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![]() | 株式会社400F オンラインアドバイザー 松井 大輔 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / CFP® / 証券外務員一種 この専門家にチャットでお金の相談をする(チャット相談は無料診断後に可能です) |
住宅ローンの繰り上げ返済とは、住宅ローンの元金を予定よりも早く繰り上げて返済することです。将来的に支払う住宅ローンの利息軽減ができます。
繰り上げ返済の方法は「返済期間短縮型」「返済額軽減型」の2種類があり、それぞれメリット・デメリットが異なります。場合によっては、繰り上げ返済ではなく「借り換え」のほうがよいこともあるため、自分に合う方法を選ぶことが大切です。
この記事では、住宅ローンの繰り上げ返済を行うべきか、判断のポイントや適切なタイミングをお伝えします。住宅ローンの繰り上げ返済を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 住宅ローンの繰り上げ返済には、月々の住宅ローン返済額は現状のままで返済期間を短縮する「返済期間短縮型」と住宅ローンの返済期間は現状のままで月々の返済額を軽減する「返済額軽減型」の2種類ある
- 住宅ローンの繰り上げ返済のタイミングは、早い時期に行うほど利息の軽減効果が高まる。ただし、住宅ローンの金利が0.7%より低い場合は、繰り上げ返済を行わず住宅ローン控除を受けたほうが得
- 住宅ローンの利息を軽減する方法としては、繰り上げ返済のほかに「借り換え」も考えられる。繰り上げ返済と借り換えのどちらがよいかは、住宅ローンの金利や残りの返済期間、ローン残高によって異なる
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住宅ローンの繰り上げ返済とは?
住宅ローンの繰り上げ返済とは、月々の返済とは別に、住宅ローンの元金を予定よりも早く繰り上げて返済することで、以下のような効果や注意点があります。
住宅ローン繰り上げ返済の概要
- 支払う利息が軽減され、住宅ローンの総支給額を減らすことができる
- 好きなタイミングで実施可能
- 住宅ローン控除額が減ってしまう場合があるので、適切なタイミングで実施する必要がある
- 金融機関によっては1回の最低返済額が定められていたり、繰り上げ返済時に手数料がかかる場合がある
住宅ローンの繰り上げ返済を行うと、繰り上げ返済した元金分の利息を支払わずに済むため、住宅ローンの総支払額を減らすことができます。
住宅ローンの繰り上げ返済は、自分の好きなタイミングででき、繰り上げ返済する金額も自由に決められるので、ある程度の資産が貯まったときやボーナスが入ったときなどに実行を検討する人が多いようです。
注意点として、住宅ローンの繰り上げ返済は早い時期に行うほど軽減できる利息が多くなりますが、場合によっては住宅ローン控除額が減ってしまう可能性があります。トータルの節約効果を考えたうえで、適切なタイミングで繰り上げ返済を行うのが理想です。
住宅ローンの繰り上げ返済にかかる手数料は、金融機関によっては無料のところもありますが、1回あたり数万円の手数料がかかるところもあります。手数料のかかる金融機関で住宅ローンを組んでいる場合は、少額を何度も繰り上げ返済すると手数料がかさんでしまうため気をつけましょう。

最近ご相談を受けていて感じることは、晩婚化に伴い、住宅購入の年齢があがっているということです。住宅ローンの支払い開始が40歳近い場合、35年ローンだと返済完了が75歳となります。
老後生活に入っている中でローン返済を現役時代と同じペースで続けていくのは、計画上は問題はなくとも心理的なストレスも発生しがちです。住宅ローンを組む時から定年までの完済も視野に、繰り上げ返済についても検討されておくことをおすすめします。


住宅ローンの繰り上げ返済の2つの種類
住宅ローンの繰り上げ返済の種類は、「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つがあります。
返済期間短縮型・返済額軽減型の比較表 | ||
---|---|---|
返済期間短縮型 | 返済額軽減型 | |
返済期間 | 短縮される | 変わらない |
月々の返済額 | 変わらない | 軽減される |
利息の軽減効果 | ◎ | 〇 |
返済期間短縮型・返済額軽減型のどちらを選ぶかによって、繰り上げ返済後に得られる結果は変わってきます。
ここからは、返済期間短縮型・返済額軽減型の特徴やメリット・デメリットをさらに詳しく見ていきましょう。
返済期間短縮型


