
身近な人に詳しく聞くのはためらわれる貯金事情。それだけに「みんな貯金できているの?」「貯金がない人の割合ってどのくらい?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。また、なかには貯金が苦手で悩んでいる方もいるかもしれません。
貯金なし世帯の割合や貯蓄継続のコツをお伝えします。貯金がない人の割合を知りたい方、貯金なしを脱却したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
また、全年代・世帯別の平均貯金額や中央値については、以下のコンテンツを合わせて参考にしてみて下さい。

貯金なしの世帯は2~3割
まずは、貯金なし世帯の割合はどのくらいなのか見ていきましょう。
以下は金融広報中央委員会の世論調査(令和3年)より、年代別・世帯構成別の貯金なし世帯の割合を抜粋した表です。
貯金なし世帯の割合 | ||
---|---|---|
年代 | 単身世帯 | 2人以上世帯 |
20歳代 | 39.0% | 37.1% |
30歳代 | 36.3% | 22.7% |
40歳代 | 35.7% | 24.8% |
50歳代 | 35.7% | 23.2% |
60歳代 | 28.8% | 19.0% |
70歳代 | 25.1% | 18.3% |
全年代平均 | 33.2% | 22.0% |
若い年代ほど、貯金なし世帯の割合が高い傾向にあります。また、全年代平均の貯金なし世帯の割合は単身世帯が33.2%、2人以上世帯が22.0%で、単身世帯のほうが貯金なし世帯の割合が高いという結果でした。
全体の2~3割が貯金なし世帯のため、「貯金がない人は結構いるんだな」と安心された方もいるでしょう。ただ、逆をいえば、残りの7~8割はきちんと貯金をしている世帯ということになります。
参考まで、年代別の貯蓄額の平均値・中央値も確認してみましょう。
年代別の貯蓄額の平均値・中央値 | ||||
---|---|---|---|---|
年代 | 単身世帯 | 2人以上世帯 | ||
平均値 | 中央値 | 平均値 | 中央値 | |
20代 | 179万円 | 20万円 | 212万円 | 63万円 |
30代 | 606万円 | 56万円 | 752万円 | 238万円 |
40代 | 818万円 | 92万円 | 916万円 | 300万円 |
50代 | 1,067万円 | 130万円 | 1,386万円 | 400万円 |
60代 | 1,860万円 | 460万円 | 2,427万円 | 810万円 |
70代 | 1,786万円 | 800万円 | 2,209万円 | 1,000万円 |
ちなみに中央値とは、データを小さい(または大きい)順に並べたとき、真ん中に来る値のことです。平均値は極端に小さいまたは大きいデータの影響を受けやすいため、中央値のほうがよりリアルな数値に近いと考えられます。
特に印象的なのは、単身世帯の20~40歳代の貯蓄額の中央値が100万円を切っている点です。同調査では、金融資産保有額100万円未満の世帯の割合は、単身世帯では47%、2人以上世帯では30.1%にのぼることもわかっています。
貯金がないと悩んでいる人は、身近にも意外とたくさんいると思ってよいでしょう。
2人以上世帯の場合
金融広報中央委員会の世論調査(令和3年)によれば、2人以上世帯の金融資産保有額の分布は以下のとおりです。
金融資産保有額(2人以上世帯) | |
---|---|
金融資産保有額 | 割合 |
非保有 | 22% |
100万円未満 | 8.1% |
~200万円未満 | 6.5% |
~300万円未満 | 4.8% |
~400万円未満 | 4.5% |
~500万円未満 | 3.3% |
~700万円未満 | 7.1% |
~1,000万円未満 | 6% |
~1,500万円未満 | 8.2% |
~2,000万円未満 | 5.2% |
~3,000万円未満 | 7.5% |
3,000万円以上 | 13.5% |
無回答 | 3.3% |
