借金地獄から抜け出す方法|借金まみれになる理由やなりやすい人の特徴

借金地獄に一度はまってしまうと、そこから自力で抜け出すのは難しくなります。

借金の総額が年収の3分の1以上の方複数社から借入している方新たに借金しなければ生活できない方は、借金地獄にはまっている可能性があるため要注意です。国・自治体の相談窓口や弁護士・認定司法書士の力を借りて、できるだけ早期に対処しましょう。

本記事では、どういう状態を借金地獄というのか、借金地獄になるとどうなるのか、借金地獄を抜け出す方法をお伝えします。

「借金地獄になっているかも?」と不安を感じている方、借金地獄から抜け出して生活を立て直したい方は、ぜひ参考にしてください。

このコンテンツの3行まとめ
  • 借金地獄の状態の目安として、「利息の返済ばかりで元本がなかなか減らない」「複数社から借入している」「借金の総額が年収の3分の1以上」「借金完済の目途が立たない」「新たに借金しなければ生活できない」などが挙げられる
  • 自己破産と個人再生を行った人が、多重債務を負うに至った最も割合が高い理由は「生活苦・低所得」。生活費不足で借金をしていたところに、病気や浪費、住宅購入などさまざまな理由で借金が重なり、自己破産や個人再生に至る人が多いことが予想される
  • 借金地獄から抜け出す方法として、「支出の見直しや収入アップを検討する」「支援制度を活用する」「プロや専門機関に相談する」「債務整理をする」が挙げられ、債務の額や緊急性に応じていずれかの方法を早期に行うことが大切
目次

借金地獄ってどういう状態?リストで紹介

借金地獄にはまっている自覚があれば「何か対策をして抜け出そう」という気になるでしょう。しかし、借金地獄の定義は曖昧なため、なかには自覚がないまま危機的状況から抜け出せずにいる人もいるかもしれません。

そこで参考として借金地獄とはどういう状態なのか、一例をリストにまとめました。

借金地獄の状態の一例

  • 利息の返済ばかりで元本がなかなか減らない
  • 複数社から借入している
  • 借金の総額が年収の3分の1以上
  • 借金完済の目途が立たない
  • 新たに借金しなければ生活できない

※住宅ローンや自動車ローンなどの目的別ローンを除く。年収の3分の1を超える貸付は債務者の返済能力を超える可能性が高いため、総量規制により原則禁止されている

自分が借金地獄の状態かどうか見極めるには、現時点での借金の状況を把握する必要があります。

まずは借金の総額や借入先、完済時期、金利、毎月どのくらい元本が減っているかなど、現状を確認しましょう。

現状を確認した結果、上のリストに当てはまるものがあれば借金地獄にはまっている可能性があります。

借金地獄になったら起きる可能性が高いこと

借金地獄は放置せず、できるだけ早期に対処することが大切です。なぜなら以下のとおり、借金地獄にはまると生活のさまざまなところに支障が出る可能性が高いためです。

借金地獄になったら起きる可能性が高いこと

  • 住居が借りられない
  • マイホームが購入できない・手放さなければいけない
  • 子どもの教育資金が捻出できない
  • ケガや病気の医療費が捻出できない
  • 人付き合いが減る
  • パートナーとの仲が悪くなる

借金地獄の状態では、新たな賃貸物件への住み替えを断念しなければならないかもしれません。借金の滞納履歴があると、賃貸物件の入居審査に落ちてしまう可能性があるからです。入居審査に問題がなくても、引っ越し費用が足りなければ住み替えは難しいでしょう。

また、借金額が多く返済比率が高くなる場合は住宅ローンの審査に落ちやすいため、マイホーム購入のハードルも上がります。すでにマイホームを持っている方も、借金地獄にはまって返済が滞れば、最終的には住居を売却し手放さなければならなくなるため安心はできません。

収入のほとんどを借金返済にまわす状況になっていると、住居以外の問題も発生しやすいです。教育資金や医療費を捻出できなくなったり、交際費の余裕がなく人付き合いが減ったり、生活不安からパートナーとの仲が悪くなったりと、さまざまなリスクが考えられます。

財産・資産の差し押さえが起きるまでの流れ

差し押さえとは、借入先(債権者)が債権回収のために裁判所を介して、借金をしている人(債務者)の財産・資産を強制的に処分することです。

借金地獄になって返済が滞ると、最悪の場合は財産・資産を差し押さえられることになります。ただし、借金を滞納したからといって、ただちに差し押さえが実行されるわけではありません。

まずは、電話や書面(督促状)での借金返済の催促がなされます。これを無視して滞納を続けていると、分割返済の権利を失い、残債の一括請求を受けることになります。

一括請求にも応じなかった場合、債権者は裁判所での手続きに入るのが一般的です。裁判所からの訴状や支払督促などの書面送付を経て、最終的に債権者による差し押さえの申し立てが裁判所に認められると差し押さえが実行されます。