「返済期間短縮型」は、月々の住宅ローン返済額は現状のままで、返済期間を短縮する方法です。
返済期間短縮型の繰り上げ返済を行うと、住宅ローン完済の時期を早められます。例えば、老後も住宅ローンの支払いを続けるプランから定年退職前までの完済を目指すプランに変更したい場合は、返済期間短縮型を選びましょう。
ただし、返済期間短縮型の繰り上げ返済では、月々の住宅ローン返済額が軽減されることはありません。返済期間短縮型を選ぶ際は、金利上昇やライフスタイルの変化などで出費が増えてしまったときに、資金不足で困らないかをよく考える必要があります。
返済期間短縮型の概要 | ||
メリット | ・住宅ローンの返済が早く終わる ・返済額軽減型よりも利息の軽減効果が高い | |
デメリット | ・月々の住宅ローン返済額は軽減されない ・金利上昇時やライフスタイルが変化した際の返済負担を軽減できない | |
こんな方におすすめ | ・定年退職前までにローンを完済したい方 |
返済額軽減型


「返済額軽減型」は、住宅ローンの返済期間は現状のままで、月々の返済額を軽減する方法です。
これから来るライフイベントに備えて月々の返済負担を減らしたい場合や、金利上昇時に返済負担が増えるのを抑えたい場合は、返済額軽減型を選ぶとよいでしょう。
注意点として、返済額軽減型は返済期間短縮型と比べると利息の軽減効果が低く、住宅ローンの総支払額を大幅に減らすことはできません。そのため、住宅ローンの総支払額を減らすために繰り上げ返済を行うなら、返済期間短縮型のほうが効率的です。
返済額軽減型の概要 | ||
メリット | ・月々の住宅ローン返済額を軽減できる ・金利上昇に備えられる | |
デメリット | ・返済期間短縮型よりも利息の軽減効果が低い ・住宅ローンの返済期間は変わらない | |
こんな方におすすめ | ・毎月のローン負担額を減らし、他の支出に備えたい方 ・金利上昇で返済負担が増えるのを抑えたい方 |
何を目的に住宅ローンの繰り上げ返済を行うのかによって、返済額軽減型・返済期間短縮型を選択しましょう。
「返済期間短縮型」「返済額軽減型」の返済シミュレーション
「返済期間短縮型」「返済額軽減型」について確認しましたが、実際にそれぞれどのくらい利息が軽減されるのか、以下の条件でシミュレーションしてみましょう。
シミュレーションの条件
- 借入額:3,000万円(ボーナス払い0円)
- 返済期間:35年
- 金利:固定金利2.0%
- 毎月の返済額:99,378円
10年後に100万円を繰り上げ返済した場合のシミュレーション
借入から10年後に、100万円を繰り上げ返済した場合のシミュレーション結果です。


返済期間短縮型 | 返済額軽減型 | |||
毎月の返済額 | 99,378円(変更なし) | 95,129円(4,249円減額) | ||
残りの返済期間 | 23年8ヶ月(1年4ヵ月短縮) | 25年(変更なし) | ||
減少する利息額 | 624,333円 | 270,637円 |
20年後に300万円を繰り上げ返済した場合のシミュレーション
借入から20年後に、300万円を繰り上げ返済したときのシミュレーション結果です。


返済期間短縮型 | 返済額軽減型 | |||
毎月の返済額 | 99,378円(変更なし) | 79,981円(19,397円減額) | ||
残りの返済期間 | 11年9ヶ月(3年3ヵ月短縮) | 15年(変更なし) | ||
減少する利息額 | 913,968円 | 472,222円 |
いずれのシミュレーション結果も、「返済期間短縮型」の方は毎月の返済額は変わらないものの、返済期間が短縮されたことで利息が大きく軽減されていることがわかります。
※「知るぽると:繰り上げ返済シミュレーション」より算出
繰り上げ返済の適切なタイミング
住宅ローンの繰り上げ返済を行うことで利息の軽減が期待できますが、実施には適切なタイミングがあります。詳しく解説するので、しっかりタイミングを見極めて実施を検討しましょう。
住宅ローン繰り上げ返済の適切なタイミング