最も割合が高いのは、貯金なし世帯(金融資産非保有世帯)で22%、次に多いのは、金融資産保有額3,000万円以上の世帯で13.5%です。
貯金がまったくない人がいる一方で、しっかりと資産を蓄えている人も少なからずいるとわかります。

単身世帯の場合
金融広報中央委員会の世論調査(令和3年)によれば、単身世帯の金融資産保有額の分布は以下のとおりです。
金融資産保有額(単身世帯) | |
---|---|
金融資産保有額 | 割合 |
非保有 | 33.2% |
100万円未満 | 13.8% |
~200万円未満 | 6.8% |
~300万円未満 | 3.6% |
~400万円未満 | 3.7% |
~500万円未満 | 2.2% |
~700万円未満 | 5.2% |
~1,000万円未満 | 5.2% |
~1,500万円未満 | 5.5% |
~2,000万円未満 | 3.9% |
~3,000万円未満 | 4.7% |
3,000万円以上 | 9.4% |
無回答 | 2.7% |
最も割合が高いのは、貯金なし世帯(金融資産非保有世帯)で33.2%、次に多いのは、金融資産保有額100万円未満の世帯で13.8%です。「単身世帯の2人に1人は100万円未満の貯金しかない」という厳しい状況が見てとれます。


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貯金なしの人が抱えるリスク
現在貯金なしの方は、今すぐ家計を見直し、少しずつでもお金を貯めていくことをおすすめします。なぜなら貯金のない状態を続けていると、人生のさまざまな場面でお金に困るリスクがあるためです。
例えば以下の費用は、いきなり準備するのは難しいため、日頃からコツコツ貯めておく必要があります。
病気やケガになった際の医療費・入院費など
今は健康でも、突然病気やケガに見舞われるリスクは誰にでもあります。貯金なしでは、病気やケガで医療費・入院費が必要になったときに、頭を抱えることになるでしょう。
日本には、1か月の医療費が上限額を超えた場合に、超過分の金額を払い戻してもらえる「高額療養費制度」があります。これは非常に心強い制度ですが、それでも一定額までは自己負担しなければなりませんし、払い戻しされるまでは超過分の金額も自分で支払わなければなりません。
また、長期入院となった際に収入が途絶えるリスクもあります。特に、自営業の方は会社員の方と違い、傷病休暇や傷病手当金などの生活保障がないため、しばらく仕事ができなくても対応できるくらいの貯金を用意したほうがよいでしょう。
病気やケガをすると、痛みや治療に対するストレスから、心身に負担がかかることが予想されます。そのようなときに経済的な不安まで抱えるのは避けたいもの。
健康なうちに貯金を始めて、十分なお金が貯まるまでは保険で備えるなど対策を取りましょう。
職場が倒産や解雇、離職時の生活費
先行きの見えない今の時代、大企業であっても将来は何が起こるかわかりません。勤務先が倒産したり、業績不振による解雇が行われたりするリスクもゼロではないでしょう。
また、結婚や出産といったライフステージの変化、今後のキャリアプランなど、さまざまな理由から転職を視野に入れることがあるかもしれません。
そこで、現在の仕事を離職する場合に備えて、当面の生活費を貯金しておきましょう。目安として、現在の生活費の6か月分があれば安心できます。
ちなみに離職後にもらえる「失業給付」は、待期や給付制限により、自己都合退職の場合は支給開始まで2~3か月の間があくため要注意です。給付日数も限られており、短いケースでは90日分しかもらえないので、落ち着いて次の仕事を探すためにも貯金をおすすめします。
結婚、出産、住宅購入などの費用
結婚、出産、住宅購入などの費用は、必要になるタイミングから月々の貯金額を逆算して、計画的に貯め始めましょう。
まず結婚費用について考えてみます。「ゼクシィ 結婚トレンド調査2022(※1)」によれば、挙式、披露宴・ウエディングパーティーのカップルの自己負担額は平均147万3,000円です。
この金額を用意するには、結婚式の3年前から貯め始める場合でも、月4万円ずつ貯金する必要があります。
