私立高校の3年間の学費は平均約316万円、私立大学の4年間の学費は文系が平均約411万円、理系が平均約542万円という調査結果があります。
参照※1:表2 学年(年齢)別の学習費総額|令和3年度子供の学習費調査 5ページ|文部科学省
参照※2:表9 幼稚園3歳から高等学校第3学年までの15年間の学習費総額|令和3年度子供の学習費調査 18ページ|文部科学省
私立の学校は公立に比べて学費がかかるため、早いうちに学費の目安を知り、計画的に準備を進めることが大切です。
本記事では、私立高校・大学の学費の平均や、授業料無償化や学費に関する支援制度、私立進学に向けて学費を備える方法、私立高校に通うメリットを解説します。
私立の学校に通った場合の学費の目安を把握したい方、私立進学に向けて早めに学費の準備を進めたい方は、ぜひ参考にしてください。
- 文部科学省の令和6年度学校基本統計によれば、小学校・中学校は国公立の学校に通う人が90%以上を占めるが、高校から私立に進学する人が増加し、大学では私立に通う人の割合が74%に逆転する
- 文部科学省の調査をもとに計算すると、私立高校の3年間の学費は平均約316万円、私立大学の4年間の学費は文系が平均約411万円、理系が平均約542万円。私立医歯系大学の6年間の学費は約2,354万円である
- 幼稚園から大学までを通して、私立は公立よりも学費がかかる。子どもが私立の学校に進学する可能性を考慮し、計画的に学費の準備を進めることが大切
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私立高校・私立大学の学費の平均
文部科学省の令和6年度学校基本統計記載の国公立・私立学校の在学者数を見ると、小学校・中学校は国公立に通う人の割合が90%を超えており、私立に通う人はごく少数派です。
しかし、高校以降は私立に進学する人が増加します。大学では国公立・私立の在学者数の割合が逆転し、74%が私立大学に通っている状況です。
参照:文部科学省「令和6年度学校基本統計(速報値)について公表します。」ページ1~2をもとに作成
私立高校や私立大学への進学が珍しくない今、子どもが私立進学する場合に備えて学費の目安を知り、早いうちから計画的に準備を進めることが求められます。まずは、私立高校・私立大学の学費の平均を見ていきましょう。
私立高校の学費は平均約316万円
文部科学省の令和3年度の調査をもとに計算すると、私立高校の3年間の学費は約316万円でした。これに対し、公立高校の3年間の学費は約154万円です。つまり、私立高校の学費は公立高校の約2倍も高いことになります。
参照:表1 学校種別学習費総額の推移|令和3年度子供の学習費調査 1ページ|文部科学省
学費の内訳を見ると、私立高校と公立高校で学校外活動費は約10万円の差にとどまりましたが、学校教育費は約44万円もの差があります。
ここでいう学校教育費とは、授業料、保育料、入学金、修学旅行費、学用品費、体育用品費、楽器等購入費、実験実習材料費、クラブ活動費、通学費などのことです。各金額を比較すると、私立高校は公立高校よりも入学金等や授業料、学校納付金が特に高いとわかります。
参照:表4-4 高等学校(全日制)の学校教育費の支出構成|令和3年度子供の学習費調査 11ページ|文部科学省
高校の学費の平均額について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
私立大学の学費は文系が平均約411万円、理系が平均約542万円
文部科学省の調査をもとに計算すると、私立大学の4年間の学費は文系が約411万円、理系が約542万円で、私立医歯系大学の6年間の学費は約2,354万円です。
それに対し、国立大学の学費は4年間で約243万円、公立大学の学費は4年間で約252万円となっており、国公立大学と私立大学ではかかる学費が大きく違うことがわかります。
※授業料、施設設備費は参照データ(年額)をそれぞれの在籍期間で乗じた数値を記載しています
参照※1:国立大学等の授業料その他の費用に関する省令|e-Gov法令検索
参照※2:(参考2)国公私立大学の授業料等の推移|文部科学省