大前提として、繰り上げ返済を行う前に、家計の収支バランスを把握できているかが大切なポイントです。
毎月・年間の収入や支出、2・3年以内に予定している支出やライフイベント等、返済計画を立てるうえで把握すべきことは多岐にわたります。
現状把握のための家計簿だけでなく、少し先の未来も見据えた家計管理を行うことが大切です。
住宅ローン控除期間が終了したタイミング
住宅ローンの繰り上げ返済のタイミングは、早い時期に行うほど利息の軽減効果が高まります。住宅ローンの総支払額を減らしたいなら、できるだけ早いうちに繰り上げ返済をするのがおすすめです。
ただし、住宅ローン控除期間がまだ残っているタイミングは要注意です。現在の住宅ローン控除の控除率は0.7%(2025年1月現在)なので、住宅ローン金利が0.7%を下回っているなら、繰り上げ返済をせずに住宅ローン控除を受けるほうが得です。
その場合は、住宅ローン控除期間中に資金を貯め、控除期間終了後にまとめて繰り上げ返済するほうがよいでしょう。
「住宅ローン控除」について詳しく知りたい方はこちら
住宅ローン控除(住宅ローン減税・住宅借入金等特別控除)とは、個人が一定の条件を満たして住宅ローンで住まいを購入した際に、年末の住宅ローン残高の0.7%を最大13年間にわたり税金から控除する制度です。(2025年1月時点)
例えば、住宅ローンで新築住宅を購入し、年末の住宅ローン残高が3,000万円だった場合、その年は21万円が所得税から控除(還付)されます。
住宅ローン控除の適用要件は以下のとおりです。
住宅ローン控除の適用要件
- 引き渡しから6か月以内に居住していること
- 住宅ローンの返済期間が10年以上あること
- 控除を受ける年の12月31日まで居住していること
- 床面積が50㎡以上(※)で床面積の50%以上が居住専用であること
- 合計所得金額が3,000万円以下(※)であること
- 2以上の住宅を保有している場合は主な居住用であること
出典:国税庁|No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
(※)一部の住宅は40㎡以上50㎡未満、合計所得が1,000万円以下で適用可
住宅ローン控除の対象となる借入限度額や控除期間は、購入した住宅の種類によって異なります。
住宅の種類 | 借入限度額 | 控除期間 | ||||
令和6年入居 | 令和7年入居 | |||||
新築 | 長期優良住宅 | 最大5,000万円 | 4,500万円 | 13年間 | ||
低炭素住宅 | ||||||
ZEH水準省エネ住宅 | 最大4,500万円 | 3,500万円 | ||||
省エネ基準適合住宅 | 最大4,000万円 | 3,000万円 | ||||
その他の住宅※ | 0円 | ― | ||||
中古 | 長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 10年間 | |||
その他の住宅 | 2,000万円 |
※省エネ基準を満たさない住宅。令和6年以降に新築の建築確認を受けた場合、住宅ローン減税の対象外
住宅ローン控除額よりも繰り上げ額の方が大きい
住宅ローンの借入金額が多い場合や金利が高い場合など、控除額よりも繰り上げ額の方が大きい場合は、住宅ローン控除期間中のタイミングでも繰り上げ返済をした方がお得です。
例えば住宅ローンの借入額4,000万円・返済期間35年・金利年1.5%のとき、住宅ローン控除期間中に繰り上げ返済をしたほうが30万円ほどお得になりました。
借入額4,000万円・返済期間35年・金利年1.5%のとき | ||
---|---|---|
年間30万円を13年間繰り上げ返済した場合※1 | 13年後に390万円を繰り上げ返済した場合※2 | |
住宅ローン控除額(①) | 約285万円 | 約305万円 |
利息軽減額(②) | 約188万円 | 約138万円 |
お得額合計(①+②) | 約473万円 | 約443万円 |
※2:2025年1月に借入し、2038年1月に390万円の返済期間短縮型の繰り上げ返済をした場合
ただし、金融機関によっては繰り上げ返済時に数千円から数万円の手数料がかかるため、手数料も含めたメリット額をシミュレーションしましょう。
発生する可能性のあるライフイベントに備え、十分な資金を用意している場合


