「100万円で投資信託を購入した後にそのまま放置するとどうなるの?」
「100万円の元手で投資信託を購入して、ほったらかしにしたまま利益を上げることはできるの?」
100万円の資金を使って投資信託を購入してみたいと考える人の中には、上記のような疑問を持つ人もいることでしょう。
この記事では、100万円で投資信託を購入したまま、ほったらかしにしておいたらどうなるのかをシミュレーションするとともに、ほったらかしでも運用できるおすすめ投資信託を紹介します。
- 投資信託の多くは、信託期間が無期限なので、放置したままでも運用は行われるが、繰上償還されることがあり、償還後は一切運用されないので注意が必要
- リスクおよびリターンは、国内債券<海外債券<国内株式<海外株式の順で大きくなるので、目標とする利回りに合わせて投資信託の銘柄を選定するのがおすすめ
- 投資信託の購入後は運用報告書をチェックし、中でも特に純資産残高に注意が必要。純資産残高が減り続けている場合には、売却を検討する必要もある
投資にはリスクがあります。最終的な投資の決定はご自身の判断でお願いいたします。
100万円で投資信託を購入したまま放置したらどうなる?
投資信託を100万円分購入したまま放置したらどうなるのでしょうか?投資信託は、放置しておいても基本的には大丈夫ですが、例外もあることを覚えておきましょう。
現在、追加型の投資信託は、信託期間が無期限とされているものが多いので、ほったらかしにしておいても、そのまま運用が継続されます。ただし、信託期間が無期限でも、受益権の口数が一定数以下になると繰上償還ができるという条項をつけている投資信託もあります。
繰上償還されると、最終の基準価額で計算された償還金が口座に入ってきます。償還後は一切運用されないので、繰上償還には注意しておきましょう。また、期限の決まっている投資信託も償還期限後は一切運用されなくなります。ご自身の購入した投資信託がどれに該当するかは、目論見書をよく確認するようにしましょう。


100万円で投資信託を購入して放置したときのシミュレーション
100万円で投資信託を購入して、そのまま放っておいたらどうなるかをシミュレーションしてみましょう。
シミュレーションの条件
- 初期投資額:100万円
- 積立金額:0円
- 想定利回り:3%、5%、10%の3パターン
- 期間:20年
シミュレーション結果について
- 当該数値はあくまでもシミュレーションにより算出されるものであり、実際の投資結果とは異なります。また、情報の正確性・完全性及び将来の運用成果を保証するものではありません。
- 税金や手数料等は考慮していません。
- 本シミュレーション及びシミュレーション結果を利用することで生じるいかなる損害(直接的、間接的を問わず)についても、当社は一切の責任を負うものではありません。
- 本シミュレーションに基づく参考表示による情報提供を目的としているものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。
年利3%で運用できた場合
年利3%で運用できたとすると、最初の100万円は20年後には1,820,598円になります。※税金考慮せず
年利3%の運用は長期的には、それ程困難な目標ではありません。例えばアメリカの政策金利であるフェデラルファンドレート(FFレート)は、年5.5%であり、米ドルMMFの金利は年4.7%~4.8%程度あります。(2024年6月28日時点)
為替リスクはありますが、債券運用をする投資信託を中心において選定しても、年利3%の運用は、長期的には達成しやすい水準といえます。
年利5%で運用できた場合
年利5%で運用できたとすると、最初の100万円は20年後には2,712,439円になります。※税金考慮せず
年利5%で運用できると、20年後の評価額は倍以上になります。
NISAで投資可能な投資信託の中で、20年の利回りが5%程度(楽天証券投信スーパーサーチを使用、2024年6月28日現在)の投資信託を見ていくと、TOPIXを中心に日本株で運用する投資信託が多く出てきます。したがって、年利5%を目指す場合には、日本株を中心に運用する投資信託を購入するイメージになるでしょう。
年利10%で運用できた場合
年利10%で運用できたとすると、最初の100万円は20年後には7,327,657円になります。※税金考慮せず
20年後の評価額はなんと7.3倍にもなるのです。しかし、年利10%で運用するのはかなり難しいと言えます。20年の運用実績のあるNISA対象投資信託のうち年利10%を超えているのは16銘柄のみで(楽天証券投信スーパーサーチを使用、2024年6月28日現在)主に米国株かグローバル投資のものです。
つまり、株式の上昇に加え、為替でも差益が取れるような状況にないと、長期で10%の利回りを取るのは難しいと言えます。年利10%を目指すのであれば、海外株に投資する投資信託を選ぶのも良いでしょう。
投資信託を購入後どのくらい放置して良いの?コツは?
現在の投資信託のほとんどのものは信託期間が無期限ですので、購入後、ずっと放置しておいても大丈夫です。ただし、繰上償還がある場合もあるので、その点は注意が必要です。
購入後は運用報告書をチェックしよう
投資信託を保有していると半年か1年毎に運用報告書というものが運用会社から送られてきます。運用報告書の中には運用実績や純資産残高の推移が掲載されています。
特に純資産残高には注意しておきましょう。純資産残高が減り続けている投資信託は、運用成績が悪いか、売却する投資家が多いかなどの理由がありますので、純資産残高が減り続けている場合には、売却も検討した方が良いと言えます。
投資信託を購入するタイミングが重要
1回だけ購入する場合には、タイミングも重要になってきます。積み立てであれば、購入時期も分散するので、買値も分散されますが、高値で一気に購入してしまい、その後価格が下がって回復まで時間がかかると、精神的にもショックが残ります。
1回で購入する場合には価格を大きく下げた後などを狙ったり、積み立てと併用したりするなどの対策を考えると良いでしょう。


