
日本では一人暮らし世帯の数が増加傾向にあり、総務省統計局の「令和2年国勢調査」(※1)によると、3世帯に1世帯以上の割合で一人暮らしをする人が増えています。
そんな中で、一人暮らしを検討中の方の中には「一人暮らしでどうやって貯金していこう?」と不安に感じている方も少なくないのではないでしょうか。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」(※2)によると、一人暮らし世帯の平均貯金額は約871万円、中央値は100万円であることがわかっています。
「世の中の一人暮らし世帯は、こんなに貯金しているのか」と焦りを感じるかもしれませんが、一人暮らしでも無理なく貯蓄を継続するためには、いくつか抑えておくべきポイントがあります。
一人暮らしの方でも効率よく貯金するためのコツ、おすすめの貯蓄方法をご紹介します。
全年代・世帯別の平均貯金額や中央値については、以下のコンテンツを合わせて参考にしてみて下さい。

参照※1 : 令和2年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要 35ページ|総務省統計局
参照※2 : 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果 各種分類別データ シート4|知るぽると 金融広報中央委員会
年代別・一人暮らしの平均貯蓄額
はじめに、一人暮らし世帯の平均貯蓄額からみていきましょう。
年代別・一人暮らしの平均貯蓄額(令和4年) | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
年齢別 | 全国 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代 |
総数 | 2,500世帯 | 549世帯 | 324世帯 | 324世帯 | 366世帯 | 439世帯 | 498世帯 |
金融資産非保有 | 34.5% | 42.1% | 32.4% | 35.8% | 39.6% | 28.5% | 28.3% |
100万円未満 | 13.4% | 22.6% | 18.5% | 14.8% | 11.5% | 8% | 5.2% |
100~200万円未満 | 7% | 11.5% | 8.6% | 5.9% | 5.5% | 5.7% | 4% |
200~300万円未満 | 5% | 6.4% | 5.6% | 4.9% | 4.4% | 4.3% | 4.2% |
300~400万円未満 | 4.5% | 4.6% | 5.2% | 6.2% | 3% | 3.6% | 4.6% |
400~500万円未満 | 2.6% | 2.6% | 2.5% | 2.8% | 1.9% | 2.7% | 3% |
500~700万円未満 | 5.4% | 3.6% | 7.1% | 2.8% | 3% | 6.2% | 8.8% |
700~1,000万円未満 | 4% | 2.6% | 3.7% | 3.1% | 5.5% | 4.6% | 4.8% |
1,000~1,500万円未満 | 4.8% | 1.1% | 4.6% | 7.7% | 4.6% | 6.6% | 5.6% |
1,500~2,000万円未満 | 3.3% | 0.4% | 3.7% | 2.5% | 4.1% | 3.6% | 5.8% |
2,000~3,000万円未満 | 4.4% | 0.4% | 2.5% | 4% | 4.1% | 6.8% | 8.2% |
3,000万円以上 | 8.8% | 0.5% | 2.8% | 5.9% | 9.6% | 16.9% | 16.1% |
無回答 | 2.4% | 1.8% | 2.8% | 3.7% | 3.3% | 2.5% | 1.2% |
平均 | 871万円 | 176万円 | 494万円 | 657万円 | 1,048万円 | 1,388万円 | 1,433万円 |
中央値 | 100万円 | 20万円 | 75万円 | 52.5万円 | 52.5万円 | 300万円 | 485万円 |
参照 : 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果 各種分類別データ シート4|知るぽると 金融広報中央委員会