将来に備えて十分な資金が用意できており、さらに繰り上げ返済もできる資金も備えていれば、繰り上げ返済を行うべきタイミングと言えます。
十分な資金が用意できているかどうかは、以下のポイントを踏まえたうえで判断しましょう。
繰り上げ返済によって資金不足にならないために考慮すべきポイント
- 収入減少への備えや当面の生活費はあるか
- 将来のライフイベントの資金準備ができているか
- 定年までに完済するプランになっているか
住宅ローンの繰り上げ返済後に収入が減少したり、急な出費が発生しても対応できるよう、ある程度の資産は残しておくべき。くれぐれも資産の全額を繰り上げ返済にあてるような、無理な返済をしないようにしましょう。
子どもの教育費や老後の生活費などの将来のライフイベント資金を準備できていない場合、本当に住宅ローンの繰り上げ返済を優先すべきタイミングか、慎重に判断してください。せっかく住宅ローンを繰り上げ返済しても、資金不足で新たな借入をしては意味がありません。
住宅ローンの金利はほかの借入に比べて低い傾向にあるので、先にライフイベント資金を貯めておくのが無難です。
定年退職までに住宅ローンを完済するプランになっていない場合は、返済期間短縮型での繰り上げ返済を検討しましょう。定年退職後は収入が減ったことで住宅ローンの支払いが苦しくなったり、住宅の老朽化による修繕費用やリフォーム費用がかかる可能性もあります。しっかりと働けるうちに住宅ローンを完済し、老後の返済負担をなくしておくと安心です。


住宅ローン以外のローンを返済したタイミング
一般的に、車のローンや教育ローンなどは住宅ローンよりも高金利です。金利が高いローンの返済を優先的に進めるほうが、利息軽減効果は高くなります。
金利が高いローンから先に繰り上げ返済をし、そのうえでさらに十分な資金が貯まったタイミングで住宅ローンを繰り上げ返済しましょう。
住宅ローンの繰り上げ返済のメリット
住宅ローンの繰り上げ返済をするべきか適切に判断するには、メリット・デメリットの両方を把握することが大切です。
まずは、住宅ローンを繰り上げ返済するメリットから見ていきましょう。
- メリット1. 利息が軽減できる
- メリット2. ライフイベントに合わせた資金準備がしやすくなる
メリット1. 利息が軽減できる
住宅ローンの繰り上げ返済を行うと、返済期間短縮型・返済額軽減型のいずれの場合も返済元金を減らすことができます。減らした元金分の利息は支払う必要がないため、利息の節約につながるのです。
先述のとおり、利息の軽減効果は繰り上げ返済のタイミングが早ければ早いほど高くなります。より多くの利息を削減したい方は繰り上げ返済を先送りせず、できるだけ早いうちに実行するとよいでしょう。
ただし、先述したように住宅ローン控除期間に実施すると控除額が少なくなってしまう可能性があります。また、急な出費などにも対応できるよう、十分な資金を用意したうえで実施を検討しましょう。
メリット2. ライフイベントに合わせた資金準備がしやすくなる
返済額軽減型で住宅ローンの繰り上げ返済を行うと、月々の返済額を軽減できます。例えば、子どもが小さいうちに繰り上げ返済を行い、教育費の負担が大きくなる時期までに返済額の負担を減らしておけば、ライフイベントに合わせた資金準備がしやすくなるでしょう。
老後の生活を見据えた対策がしたいときは、返済期間短縮型で住宅ローンの繰り上げ返済を行うと住宅ローンの完済時期を早められます。住宅ローンをできるだけ早く完済し、それ以降は老後資金の準備に集中して取り組むのも1つの方法です。




