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![]() | 株式会社400F オンラインアドバイザー 徳原 起弘 AFP / 公的保険アドバイザー / 証券外務員二種 この専門家にチャットでお金の相談をする(チャット相談は無料診断後に可能です) |
人生設計を考えるうえで、誰もが「老後の生活費」について大きな不安を抱えているのではないでしょうか。
老後に必要な生活費は世帯によって異なり、老後のライフスタイルによっても必要な貯金額は大きく変わるため、一概に「○○円の貯金があれば安心」といえないのが現状です。
一方、厚生労働省や総務省では、各年度の一般的な世帯における「老後の生活費の調査」を行っており、そのデータを公開しています。
データを紐解いていくと、公的年金だけでゆとりある老後生活を送ることは非常に難しく、現役世代の今のうちから、老後を見据えた貯金活動に積極的に取り組む必要があることがわかりました。
そこで、政府の公開するさまざまなデータを参照し、老後に必要とされる生活費や今からできる貯蓄方法について詳しく解説していきます。
老後に対する不安を解消するには、具体的な数字をみながら早いうちから対策を立てることが大切です。ぜひ、本記事を参考にしながら、今後の人生設計を検討してみてください。
- 65歳以上の老後に必要な生活費は、単身世帯、夫婦世帯ともに毎月約1~2万円ほど赤字に。さらに最低限の日常生活から、ゆとりの感じられる老後生活を過ごすためには、約14.7万円の上乗せが必要
- 老後に必要な生活費と老後に受け取れる公的年金のシミュレーション結果では、65歳以上の単身世帯で、国民年金(老齢基礎年金)だけを生活費のアテにした場合、年間で約106万円が不足する計算に
- 生活費以外にも、医療費や住宅の修繕費なども発生するので、老後の生活費の不足額を補填するには、現役世代の今のうちから、老後を見据えた貯金活動に積極的に取り組む必要がある
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老後の生活費は1ヶ月平均で約15万〜26万円
総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要」によると、65歳以上の老後に必要な1ヶ月あたりの生活費は、単身世帯で約15万円、夫婦世帯で約26万円となっています。
一方で、収入は単身世帯が約13.5万円、夫婦世帯で約23.6万円であるため、それぞれ毎月約1~2万円ほど不足することに。

老後の1ヶ月あたりの生活費の内訳は、次のとおりです。
老後の1ヶ月あたりの生活費内訳(令和3年度) | ||
---|---|---|
項目 | 単身世帯 | 夫婦世帯 |
食料 | 36,322円 | 65,789円 |
住居 | 13,090円 | 16,498円 |
光熱・水道 | 12,610円 | 19,496円 |
家具・家事用品 | 5,077円 | 10,434円 |
被服および履物 | 2,940円 | 5,041円 |
保健医療 | 8,429円 | 16,163円 |
交通・通信 | 12,213円 | 25,232円 |
教育 | 0円 | 2円 |
教養娯楽 | 12,609円 | 19,239円 |
その他 | 29,185円 | 46,542円 |
消費支出(上記合計) | 132,476円 | 224,436円 |
非消費支出(税金や保険料など) | 12,271円 | 30,664円 |
実支出(消費支出 + 非消費支出) | 144,747円 | 255,101円 |
参照:Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支|家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)19ページ|総務省統計局
なお、住居費に関しては持ち家・賃貸のどちらであるか、住んでいる地域によっても金額は異なります。
また、年齢を重ねるにつれて健康上のリスクも高まりますが、人によって健康状態は違うので、医療費の支払金額にも差が出ることも考えられます。
老後の生活費は、それぞれのライフスタイルで変わることを踏まえたうえで、上記のデータを参考にしてください。
「最低日常生活費」と「ゆとりある老後の生活費」
生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」では、18〜79歳を対象に、夫婦二人の老後における「最低日常生活費」と「ゆとりある老後の生活費」の調査が行われています。