参照※3:資料1 令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金 平均額(定員1人当たり)の調査結果について 1ページ|文部科学省
参照※4:私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
学費の内訳を見ると、入学料は国公立大学よりも私立文系・理系のほうが安い傾向です。しかし、私立大学は授業料が国公立大学より高く、国公立大学ではかからない施設設備費もかかります。そのため、合計額は私立大学のほうが1.5~2倍程度高いです。さらに私立医歯系大学の場合は、もっと多額の学費がかかります。
大学の受験料(検定料)の金額も比較してみましょう。以下は、大学入学共通テストと国公立大2次試験、私立大の受験料の一覧です。
大学の受験料(入学検定料)2024年度・入学者選抜 | |
大学入学共通テスト(3教科以上受験) | 18,000円 |
大学入学共通テスト(2教科以下受験) | 12,000円 |
国公立大2次試験※ | 17,000円 |
私立大(医歯学部等除く) | 30,000~35,000円程度 |
参照:大学受験から入学までにかかる費用はどれくらい?公益財団法人生命保険文化センター
国公立大の受験は共通テストを受ける必要があるため、2次試験とあわせて35,000円程度の受験料がかかります。私立大の受験料も30,000~35,000円程度なので、受験にかかる費用は国公立か私立かで大きな差はないといえます。
大学の学費の平均額について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
<参考>幼稚園・小学校・中学校の学費
参考として、私立の幼稚園・小学校・中学校の学費も紹介します。文部科学省の令和3年度の調査をもとに計算すると、幼稚園・小学校・中学校の入学から卒業までの学費総額は以下のとおりです。
幼稚園・小学校・中学校の入学から卒業までの学費総額 | ||
公立 | 私立 | |
幼稚園(3年間) | 495,378円 | 926,727円 |
小学校(6年間) | 2,115,396円 | 10,001,694円 |
中学校(3年間) | 1,616,397円 | 4,309,059円 |
私立の学費は、公立に比べて幼稚園は約1.9倍、小学校は約4.7倍、中学校は約2.7倍の学費がかかります。高校より早い段階での私立進学は、これだけ学費がかさむことを理解したうえで慎重に決める必要があるでしょう。
高校・大学費用に関する無償化制度などの最新情報
高校や大学費用に関する支援制度はいろいろあります。以下の制度のうち、利用できるものがあるかどうかを早めに確認しておきましょう。
【2020年7月~】高等学校等就学支援金制度(高校無償化制度)が拡充
「高等学校等就学支援金制度」は、返還不要の授業料支援金がもらえる制度です。2020年4月に拡充が行われ、現在は全国の約8割の高校生が利用しています。
以下の受給資格および支援対象となる世帯年収の目安に当てはまる場合は、高等学校等就学支援金制度を利用可能なので忘れずに申し込みましょう。
「高等学校等就学支援金制度」の受給資格(以下の要件を満たす人)
- 日本国内に在住し、高等学校等に在学している
- 保護者等の「市町村民税の課税標準額×6% - 市町村民税の調整控除の額」が30万4,200円未満
私立高校の場合、「市町村民税の課税標準額×6% - 市町村民税の調整控除の額」の計算式による算出額に応じて、支給額が異なります。
- 算出額が154,500円以上~304,200円未満の場合:118,800円
- 算出額が154,500円未満の場合:396,000円※
※私立高校(通信制)は297,000円
算出額が304,200円以上になる場合は、高等学校等就学支援金の支給対象外です。
支援の対象になる世帯の年収目安 | |||
---|---|---|---|
子の人数 | 118,800円の支給 | 396,000円の支給 | |
片働きの場合 | 子2人(高校生・高校生) | ~約950万円 | ~約640万円 |
