40代からNISAを始めるのは遅い?シミュレーション・メリット・デメリットを紹介

40代からNISAを始めるのは遅い?

40代に入ると、会社員であればある程度昇格して、収入も増えていることでしょう。一方で、子供のいる方は子供が大きくなるにつれ教育費が増えますし、住宅ローンや家賃の支払いも続けなければなりません。

2024年から新制度がスタートしたNISAは、40代からでも十分な成果が期待できます。40代からでも多くの人がNISAを始めていますので、このコラムを読んで、是非NISAに取り組んでいきましょう。

この記事の3行まとめ
  • 40代からNISAを始めても20~30年程度の投資期間があり、NISAを使ってリスクの低い長期分散投資を行うことで、老後資金を準備することができる
  • NISAを始めるメリットは、非課税で運用コストが低い長期・分散・積立に適した商品に投資ができる点。一方で短期的には、投資成果がマイナスになる場合も多く、少額では非課税枠を使い切るのが難しいというデメリットもある
  • 40代がNISAを運用する時は、基本的にはつみたて投資枠をメインにして資産を増やすのがおすすめ。ネット証券を使うことで、様々な知識を得られるだけでなく、手軽にコスパの良い投資が行える

投資にはリスクがあります。最終的な投資の決定はご自身の判断でお願いいたします。

目次

40代から新NISAを始めるのは遅いのか?

40代からNISAを始めても、老後資金を考えるのであれば、十分な投資期間を取ることができます。例えば、現在では65歳定年のところが増えていますが、40代なら65歳まででも20年程度は積み立てを行うことができます。

また、健康寿命(男性72.68歳女性75.38歳令和4年度厚生労働白書より)までなら30年程度まで積み立てを行うことができます。

したがって、リスクの低い長期分散投資をNISAを使って行うことで、老後資金を準備することができます。また、確定拠出年金と違いNISAは売却が自由なので、まとまったお金が必要な時には、いつでも引き出すことができます。

このように、40代からNISAを始めるのは遅いわけではありません。むしろ低金利の貯金を続けるのではなく、積極的にNISAを利用することで、インフレに負けない資産形成ができるでしょう。

40代からNISAを始めた場合のシミュレーション

具体的にどの程度のお金が貯まるのかシミュレーションをしてみましょう。積立投資額を5万円に、想定利回りを年7%、そして積立期間を30年にした場合でシミュレーションします。

結果は、投資元本はNISA上限の1,800万円に到達します。一方値上がり益は約4,335万円となり、合計は約6,135万円と投資元本の3倍以上になりました。

もちろんこれはシミュレーションですので、確実な利益を示すものではありませんが、過去の実績から分析しても、達成可能な数字と考えられます。

40代からNISAを始める人の割合

40代では、どのくらいの人がNISA口座を保有しているのでしょうか?

金融庁が発表しているNISA口座の利用状況調査によれば、2023年12月末に一般NISAおよびつみたてNISAの口座を保有している40代の人数は4,044,686人でした。新NISA開始後の2024年3月末時点では40代の人数は4,484,318人となり、3か月間で439,632人も増加しています。(※1)

一方、総務省統計局の発表した2023年10月の人口推計によれば、40代の人口は約1,688万人であり(※2)、NISA口座の保有者の割合を計算すると40代の人の約27%(4人に1人)はNISA口座を持っていると推測されます。

参照※1:利用状況調査|NISA特設ウェブサイト|金融庁
参照※2:人口推計 各年10月1日現在人口 年次2023年|政府統計の総合窓口

40代から新NISAを始める時のメリット

40代からNISAを始めたとしても、以下のようなメリットを得ることができます。

メリット1:非課税で運用ができる

NISAの最大のメリットは、値上がり益や配当が非課税で受け取れる点です。NISAを使わなければ20.315%の税金が取られてしまいます。

例えば10万円の利益があったとしても10万円まるまるもらえるのと約8万円しかもらえないのとでは大きな差が出ます。40代では教育費や住宅ローンを払いながら、老後の資金も貯めなければなりません。非課税で貯められるメリットは大きいでしょう。

※2024年9月30日時点

メリット2:十分な投資期間が持てる

40代でNISAを始めたとしても、資金の必要時期を65歳とすれば20年程度の投資期間が得られます。金融庁の出しているNISAガイドブックによれば、1989年以降のデータをもとにした、5年と20年の投資成果が示されています。保有期間5年では、投資収益率は-8%~+14%となっていますが、保有期間20年となると+2%~+8%にデータが収斂しています。(2024年9月30日時点)

つまり、40代でも十分な投資期間が得られます。

メリット3:長期、積立に適した商品が買える

つみたて投資枠で購入できる商品は、金融庁が認めた長期、分散投資に適した商品となっています。加えて販売手数料がゼロであり、運用管理費用(信託報酬)が一定の水準以下であることなどの制限があります。

したがって、NISAつみたて投資枠の対象商品を購入すれば、長期、積み立てに適していて、リスク分散された商品を購入することができます。なお、つみたて投資枠の商品は、成長投資枠でも購入可能です。

メリット4:非課税枠が復活する

40代では不意に資金が必要になることもあるかもしれません。2023年までは、売却するとNISA枠が消滅していたので、売却に躊躇する人がいるかもしれません。

しかし、2024年からの新NISA制度では、NISAで購入した商品を売却した場合には、翌年にその売却した分の金額(簿価分)の枠が復活することになりました。したがって、どうしてもお金が必要というときにも、NISAの商品を気兼ねなく売却することができるようになりました。