上記のデータを見ると、一人暮らしの貯金額は、全国平均で約871万円、中央値は100万円です。また、日本では年齢が上がるにつれて収入が増える傾向にあるため、平均値・中央値ともに貯金額が増えていきます。
一人暮らしで貯金を始めようと考えている方は、自身の年齢と上記のデータを照らし合わせて、貯金額の目安にするのが良いでしょう。
また、平均貯蓄額の統計データをみる際は、「平均値」と「中央値」の違いを知っておく必要があります。
- 平均値:複数の数を等分したときの値(例:0・0・6の3つの数字の平均値は2)
- 中央値:複数の数を順に並べたときの中央にくる値(例:0・0・6の3つの数字の中央値は0)
平均貯金額は、一部の高所得者層によって大幅に数値が引き上げられており、多くの一人暮らし世帯の実際の貯金額からデータがかけ離れている可能性があります。
一方の中央値は、データを順番に並べたときにちょうど中央にくる値を示すので、現実的な平均貯金額に近しいデータといえます。なお、平均貯金額には現金の預貯金以外に、株式や債権などの金融資産も含まれています。

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年収別・一人暮らしの平均貯蓄額
続いて、年収別の平均貯蓄額です。年代別のときと同じく、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」の統計データをもとにご紹介します。
年収別・一人暮らしの平均貯蓄額(令和4年) | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
年収別 | 収入はない | 300万円未満 | 300~500万円未満 | 500~750万円未満 | 750~1,000万円未満 | 1,000~1,200万円未満 | 1,200万円以上 |
総数 | 203世帯 | 1,403世帯 | 622世帯 | 200世帯 | 39世帯 | 18世帯 | 15世帯 |
金融資産非保有 | 61.6% | 38.3% | 25.2% | 15% | 12.8% | 16.7% | 33.3% |
100万円未満 | 10.3% | 15.3% | 13.7% | 6.5% | 2.6% | 0% | 6.7% |
100~200万円未満 | 3.4% | 6.8% | 9.3% | 6.5% | 2.6% | 5.6% | 0% |
200~300万円未満 | 2% | 5.3% | 5.6% | 6% | 0% | 0% | 0% |
300~400万円未満 | 3% | 4.2% | 5.8% | 5% | 0% | 5.6% | 0% |
400~500万円未満 | 0% | 2.1% | 3.7% | 5.5% | 2.6% | 0% | 0% |
500~700万円未満 | 2.5% | 5.2% | 7.1% | 5.5% | 2.6% | 0% | 0% |
700~1,000万円未満 | 2% | 3.5% | 5.5% | 4% | 12.8% | 0% | 0% |
1,000~1,500万円未満 | 3% | 3.7% | 6.8% | 7% | 15.4% | 0% | 0% |
1,500~2,000万円未満 | 0% | 3.1% | 2.3% | 9.5% | 5.1% | 16.7% | 0% |
2,000~3,000万円未満 | 3% | 3.7% | 5% | 7.5% | 7.7% | 11.1% | 0% |
3,000万円以上 | 3.4% | 6.7% | 8.4% | 18.5% | 35.9% | 44.4% | 53.3% |
無回答 | 5.9% | 2.1% | 1.8% | 3.5% | 0% | 0% | 6.7% |
平均 | 334万円 | 682万円 | 796万円 | 1,988万円 | 3,054万円 | 4,428万円 | 3,984万円 |
中央値 | 0円 | 50万円 | 200万円 | 600万円 | 1,283万円 | 2,153.5万円 | 3,300万円 |
参照 : 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果 各種分類別データ シート4|知るぽると 金融広報中央委員会