その結果を参照すると、65歳以上の老後生活での最低日常生活費は1ヶ月あたり約23.2万円、ゆとりある老後の生活費は約37.9万円であることがわかっています。
最低日常生活費の調査結果(令和4年度) | |
---|---|
項目 | 割合 |
15万円未満 | 4.9% |
15〜20万円未満 | 9.2% |
20〜25万円未満 | 27.5% |
25〜30万円未満 | 14.4% |
30〜40万円未満 | 18.8% |
40万円以上 | 2.8% |
わからない | 22.5% |
平均 | 23.2万円 |
ゆとりある老後の生活費の調査結果(令和4年度) | |
---|---|
項目 | 割合 |
20万円未満 | 2.7% |
20〜25万円未満 | 5.1% |
25〜30万円未満 | 7.9% |
30〜35万円未満 | 20.5% |
35〜40万円未満 | 9.4% |
40〜45万円未満 | 11.3% |
45〜50万円未満 | 2.7% |
50万円以上 | 18.0% |
わからない | 22.5% |
平均 | 37.9万円 |
夫婦二人の老後の最低日常生活費の調査では、「20〜25万円未満(27.5%)」の割合が最も多く、以降は「30〜40万円未満(18.8%)」、「25〜30万円未満(14.4%)」と続きます。
一方、ゆとりのある老後生活を送るために必要とされる金額は、「30〜35万円未満(20.5%)」が最も多い結果となっています。
これらの平均額を見比べると、最低限の日常生活から、ゆとりの感じられる老後生活を過ごすためには、約14.7万円の上乗せが必要です。
同調査によると、老後のゆとりのための上乗せ金額の主な使徒は、次のとおりとなっています。
老後のゆとりのための上乗せ金額の主な使徒 | |
---|---|
項目 | 割合 |
旅行やレジャー | 60% |
日常生活費の充実 | 48.6% |
趣味や教養 | 48.3% |
身内との付き合い | 46.2% |
耐久消費財の買い替え | 31.7% |
子どもや孫への資金援助 | 19.4% |
隣人や友人との付き合い | 12.5% |
とりあえず貯蓄 | 3.9% |
その他 | 0.3% |
わからない | 0.5% |
主な使徒としては「旅行やレジャー(60.0%)」が最も多く、次点で「日常生活費の充実(48.6%)」、「趣味や教養(48.3%)」と続きます。
定年退職後の支出の変化
定年退職を迎えると、これまでとは生活パターンや行動範囲、人間関係に大きな変化が現れます。
それにともない、支出面においても、次のような変化が出ることが想定されます。
定年退職後の支出の変化 | |
---|---|
項目 | 内容 |
定年退職後に不要となる支出の一例 | ・仕事関連(スーツ、シャツ、靴、カバン) ・仕事の会食や付き合いなどの交際費 ・子どもの教育費(子どもが自立した場合) ・住宅ローン返済(完済した場合) ・各種社会保険(厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料など) |
定年退職後も変わらない支出の一例 | ・食費 ・光熱・水道費、通信費 ・住居費(固定資産税、リフォーム代、家賃など) ・生命保険料、損害保険料、介護保険料など |
定年退職後に新たに増える支出の一例 | ・退職後の交際費 ・医療費・介護費用 ・趣味・旅行・レジャーなど費用 ・国民健康保険料、後期高齢者医療保険料(75歳以降) |
これまでは仕事で使うもの(スーツ、シャツ、靴、カバンなど)、仕事の会食や付き合いなどの交際費がかかっていた方が多いと思われますが、定年退職後はそれらの支出が不要となるケースが一般的です。
また、定年退職を迎える頃には子どもの教育費や住宅ローンなど、長い人生のなかでも高額な支払いが終了していることも想定されます。
一方、定年退職を迎える年齢になると、医療費や介護費用、後期高齢者医療保険料などの支出が増える可能性が高くなります。
昨今では、公的年金以外の収入源を得るために、65歳以降も継続して働くライフスタイルを選ぶ方も増えていますが、なるべく早いうちから老後を見据えた貯金に取り組む必要性は高いといえるでしょう。
老後に受け取れる公的年金の目安
老後に必要と考えられる支出額について、さまざまな統計データを用いながら解説してきました。
この項目では、老後に受け取れる公的年金の目安についてご紹介します。
厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和3年度)」によると、老後から受け取れるようになる公的年金の平均受給額は、次のとおりです。
年金受給額の平均月額(令和3年度) | ||
---|---|---|
年度 | 国民年金(老齢基礎年金) | 厚生年金(老齢厚生年金) |
