ペット(犬・猫)の治療費はいくら? 平均医療費とペット保険の考え方とは

ペット(犬・猫)の治療費はいくら? 平均医療費とペット保険の考え方まとめ

ペット(犬・猫)の生涯にかかる平均治療費は、犬の場合は約60万〜100万円猫の場合は約50万円です。

オカネコが2月22日の「猫の日」にあわせて2024年2月に実施した調査によると、飼い猫にかけるお金で最も多いのは「フード、おやつなどの食費」ですが、約3割の人が「病気やけが診療費」「ワクチンや健康診断などの予防医療費」の「医療関係費」に最もお金がかかっていることが分かりました。

ペットには私たちヒトのような公的医療保険がないため、かかった治療費は全額自己負担で賄わなければなりません。軽い病気であれば1回数千円程度の治療費で済むかもしれませんが、重い病気や手術が必要な場合は平均治療費よりもさらに負担が大きくなることが予想されます。

そこで本記事では、さまざまな統計データを参考にしてペットの治療費の相場をご紹介します。また、ペットの医療費に備えるためのペット保険についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

このコンテンツの3行まとめ
  • 生涯平均治療費は犬の場合は約60万〜100万円、猫の場合は約50万円。ペット(犬・猫)の治療費は全額自己負担で賄わなければならないため高額になりがち
  • 近年、ペットの平均寿命が延伸化しており、ペットも年齢を重ねることでケガや病気のリスクが高まり、それに応じて医療費も高額化する傾向にある
  • 現時点での貯金や今後の収入でペットの医療費を賄うのが難しいと判断した場合は、ペット保険に加入して高額な医療費に備えることが大切
目次

ペット(犬・猫)の生涯にかかる治療費は100万円以上

はじめに、ペット(犬・猫)にかかる治療費の相場を各項目に分けて解説していきます。

ペットの平均治療費と生涯医療費

ペット(犬・猫)の1年間にかかる平均医療費と生涯医療費の相場は、次のとおりです。

ペットの平均治療費

※治療費は「ケガや病気の治療費」を記載しており、ワクチンや健康診断等の予防費は含まれていません
※犬の平均寿命は14.1歳、猫の平均寿命は14.4歳として生涯平均治療費を計算しています
※上記の数値は2023年時点のデータをもとに筆者が計算し直した数値を掲載しており、実際の統計データとは数値が異なる場合があります
参照※1 :1. 犬と猫の寿命|2部 第4章 死亡と寿命|アニコムどうぶつ白書2022 62ページ

アニコム家庭どうぶつ白書2022のデータによると、犬の年間治療費は40,000円~70,000円、猫はおよそ35,000円です。

同データでは犬の平均寿命が14.1歳、猫の場合は14.4歳となっており、これらを考慮したうえで生涯平均治療費を計算すると、犬の場合は約60万〜100万円、猫の場合は約50万円となります。

疾患・年齢別の平均治療費

統計データをみる際は、「平均値」と「中央値」の2つの指標があることを理解しておきましょう。

  • 平均値:複数の数を等分したときの値(例:0・0・6の3つの数字の平均値は2)
  •  中央値:複数の数を順に並べたときの中央にくる値(例:0・0・6の3つの数字の中央値は0)

「平均値」はすべての数値を等分したときの値で、「中央値」は数値を小さい順に並べた場合にちょうど中央にくる値を表します。

平均値は一部の突出したデータに影響を受けて、数値が大幅に底上げされてしまう可能性があるため、私たちが普段からイメージする平均に近い数値を参照する場合は「中央値」を確認するのが良いでしょう。