上記の結果を見ると、年収が高くなるほど平均貯蓄額や中央値も増える傾向にあります。とはいえ、年収が300万円未満の場合でも、約17%もの人が1,000万円以上の貯蓄をしていることがわかります。
収入額に限らず、毎月の貯蓄割合を高めていくことで、平均値以上の金額を貯蓄することは十分に可能です。
貯蓄の内訳
年代別の貯蓄の内訳についても確認していきましょう。
貯蓄の内訳(令和4年) | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
種類 | 全国 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代 |
預貯金 ※()は預貯金のうち定期預金 | 370万円(187万円) | 87万円(20万円) | 218万円(61万円) | 250万円(85万円) | 374万円(185万円) | 691万円(432万円) | 570万円(303万円) |
金銭信託 | 8万円 | 5万円 | 3万円 | 5万円 | 8万円 | 11万円 | 14万円 |
生命保険 | 82万円 | 8万円 | 35万円 | 47万円 | 95万円 | 121万円 | 172万円 |
損害保険 | 10万円 | 4万円 | 3万円 | 7万円 | 14万円 | 11万円 | 22万円 |
個人年金保険 | 55万円 | 10万円 | 28万円 | 31万円 | 76万円 | 104万円 | 79万円 |
債券 | 45万円 | 9万円 | 5万円 | 43万円 | 17万円 | 70万円 | 110万円 |
株式 | 172万 | 19万円 | 119万円 | 158万円 | 285万円 | 181万円 | 296万円 |
投資信託 | 97万円 | 15万円 | 66万円 | 86万円 | 116万円 | 155万円 | 148万円 |
財形貯蓄 | 11万円 | 16万円 | 3万円 | 7万円 | 29万円 | 9万円 | 0円 |
その他金融商品 | 21万円 | 3万円 | 14万円 | 22万円 | 35万円 | 36万円 | 22万円 |
平均 | 871万円 | 176万円 | 494万円 | 657万円 | 1,048万円 | 1,388万円 | 1,433万円 |
中央値 | 100万円 | 20万円 | 75万円 | 52.5万円 | 52.5万円 | 300万円 | 485万円 |
参照 : 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果 各種分類別データ シート6|知るぽると 金融広報中央委員会
金融広報中央委員の統計データによると、全年代を通して預貯金の割合が最も高く、次点で株式を保有する世帯が多い傾向にあります。
また、生命保険や損害保険、個人年金保険など、保険商品で貯蓄している世帯数も多いようです。
約3〜4割は貯金がゼロ
一方、金融広報中央委員会の令和4年の調査では、金融資産非保有世帯の数も公開されています。貯金ゼロの世帯割合をピックアップすると、次の結果がわかります。
金融資産非保有世帯の割合 | ||
---|---|---|
年齢 | 総数 | 金融資産非保有 |
全国 | 2,500世帯 | 34.5% |
20代 | 549世帯 | 42.1% |
30代 | 324世帯 | 32.4% |
40代 | 324世帯 | 35.8% |
50代 | 366世帯 | 39.6% |
60代 | 439世帯 | 28.5% |
70代 | 498世帯 | 28.3% |
全年代を通して、およそ3〜4割の一人暮らし世帯は、一切の貯金をせずに暮らしているという結果がわかりました。
特に、20歳代における貯金ゼロの割合は全体の4割を超えており、収入が少ないために貯金へ回す分の余裕がない世帯が多いことが伺えます。
一方、年齢が上がるにつれて収入は増える傾向にありますが、医療費や介護費用など、別の出費が増える可能性も高いため、必ずしも貯金ゼロの理由が収入面にあるとはいい切れません。

一人暮らしの年間貯蓄割合は約1割程度
一人暮らし世帯における年間貯蓄割合についても確認していきます。年間貯蓄割合とは、1年間の収入(毎月の給与+賞与など)のうち、貯蓄に回した金額の割合のことです。
