2024年から始まった新NISAの口座開設後、そのまま放置するとどうなるか気になりませんか?中には2023年中に慌てて申し込みをしたものの、投資商品を選びきれずにそのまま放置してしまっている方も少なくないかもしれません。
「新NISAの口座開設後に放置してしまうとどうなる?」
「放置してしまったNISA口座はどうすれば良い?」
本記事では、上記のような疑問に回答していきます。
- 新NISAの口座開設後に放置したままでも、口座管理や維持費用といった金銭面での問題は発生しないが、非課税の恩恵を受けられる期間が短くなってしまい、将来的な運用効率が下がることにつながってしまう
- 2023年までの旧NISA口座から新NISA口座へのロールオーバーはできないため、旧NISAで管理している資産がある場合は、非課税期間が終了する直前に資産を売却し、新たに新NISAで投資し直すのがおすすめ
- 新NISAは「長期・積立・分散投資」に適した投資手法で、運用期間が長くなるほどより効率よく資産を増やすことが可能なため、放置せず少額からでも今すぐに資産運用をはじめるべきである
投資にはリスクがあります。
最終的な投資の決定はご自身の判断でお願いいたします。
新NISA口座開設後に放置したままだとどうなる?
新NISAの口座開設後に放置したままでも、費用面での問題は発生しません。新NISAのために開設した専用口座は、過去に一度もNISAで取引をしていないのであれば、口座管理や維持のための手数料は発生しないのでご安心ください。
ただし、新NISAの口座開設後、放置期間が5年を過ぎると専用口座が閉鎖されてしまう可能性があります。また、新NISAは資産を効率よく増やすための「分散・積立・長期投資」に適した運用方法ですが、NISAの口座開設後に放置していると、せっかくの非課税期間を無駄にしてしまっているとも考えられます。
つまり、NISAの口座開設後に放置したままだと費用面での損失は一切発生しません。その一方で、非課税の恩恵を受けられる期間が短くなってしまうため、将来的な運用効率が下がることにつながります。
放置してしまった新NISA口座の対処法
NISAの口座開設後に放置してしまうと、放置期間分の非課税枠は後から取り戻すことができません。せっかく証券会社を選んでNISAの口座開設をしたのであれば、少額でも構わないので今すぐに運用を始めるべきです。
ここで、改めてNISA口座で資産運用を始めるための具体的な手順を確認しておきましょう。
新NISA口座での資産運用の手順
- 投資商品を選択
- 積立額の設定または購入
- 必要に応じて設定変更や売却
新NISAで資産運用を始めるには、最初に投資商品を選択しなければなりません。証券会社では投資信託のおすすめランキングなどを公開しているケースがありますが、何も調べずに銘柄を購入すると思わぬ損失が出てしまう可能性があります。
NISAの資産運用で目指すべきゴール(資産額など)を明確にしたうえで、なぜその銘柄が人気を集めているのか? 自分の掲げた目標を達成するにはどのような商品を選ぶべきか?を考えてから投資商品を選ぶことを心がけましょう。
開設後に放置したままの旧NISA(NISA・つみたてNISA)口座はどうなる?
2023年までに旧NISA口座を開設済みで放置している場合、特別な手続き不要で同じ証券会社に新NISA専用口座が自動的に開設されています。旧NISAで一度も金融商品を購入していない場合は問題ありませんが、旧NISAで一度でも投資信託などを購入して保有している人は注意が必要です。
2024年から始まった新NISAは、2023年まで運用されていた一般NISA・つみたてNISAとは全く別物の制度として扱われており、新NISAとは別枠で非課税期間が継続されます。
旧NISAでは最長20年(つみたてNISAの場合)の非課税期間が終了した場合、ロールオーバー(資産の移管)で新規買付枠を利用することで、運用中の資産の非課税期間を実質的に延長することが可能でした。
ところが、旧NISAの新規買付は2023年で終了しており、旧NISAと新NISAは全く別物の制度として運用されていることから、旧口座から新口座へのロールオーバーができません。
旧NISA口座の非課税期間が終了すると自動的に課税口座へ移管されてしまうため、以降は通常の資産運用と同様で約20%の税金(※)が発生してしまいます。※2024年6月27日時点
そのため、旧NISAで投資信託などを購入して保有している方は、旧NISAの非課税期間が終了する前に資産を売却し、その売却額は新NISAの対象商品に投資し直すのがおすすめです。
旧NISAで損失が出ているのに税金が発生するケース
旧NISAを利用していた場合、非課税期間の終了に伴う課税口座への自動移管により、損失が出ているのに税金の支払いが発生するケースがあります。旧NISA口座から課税口座へ自動移管される場合、自動移管された時点の時価が取得価額になります。
たとえば、旧NISAで50万円を投資していたものの、自動移管時に資産価値が25万円に値下がりしていた場合、取得価格が25万円として課税口座へ移管されます。課税口座移管後、資産価値が30万円に値上がりした場合、取得価格25万円から見ると5万円の利益を得たことになります。