平成29年度 | 55,518円 | 144,903円 |
平成30年度 | 55,708円 | 143,761円 |
令和元年度 | 55,946円 | 144,268円 |
令和2年度 | 56,252円 | 144,366円 |
令和3年度 | 56,368円 | 143,965円 |
参照:表9 厚生年金保険(第1号) 受給権者平均年金月額の推移|令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況10ページ|厚生労働省年金局
参照:表 23 国民年金 受給権者の平均年金月額の推移|令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況21ページ|厚生労働省年金局
令和3年度における国民年金(老齢基礎年金)の平均額は約5.6万円、厚生年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金)の平均額は約14.4万円です。
ただし、公的年金で支給される金額は、国民年金・厚生年金の加入期間によって大きく変動します。
特に、会社員の場合は年収額によっても厚生年金の金額が変動するため、上記のデータはあくまで目安程度に留めておきましょう。
なお、自身が将来的に受け取れる公的年金の支給額(年金見込額)は、日本年金機構の「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」などで確認可能なので覚えておきましょう。

上記のデータはあくまで目安となりますので、先述の「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」などで、公的年金の見込み額がいくらなのか確認しておきましょう。
将来受け取れる年金の目安がわかれば、老後に必要な支出から公的年金のみで足りるのか、またはいくらぐらい不足するのかが明確になります。 もし老後の必要な支出がわからなければ、ライフプランシミュレーションを作成するのもいいでしょう。
公的年金のみで老後の生活費をカバーするのは難しい
上記の厚生労働省の結果をみて、公的年金の平均額に驚いた方も多いのではないでしょうか。
総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要」では、1ヶ月あたりの生活費に加えて、平均的な収入額についても公開されています。
1ヶ月あたりの家計収支(令和3年度) | ||
---|---|---|
世帯 | 単身世帯 | 夫婦世帯 |
実支出 | 144,747円 | 255,101円 |
実収入(社会保障給付を含む) | 135,345円 | 236,576円 |
差額(実収入 – 実支出) | -9,402円 | -18,525円 |
上記のデータをみると、社会保障給付を含む実収入が実支出に届いておらず、毎月1万〜2万円程度が不足する計算となっています。
上述した厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和3年度)」を鑑みても、国民年金はおよそ5.6万円、厚生年金は14.4万円となっているので、公的年金のみで老後の生活費をカバーするのは難しいといわざるを得ません。
不足分については、それまでに貯蓄した資産を取り崩しながら生活することになるため、老後までに十分な金額を貯金しておかなければなりません。
老後生活の必要額と不足額の目安
ここまで解説した老後の収入額と支出額から、老後生活の必要学と不足額の目安を計算してみます。厚生労働省の「令和3年 簡易生命表の概況」によると、日本人の平均寿命は男性が約81歳、女性は約88歳です。
年を経るにつれて平均寿命は上昇傾向にあるため、今後も日本人の平均寿命は延伸化することが予想されています。
日本人の平均寿命を考慮したうえで、老後に必要な生活費をシミュレーションすると、次のような結果となります。
老後に必要な生活費シミュレーション | ||
---|---|---|
項目 | 単身世帯 | 夫婦世帯 |
1ヶ月 | 144,747円 | 255,100円 |
1年間(65歳) | 1,736,964円 | 3,061,200円 |
20年間(〜85歳) | 34,739,280円 | 61,224,000円 |
30年間(〜95歳) | 52,108,920円 | 91,836,000円 |
65歳で定年退職を迎えると、1年あたりの生活費は単身世帯で約174万円、夫婦世帯で約306万円が必要です。
寿命をまっとうするまでの期間を20〜30年間と仮定すると、老後の生活費として、単身世帯で3,473万〜5,211万円、夫婦世帯では6,122万〜9,184万円が必要な計算です。