次に、出産費用はどうでしょうか。自治体の補助や妊婦健診の回数と内容、分娩方法などによって前後しますが、妊婦健診に約7万円、出産時の入院・分娩に約50万円(※2)の費用がかかるのが平均的です。
ここから出産一時金42万円を差し引くと、妊娠・出産にかかる自己負担額は、少なくとも15万円ほどになると思われます。
最後に住宅購入費用です。住宅金融支援機構の調査(※3)によると、エリア別の住宅所要資金は以下のとおりです。
住宅の所要資金 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
エリア | 注文住宅 | 土地付注文住宅 | 建売住宅 | マンション | 中古戸建 | 中古マンション |
全国 | 3,572万円 | 4,455万円 | 3,605万円 | 4,528万円 | 2,614万円 | 3,026万円 |
首都圏 | 3,899万円 | 5,133万円 | 4,133万円 | 4,913万円 | 3,152万円 | 3,295万円 |
近畿圏 | 3,778万円 | 4,658万円 | 3,578万円 | 4,478万円 | 2,434万円 | 2,654万円 |
東海圏 | 3,650万円 | 4,379万円 | 3,139万円 | 4,262万円 | 2,252万円 | 2,208万円 |
そのほか地域 | 3,372万円 | 3,980万円 | 2,905万円 | 3,864万円 | 2,104万円 | 2,601万円 |
全国平均を見ると、比較的費用の安い中古戸建でも約2,600万円がかかります。住宅購入費用をフルローンするのは、審査に通らない可能性が高く、月々の返済負担も大きくなるため、あまりおすすめできません。
総額のうち2割を頭金として準備するとして、最低でも500万円以上の貯金がなければ、住宅購入は難しいでしょう。
参照※1:ゼクシィ 結婚トレンド調査2022 P14
参照※2:公益社団法人 国民健康保険中央会 出産費用の全国平均値、中央値(平成28年度)P1
参照※3:住宅金融支援機構 フラット35利用者調査 2021年度 P11~13
家族や両親の介護費用
人生100年時代といわれるようになった現代においては、親の介護が発生する可能性も考えて備える必要があります。その他、重い病気やケガにより、家族が要介護状態になることもあるかもしれません。
生命保険文化センターの調査(※4)によると、場所別介護費用の月額平均は以下のとおりです。
- 在宅介護 … 4万8,000円
- 施設介護 … 12万2,000円
また、同調査では、介護期間の平均は5年1か月となっています。
介護期間中は、仕事の勤務時間を短くしたり、必要に応じて休みを取ったりして収入が減少しやすいため、まったく貯金がない状態では不安があると言わざるを得ません。
参照※4:公益財団法人 生命保険文化センター 介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?
老後の生活資金
2019年に公表された金融庁の報告書がもととなり、「老後2,000万円問題」が取り沙汰されるようになりました。老後の生活において月5万円の不足が発生する場合、30年間で2,000万円ほどの貯金取り崩しが必要になるという話です。
では、老後資金2,000万円を貯めるには、毎月いくら貯金すればいいのでしょうか。以下は、現在の年齢から逆算し、老後資金2,000万円を貯めるために必要な月々の貯金額を割り出した表です。
老後資金2,000万円を貯めるために必要な月々の貯金額 | ||
---|---|---|
現在の年齢 | 65歳までの残り期間 | 月々の貯金額(※) |
20歳 | 45年(540か月) | 37,000円 |
25歳 | 40年(480か月) | 42,000円 |
30歳 | 35年(420か月) | 48,000円 |
35歳 | 30年(360か月) | 56,000円 |
40歳 | 25年(300か月) | 67,000円 |
45歳 | 20年(240か月) | 83,000円 |