差し押さえが実行されると、自分の意志での財産・資産の売却や譲渡はできません。借金地獄になった人が差し押さえを回避するには、問題が深刻化する前の適切な対処が重要です。

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借金地獄に陥る主な理由

借金地獄に陥った結果、自己破産や個人再生に至る人もいます。以下は、日本弁護士連合会が2020年に調査した、自己破産と個人再生を行った人が多重債務を負うに至った理由の内訳です。

参照:2020年破産事件及び個人再生事件記録調査_日本弁護士連合会

自己破産・個人再生ともに最も割合が高い理由は「生活苦・低所得」です。自己破産の理由として生活苦・低所得を挙げた人は、なんと61.69%にのぼります。このことから、一時的な出費よりも普段の生活費不足のほうが多重債務の引き金になりやすいと考えられるでしょう。

そのほか割合が高かった負債理由は、自己破産は「病気・医療費」23.31%、「その他」22.25%、「負債の返済(保証以外)」20.48%、個人再生は「その他」26.92%、「浪費・遊興費」24.1%、「住宅購入」23.03%です。

生活費不足で借金をしていたところに、病気や浪費、住宅購入などさまざまな理由で借金が重なり、自己破産や個人再生に至る人が多いのかもしれません。

借金地獄になりやすい人の特徴

借金地獄になりやすい人には、一般的に以下の特徴があります。

借金地獄になりやすい人の特徴

  • 借金の目的が娯楽
  • ストレス発散方法がお金を使うことになってしまっている
  • 家計の収支を把握・管理していない
  • 未来のことがあまり想像できない
  • 借入前に返済計画を立てなかった

上記を踏まえると、借金地獄にならないためには、借金を浪費に使わないこと、計画性を持つことが重要だとわかります。

まずは、自分の収入の範囲内で娯楽を楽しむこと、お金をかけないストレス発散法を探すことを心がけましょう。

そのうえで、家計収支の把握や未来のライフイベントの書き出しを行い、計画的にお金を使う必要があります。やむを得ず借入をする際は、返済計画を立てて適切な金額を借りることが大切です。

とはいえ、借金地獄になりやすい人はお金の管理が苦手な可能性が高いでしょうから、自己解決は目指さないほうがいいかもしれません。一度FP(ファイナンシャルプランナー)などの専門家に相談して、家計の見直しやライフプランニングを依頼するのがおすすめです。

借金地獄から抜け出す方法

借金地獄にはまったときは、生活立て直しに向けた早期の対処が求められます。ここからは借金地獄から抜け出す方法を紹介するので、借金返済に困っている方、多重債務を抱えている方は参考にしてください。

支出の見直しや収入アップを検討する

借金をしなければ生活がまわらない状況にある場合は、家計が「支出<収入」になるように、支出の見直しや収入アップを検討するのが先決です。

支出を見直すなら、まずは固定費から手を入れましょう。固定費とは、住居費や通信費、習い事代など毎月決まって発生する支出のことです。

固定費は一度見直せば節約効果が長く続くので、少ない労力で毎月の支出を継続的に抑えられます。不要なサブスクリプションサービスの解約や格安スマホへの乗り換えなど、手軽にできることから始めましょう。

支出の見直しをしても生活費が足りないときは、収入アップを目指して勤務先への給与交渉や転職、副業を視野に入れる必要があります。どのくらい収入アップすれば家計が「支出<収入」の状態になるかを計算し、できることを模索してみましょう。

支援制度を活用する

どうしても借金する必要があるときは、できるだけ金利の低い借入先を選ぶことが大切です。なぜなら、借入額は同じでも金利によって総返済額が大きく変わってくるからです。

例えば、以下の公的な支援制度を利用すれば、民間の金融機関よりも低金利で借入できる可能性があります。民間の金融機関から融資を受ける前に、利用できる公的な支援制度がないか確認しましょう。

公的な支援制度の例
生活福祉資金貸付制度低所得世帯・障害者世帯・高齢者世帯・失業者世帯に対し、低金利または無利子での貸付や援助指導を行う制度。
原則として、借入申込はその世帯の居住地を担当区域とする民生委員を通じて行われる。
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度20歳未満の児童を扶養する配偶者のない男女、寡婦等に対し、低金利または無利子での貸付を行う制度。
制度を利用するには、最寄りの地方公共団体の福祉担当窓口への問い合わせが必要。
各自治体の貸付制度自治体によっては、住民の社会福祉などを目的に独自の貸付制度を整備していることがある。
対象者や貸付条件は自治体によって異なる。