一人暮らしの年間貯蓄割合(令和4年) | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
貯蓄割合 | 全国 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代 |
総数 (金融資産保有世帯) | 1,637世帯 | 318世帯 | 219世帯 | 208世帯 | 221世帯 | 314世帯 | 357世帯 |
5%未満 | 5.3% | 4.4% | 4.6% | 6.7% | 7.7% | 5.4% | 4.2% |
5〜10%未満 | 9.9% | 11.3% | 14.6% | 8.7% | 10.9% | 8.6% | 7% |
10〜15%未満 | 15.1% | 14.8% | 18.3% | 17.8% | 15.4% | 15.3% | 11.5% |
15〜20%未満 | 2.4% | 1.6% | 4.1% | 3.4% | 1.8% | 3.2% | 1.1% |
20〜25%未満 | 8.9% | 9.1% | 11% | 9.1% | 7.2% | 6.7% | 10.4% |
25〜30%未満 | 1.6% | 2.8% | 3.2% | 2.4% | 0.5% | 1.3% | 0.3% |
30〜35%未満 | 5.7% | 8.2% | 10.5% | 6.7% | 5% | 2.9% | 2.8% |
35%以上 | 11.4% | 16% | 10.5% | 15.4% | 12.7% | 9.6% | 6.2% |
貯蓄しなかった | 39.7% | 31.8% | 23.3% | 29.8% | 38.9% | 47.1% | 56.6% |
平均 | 13% | 16% | 15% | 16% | 13% | 10% | 8% |
上記のデータをみると、年間収入のうちの約1割を貯蓄している一人暮らし世帯が多いとわかります。
どれくらいの金額を貯金すれば良いかわからない方は、無理のない範囲で、年間収入のうちの約1〜2割を貯金することを目標にするのが良いでしょう。
一人暮らしで効率よく貯金するコツ
実家暮らしの頃に比べて、一人暮らしは自分で生活費を賄わなくてはなりません。趣味や遊びを楽しみながら、効率よく貯金をするためには、日頃からお金の使い方を意識して工夫する必要があります。
一人暮らしで効率よく貯金をするためのコツをご紹介します。
適正な家賃の家に住む
家賃を含む居住費は、人生の3大支出(住宅資金・教育資金・老後資金)に数えられるほど、高額な費用を支払うことになります。これから一人暮らしの部屋を探すのであれば、いまの収入に適した家賃の家を選びたいところです。
一般的に、一人暮らしの家賃は、手取り収入の1/3以内に抑えるのがおすすめです。たとえば、手取り収入が20万円の場合は、家賃が6〜7万円程度の物件を選ぶのがよいでしょう。
ただし、同じ広さの部屋でも、都道府県や地域によって家賃相場は大きく異なります。
また、理想とするライフスタイルによっても最適な家賃は変わってくるため、毎月の支払いの中でバランスを見ながら、無理のない範囲で家賃を抑えるようにしてみてください。
毎月の貯金額を決める
効率よく貯金するには、事前に毎月の貯金額を決めておくことが大切です。たとえば、1年後までに100万円を貯金したい場合、1ヶ月で約8.3万円を貯金しなくてはなりません。
一人暮らし世帯は、自由にお金を使えてしまうため、何も意識せずに暮らしていると、ついつい余計なものにお金を使いがちです。毎月の貯金額を把握することで、日々のお金の使い方を考えるきっかけになるので、ぜひ挑戦してみてください。

家計を見直して収支を把握する
一人暮らしで貯金を長続きするには、家計を見直して収支を把握する必要があります。
家計を見直す方法としておすすめの方法が家計簿アプリを使うことです。家計簿アプリを使えば、入力内容を自動的にグループ分けしてくれるほか、銀行口座やクレジットカードとの連携で自動的に記録できます。
自分でメモを書いて家計簿をつけるのももちろんおすすめで、その際はあまり細かく仕分けしすぎないようにすると、継続して家計簿をつけられるようになります。
普段のお金の使い方を見直して、使いすぎだと感じる部分を省いて貯金に回すことを意識してみてください。
固定費・変動費を見直す
家計収支の見直しと合わせて、固定費・変動費の見直しも行うようにしましょう。
