令和6年以降に新築の建築確認を受けた場合、住宅ローン減税の対象外

繰り上げ返済資金を資産運用に回した方がお得になる可能性がある

住宅金融支援機構が発表している「住宅ローン利用者調査(2024年10月調査)」によると、2024年4月から9月までに住宅ローンの借入れをした人の借入金利は、年1%以下が全体の73.5%でした。

金利が低いほど、繰り上げ返済をしたときの利息の軽減効果も低くなります。

もし繰り上げ返済の資金で資産運用をし、住宅ローン金利よりも高い利回りで運用できれば、繰り上げ返済するよりもお得です。

先ほどと同様の例で、100万円を繰り上げ返済した場合と、100万円を年3%で資産運用した場合の、10年目と20年目のお得額を比較してみます。

繰り上げ返済のシミュレーション条件

  • 借入額:3,000万円(ボーナス払い0円)
  • 返済期間:35年
  • 金利:固定金利2.0%
  • 繰り上げ返済額:100万円
  • 繰り上げ返済方法:返済期間短縮型

資産運用のシミュレーション条件

  • 投資方法:一括投資
  • 投資額:100万円
  • 年率:一律3%
繰り上げ返済と資産運用のお得額比較
借入れから10年後借入れから20年後
繰り上げ返済による利息軽減額624,333円333,376円
資産運用の収益343,900円806,100円
※手数料等は考慮しておらず、実際は変動する場合があります。
※繰り上げ返済の利息額軽減額は「知るぽると:繰り上げ返済シミュレーション」より算出
※資産運用の収益は「金融庁:資産形成シミュレーター」より算出

10年目は繰り上げ返済をした方がお得ですが、100万円を20年間資産運用したときの収益がもっとも高いことがわかりました。

ただし、資産運用にはリスクがあり、損失が発生する可能性がある点に注意しましょう。

金利の高いローン(自動車のローン等)から返済する

住宅ローン以外にもカードローンや自動車ローン、クレジットカードのリボ払いなどを利用している人もいるかもしれません。

住宅ローン金利は、他のローンよりも金利が低い傾向にあります。

住宅ローン以外の主なローンの金利目安(2025年2月時点)

  • カードローン:年1.5~14%程度
  • 自動車ローン:年1~15%程度
  • 教育ローン:年1~15%程度

住宅ローンは借入額が大きいため精神的に金利負担を感じやすく、早く返済したいという意識が強くなりがちですが、金利の高いローンから返済する方が利息軽減額が大きくなりお得です。

住宅ローンを繰り上げ返済する前に確認すべきポイント

住宅ローンの繰り上げ返済をする前に、以下のポイントも確認しましょう。

繰り上げ返済手数料を確認する

繰り上げ返済時にかかる手数料として、借入している金融機関に支払う「繰り上げ返済手数料」があります。

web上で自身で手続きする場合は手数料がかからないことが多いですが、窓口で依頼する場合5,000円から3万円程度の手数料がかかるケースが一般的です。

金融機関のホームページなどで手数料を確認し、かかる手数料を踏まえたうえでお得額を確認しましょう。

返済期間を短縮すると団体信用生命保険の効果が薄れる

銀行で住宅ローンを借入すると、原則、団体信用生命保険(団信)に加入します。一般団信の場合は、手数料が金利に含められているため支払う額が増えるわけではありませんが、病気などの発症率やリスクは年齢とともに上昇する傾向です。

団信の保障期間は住宅ローンの借入期間と同じになるため、繰り上げ返済で返済期間を短縮すると、団信の保障期間も短縮されます。

繰り上げ返済に伴い住宅ローンの返済期間も変動する場合は、加入している生命保険も同時に見直すことをおすすめします。

住宅ローン控除額よりもお得額が大きいか確認する

住宅ローン控除の適用期間中に繰り上げ返済をする場合は、繰り上げ返済による利息の軽減額と、住宅ローン控除によって還付される税金の額を比較しましょう。

現在の住宅ローン控除の控除率は0.7%(2025年1月現在)なので、住宅ローン金利が0.7%を下回っているなら、繰り上げ返済をせずに住宅ローン控除を受けるほうが得です。

その場合は住宅ローン控除を利用して資金を貯めて、住宅ローン控除の対象期間が終わってから繰り上げ返済をしましょう。

ライフイベントにかかる費用も確認する

住宅ローンの繰り上げ返済を行うためには、一定のまとまった資金が必要です。一時的に手元の資金が減ってしまうため、発生する可能性のあるライフイベントに備え必要な資金を確保してから、繰り上げ返済を行うようにしましょう。

もし子どもの進学や車の買い替え、家族の介護等で資金が必要な時期が近いときは、それらの支払いが終わった後に繰り上げ返済を検討するのがおすすめです。

また病気やケガなどによる収入減少に備え、緊急用の資金として生活費の3~6か月分は常に確保し、無理に繰り上げ返済をしないようにしましょう。

住宅ローンの繰り上げ返済の得するワザに関するQ&A

住宅ローンは長期に渡る返済が必要なため、借入金利以外にも考慮すべきポイントがあります。それらを中心によくある質問に回答していきます。

1. 繰り上げ返済手数料が安い住宅ローンは?

web上で手続きが行える銀行では、ほとんどのところが繰り上げ返済手数料が無料です。どのくらいの手数料が必要かは、銀行のホームページなどで確認しましょう。

もし手数料がかかる場合は、こまめに繰り上げ返済をしてしまうと手数料がかさむため注意が必要です。

2. 繰り上げ返済のベストなタイミングを知る方法は?

住宅ローンの繰り上げ返済のベストタイミングは、人によって異なります。以下の要素を踏まえ、適切なタイミングや返済額を考えなければなりません。

  • 発生しうるライフイベント
  • 収入など家計状況
  • 金利変動などの市場の変化
  • 他の借入れ状況 など

適切なタイミングを知るためには、ライフプランニングが有効です。ファイナンシャルプランナー(FP)であれば、無料でライフプランニングの相談をすることも可能です。客観的な意見をもらえるので、一度相談してみると良いでしょう。

まとめ

住宅ローンの繰り上げ返済には、「一部繰り上げ返済」と「全額繰り上げ返済」があり、一部繰り上げ返済では、「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」を選択できます。

適切な方法やタイミングは人によって異なるため、紹介した以下の繰り上げ返済で得するワザ6選を参考に、メリットのある方法を見つけてみてください。

FPなどの専門家に相談すると、適切な繰り上げ返済方法のアドバイスがもらえるでしょう。

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オカネコマガジン編集部

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