購入した投資信託を放置して運用したい人におすすめの銘柄
投資信託を放置して運用したい人向けに、おすすめ投資信託を5銘柄紹介します。長期運用に適しているという観点からNISAのつみたて投資枠に採用されている銘柄から選んでいます。投資対象があまり被らないように、特徴のある投資信託を選定しました。
※紹介する投資信託は、2024年6月28日時点で確認できる各商品の最新の目論見書の情報をもとに執筆されています。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)はeMAXISシリーズの一つで、日本を含む先進国および新興国の株式等に投資し、MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果をめざした運用を行います。世界経済が成長していけば、この投資信託も同様に成長が見込まれます。
目論見書で購入時手数料および信託財産留保額はなしと書かれているので、どこの証券会社、銀行で購入しても購入時手数料はかかりませんし、解約時に信託財産留保額もかかりません。運用管理費用は年0.05775%(税込)とかなり低い水準です。
eMAXISシリーズの特徴は、業界最低水準の運用管理費用を目指すとしているところです。同じような運用をする投資信託でeMAXISシリーズより低い運用コストの投資信託が出てきた場合には、eMAXISシリーズの投資信託も可能な限り同程度まで運用管理費用を引き下げる方針です。
したがって長期投資でも運用管理費用によるパフォーマンスの低下を防ぐことができます。
参照元:交付目論見書|eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)|eMAXIS(イーマクシス)

iFreeNEXT NASDAQ100インデックス
iFreeNEXT NASDAQ100インデックスは、米国の株式に投資し、NASDAQ100指数(配当込み、円ベース)の動きに連動した投資成果をめざして運用を行います。成長力のあるNASDAQに投資するので、高い成長力が期待できます。
「購入時手数料は販売会社が決定できる」となっていますが、現在販売している会社で、購入時手数料を取っているところはありません。また信託財産留保額もありません。運用管理費用は年0.495%(税込)となっており、若干高めであると言えます。
NASDAQ100指数は、米国のナスダック市場に上場している時価総額の大きい非金融業100社の株式で構成される株価指数です。100銘柄に分散投資をしていると言っても、米国1国への投資なのでリスクは高くなります。ただし世界経済1位の米国における成長力の高い部分への投資となるので、リターンも大きくなることが期待できます。
参照元:交付目論見書|iFreeNEXT NASDAQ100インデックス|大和アセットマネジメント株式会社
日経平均高配当利回り株ファンド
日経平均高配当利回り株ファンドは、日本国内の株式に投資を行います。投資にあたっては、主として日経平均株価採用銘柄の中から、予想配当利回りの上位30銘柄を選定し、流動性を勘案して銘柄毎の組入比率を決定します。
購入時手数料は上限2.2%(税込)となっており、販売会社ごとに購入時手数料が異なるので、購入時に確認が必要です。また信託財産留保額はありません。運用管理費用は年0.693%(税込)となっており、若干高めです。
日本の株式に投資するため、為替リスクを考える必要がないことがメリットです。また投資している会社がすべて日本企業なので、中身が分かりやすいことも安心感があります。ただし日本の成長率は先進国の中では低い方なので、成長性という面では、海外の株式と比較すると劣ることが懸念材料です。
参照元:交付目論見書|日経平均高配当利回り株ファンド | 投資信託なら三菱UFJアセットマネジメント
ハッピーエイジング・ファンド ハッピーエイジング 30
ハッピーエイジングファンドシリーズは、投資対象の国内株式、国内債券、海外株式、海外債券、エマージング株式、短期資産のうち、国内債券、海外債券、短期資産の比率により20から60までの5種類が販売されています。
その中で30は国内債券、海外債券、短期資産の比率が30%ということです。パフォーマンス評価は、各資産毎のベンチマークを同比率で加重平均したものを総合ベンチマークとしています。
購入時手数料は上限2.2%(税込)となっていて、販売会社ごとに購入時手数料が異なるので、購入時に確認が必要です。また信託財産留保額はありません。運用管理費用は年1.485%(税込)となっており、かなり高めではあります。
バランス型なので、株式、債券に分散投資できるほか、国内、海外と地域の分散もこれ一つで出来ます。株式の比率が70%と高めの積極運用タイプなので、世界経済の成長を享受できます。より安定運用を好む場合には、同じシリーズの40、50、60などを選択すると良いでしょう。
参照元:交付目論見書|ハッピーエイジング 30|SOMPOアセットマネジメント
iTrustインド株式
iTrustインド株式は、主にインド企業の株式に投資する投資信託です。銘柄選択においては、安定した成長が期待できる企業を厳選しています。NISAのつみたて枠でインド株式のみに投資する投資信託として唯一採用されています。
目論見書で購入時手数料および信託財産留保額はなしと書かれているので、どこの証券会社、銀行で購入しても購入時手数料はかかりません。投資対象のファンドにかかる運用管理費用を含めた実質的な運用管理費用は年0.9828%(税込)と少し高めです。
2023年に中国を抜き、世界一の人口を持つ国となったインドは、今後の経済成長が期待されている国です。名目GDPの額も2022年で世界5位(世界銀行調べ)ですが、3位、4位に位置する日本、ドイツを数年で追い越すと予想されています。経済成長の大きさから、日本や米国の株価を上回るパフォーマンスが期待されます。
参照元:「iTrustインド株式」公式サイト内に掲載されている投資信託説明書(交付目論見書)を参照

まとめ
投資信託の多くは、信託期間が無期限なので、放置したままでも運用は行われます。ただし繰上償還されることがあるので、注意が必要です。リスクおよびリターンは、国内債券<海外債券<国内株式<海外株式の順で大きくなりますので、目標とする利回りに合わせて投資信託の銘柄を選定しましょう。
一度購入したら放置したままでも結構ですが、運用報告書が送られてきたら内容をチェックして、引き続き放置しておいても大丈夫かを確認するようにしましょう。