固定費・変動費の一例は、次のとおりです。
固定費と変動費の一例 | |||
---|---|---|---|
固定費 | 変動費 | ||
・居住費(家賃、住宅ローン、固定資産税など) ・水道光熱費(基本料金部分) ・通信費(インターネット代、スマホ代) ・保険料(生命保険、損害保険など) ・自動車維持費(車検、自動車ローン、駐車場代など) ・月額サービス(定期購入・サブスクリプション) | ・食費 ・水道光熱費(使用量部分) ・医療費 ・交通費 ・その他(理美容、趣味・娯楽、交際費など) | ||
固定費とは、何もしなくても支払いが発生する費用のことで、毎月の家賃や水道光熱費、保険料などが該当します。一方、変動費はその時々で支出額が変動する費用のことで、食費や医療費などがこれにあたります。
家計を見直す際は、特に「固定費の削減」を心がけると大きな節約効果が期待できます。たとえば、毎月のスマホ代が1万円の人が、毎月3,000円で使える格安SIMに乗り換えれば、年間で8.4万円(7,000円×12ヶ月)を節約できる計算です。
現在利用していない月額課金サービスもすぐに解約して、余計な支払いが発生しないように心がけましょう。固定費を見直した後、余裕があれば変動費の使い方も工夫して、効率よく貯金することを意識してみてください。
口座を分けて先取り貯金を心がける
一人暮らしで貯金を成功させるには、生活用と貯金用で口座を分けておくことが大切です。1つの銀行口座でやりくりしようとすると、ついついお金を引き出して使い込んでしまう恐れがあるためです。
また、月末に残った分のお金を貯金するのではなく、収入を得たタイミングで先に一定額を貯金に回す「先取り貯金」を意識すると、驚くほど効率よく貯金できるようになります。
いままでに貯金が長続きしなかった方は、毎月の給料が入るタイミングで先取り貯金を実践してみてください。
クレジットカードやキャッシュレス決済を活用する
支払いの際は、クレジットカードやキャッシュレス決済を有効活用しましょう。
クレジットカードやキャッシュレス決済を利用すると、支払金額に応じてポイントが還元される場合があります。貯めたポイントは現金と同じように支払いの際に利用できるので、次回以降のお買い物が非常にお得です。
最近では、水道光熱費や毎月の家賃の支払いにクレジットカードが利用できる会社も増えています。
同じ金額を支払うならポイント還元があるクレジットカードやキャッシュレス決済を利用したほうが断然お得なので、これを機にお金の支払い方も見直してみてください。
また、クレジットカードやキャッシュレス決済は、アプリとの連動で自動的に家計簿をつけられるので、積極的に活用するのがおすすめです。
一人暮らしにおすすめの貯蓄方法
一人暮らしにおすすめの貯蓄方法として、次の4つの方法があります。
つみたてNISA
つみたてNISAは、毎月一定額を積み立てることで効率よく資産形成を行える制度です。少額からの積み立て投資が可能で、年間40万円・最長20年間は非課税で運用できます。
一般的な金融投資では、利益に対して20.315%が課税されてしまいますが、つみたてNISAなら最大800万円(40万円×20年間)の投資を非課税で運用できることが特徴です。
また、つみたてNISAで運用可能な金融商品は、金融庁が厳選した長期積立分散投資に適した221本の銘柄に限定されているため(※1)、他の投資よりも運用先を選びやすくなっています。
参照※1 : つみたてNISA対象商品の概要について(2023年2月9日時点)|金融庁
2024年からは制度内容が大幅に改革され、これまでとは異なる全く新しいNISA制度が始まります。従来のNISA制度では、つみたてNISA(年間40万円×最長20年間)と一般NISA(年間120万円×最長5年間)の併用ができませんでした。
ですが、2024年以降の新NISAでは、従来のNISA制度が「つみたて投資枠(年間120万円)」と「成長投資枠(年間240万円)」と名前を変えて、実質的な併用が可能となります。
さらに、非課税保有期間が無期限化されたことで、これまで以上に効率よく長期的な投資を行うことが可能となりました。非課税保有限度額は最大1,800万円までと定められていますが、従来のNISA制度に比べて、非課税枠が大幅に拡大されたことが特徴です。
