投資信託の手数料とは?信託報酬の目安は何パーセントまで?

投資信託の手数料とは? 信託報酬の目安は?

投資信託に投資をすると、一般的には購入時、保有時、売却時に手数料がかかることがあります。また、その手数料は証券会社や運用会社ごとに違っていたりします。

このコラムでは投資信託の手数料について解説します。投資信託の手数料がどのようなものなのかを理解して、投資を進めていきましょう。

このコンテンツの3行まとめ
  • 投資信託の手数料として、購入時にかかる「購入時手数料」、保有期間中にかかる「運用管理費用(信託報酬)」、換金時にかかる「信託財産留保額」がある
  • 購入時手数料は販売会社や窓口やオンラインなど発注経路により異なる場合があり、中には手数料0円のところもある。運用管理費用は、インデックスファンドやファンド・オブ・ファンズを選ぶと低い運用管理費用で投資ができ、信託財産留保額は一般的に基準価格の0~0.3%と設定しているところが多い
  • 投資信託を選ぶ際には、手数料の安さもポイント。同じ運用をしていても手数料を多く支払うほど、パフォーマンスは悪くなるため、目論見書や、証券会社のサイトで確認することが大切

投資にはリスクがあります。最終的な投資の決定はご自身の判断でお願いいたします。

目次

投資信託の手数料の目安

※手数料は税込表記
※2024年6月28日時点
※楽天証券の投信スーパーサーチを使用して筆者算出

上記の投資信託の手数料の目安は、NISAの成長投資枠およびつみたて投資枠で購入できる投資信託(約1,200本)を対象として算出しています。

日本には、2024年6月28日現在、約6,000本の公募投資信託があります。(一般社団法人投資信託協会資料より)ただし、その中には、純資産総額が小さくなったり、運用のテーマが現状では合わなくなっていたりする投資信託もあります。

そこで、本記事で解説する手数料の目安は、金融庁の定める一定の要件をクリアした投資信託であるNISAの対象商品に絞って紹介します。

購入時にかかる手数料「購入時手数料」の目安は0%~5.5%(税込)

購入時手数料とは、投資信託を購入する際に窓口となる証券会社や銀行に支払う手数料のことです。購入時手数料は、投資信託の目論見書の後半に「手数料等」などの項目で表示されています。

投資信託の購入時手数料は自由化されているため、目論見書には上限の手数料が表示されています。したがって、実際の購入時手数料は、各販売会社に確認しなければわかりません。

窓口とコールセンター、インターネット経由など発注経路により手数料が異なる証券会社もありますので、自分がどこを通じて投資信託を購入し、手数料がいくらであるのかをよく確認しましょう。また、ネット証券では手数料上限のある投資信託を購入する場合でも、手数料がゼロ円というところが多くなっています。

一方で、一部の投資信託では、購入時手数料がないものもあります。その場合に、目論見書では購入時手数料なしと表示されています。購入時手数料なしという投資信託であれば、ネット証券だけでなく、銀行や証券会社などの窓口で購入しても手数料はかからないということになります。

保有期間中にかかる手数料「運用管理費用(信託報酬)」の目安は0.055%~2.618%(税込)

投資信託の保有中にかかるコストとして、運用管理費用(信託報酬)があります。以前は信託報酬と呼ばれていましたが、信託銀行等へ支払う費用なので、現在では運用管理費用と呼ばれています。

運用管理費用の内訳としては、委託会社(運用会社)分、販売会社(証券会社、銀行等)分、受託会社(信託銀行)分に分けられます。運用管理費用の計算は、以下の式で表されます。

1万口当たりの信託報酬=
保有期間中の平均基準価額×信託報酬率×(保有日数/ 365)

日々の純資産総額に対して、年率換算のパーセンテージをかけて毎日純資産総額から差し引かれます。したがって、投資信託の保有者は、別途運用管理費用を払う必要はありません。また、毎日表示される基準価額は運用管理費用を差し引いた価額で表示されています。

運用管理費用は、投資信託の資産を管理するコストなので、購入時手数料のようにゼロになることはありません。インデックスファンドであれば、投資する銘柄が決まっているので、委託会社のコストも低くなります。一方、アクティブファンドになると、委託会社は投資する銘柄の調査などの費用がかかるため、運用管理費用が高くなってきます。

低い運用管理費用の投資信託を選択したいのであれば、インデックスファンドやファンド・オブ・ファンズを選ぶのが良いでしょう。

換金時にかかる手数料「信託財産留保額」の目安は0%~1.0%(税込)

換金時にかかる費用としては、信託財産留保額があります。信託財産留保額は、投資信託を解約する場合に投資家が負担する費用です。ただし、別途費用を支払うのではなく、「基準価額の〇%」といった形で解約代金から差し引かれます。

一般的には信託財産留保額を必要とする投資信託では、その料率を基準価額の0.3%とする投資信託が多いです。また、投資信託によっては、解約時に信託財産留保額が不要な投資信託もあります。信託財産留保額がかかる投資信託の特徴としては、その投資信託が直接株式等に投資している場合が多いです。

解約が出て、資産を売却する場合に売却手数料が発生しますが、その手数料は全部の投資家が負担しなければなりません。解約をせずに保有を続ける投資家にとっては不利になるので、信託財産留保額という名目で、解約する投資家に負担してもらうのです。また、信託財産留保額があることで、投資家に売却をためらわせるという狙いもあります。

ただし、最近はファンド・オブ・ファンズといって、株や債券を直接購入するのではなく、投資信託を購入するタイプが増えています。ファンド・オブ・ファンズでは、直接資産を売買しないので、信託財産留保額を取らないものが多くあります。

投資信託の手数料はどこで確認できる?