50歳 | 15年(180か月) | 111,000円 |
現在の年齢が若いほど、月々の貯金額が少なくすみます。老後の生活資金は、できるだけ早いうちから貯め始めるのがおすすめです。
貯金なしの人が貯蓄を継続させるコツ
現在は貯金なしの方も、コツさえつかめれば貯蓄できるようになります。貯蓄はなによりも継続が大切です。今現在貯金がない方は、以下のコツを押さえながら、まずは継続を目標に貯蓄を始めてみましょう。
貯蓄する目的と目標額を決める
貯蓄を継続させるには、強いモチベーションを維持する必要があります。そこでまず、「貯蓄する目的」と「目標額」の2つを必ず決めてから貯蓄を始めましょう。参考として、例を3つ挙げます。
- 生活防衛資金100万円を貯めるため、毎月手取りの1割を貯金する
- 3年後に結婚式を挙げるため、彼と協力して1人月2万円ずつ貯金する
- 住宅購入の頭金を貯めるため、月3万円を財形住宅貯蓄にまわす
このように、貯蓄する目的と目標額はできるだけ具体的に設定するのがおすすめです。目的と目標が明確であるほど実行に移しやすく、進捗状況の振り返りもしやすくなります。

家計の収支を見直して、ムダをなくす
これまで貯金ができなかったということは、家計収支になんらかの課題があると考えられます。そのため、一度家計の収支を見直して、ムダをなくす取り組みが必要です。
現状の家計収支を把握できていない方は、この機会に家計簿アプリをスマートフォンにインストールして、家計簿デビューしましょう。家計簿をつければ、何にいくらお金を使っているのか、月々の家計収支が一目でわかるようになります。
そして、1か月の終わりには必ず家計簿を見返し、「これは買わなくてもよかったな」「この支出の割合が大きすぎるな」など、改善点の洗い出しをしましょう。
定期的な振り返りを行うことで、少しずつ貯蓄できる家計体質に変わっていきます。
貯蓄専用口座を作り、先取り貯金をする
貯金なしの方に多く見られるのは、「余ったお金を貯蓄する」というお金の貯め方です。手元にあるお金は使ってしまうのが人間なので、これではなかなか貯蓄が進みません。
貯蓄を継続させるには、「収入が入ったらすぐに貯蓄する」というやり方に変えましょう。貯蓄分のお金はもともとないものとして考え、貯蓄分を差し引いた残りのお金で生活する意識を持つことが大切です。
また貯蓄にまわしたお金は、生活費とは別の口座で管理するのがおすすめです。
貯蓄専用口座を用意し、貯金箱に入れる感覚でお金を貯めていけば、せっかく貯めたお金をうっかり使い込んでしまう心配がありません。それだけでなく、現在の貯蓄残高も一目瞭然となるため一石二鳥です。
無理のない範囲で少額から始める
貯蓄しようと意気込むあまり、無理のある金額を設定してはストレスがたまります。
過剰なストレスを伴う貯蓄計画は挫折のもとです。生活を大幅に変えなくては実現できないような高い目標を立てるのではなく、少し頑張れば達成できるくらいの、無理のない貯蓄額から始めてみましょう。
「こんなペースでは思うように貯蓄が進まない…」と焦る必要はありません。今後、昇進したり副業を始めたりして、収入が増えたタイミングで少しずつ貯蓄額を上げていけばいいのです。
最初のうちは金額よりも継続に重きを置いて、「今月も貯蓄できた!」と成功体験を重ねることを楽しみましょう。
まとめ
貯金なし世帯の割合は、全体の2~3割にのぼります。多くの人が、うまく貯金できていない状況にあるということ。
貯金がない状態をそのままにしていると、病気やケガによる入院、思いがけない失業などで生活に困るリスクがあります。また、大きなトラブルもなく順調な人生を歩めたとしても、結婚や出産、住宅購入、家族や両親の介護、老後の生活など、お金が必要になる場面はたくさんあります。
貯金を始めるなら、できるだけ早いうちに動き出すのがおすすめです。
これまで貯金なしだった方も、この記事で紹介した貯蓄を継続させるコツを参考に、お金を貯める習慣を少しずつ身につけましょう。

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