これらを踏まえたうえで、アニコム家庭どうぶつ白書の最新データを参考に、ペット(犬・猫)の疾患・年齢別の年間診療費をご紹介します。

犬の疾患別・年齢別の年間診療費
疾患(大分類)年齢別の年間診療費(1頭あたり)
0歳1〜4歳5〜8歳9〜12歳
循環器疾患中央値18,463円26,460円50,162円75,286円
平均値46,753円50,149円87,096円118,894円
呼吸器疾患中央値8,624円8,813円13,068円21,189円
平均値16,491円21,223円36,395円60,315円
消化器疾患中央値10,760円9,720円11,110円13,600円
平均値21,735円21,027円28,550円38,035円
肝・胆道および膵の疾患中央値23,956円29,113円38,664円55,055円
平均値54,327円57,424円76,482円102,001円
泌尿器疾患中央値9,194円14,680円18,144円21,092円
平均値18,699円30,849円42,038円52,537円
生殖器疾患中央値5,400円9,808円47,380円56,980円
平均値16,219円36,826円80,318円92,081円
神経疾患中央値16,090円24,300円36,828円42,612円
平均値49,957円63,130円76,351円87,790円
眼および付属器の疾患中央値6,480円7,600円10,594円15,120円
平均値16,340円19,910円31,859円40,592円
耳の疾患中央値8,598円10,498円12,366円13,414円
平均値13,354円18,207円23,234円27,500円
歯および口腔の疾患中央値17,502円26,099円35,170円36,105円
平均値30,560円34,525円44,908円51,658円
筋骨格疾患中央値10,800円9,908円11,051円14,256円
平均値79,665円47,956円40,396円47,174円
皮膚疾患中央値8,100円11,902円16,524円19,645円
平均値16,402円30,279円42,766円51,254円
血液および造血器の疾患中央値15,729円30,508円64,010円77,204円
平均値33,696円93,569円147,130円152,600円
内分泌疾患中央値27,940円56,799円72,212円82,199円
平均値62,901円98,868円117,611円128,996円
全身性の疾患中央値7,340円8,316円10,800円14,256円
平均値15,457円17,865円25,021円37,512円
参考:腫瘍中央値6,889円8,640円17,658円36,789円
平均値20,141円33,018円68,667円100,518円
参照:2-6 犬の疾患別・年齢別の年間診療費(1 頭あたり)|アニコム家庭どうぶつ白書2019 13ページ
猫の疾患別・年齢別の年間診療費
疾患(大分類)年齢別の年間診療費(1頭あたり)
0歳1〜4歳5〜8歳9〜12歳
循環器疾患中央値23,818円39,818円45,684円56,121円
平均値49,725円67,132円78,814円91,470円
呼吸器疾患中央値7,727円7,992円11,920円18,981円
平均値16,746円20,148円37,616円51,193円
消化器疾患中央値8,629円9,612円12,204円16,740円
平均値21,897円23,042円26,643円38,779円
肝・胆道および膵の疾患中央値18,652円22,030円30,456円42,882円
平均値40,330円51,043円68,309円96,796円
泌尿器疾患中央値12,744円16,810円19,008円21,492円
平均値24,865円40,940円58,760円63,491円
生殖器疾患中央値8,640円37,026円61,171円117,696円
平均値38,317円56,757円88,510円170,695円
神経疾患中央値17,734円20,326円30,699円47,838円
平均値36,211円51,322円58,766円86,897円
眼および付属器の疾患中央値5,620円5,693円6,588円7,560円
平均値11,075円11,085円13,650円24,269円
耳の疾患中央値7,668円7,425円8,323円10,211円
平均値14,136円14,027円19,448円24,056円
歯および口腔の疾患中央値7,850円12,420円21,114円30,300円
平均値18,706円29,752円37,281円48,779円
筋骨格疾患中央値8,910円9,331円10,881円11,123円
平均値38,026円27,778円30,257円30,267円
皮膚疾患中央値6,739円6,264円8,130円9,437円
平均値12,465円13,136円17,772円28,601円
血液および造血器の疾患中央値15,300円42,118円55,294円112,092円
平均値41,272円91,023円117,741円172,557円
内分泌疾患中央値12,269円25,200円81,680円97,820円
平均値23,094円51,855円119,217円136,779円
全身性の疾患中央値8,424円9,158円11,772円15,059円
平均値17,211円18,829円24,986円37,759円
参考:腫瘍中央値11,046円13,166円24,246円56,168円
平均値49,816円66,870円85,391円131,782円
参照:2-9 猫の疾患別・年齢別の年間診療費(1 頭あたり)|アニコム家庭どうぶつ白書2019 15ページ

ペットの年齢別でみると、1〜4歳の頃に比べて9〜12歳のほうが、およそ1.5〜2倍の医療費がかかっています。私たちヒトと同じように、ペットも年齢を重ねることでケガや病気のリスクが高まり、それに応じて医療費も高額化していることが伺えます。

ペットの医療費はそのほかにも、動物病院に支払う診療代、入院料、ワクチン代、去勢・避妊手術費用などもかかるため、上記のデータよりも高額になる可能性があることを念頭に置いておきましょう。

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ペット(犬・猫)の治療費が高額になる3つの理由とは

ペット(犬・猫)の治療費が高額になりやすい理由として、以下のことが挙げられます。

  • ペットの治療費には公的医療保険制度のようなものはなく、飼い主が全額負担する
  • 通院先の病院によって治療費が異なる(病院によっては高額になりやすい)
  • ペットの平均寿命が延伸化している

公的医療保険制度に加入している私たちは、健康保険証を提示することで原則3割の自己負担で高度な医療が受けられますが、冒頭でもお伝えした通りペット(犬・猫)にはそのような医療制度はないため、治療費が高額になりやすいです。

また、厚生労働大臣によって決められた診療点数などがあるわけではないので、病院によって治療費の設定金額が異なります。

さらに、近年では人間と同じくペットの平均寿命も上昇傾向にあり、それも治療費が高額になる一つの原因になっています。アニコム家庭どうぶつ白書の調査によると、2008〜2020年におけるペットの平均寿命は次のとおりです。

犬と猫の平均寿命
年度
2020年14.1歳14.4歳
2019年14.1歳14.3歳
2018年14.0歳14.2歳
2017年14.0歳14.2歳
2016年13.9歳14.3歳
2015年13.8歳14.2歳
2014年13.7歳14.2歳
2013年13.6歳14.0歳
2012年13.5歳14.1歳
2011年13.4歳14.0歳
2010年13.3歳13.9歳
2009年13.1歳13.8歳
2008年13.2歳13.9歳
参照:1.犬と猫の寿命|2部 第4章 死亡と寿命|アニコムどうぶつ白書2022 62ページ