元々の投資金額から見ると50万円の資産が30万円に値下がりして20万円の損失が発生していますが、自動移管時の取得価格の仕様により、5万円の利益に対して約1万円(※)の税金を支払う義務が課せられてしまうのです。※2024年6月27日時点
上述の通り、旧NISAから新NISAへのロールオーバーはできません。旧NISAで管理している資産がある場合は、非課税期間が終了する直前に資産を売却し、新たに新NISAで投資し直すことを心がけましょう。なお、新NISAでは旧NISAの対象商品の一部が対象外となっているため、場合によっては買い直しができない可能性がある点にはご注意ください。
新NISA口座開設後の放置をやめた方が良い理由
新NISA口座の開設後、放置をやめた方が良い理由として次の4点が挙げられます。
それぞれの理由について詳しく解説するので、NISAの口座開設後に放置したままの方は必ず目を通すようにしてください。
新NISAで早く投資を始めた方が非課税の恩恵を長く受けられる
通常、株式投資や投資信託で得た利益には20.315%の税金が課せられます。たとえば、1万円の利益を得た場合は約2,000円を税金として納めなければなりません。※2024年6月27日時点
2024年から始まった新NISAでは、年間で最大360万円(成長投資枠240万円、つみたて投資枠120万円)までの新規投資が非課税となるため、より効率よく資産運用を進められます。
ただし、後から前年以前の非課税枠を利用することはできません。運用期間が長くなるほど複利効果も高まるため、早いうちから新NISAで投資を始めたほうが非課税の恩恵をより長く受けられます。
少額投資でも長期間の運用で利益を得られる可能性がある
新NISAは少額投資でも長期間の運用で大きな利益を得られる可能性があります。たとえば、月1万円を年利3%で運用した場合、20年後には約329万円※(元本240万円、運用収益約89万円)の運用資産額になることがわかります。
新NISAは「長期・積立・分散投資」に適した投資手法で、運用期間が長くなるほど、より効率よく資産を増やすことが可能です。金融機関によっては最低100円からの少額投資も可能なので、まとまった資金が手元にない方は少額からでも構わないので、今すぐに新NISAで資産運用に取り組むべきだと言えます。
運用期間中はいつでも資産の売却・引き出しが可能で一切の制約がない
新NISAの資産は、運用期間中はいつでも売却・引き出しが可能で、毎月の積立投資だけを一時的に停止することも可能です。資産運用の非課税制度としてNISAと同じく人気度の高い「iDeCo(個人型確定拠出年金)」は、原則60歳になるまで一切の資産を引き出すことができないという制約があります。
新NISAなら緊急でまとまった資金が必要な場合や、毎月の積立投資が難しい場合にも対応できるので、ある程度自由に使える資金が手元にある場合は、新NISAを活用した資産運用を検討しましょう。
証券会社によっては一度も取引をしていないと口座解約の可能性がある
証券会社によっては一度も取引をしないまま5年間放置し続けると、マネーロンダリングや不正利用防止の観点から、口座が自動的に解約されてしまう場合があります。改めて申し込みをすれば口座開設は可能ですが、本人確認や審査などに時間がかかってしまうため、いざ投資を始めようと思ってもすぐに取り組むことができません。
ただし、全ての金融機関が自動解約を行うわけではありません。証券会社によって扱いが異なるので、事前に詳細条件を確認しておくようにしましょう。
新NISA口座で投資後に放置するのはNG?【ほったらかし投資とは】
ここまで、NISAの口座開設後に一度も取引をしないまま放置をした場合の結末と対処法について解説してきました。一方で、新NISA口座で実際に投資をしてみたものの、そのまま放置し続けてしまっている方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、新NISA口座で投資をした後に放置をしてしまっても全く問題はありません。その理由は、新NISAを利用した投資は長期目線の腰を据えた運用が前提とされており、むやみに触らず積極的に放置したほうが効率よく資産運用を進められるからです。
下記の記事で、新NISAを活用した「ほったらかし投資」の具体的な手順と、おすすめ銘柄の選び方について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
新NISAの口座開設後に放置している場合でも、口座管理や維持費用といった金銭面でのリスクが発生することはありません。ただし、新NISA制度の特徴を踏まえると、口座開設後に投資をせずに放置をすることは非課税期間を無駄にするのと同義です。
後から機会損失分を取り戻すことはできません。少額からでも構わないので、今すぐに新NISAの非課税枠を利用して積極的な資産運用に取り組むことを検討しましょう。