子2人(大学生・高校生) | ~約960万円 | ~約650万円 | |
共働きの場合 | 子2人(高校生・中学生以下) | ~約1,030万円 | ~約660万円 |
子2人(高校生・高校生) | ~約1,070万円 | ~約720万円 | |
子2人(大学生・高校生) | ~約1,090万円 | ~約740万円 |
【2025年度~】多子世帯の大学等授業料・入学金の無償化とは
現在実施されている高等教育の修学支援新制度では、世帯収入や資産の要件を満たす人の大学等の授業料・入学金の減免や給付型奨学金給付が行われています。
現在の高等教育の修学支援新制度概要 | ||||||||
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受給資格 | 世帯収入や資産の要件※1を満たしている、学ぶ意欲がある学生 | |||||||
支給額 | 国公立大学(昼間制) | 入学金の減免上限額:約28万円 授業料の減免上限額:約54万円/年 給付型奨学金:約80万円/年※2 | ||||||
私立大学(昼間制) | 入学金の減免上限額:約26万円 授業料の減免上限額:約70万円/年 給付型奨学金:約91万円/年※2 |
※1:目安として年収460万円以下の住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯
※2:自宅以外から通う場合
さらに2025年度からは、扶養される子どもが3人以上いる多子世帯については、所得制限なく現行制度と同様の大学授業料・入学金の無償化支援が行われる予定です。
2025年度~の「多子世帯の大学等授業料・入学金の無償化」の概要
- 対象の世帯:扶養される子供が3人以上いる世帯(扶養する子供が3人以上いれば第1子から無償の対象)
- 対象の学校:大学・短大・高専(4・5年生)・専門学校
- 所得制限:なし
- 授業料支援の上限:国公立大学約54万円/年、私立大学約70万円/年(大学以外も校種・設置者ごとに設定)
扶養される子どもが3人以上いれば第1子から支援の対象となるため、多子世帯では大学や専門学校にかかる教育費負担が大幅に軽減されるでしょう。
ただし、3人の子がいる家庭でも、例えば第1子が大学を卒業し扶養家族から外れた場合は、第2子以降は対象外です。支援を受けられない世帯が多いことが予想されます。
【2024年12月~】児童手当が拡充
児童手当の支給額は、子ども1人につき月1万円~1万5,000円(所得制限額以上の家庭は月5,000円、所得上限額以上の場合は給付なし)です。児童手当の全額を貯めれば、高校入学までに約200万円の資金を準備できます。
児童手当は2024年12月以降の拡充にともない、拡充後は所得制限が撤廃され、両親の所得に関係なくすべての子どもが児童手当の支給対象になります。また、給付期間が高校生まで延長される点、第3子以降の給付額が3万円に増額される点もポイントです。
参照:こども家庭庁 児童手当制度のご案内、こども家庭庁 こども未来戦略 「加速化プラン3.6兆円」の施策詳細P1
その他高校・大学の学費に関する支援制度
高校・大学の学費に関する支援は、無償化制度や児童手当だけではありません。私立に進学する際は、以下の支援制度の活用も検討してみてください。
高校生等奨学給付金制度(生活保護世帯・住民税非課税世帯)
「高校生等奨学給付金」とは、高校生がいる生活保護世帯・住民税非課税世帯に対し、教科書費や教材費など授業料以外の教育費を支援する目的で支給される、返還不要の給付金です。
「高校生等奨学給付金制度」の対象者
- 生活保護世帯
- 住民税非課税世帯
- 家計が急変して住民税非課税相当になった世帯
年間支給額※ | |||
---|---|---|---|
国公立 | 私立 | ||
生活保護世帯 | 32,300円 | 52,600円 | |
住民税非課税世帯・全日制等(第1子) | 122,100円 | 142,600円 | |
住民税非課税世帯・全日制等(第2子以降) | 143,700円 | 152,000円 | |
住民税非課税世帯 通信制・専攻科 | 50,500円 | 52,100円 |
※家計急変の場合は、申込月によって給付額が変わります