一方、厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和3年度)」によると、老後から受け取れるようになる公的年金の平均受給額は、次のとおりです。
老後に受け取れる公的年金シミュレーション | ||
---|---|---|
項目 | 国民年金 | 厚生年金 |
1ヶ月 | 56,368円 | 143,965円 |
1年間(65歳) | 676,416円 | 1,727,580円 |
20年間(〜85歳) | 13,528,320円 | 34,551,600円 |
30年間(〜95歳) | 20,292,480円 | 51,827,400円 |
参照:表9 厚生年金保険(第1号) 受給権者平均年金月額の推移|令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況10ページ|厚生労働省年金局
参照:表 23 国民年金 受給権者の平均年金月額の推移|令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況21ページ|厚生労働省年金局
1年あたりの生活費が単独世帯で約174万円、夫婦世帯で約306万円であるのに対し、公的年金の受給額は単独世帯で年間67.6万円、厚生年金で約173万円です。
これらの金額を踏まえたうえで、老後に不足すると考えられる生活費をシミュレーションすると、次のような結果となります。
老後に不足すると考えられる生活費シミュレーション | ||||
---|---|---|---|---|
区分 | 単身世帯 | 夫婦世帯 | ||
項目 | 国民年金 | 厚生年金 | 国民年金(二人分) | 国民年金+厚生年金 |
1ヶ月 | -88,379円 | -782円 | -142,364円 | -54,767円 |
1年間(65歳) | -1,060,548円 | -9,384円 | -1,708,368円 | -657,204円 |
20年間(〜85歳) | -21,210,960円 | -187,680円 | -34,167,360円 | -13,144,080円 |
30年間(〜95歳) | -31,816,440円 | -281,520円 | -51,251,040円 | -19,716,120円 |
参照:表9 厚生年金保険(第1号) 受給権者平均年金月額の推移|令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況10ページ|厚生労働省年金局
参照:表 23 国民年金 受給権者の平均年金月額の推移|令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況21ページ|厚生労働省年金局
65歳以上の単身世帯で、国民年金(老齢基礎年金)だけを生活費のアテにした場合、年間で約106万円が不足する計算です。
単身世帯で厚生年金を受け取れる場合は不足分も少なくなりますが、人によって実際に受け取れる年金額は異なります。
夫婦世帯になると、単身世帯以上に不足分の負担が大きくなるので、やはり定年を迎えるまでに、しっかりと貯金をしておいたほうが安定した老後を送れるでしょう。
生活費以外にかかるお金
定年退職をして老後を迎える頃には、生活費以外にも思わぬ形でさまざまな支払いが発生します。
- 住宅の補修・リフォーム費用
- 通院・入院や手術などの医療費
- 介護費用
- 葬儀費用
- お祝い費用(子どもの結婚、出産など)
- 旅行・レジャー・趣味など
たとえば、マイホームを40歳で購入したとしても、定年を迎える頃には築25年の物件となり、改築・改修が必要な場面も出てきます。
また、年齢を重ねるにつれて足腰が弱り、階段を登るのが辛くなった場合には、自宅に手すりをつけるなどのリフォーム工事も必要でしょう。
さらに、健康面でのリスクが高くなることから、通院費用や入院費、手術費などの医療費もかさみます。
パートナーの介護が必要になった場合も高額な介護費用が発生するので、生活費以外の出費も視野に入れたうえで貯金に取り組む必要があります。



定年退職した後は収入が減少することが考えられますので、定年退職前と同じお金の使い方をしていると収支は厳しくなってしまいます。支出の三大資金と言われる「教育費・住宅費・老後資金」以外にもさまざまなお金がかかります。
そのため、若いうちから将来かかるお金を可視化するためにライフプランシミュレーションを実施することをおすすめします。
その際に、先述のようなリフォーム費用や介護費用、旅行費用など生活費以外にかかる支出も含めて考えるとよいでしょう。
不足額の補填は?