投資信託の手数料のうち、運用管理費用(信託報酬)と信託財産留保額は、目論見書で確認することができます。一般的には、目論見書の最後の方に手数料や税金などがまとめて掲載されています。

販売手数料は、販売する証券会社、銀行によって異なるので、販売会社で確認しないといけません。特にインターネットと電話、窓口での注文で異なる手数料を適用する会社もありますので、注文を発注する際によく確認しましょう。

証券会社のサイトであれば、購入したい投資信託を検索して、その名称をクリックすれば、その投資信託の概要のページが表示されます。基本的には銘柄の概要などに手数料が出ています。

投資信託を選ぶときに手数料は安い方が良い?

投資信託を選ぶ際には、手数料の安さも気に掛ける項目の一つです。同じ運用をしていても手数料を多く支払うほど、パフォーマンスは悪くなります。

例えば、同じ投資信託でも購入時手数料が0円のところと3%のところでは、最初の投資元本が100万円でスタートできるか、97万円でスタートするかになるので、手数料0円で購入できるところを選んだ方がお得です。

運用管理費用は、表面上は分かりにくいですが、長期になるほどボディブローのように効いてきますので、同じ運用を行うファンドであれば、運用管理費用が安い銘柄を選ぶべきです。

信託留保額もすべての銘柄で徴収されるわけではないので、同じような運用手法を行う投資信託であれば、信託財産留保額のない銘柄を選ぶのが良いでしょう。

投資信託の手数料とリターンをシミュレーション

投資信託を積み立てで投資していった場合に、手数料の多寡が、どの程度パフォーマンスに影響するのかをシミュレーションしてみましょう。

前提条件としては毎月の積立額を1万円として、想定利回りは年5%、積立期間を20年とします。

シミュレーション結果について

  • 当該数値はあくまでもシミュレーションにより算出されるものであり、実際の投資結果とは異なります。また、情報の正確性・完全性及び将来の運用成果を保証するものではありません。
  • 税金や手数料等は考慮していません。
  • 本シミュレーション及びシミュレーション結果を利用することで生じるいかなる損害(直接的、間接的を問わず)についても、当社は一切の責任を負うものではありません。
  • 本シミュレーションに基づく参考表示による情報提供を目的としているものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。

購入時手数料0円、運用管理費用年0.5%、信託財産留保額なし

運用管理費用が年0.5%かかるので、実質4.5%での運用となります。20年後では投資元本が240万円、値上がり益が1,495,600円で、合計3,895,600円となります。

※税金考慮せず

購入時手数料0円、運用管理費用年0.7%、信託財産留保額なし

運用管理費用が0.2%高い0.7%になった場合にはどうでしょうか?値上がり益は1,407,447円で、運用管理費用が0.5%の時と比較して、値上がり益が88,153円も少なくなります

※税金考慮せず

購入時手数料3%、運用管理費用年0.5%、信託財産留保額なし

次に購入時手数料が3%の場合のシミュレーションをしてみます。手数料は1万円×3%=300円で投資に向かうお金は1万円-300円=9,700円となります。したがって20年後の投資元本は2,328,000円、値上がり益は1,450,737円の合計3,778,737円となり、購入時手数料が0円と比較すると、合計で116,863円も少なくなってしまいます

※税金考慮せず

購入時手数料0円、運用管理費用年0.5%、信託財産留保額0.3%

信託財産留保額が0.3%取られるシミュレーションをします。信託財産留保額は解約時にかかりますので、20年後の運用合計である3,895,600円から0.3%が差し引かれます。したがって3,895,600円×0.3%=11,686円手取りが少なくなる計算となります。3つの手数料の中では一番影響が少ないですが、取られる手数料は少ない方が良いでしょう。

※税金考慮せず

まとめ

投資信託には、購入時、保有時、解約時に手数料がかかることがあります。運用管理費用は必ず掛かるものですが、日々信託財産から差し引かれますので、別途負担する必要はありません。購入時手数料は販売会社ごとに異なり、上限だけが定められています。

ただし最近ではネット証券などは購入時手数料を取りませんし、投資信託自体で、購入時手数料なしとしている投資信託もあります。信託財産留保額も必要な投資信託とそうでない投資信託に分かれます。

各種の手数料は基本的には目論見書で確認できますが、証券会社のサイトでも確認できます。手数料の多寡は最終的な手取り金額に影響してきますので、しっかりと確認するようにしましょう。

オカネコマガジン編集部

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