住宅ローン控除は借り換え後も受けられる?控除を最大限活用するための適切な借り換えタイミング

住宅ローンの借り換えは、利息負担を軽減したいときや団体信用生命保険の保障を見直したいときに有効な手段です。

しかし、住宅ローンを借り換えると住宅ローン控除にどのような影響があるのか、気がかりな方は多いかもしれません。結論から言うと、住宅ローンの借り換え後も、要件を満たしていれば住宅ローン控除の適用が可能です。

本記事では、住宅ローンの借り換えが住宅ローン控除にどう影響するのか詳しく解説します。住宅ローン借り換え後の控除額計算方法や手続き方法、注意点も紹介するので、借り換えと住宅ローン控除のメリットを最大限活用したい方は、ぜひ参考にしてください。

このコンテンツの3行まとめ
  • 借り換え後のローンも住宅ローン等の返済のためのものであり、住宅ローン控除の適用要件を満たしていれば、借り換え後も住宅ローン控除を受けられる
  • 新しく組む住宅ローンの借入金額が借り換え直前の住宅ローン残高以下のときは、通常どおり住宅ローンの年末残高を控除対象として控除額を計算するが、新しく組む住宅ローンの借入金額が借り換え直前の住宅ローン残高を超えるときは、控除対象額の計算方法が異なるため注意が必要
  • 借り換えのタイミングが10月以降の場合、手続きに必要な「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」が年末調整までに届かない可能性があり、届かない場合は確定申告での控除手続きが必要となる

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目次

借り換え後でも住宅ローン控除が受けられる要件

住宅ローン借り換え後も、以下の要件を満たしていれば住宅ローン控除を受けることが可能です。

借り換え後でも住宅ローン控除が受けられる要件

  1. 新しい住宅ローン等が当初の住宅ローン等の返済のためのものであることが明らかであること
  2. 新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であることなど住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること

    出典:国税庁|No.1233 住宅ローン等の借換えをしたとき

1の要件は、通常どおりの住宅ローンの借り換えを行えば、問題なく満たすことができます。

2の要件の「住宅借入金等特別控除」とは、住宅ローン控除の正式名称です。以下の住宅ローン控除の適用要件に当てはまっていれば、借り換え後も住宅ローン控除の対象となります。

住宅ローン控除の適用要件

  1. 引き渡しから6か月以内に居住していること
  2. 住宅ローンの返済期間が10年以上あること
  3. 控除を受ける年の12月31日まで居住していること
  4. 床面積が50㎡以上で床面積の50%以上が居住専用であること
  5. 合計所得金額が3,000万円以下であること
  6. 2以上の住宅を保有している場合は主な居住用であること

    出典:国税庁|No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
    ※一部の住宅は40㎡以上50㎡未満、合計所得が1,000万円以下で適用可

もし借り換えによって返済期間が10年未満になった場合、2の「返済期間が10年以上あること」に該当しなくなります。住宅ローン控除を受けた場合と借り換えた場合、どちらのメリット額が大きいかによって、借り換えのタイミングや方法を検討する必要があるでしょう。

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住宅ローンを借り換えたときの控除額の計算方法

住宅ローンの控除額は「住宅ローンの年末残高×0.7%」で計算します。ただし、控除の対象となる借入限度額は住宅の環境性能等によって異なり、2,000万円~5,000万円と幅があります。(2024年12月時点)

住宅ごとの借入限度額・控除期間
借入限度額※5控除期間
2024年入居2025年入居
新築住宅・買取再販住宅※1長期優良住宅・低炭素住宅子育て世帯・若者夫婦世帯※65,000万円
その他の世帯:4,500万円
4,500万円13年間
ZEH水準省エネ住宅※2子育て世帯・若者夫婦世帯※64,500万円
その他の世帯:3,500万円
3,500万円
省エネ基準適合住宅※3子育て世帯・若者夫婦世帯※64,000万円
その他の世帯:3,000万円
3,000万円
その他の住宅※40円
既存住宅長期優良住宅・低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅※2
省エネ基準適合住宅
※3
3,000万円10年間
その他の住宅※42,000万円
※1:買取再販住宅とは、宅地建物取引業者により一定の増改築等が行われた一定の居住用家屋のこと
※2:ZEH水準省エネ住宅とは、日本住宅性能表示基準における断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上の性能を有する住宅のこと
※3:省エネ基準適合住宅とは、日本住宅性能表示基準における断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上の性能を有する住宅のこと
※4:省エネ基準適合住宅の省エネ基準を満たさない住宅のこと
※5:借入限度額とは、住宅ローン減税の対象となるローンの年末残高の上限のこと
※6:「子育て世帯・若者夫婦世帯」とは、①年齢19歳未満の扶養親族を有する者又は②年齢40歳未満であって配偶者を有する者、若しくは年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者(①又は②に該当するか否かについては、令和6年12月31日時点の現況による。)を指す