2008年と2020年の平均寿命を比べると、12年で犬は0.9歳猫は0.5歳も平均寿命が伸びていることがわかります。

ペットの平均寿命が延伸化している理由は、ペットの食環境や飼育環境の向上、獣医療の発展などが挙げられるでしょう。

平均寿命が延びることはペットと一緒にいられる時間が増え、飼い主にとっては喜ばしいことですが、年齢を重ねることでケガや病気のリスクも上がるため、医療費の高額化にもつながっていると言えます。

ペット(犬・猫)の治療費に備えるには「ペット保険」に入ることが大切

ペット(犬・猫)の治療費に備えるには、ペットを対象とした「ペット保険」への加入を検討しましょう。ペット保険に加入すると、通院費や入院費、手術代などの診療費用の一部を保険会社が負担してくれます。

一般的には、医療費の50〜70%程度が補償されるペット保険が多く、補償金額を高く設定するほど毎月の保険料も高くなります。なお、ワクチン接種や予防接種、避妊・去勢手術、出産などの費用は補償対象外となり、すべての医療費を保険で賄えるわけではありません。

ではどのくらいの人がペット保険に入っているのか、日本のペットの飼育数とペット保険の加入率を確認してみましょう。

日本のペット飼育数とペット保険の加入率

ペット保険は、高額になりがちなペットの医療費に備えるためのものですが、あまり加入率は高くありません。

アニコム家庭どうぶつ白書のデータを参照すると日本のペット(犬・猫)の数は、2021年時点でおよそ1,600万頭以上であることがわかっています。これは、15歳未満の子どもの数を超える数字です。

日本の犬・猫・人(65歳以上、15歳未満)の数の比較表
年度人(65歳以上)人(15歳未満)
2021年711万頭895万頭3,621万人1,478万人
2020年734万頭863万頭3,603万人1,503万人
2019年758万頭876万頭3,589万人1,521万人
2018年762万頭845万頭3,558万人1,542万人
2017年768万頭867万頭3,515万人1,559万人
2016年801万頭833万頭3,459万人1,578万人
2015年799万頭830万頭3,387万人1,595万人
2014年820万頭843万頭3,300万人1,623万人
2013年871万頭841万頭3,190万人1,639万人
参照:第1部 家庭どうぶつと家族|アニコム家庭どうぶつ白書2022 3ページ
参照:e-stat_人口推計

多くの家庭でペットが飼われている一方で、日本でのペット保険の普及率は2021年時点でおよそ16.4%です。毎年ペット保険の普及率は上昇しているものの、まだ過半数の家庭ではペット保険に加入していないことが伺えます。

ペット保険の加入率

参照:アニコムグループ中期経営企画2022-2024 37ページ

今後もペットの平均寿命はさらに延伸化が進むとみられ、それにともない治療費も高額になることが予想されます。

ペットの生涯にかかる治療費の平均は100万円以上ですから、貯蓄だけで治療費を賄うのが難しい場合は、毎月の保険料とのバランスを考慮しつつ、ペット保険の活用を検討しましょう。

約3割の人がペット保険の加入を検討している

ペット保険の加入率は2021年時点では16%程でしたが、オカネコが2024年2月に実施した調査によると、猫を飼っている方が「ペット保険に加入している」と回答した方は34.1%でした。

また、「ペット保険に加入していない・加入検討中」と回答した方は28.5%と、約3割の方は加入を検討していることがわかります。

ペット保険の加入率

未加入者が半数以上を占めているものの、多くの方は「ペット保険加入」の検討の余地があることが読み取れます。

貯金だけでペットの医療費に備えるのはNG?

ペットの治療費を貯金や今後の収入で賄えるのであれば、必ずしもペット保険に加入する必要はありません。

ここまでに解説したように、ペットの治療費は高額になりやすく、さらに全額を自己負担で賄う必要があるため、ペット保険に加入しておいたほうが万一のときに安心です。その一方で、ペット保険の保険料は掛け捨て型が基本なので、払い込んだ保険料が将来的に返ってくることはありません。

自身がペット保険に加入するかどうかは、現時点で高額な医療費が発生した場合に、その費用を負担できるかどうかで検討するのがおすすめです。

また、ペット保険を選ぶ際は、補償内容の範囲や補償割合、特約の有無などで比較検討し、毎月の保険料とのバランスをみて検討するのが良いでしょう。

まとめ

ペットの生涯平均治療費は、犬の場合は約60万〜100万円、猫の場合は約50万円です。ペットには私たちヒトのような公的医療保険がないため、全額を自己負担で賄わなければなりません。

また、ペットの平均寿命も毎年延びており、医療費はさらに高額になることが予想されます。

現時点で貯金や今後の収入でペットの医療費を賄うのが難しいと判断した場合は、ペット保険に加入して高額な医療費に備えることをご検討ください。

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オカネコマガジン編集部

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