ただし、上記の表は国の補助基準であり、高校生等奨学給付金の対象となる要件や支給額、手続きの方法は各都道府県によって異なります。
高校生等奨学給付金の詳細を知りたい場合は、文部科学省の「高校生等奨学給付金のお問合せ先一覧」に記載された担当部署に問い合わせましょう。
就学援助制度
就学援助制度とは、経済的理由で就学困難な子どもの保護者に対し、市町村が学用品費や給食費などの一部を援助する制度のことです。
就学援助制度の概要 | |||
---|---|---|---|
対象者 | ・生活保護法第6条第2項に規定する要保護者 ・要保護者に準ずる程度に困窮していると市町村教育委員会が認める者(準要保護者) | ||
補助対象品目 | 学用品費/体育実技用具費/新入学児童生徒学用品費等/通学用品費/通学費/修学旅行費/校外活動費/医療費/学校給食費/クラブ活動費/生徒会費/PTA会費/卒業アルバム代等/オンライン学習通信費 |
準要保護者の認定基準は各市町村によって異なります。援助を受けるには申請が必要なため、経済的な理由で子どもの学用品費や給食費の支払いが困難な場合は、学校や教育委員会、自治体に相談しましょう。
奨学金制度
子どもの就学を支援するため、日本学生支援機構をはじめとするさまざまな団体が奨学金制度を運営しています。一般的に、奨学金は金融機関のローンよりも金利が低く、返済期間も長い傾向にあるため、子どもの教育費が足りない場合の解決策として選択肢に入れるとよいでしょう。
奨学金の種類は、大きく分けて「給付型」と「貸与型」の2つです。
給付型の奨学金は所得制限や成績制限などの条件が厳しい傾向ですが、返還不要のため卒業後の負担がありません。まずは、利用条件を満たす給付型の奨学金があるかどうかを調べてみるのがおすすめです。
一方、貸与型の奨学金は、卒業後に子どもに返還義務が生じます。そのため、利用時は必ず本人がよく理解したうえで、卒業後の返還見通しを立てて無理のない金額を借りることが大切です。貸与型の奨学金には無利子のタイプと有利子のタイプがあるので、有利子の場合は利率も確認しておきましょう。
教育ローン
教育費が必要になるタイミングが迫っており、今から貯めても間に合わない場合は、「教育ローン」による借入を検討しましょう。
教育ローンとは、教育資金を賄う目的で受ける融資のことです。大きく分けると「国の教育ローン」と「民間の教育ローン」の2種類があります。
「国の教育ローン」と「民間の教育ローン」の違い | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
国の教育ローン | 民間の教育ローン | |||||
金融機関 | 日本政策金融公庫 | 銀行・信用金庫など | ||||
借入上限額 | 350万円※1 | 300~1,000万円程度 | ||||
金利 | 年2.35%※2(固定金利のみ) | 年1~3.5%程度(変動金利・固定金利) | ||||
融資期間 | 最長18年 | 10~15年程度 | ||||
使途 | ・学校納付金(入学金、授業料、施設設備費など) ・受験費用(受験料、交通費、宿泊費など) ・在学に必要な住居費用 ・学用品費用(教科書、教材、修学旅行費用など) | 国の教育ローンより幅広い傾向 | ||||
利用条件 | 世帯年収(所得)上限※3 ・子1人:790万円(600万円) ・子2人:890万円(690万円) ・子3人:990万円(790万円) ・子4人:1,090万円(890万円) ・子5人:1,190万円(990万円) | 年収や勤続年数、年齢、居住地などに制限がある場合もあり |
※1:条件を満たせば450万円
※2:条件を満たせば▲0.4%(固定金利)
※3:条件を満たせば上限額緩和の特例あり
「国の教育ローン」の借入上限額は350万円の固定金利です。融資期間は最長18年と長めで、学校納付金のほか受験費用や住居費用、学用品費用にも利用できます。ただし、子どもの人数に応じた所得制限が設けられているため、一定以上の所得がある世帯は利用できません。