住宅ローンの繰り上げ返済のデメリットと注意点
次に、住宅ローンの繰り上げ返済のデメリットや注意点を解説します。先述したメリットと比較しながら、住宅ローンの繰り上げ返済をすべきか判断してみてください。
- デメリット・注意点1. 繰り上げ返済の実行後は取り消しできない
- デメリット・注意点2. 住宅ローン金利は低いため利息軽減の効果が薄い
- デメリット・注意点3. 住宅ローン控除額が減額になる可能性がある
- デメリット・注意点4. 団信の保険金額が減ってしまう
- デメリット・注意点5. 急な出費に対して資金不足となる可能性がある
デメリット・注意点1. 繰り上げ返済の実行後は取り消しできない
一旦住宅ローンの繰り上げ返済を実行すると、あとから取り消しできません。現在の資産や家計の状況、今後のライフプランを踏まえたうえで、慎重に繰り上げ返済の判断を下しましょう。
ただし住宅ローンの繰り上げ返済日前であれば、手続きを取り消しできる場合もあります。住宅ローンの繰り上げ返済の取り消し可能なタイミングは金融機関によって異なるので、手続きを取り消したいときは早めの連絡をおすすめします。
デメリット・注意点2. 住宅ローン金利は低いため利息軽減の効果が薄い
住宅ローンは、ほかのローンに比べると金利が低いため、繰り上げ返済時に得られる利息軽減効果も小さくなってしまいます。キャッシングやマイカーローンなど、住宅ローン以外の借入がある方は、金利の高いものから優先的に返済したほうがよいでしょう。
また、あえて繰り上げ返済を行わず、浮いたお金を資産運用に回して運用益を得るという方法もあります。住宅ローンの金利以上の利回りが期待できる場合は、繰り上げ返済ではなく資産運用を検討するのも一つの手です。


デメリット・注意点3. 住宅ローン控除額が減額になる可能性がある
住宅ローンの繰り上げ返済を行うと、住宅ローン控除額が減る可能性があります。住宅ローン控除額の計算方法は、以下のとおりです。
- ローン残高(※1)×0.7%(※2)×13年間(※3)
※1:住宅の種類によって2,000~5,000万円までの上限あり
※2:2025年1月現在の控除率
※3:中古住宅の場合など、条件によっては10年間の場合あり
つまり、住宅ローンの金利が0.7%より低い場合は、繰り上げ返済を行わず住宅ローン控除を受けたほうが得といえます。
また、返済期間短縮型の繰り上げ返済を行う際は、トータルの借入期間が10年を切ってしまうと住宅ローン控除の対象外になってしまうため、注意が必要です。
※詳細については国税庁HPにて確認してください。
デメリット・注意点4. 団信の保険金額が減ってしまう
住宅ローンを組む際は、団信(団体信用生命保険)に加入します。団信は、住宅ローンの債務者が返済中に死亡したり高度障害状態になったりしたときに、ローン残高を保険金で完済する仕組みの保険商品です。
つまり、住宅ローンの残高が残っているほど、万一の際に団信から受け取れる保険金額は多くなります。


極端な話ではありますが、もし住宅ローンを繰り上げ返済した直後に債務者が亡くなっても、繰り上げ返済にあてたお金は返ってきません。そのため、住宅ローンの繰り上げ返済を行い団信の保険金額を減らすよりは、資産をそのまま蓄えておくほうがよいという考え方もできるでしょう。
デメリット・注意点5. 急な出費に対して資金不足となる可能性がある
住宅ローンの繰り上げ返済を行う際は、少なくとも急な出費に対応できるだけの資産を残しておくことが大切です。
繰り上げ返済をしたために資金不足となり、新たに借入をすることになっては、かえって利息がかさんでしまいます。資産全額を住宅ローンの繰り上げ返済にあてるようなことはせず、余裕のある資金計画を心がけましょう。
繰り上げ返済以外に「借り換え」なども検討する