老後の不足額を補填する方法としては、主に次の内容が挙げられます。
- 就労の継続
- 預貯金の取り崩し
- 企業年金、退職金の活用
- 自助努力
65歳以降も継続して働き続けたり、それまでの預貯金を取り崩したりしながら生活費を補填する方が多いでしょう。
また、企業年金や退職金を活用することでも不足額を補填できますが、これらは年々減少傾向にあるため、場合によっては十分な金額を用意できないかもしれません。
日々の生活を節約しながら自助努力をするのにも限界があるため、年齢が若いうちから老後の生活を意識して、貯金や投資に取り組んでおく必要があります。
老後の生活費の貯蓄方法
老後の生活費の不足額を補填するには、現役世代の今のうちから、老後を見据えた貯金活動に積極的に取り組む必要があるといえます。
効率よく老後の生活費を準備するには、つみたてNISAやiDeCoをはじめとする金融商品への投資が効果的です。以下からご自身に合ったものに取り組んでみましょう。



既に多くの方が老後に向けて資産形成や資産運用をしています。 しかし、さまざまな運用方法の中で、ご自身にどんな運用があっているのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
運用を始める前に、老後にいくら不足するかを明確にし、具体的にいくら貯めないといけないのか、またはどれぐらいの利回りで運用しないといけないかを明確にすることが大切です。
上記ポイントが押さえられれば、ご自身にあった運用方法が明確になるでしょう。
NISA・つみたてNISA
NISA・つみたてNISAは、少額から金融投資を始めることができ、年間の非課税枠の範囲内なら、得られた利益は全額非課税となる制度です。
一般NISAとつみたてNISAでは、それぞれで投資可能な上限額や非課税保有期間が次のように定められています。
期間 | 2023年まで | 2024年以降 | ||
---|---|---|---|---|
区分 | 一般NISA | つみたてNISA | 成長投資枠 | つみたて投資枠 |
非課税保有期間 | 5年間 | 20年間 | 無期限化 | 無期限化 |
年間非課税枠 | 120万円 | 40万円 | 240万円 | 120万円 |
非課税保有限度額 | – | – | 1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで) | |
投資可能商品 | ・上場株式 ・ETF ・公募株式投信 ・REIT等 | ・長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託 (※金融庁への届け出が必要) | ・上場株式 ・投資信託等 | ・長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託 (※金融庁への届け出が必要) |
払出し制限 | なし | |||
対象年齢 | 20歳(※2023年1月以降は18歳以上) | 20歳※2023年1月以降は18歳以上 | 18歳以上 | 18歳以上 |
従来のNISA制度では、運用可能期間が5年や20年と決まっていましたが、2024年以降から始まる新NISAでは、非課税保有期間が無期限化されます。
つまり、50代から始めても決して遅すぎることはなく、将来を見据えた貯金をしながら、税金面で大きなメリットが得られることが特徴のおすすめの制度といえます。
なお、現行のNISA・つみたてNISAの買付・積立投資は2023年で終了となりますが、従来の非課税保有期間は2024年以降も別枠で継続されます。
2024年以降は最大1,800万円までの非課税枠が利用できますが、2023年までにNISA制度を利用し始めれば、従来の非課税枠を追加で利用できてさらに効率よく投資が可能です。
現行のNISA制度を活用していない方は、これを機にぜひ前向きにご検討ください。
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iDeCo


iDeCo(イデコ)は「個人型確定拠出年金」とよばれる制度で、老後を見据えた資産形成を目的とした運用方法です。