「民間の教育ローン」は銀行や信用金庫などが販売する商品で、借入上限額や金利、融資期間は金融機関によって異なります。国の教育ローンよりもやや高金利な傾向ですが、幅広い使途に利用でき、所得制限もありません。所得制限で国の教育ローンを利用できない方は民間の教育ローンを検討するとよいでしょう。
民間の教育ローンの利用を検討する際は、低金利ローンの比較サービス「クラウドローン」を使うと便利です。無料登録後に質問に回答するだけで複数の銀行から借入可能な教育ローンの提案を受けられるため、手間や時間を削減できるとともに、より低金利の融資を受けられます。
クラウドローンの概要
- 最適な銀行ローンのマッチングサービス(提携金融機関は30以上)※2024年12月時点
- 借入が可能かシミュレーションできる
- 提携の保証会社による事前審査が可能
- 審査結果に応じて、借りられる銀行から直接融資の提案が届く
- 希望する銀行にそのまま申し込みできる
学校独自の特待生制度
私立の中学校・高校・大学の多くに設けられている「特待生制度」を活用すると、入学金や授業料の免除、奨学金の支給などの優遇を受けられます。学校によっては学費の全額免除を行っているところもあり、特待生として入学すれば学費を大幅に抑えることが可能です。
特待生制度は、学業やスポーツ、文化活動面で優秀な成績を収めた生徒を確保するため、各学校が独自に行っているものです。そのため、特待生になるための条件や受けられる優遇の内容は学校によって異なります。一般的には、入学試験で基準以上の結果を出す、大会やコンクールで好成績を残すなどした場合に、特待生制度を利用できることが多いです。
私立への進学を検討する際は、各学校の特待生制度の有無や内容を調べたり、学校の先生に相談してみたりして、特待生として入る方法を探してみるとよいでしょう。
各自治体の学費の支援制度
自治体によっては、高校生のいる世帯向けに独自の学費支援制度を設けているところもあります。
自治体独自の学費支援制度の一例 | ||||||||
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自治体 | 支援の内容 | 詳細 | ||||||
東京都 | 都立高等学校等における授業料免除制度 | 都内に在住し、都立学校に通う子どものいる世帯のうち、所得制限により高等学校等就学支援金が対象外の世帯に対して、都立学校の授業料全額を免除する制度 | ||||||
神奈川県 | 学費補助金 | 神奈川県内に在住し、神奈川県の高等学校等に通う子どものいる世帯のうち、高等学校等就学支援金の対象世帯に対して、入学金・授業料を補助する制度 | ||||||
大阪府 | 高等学校等の授業料無償化制度の拡充 | 大阪府内に在住し、所得制限により高等学校等就学支援金が対象外の世帯に対して、2024~2026年度にかけて段階的に授業料を無償化する制度 |
自治体独自の学費支援制度を利用すれば、所得制限で高等学校等就学支援金がもらえない方も授業料免除を受けられるかもしれません。ほかに、授業料だけでなく入学金に対する補助金を受けられる場合もあります。
自身が住んでいる自治体のホームページなどで、利用可能な高校の学費の支援制度があるかを調べてみましょう。
私立への進学に向けて学費を備える方法
私立の学費は早めに準備を始めるほうが、家計にかかる負担が少なくてすみます。どのような方法で準備するか悩んでいる方は、以下の手段を検討してみてください。
貯金用口座を作成して積立貯金をする
毎月の貯金額を決めてコツコツ積立していくと、お子さんが高校生になる頃にはまとまった資金になります。積立貯金をするなら、貯金用口座を作成するのがおすすめです。生活費用口座と貯金用口座を分けておけば、せっかく貯めたお金をうっかり使ってしまう心配がありません。
貯金用口座を作る際は、できるだけ多くの利息を受け取れるように預金金利が高い銀行を選びましょう。以下は、比較的金利が高く設定されているネット銀行の一例です。
また、自動積立貯金機能(自動振替機能)のある銀行や最低積立金額の低い銀行を選ぶと、積立貯金がしやすくなるので便利です。積立貯金におすすめの銀行口座を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