新NISAの枠1800万円は再利用可能

40代から新NISAを始める時のデメリット・注意点

40代から新NISAを始める時には、以下のようなデメリットや注意点があるので、確認しておきましょう。

デメリット1:マイナスになることもある

NISAでは株や投資信託といった商品に投資するため価格が変動します。金融庁の出しているNISAガイドブックでは、保有期間5年では、-8%~+14%まで投資成果にバラツキがみられます。また、商品を購入した直後に2024年8月のような暴落に見舞われると投資資金に含み損が発生することもあります。

したがって、短期で見た場合には、投資成果がマイナスになる場合も多い点に注意しておきましょう。

デメリット2:非課税枠を使い切るのが難しい

2024年からの新NISAは投資枠の上限が拡大されました。

投資枠全体が1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円までです。

新NISAの非課税枠は最大1,800万円

もしつみたて投資枠(年間120万円上限)ですべて枠を使い切ろうとすると月10万円を積み立てて、15年で枠が一杯になります。

月3万円ベースでは50年かかるので、40代から始めると、お金の多くある人でないとNISA枠を全部使い切るのは難しいでしょう。

生涯投資枠1,800万円達成までの月額・年額シミュレーション
月額年額達成年数
30万円360万円5年
20万円240万円7.5年
15万円180万円10年
10万円120万円15年
5万円60万円30年
3.75万円45万円40年
3万円36万円50年

デメリット3:損益通算ができない

NISAは値上がり益や配当に対して非課税となる制度ですが、一方でもしNISA口座で損失が出たとしても、特定口座などで保有する株や投資信託の値上がり益と損益通算することはできません。

特定口座を持っている人もいるかもしれませんが、NISA口座は損益通算の対象とならないことを覚えておきましょう。

40代の新NISA活用プランの例

田中さん(45歳)

  • 年収:650万円
  • 家族構成:妻(43歳)、息子(15歳)

【資産運用の目的】

  • 老後資金

【その他】

  • 息子は今年高校受験。私立大学(文系)を目指している
  • 住宅ローン返済中。残高3,200万円、70歳まで、月12万円の支払い

田中さんは45歳の会社員で、配偶者と息子の3人家族です。息子は今年高校受験で、まだまだ教育費がかかります。また35歳の時に住宅を購入したので、住宅ローンの支払が70歳まで続きます。息子の教育費の目処は立っているものの、自分たちの老後資金の準備ができていないので、今年から始まった新NISAで老後資金を貯めようと考えています。

現在貯蓄に回せる資金は月3万円なので、65歳まで貯めるシミュレーションをしてみます。

積極型

NISAのつみたて投資枠の中から株式のみに投資する投資信託を選択します。リターンは金融庁の資料の中で高い方の利回りの年率8%とします。初期投資額ゼロ円で初めても、20年後には投資元本は720万円ですが、値上がり益が約1,058万円となり、合計で約1,778万円となります。

安定型

NISAのつみたて投資枠の中からバランス型や安定型の投資信託を選択します。リターンは金融庁の資料の中で低い方の利回りの年率2%とします。初期投資額ゼロ円で初めても、20年後には投資元本は720万円ですが、値上がり益が約165万円となり、合計で約885万円となります。

40代がNISAを運用する時のコツ

NISAで運用する際には、成長投資枠を使って株式で運用することもできますが、基本的にはつみたて投資枠をメインにして、資産を運用するようにしましょう。

ただし、成長投資枠もありますので、ボーナスが出たときなどは、個別株を購入してみるのも良いでしょう。欲しい株主優待のある株や配当利回りの良い株などを購入することにもNISAは使えます。

NISAを使って株や投資信託を購入するのであれば、ネット証券を利用するのがベストです。ネット証券であれば、多くの場合口座開設がネットだけで完結できるほか、株の売買手数料や投資信託の購入手数料も無料で投資が始められます。

売買に関するコストがゼロであれば、投資効率が良くなりますので、売買手数料がある証券会社と比較して、同じ商品で運用しても、利回りが良くなります。またネット証券であれば投資信託のラインナップも幅広く、NISA対象の商品も認可されているほとんどを購入することができます。

NISA口座おすすめネット証券
SBI証券
  • 総合口座開設数No.1
  • 商品ラインナップも充実
  • 国内株&米国株の取引手数料無料
楽天証券
  • 楽天ユーザーにおすすめ
  • 楽天ポイントが貯まる&使える
  • 日経テレコン(楽天証券版)が無料で利用できる

まとめ

人生100年時代と言われています。そうなると40代はちょうど折り返し地点の手前になります。したがって、今後必要となるお金をこれから準備していかなければなりません。低金利の現在、貯金だけでは十分なお金を貯めることはむずかしいので、NISAを使って運用を考えていくべきです。

つみたて投資枠を利用していけば、リスクを分散した投資が可能ですので、20年~30年後には十分なお金が貯められるでしょう。

また、ネット証券を使うことで、様々な知識を得られるだけでなく、手軽にコスパの良い投資が行えるので、積極的にネット証券も使うようにしましょう。

オカネコマガジン編集部

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