なお、2023年以前に従来のNISA制度を利用していた場合、2024年から新しいNISAが開始されても、従来の非課税枠はそのまま利用できます。2024年以降は、2023年以前のNISA制度の非課税枠を利用できないので、まだNISA制度を活用していない方は、早めに検討されることをおすすめします。
iDeCo(イデコ)

iDeCo(イデコ)は「個人型確定拠出年金」ともよばれ、老後に向けた資産形成を目的とした制度です。原則として60歳になるまで一切の資産を引き出せませんが、拠出した全額が所得控除の対象となります。
さらに、運用で得た利益は非課税となり、60歳以降に資産を引き出した際にも大きな所得控除が受けられるため、将来に向けた貯金をしながら、現在の税負担を緩和する効果も期待できます。
iDeCoの加入条件は、国民年金の被保険者資格によって内容が異なり、毎月の最大拠出金額も1.2万円〜6.8万円と変動します。一方、60歳になるまで資産を引き出せない大きなデメリットがあることに加え、加入条件を満たす必要があったり、毎月の維持費用が発生したり、いくつかの注意点もあります。
一人暮らし世帯の老後を見据えたおすすめの運用方法ですが、非常に大きなメリットがある一方で注意点も多いので、内容をしっかりと把握してから申し込むようにしましょう。
財形貯蓄制度
財形貯蓄制度は、一定金額を勤務先の給料から天引きの形で、企業が提携する銀行口座へ自動的に貯金できる制度です。わざわざ貯金用口座を開設しに行く必要がなく、給料の受取口座から自分でお金を移す手間がかかりません。
毎月の給与から自動的に貯金ができるので、お金が手元にあるとついつい使い込んでしまう方におすすめです。
財形貯蓄制度を利用して貯金した資産は、その目的によって「住宅用」「年金用」「その他」の3つに分類されます。分類によって税負担の軽減効果が期待でき、住宅ローン融資が受けられるなどのメリットがあります。
一方、給料からの天引きで貯蓄をすすめる仕様上、財形貯蓄制度を導入している企業に勤めている人しか利用できません。また、財形貯蓄制度を利用する際は積立金の運用先を選ぶ必要がありますが、投資商品を選ぶ場合は投資という性質から元本割れのリスクもつきものです。
基本的には上述の「つみたてNISA」や「iDeCo」を優先して活用し、給与からの天引きで自動的に貯金ができる点に魅力を感じる人は、追加で財形貯蓄制度を利用するのがおすすめです。
積立保険
積立保険(貯蓄型保険)は、将来的に払い込んだ保険料が返ってくる可能性がある保険商品全般のことです。たとえば、終身保険や養老保険、個人年金保険、学資保険などが積立保険に該当します。
- 終身保険:解約時に解約返戻金が受け取れる
- 養老保険:死亡保障を備えながら、満期を迎えた際に満期保険金が受け取れる
- 個人年金保険:一定期間まで保険料を払い込み、以降は一定額の年金を定期的に受け取れる
- 学資保険:子供が一定年齢に達するとお祝い金が受け取れる
万一のときの保障を用意しつつ、毎月の保険料という形で、保険会社へ貯金していくことが可能です。
一方、一般的な掛け捨て型保険に比べて保険料が割高なので、毎月の収支状況とのバランスを見ながら、掛け捨て型保険と積立保険を併用するのがおすすめです。
なお、解約返戻金や満期保険金などを受け取る際には条件が設けられているので、保険会社を選ぶ際に事前に確認した上で申し込むことを心がけてください。
まとめ
一人暮らし世帯の平均貯金額は約871万円、中央値は約100万円であることがわかりました。
平均値は一部の高所得者層によって数値が引き上げられているケースが多いため、一人暮らしで貯金を始めようと思っている方は、全国平均の中央値の100万円を貯金の目標にするのがおすすめです。
なお、一人暮らし世帯は比較的自由にお金を使えてしまうので、次の6つのポイントを抑えて、日頃からお金の使い方を工夫することを心がけてください。
また、つみたてNISAやiDeCoなどを活用すると、効率よく貯金を進められることに加え、税負担の軽減効果も期待できます。
これから一人暮らしを始める方や、一人暮らしでうまく貯金ができずにお困りの方は、本記事を参考にしてみてください。

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オカネコマガジン編集部

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