NISAを活用する
お子さんが私立に進学するまでに時間がある方は、お金を増やすためにNISAを活用して投資を行うのも1つの方法です。通常は運用益に約20%の税金がかかりますが、NISAの場合は非課税のため、課税口座で運用するよりも多くの利益を手元に残せます。
ただし、NISAも投資である以上は元本割れリスクがあります。そこでおすすめなのが、時間を味方につけてリスク軽減を図る「積立投資」の手法です。10年以上の長期運用を前提に、コストの低いインデックス型の投資信託を毎月一定額ずつ積み立てれば、購入価格の平準化により元本割れリスクを抑えやすいです。
以下に「毎月の積立額」「想定利回り」「積立期間」を入力すると、どのくらい資産が増えるのかシミュレーションができます。
学資保険などの積立型保険を活用する
学資保険とは、名前のとおり子どもの学資準備を目的とする貯蓄型の保険です。一般的に、学資保険では契約者を親、被保険者を子どもとします。多くの場合、契約者が死亡・高度障害状態になったときに保険料支払いが免除される特約が付いているため、親に万一のことがあっても子どもに学費を残せるのがメリットです。
ただし、学資保険を中途解約した場合の解約返戻金は、それまでの支払い金額よりも少なくなってしまいます。損をしないためには、中途解約をしなくて済むよう無理のない保険料の学資保険に加入しましょう。
また、学資保険にこだわらず、低解約返戻金型終身保険などの貯蓄性のある保険を学費準備に利用するのも1つの方法です。保険によってメリット・デメリットが変わるため、保険を使って学費を貯めたい方は、保険会社やFP(ファイナンシャルプランナー)などに一度相談してみるとよいでしょう。
私立高校に通うメリット
私立高校は公立高校よりも学費が高いですが、その分以下のメリットが期待できます。
教育方針にあう学校を選べる
私立高校は独自の理念を持って学校運営をしているため、子どものやりたいことや家庭の教育方針にあわせて学校選びができるのがメリットです。
例えば、受験対策に力を入れている学校や、社会で役立つスキル磨きに重点を置いている学校など、さまざまな特色があります。
「こんな学校に通わせたい」という理想がある場合や、子どもの学びたいことがはっきりしている場合は、私立高校への進学を検討するとよいでしょう。
施設の設備が充実している
私立高校は公立高校に比べて、施設の設備が充実しているところが多いです。
例えば、施設全体がよく整備されていてきれいだったり、校舎や運動場、体育館、プールなどの設備が快適に使えるよう配慮されていたり、最新のICT環境が揃っていたりします。
子どもにできるだけ快適な環境で教育を受けてほしい場合は、私立高校を検討するのがおすすめです。
大学受験指導が手厚い
大学受験指導に力を入れている私立高校に進学すれば、大学受験を見据えたカリキュラムと手厚い指導が受けられるでしょう。
ただし、私立高校だからといって必ずしも大学進学実績が優れているとは限りません。志望大学がある場合は、その学校への進学実績が豊富な私立高校を選ぶ必要があります。
手厚い大学受験指導を期待して私立高校を選ぶなら、学校ごとのカリキュラムや受験対策の内容もよく確認することが大切です。
まとめ
現在の日本では、小学校・中学校までは90%以上の人が国公立の学校に通っています。しかし、高校以降は私立在学者の割合が増加し、私立高校に通う人は34.7%、私立大学に通う人は74%もいます。
私立の学校の学費は、国公立に比べて高い傾向です。文部科学省の調査をもとに計算すると、私立高校の3年間の学費は平均約316万円、私立大学の4年間の学費は文系が平均約411万円、理系が平均約542万円です。私立医歯系大学はもっと高額で、6年間で約2,354万円の学費がかかります。
私立高校や私立大学へ進学する子どもは珍しくないため、子どもが私立進学する場合に備えて、早いうちから計画的に学費の準備を進めることが大切です。無償化制度や支援制度をうまく活用しつつ、積立貯金やNISA、学資保険などにも積極的に取り組みましょう。
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