原則として60歳になるまで資産を引き出すことはできませんが、掛け金が全額所得控除の対象で、運用益が非課税になるなどの大きなメリットがあります。
また、60歳以降で資産を引き出す際にも所得控除が受けられるため、老後資金の貯蓄に備えながら税負担の軽減効果が期待できます。
なお、iDeCoの加入対象者は、国民年金の第1〜第3号被保険者や任意加入保険者となっており、それぞれで拠出可能な限度額も異なる点にはご注意ください。
これまでのiDeCoは「企業型DC(企業型確定拠出年金)」との併用ができませんでしたが、2022年の法改正に伴い、両者の併用が可能となりました。
より効率よく資産形成を行うことができるので、確定拠出年金制度を利用していない方は、ぜひ積極的にご活用ください。
参照 : iDeCo公式サイト
株式投資


株式投資は、証券会社に口座を開設し、企業の株式を購入して利益を得る運用方法です。投資の王道ともいえる方法で、株式の売買益によるキャピタルゲイン、または株主に分配される配当金によるインカムゲインの2軸で利益を得ます。
従来の株式投資は、購入可能な1単元が100株や1,000株に設定されていることが多く、数十万円を超える資金が必要となるケースが一般的でした。
昨今では、数万円から購入可能なミニ株が登場しており、資金が少ない方でも株式投資に挑戦できるようになりました。
ただし、株価は景気や企業の不祥事などで暴落してしまうリスクがあり、相場によっては元本割れが発生する場合があります。成長が見込める銘柄選びや、売買するタイミングなどをしっかり見極めることが大切です。
常に知識を吸収する貪欲さが求められるので、まずは投入資金が少なく済むミニ株から始めて、本格的な株式投資に少しずつ慣れていきましょう。
投資信託


投資信託は、投資家から集めた資金をファンドマネージャーが運用し、その運用で利益が出た場合に配当金が受け取れる運用方法です。
初心者の方におすすめの理由は、少額から資産形成を開始でき、投資家の代わりにプロの専門家が運用を行ってくれるので、自分で売買のタイミングを判断しなくて良いというメリットがあるためです。
投資信託による運用は、株式や債券、不動産など、多岐に渡る分散投資で行われるので、リスク分散が可能な点もメリットといえます。
一方で、投資信託で運用をする際には、定期的な運用コストが発生する点には注意が必要です。また、元本保証がされているわけではないため、市場相場によっては元本割れを起こしてしまう可能性もあります。
運用先を選ぶためにはある程度の金融知識も必要です。どれにすべきか迷ったときは、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談してみましょう。
債券
投資の世界における債券とは、投資家が国や地方公共団体などに対して資金を提供し、それに対して利子を得る方法をいいます。
資金の提供を受けた団体は「債券」という証書を投資家に発行し、償還までの期間中は利子を支払い続け、償還のタイミング(満期)を迎えたら額面全額を投資家に返却します。
債券の発行者は多種多様で、国や地方公共団体をはじめ、民間企業など多岐にわたります。発行者の信用度が高ければ高いほど、リスクが低い投資方法といえます。
債券の途中売却も可能ですが、途中売却の場合は損失が出る可能性があり、為替相場の状況によっても為替差損が発生する可能性があります。
また、発行者の財務状況が悪化すると、元本や利子の支払い不能リスクなどがある点には注意が必要です。
とはいえ、他の金融商品への投資方法に比べて、比較的リスクが低めの方法です。
税制上の優遇制度である「NISA・つみたてNISA」や「iDeCo」を活用したうえで、なお余剰資金がある場合に検討するのがおすすめです。
不動産
不動産投資には、自身で物件を購入して運用する不動産投資と、不動産が対象の投資信託の「REIT(リート)」の2種類があります。
どちらの不動産投資も、大きく分けると収益源は次の2通りになります。
- 家賃収入:賃貸に出す際の家賃
- 売買所得(譲渡所得):購入時よりも不動産価額が値上がりしたときに売却
一般的に、自己で物件を所有して運用するには多額の資金が必要で、維持コストなどの諸費用も発生してしまいます。