プロや専門機関に相談する

すでに借金地獄にはまっている場合はプロや専門機関に相談しましょう。1人で問題を抱え込むよりも専門家の力を借りるほうが、いち早く借金地獄から抜け出せる可能性は高まります。

おすすめの借金問題の相談窓口は以下のとおりです。借金地獄にはまった経緯や必要としているサポート内容に応じて、自分に適した相談窓口を選びましょう。

おすすめの借金問題の相談窓口
金融庁 多重債務についての相談窓口全国の財務局に多重債務相談窓口が設置されており、最寄りの財務局で収入・支出と借入・ローンのバランス、債務整理、生活再建のための支援など、家計の悩み全般に関するサポートを受けられる。
消費生活相談窓口すべての市区町村に消費生活相談窓口が設置されており、契約やサービス、悪質商法など事業者とのトラブルに関する相談が可能。
消費者ホットライン「188(局番なし・全国統一番号)」に電話すると、最寄りの消費生活相談窓口を案内してもらえる。
日本司法支援センター(法テラス)国が設立した法的トラブル解決のための総合案内所で、借金や金銭トラブル、消費者被害などの相談が可能。
経済的に困窮している場合は、無料の法律相談や弁護士・司法書士への依頼費用の立替などのサポートを受けられる可能性がある。
市区町村の無料法律相談市区町村によっては市民相談室などの無料法律相談窓口が設けられており、日常生活での法律に関する相談ができる。
相談の手順や対応可能日時は市区町村によって異なるため、各市区町村のサイトなどで確認が必要。
日本クレジットカウンセリング協会(JCCO)クレジットカードや消費者ローンの利用による多重債務の電話相談・カウンセリングを無料で提供している公益財団法人。
希望者は任意整理や家計管理改善も無料でサポートしてもらえる。
国民生活センター国民生活の安定と向上を目的に、情報提供や調査研究、法的解決のための手続きを実施している機関 。
消費者ホットライン「188(局番なし・全国統一番号)」にて、市区町村の消費生活相談窓口が開所していない休日の相談を受け付けている。
弁護士や司法書士弁護士事務所や司法書士事務所では借金問題に関する相談が可能。
債務整理の依頼には費用がかかるが、相談までは無料で受け付けている事務所が多い。

債務整理をする

借金地獄にはまって毎月の返済が苦しいとき、複数の借入先から借金しているときは、弁護士や認定司法書士に債務整理を依頼しましょう。

債務整理とは、借金の減額・免除や返済猶予を設けるために行う手続きのことです。債務整理の方法は、任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の4つがあります。

4つの債務整理方法と過払い金請求の比較表
任意整理個人再生自己破産特定調停過払い金請求
手続き方法本人と借入先の合意に基づく裁判所が仲介裁判所が仲介裁判所が仲介本人と借入先の合意に基づく
減額できる借金の目安遅延損害金や利息の軽減元金の5分の1~10分の1借金がゼロになる代わりに財産を手放す基本的に利息の軽減(過払い金は返還不可)払い過ぎた利息の返還
返済期間3~5年3~5年3~5年
借入先の同意必要必要不要必要必要
手続きに要する期間個人の状況により異なる半年~1年半年~1年1~2ヶ月2~6ヶ月
官報への掲載なしありありなしなし
ブラックリストの登録ありありありありなし
依頼費用の相場※1約2~6万円/社+減額報酬金約30~70万円/社約25~60万円/社約1~2万円/社+減額報酬金
参照:裁判所HP「個人再生手続説明書」「破産(自己破産)の手続について」「債務整理の方法についてのQ&A」「特定調停申立てQ&A_裁判所特定調停のイメージ_金融庁
※1:本記事で紹介する法律事務所・司法書士事務所にてかかる費用(着手金・解決報酬金含む)

債務整理と一口に言っても、借金や資産の状況によって適切な手段は変わってきます。また、債務整理にかかる費用も依頼する事務所や手続き内容によってさまざまです。

多くの弁護士事務所・司法書士事務所が相談までは無料で対応しているので、まずは実際に相談し、信頼できる弁護士や認定司法書士が見つかったら債務整理を依頼しましょう。

まとめ

借金地獄にならないためには、借金を娯楽などの浪費に使わないこと、計画性のある家計のやりくりや借入が求められます。お金の管理が苦手な方はFPなどの専門家の力を借りて、「支出<収入」の状態になるよう家計を見直しましょう。

すでに借金地獄にはまっている場合は、できるだけ早期に対処するのが問題解決の近道となります。まずは公的支援制度を活用する、借金問題の相談窓口に相談するのがおすすめです。

借金地獄を放置すると、最悪の場合は財産・資産を差し押さえられる可能性があります。どうしても毎月の借金返済が難しい場合は、弁護士や認定司法書士に相談し、債務整理を依頼しましょう。

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