(※)金利は一例です。
住宅ローンの利息を軽減する方法としては、繰り上げ返済のほかに「借り換え」も考えられます。現在の金利よりも低い住宅ローンに借り換えれば、利息を抑えることが可能です。
参考として、住宅ローンの繰り上げ返済・借り換えの違いとメリット・デメリットを以下にまとめました。
住宅ローン「繰り上げ返済」「借り換え」の違い | |||
---|---|---|---|
繰り上げ返済 | 借り換え | ||
利息の軽減効果 | 時期が早いほど高くなる | 現契約と新契約の金利差が大きいほど高くなる | |
手続きの手間 | 現契約のまま実行できる | 現契約の解約&新契約の契約手続きが必要 | |
手続きにかかる費用 | 無料もしくは少額 | 数十万程度の手数料がかかる | |
住宅ローン控除 | 減額になる可能性がある | 適用を受けるには要件を満たす必要がある |
住宅ローン「繰り上げ返済」「借り換え」のメリット・デメリット | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
繰り上げ返済 | 借り換え | |||||
メリット | ・返済期間を短縮したり、月々の返済額を軽減できる ・利息を軽減できる ・手続きの手間が少ない ・手続きにかかる費用が少ない | ・現契約と新契約の金利差が大きいほど利息の軽減効果が高まる ・蓄えた資産を減らさずに済む ・変動金利・固定金利の変更ができる ・団信の保障を見直せる | ||||
デメリット | ・資金不足に陥るリスクがある ・住宅ローン控除額が減る可能性がある ・大幅な利息軽減効果は得られない場合がある | ・手続きの手間がかかる ・手続きに数十万円の手数料がかかる ・住宅ローン控除の適用を受けるには要件を満たす必要がある |
繰り上げ返済と借り換えのどちらがよいかは、住宅ローンの金利や残りの返済期間、ローン残高によって異なります。また、現在の家計状況や今後のライフプランによっても、取るべき行動は変わってくるでしょう。
安易に自己判断せず、一度は住宅ローンアドバイザーなどの専門家に相談し、自分にとって最善の方法を見極めるのがおすすめです。
以下のサイト(モゲチェック)では、借り換えにおすすめの各金融機関の住宅ローンが一覧で表示され、簡単に比較検討できます。金利だけでなく諸費用はいくらかかるのか、どのような団体信用生命保険が付いているのかなどの確認も可能。
どのくらい利息が軽減されるのかシミュレーションもでき、AIが審査に通りやすく自分に合う借り換え先を提案してくれたり、無料チャットで専門家に相談することもできるので、借り換えを悩んでいる方はぜひ試してみてください。




まとめ
住宅ローンの繰り上げ返済を行うと、将来かかる利息を軽減でき、住宅ローンの総支払額を減らせます。ただし、住宅ローンの繰り上げ返済にはメリットもあればデメリットもあるため、実行に移す前に必ず家族に相談しましょう。
また、返済期間短縮型・返済額軽減型のどちらで繰り上げ返済するのか、あるいは借り換えにするのか、自分にとって最善の方法を選ぶことが重要です。
当サイトの「オカネコ」には、住宅ローンのアドバイスができる専門家が多数登録しています。住宅ローンに関する疑問をお持ちの方は、1人で悩まず一度プロに相談してみるのがおすすめです。まずは簡単な家計診断をして、無料チャットで相談してみてください。



住宅ローンの繰り上げ返済については、メリットもデメリットもあります。また、繰り上げ返済と借り換えの比較についてもその人それぞれで最善の方法が異なるのが実状です。
その人それぞれのライフプランがある中で、総合的に判断する必要がありますので、住宅ローンを組まれる際、繰り上げ返済を検討される際、借り換えを検討される際、いずれにしてもライフプランシミュレーションを行うことをおすすめします。
プロに相談することでメリット・デメリットを整理したうえでアドバイスを受けて最終的に判断すると良いでしょう。