一方、REITの場合は、プロの専門家が投資家の代わりに不動産投資を行うため、物件を自身で管理する手間がかからず、少額で複数の不動産に対して分散投資を行えます。
自分で不動産を購入するよりも手軽に不動産投資が始められるので、不動産に興味がある方はREIT(不動産投資信託)から始めてみるのも選択肢のひとつです。
ただし、他の投資手法と同様で、さまざまな管理コストや元本保証がされているわけではない点にご注意ください。


財形貯蓄制度
財形貯蓄制度は、一定金額を勤務先の給料から天引きの形で、企業が提携する銀行口座へ自動的に貯金できる制度です。
毎月の給与から自動的に先取り貯金ができるので、わざわざ貯金用口座にお金を移す手間や手数料がかからず、お金の使いすぎを予防できます。
また、財形貯蓄制度には、貯金の目的によって「住宅用」「年金用」「その他」の3つに分類され、場合によっては税負担の軽減効果が期待できたり、住宅ローン融資が受けられたり、さまざまなメリットがあります。
制度の仕様上、財形貯蓄制度を導入済みの企業で勤務している方しか利用できませんが、手元のお金をついつい使い込んでしまう方にはおすすめの制度です。
積立保険
積立保険(貯蓄型保険)は、終身保険や養老保険、学資保険など、将来的に払い込んだ保険料が返ってくる可能性がある保険商品全般の総称です。
- 終身保険:解約時に解約返戻金が受け取れる
- 養老保険:死亡保障を備えながら、満期を迎えた際に満期保険金が受け取れる
- 個人年金保険:一定期間まで保険料を払い込み、以降は一定額の年金を定期的に受け取れる
- 学資保険:子供が一定年齢に達するとお祝い金が受け取れる
万一のときの死亡保障を備えつつ、毎月の保険料という形で保険会社へ貯金していくことが可能です。貯蓄性のある保険の特徴として、一般的な掛け捨て型保険に比べて保険料が割高なのが欠点として挙げられます。
現在の家計を圧迫しては元も子もないので、毎月の収支状況とのバランスを見ながら、掛け捨て型保険と積立保険を併用するのがおすすめです。
ライフプランニングをする
ライフプランニングとは、将来起こりうるライフイベントや理想とする生き方・価値観を踏まえ、それに必要なお金を書き出した生活設計のことです。
ライフプランニングに記載される項目には、「ご自身や家族の年齢」「その年に予想されるライフイベント」「予算」が一般的で、長い人生の中で起こりうるライフイベントとそのタイミング、必要なお金などが一目でイメージできるようになります。
日本FP協会のHPでは、ライフプランニング表やキャッシュフロー表が作成できるツールが公開されています。しかし、FPなどお金の専門家に依頼すれば、ご自身の価値観や考え方も踏まえたライフプランニング表を作成してもらえるうえ、現状の課題や目的に合った解決策の提示も可能です。
「オカネコ」では、簡単な家計診断をしたあとコメント欄に「ライフプランニングをしたい」と記入すると、お金のプロからメッセージが届きます。そのままチャットで無料相談ができますので、ぜひお気軽に試してみてください。


まとめ
総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要」によると、65歳以降の老後における1ヶ月あたりの生活費は、単身世帯で約15万円、夫婦世帯で約26万円となっています。
1ヶ月あたりの家計収支(令和3年度) | ||
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世帯 | 単身世帯 | 夫婦世帯 |
実支出 | 144,747円 | 255,101円 |
実収入(社会保障給付を含む) | 135,345円 | 236,576円 |
差額(実収入 – 実支出) | -9,402円 | -18,525円 |
上記のデータを参照すると、公的年金などを含む実収入以上の支出額となっているため、毎月1万〜2万円の貯金を取り崩しながら生活することになります。
これらのデータはあくまで平均値であり、実際の収入額や支出額は、それぞれのライフスタイルによって異なりますが、早いうちから老後を見据えて、積極的に貯金へ取り組むことの重要性はおわかりいただけたのではないでしょうか。
老後の生活費が不安に感じる方は、本記事でご紹介した貯蓄方法の活用をご検討ください。