例えば、長期優良住宅・低炭素住宅を子育て世帯・若者夫婦世帯が購入し、2024年に入居した場合の借入限度額は5,000万円です。住宅ローンの年末残高が6,000万円だった場合は5,000万円が控除対象となり、控除額は5,000万円×0.7%=35万円となります。

借り換えを行う場合は、住宅ローンの控除額を計算する際の年末残高の考え方に注意が必要です。

住宅ローンを借り換えたときの控除対象となる年末残高

  • A=借り換え直前における当初の住宅ローン等の残高
  • B=借り換えによる新たな住宅ローン等の借入金額(当初金額)
  • C=借り換えによる新たな住宅ローン等の年末残高

    (1)A≧Bの場合:控除対象額=C
    (2)A<Bの場合:控除対象額=C×A/B

    出典:国税庁|No.1233 住宅ローン等の借換えをしたとき

つまり、新しく組む住宅ローンの借入金額が、借り換え直前の住宅ローン残高以下のときは、通常どおり住宅ローンの年末残高を控除対象として控除額を計算します。

一方、新しく組む住宅ローンの借入金額が、借り換え直前の住宅ローン残高を超えるときは、「控除対象額=C×A/B」となります。

<例>

  • A=借り換え直前における当初の住宅ローン等の残高:2,000万円
  • B=借り換えによる新たな住宅ローン等の借入金額(当初金額):2,050万円
  • C=借り換えによる新たな住宅ローン等の年末残高:1,980万円

    控除対象額=1,980万円×2,000万円/2,050万円(C×A/B)=約1,930万円

上記の例の場合の住宅ローン控除額は、「1,930万円×0.7%=約13.5万円」です。

借り換え後の住宅ローン控除の手続き方法

住宅ローン控除を受けるには確定申告が必要ですが、給与所得者の方は初めて住宅ローン控除を受ける年のみ確定申告を行えば、2年目以降は会社の年末調整で手続きを済ませられます。

住宅ローンの借り換え前に控除を受けていなかった場合は、給与所得者の方も初年のみ確定申告での手続きを行いましょう。確定申告のタイミングは、控除対象の年の翌年2月16日~3月15日です。

借り換え前に控除を受けていた場合は、借り換え後の住宅ローン控除の手続き方法も借り換え前と同じです。以下の必要書類を揃えて、年末調整(給与所得者で控除2年目以降の方の場合)か確定申告を行います。

住宅ローン控除に必要な書類
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金特別控除申告書住宅ローン控除の申請を行った年に税務署から送付される書類。借り換え後も使用可能。紛失した場合は税務署に再発行を依頼する。
住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書毎年9月末を基準に住宅ローンの借入先から発行される書類。借り換え後の銀行が発行した最新の書類を提出する。

ただし、借り換えを行ったタイミングが10月以降の場合、「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」の発行が年末調整に間に合わない可能性があります。その場合は、給与所得者の方も年末調整ではなく確定申告での住宅ローン控除の手続きが必要です。

控除期間中に住宅ローンを借り換えるときの注意点

住宅ローン控除期間中の借り換えは、以下の注意点を踏まえて検討しましょう。

住宅ローンの控除期間は借り換えても延長されない

住宅ローンの控除期間は、居住を始めた年から最大13年間です。住宅ローンの借り換えをしても、控除期間が延長されるわけではないため注意しましょう。

借り換え時に手数料を踏まえて控除額が計算される

住宅ローンの借り換え時には、一般的に以下の手数料が発生します。

住宅ローンの借り換え時にかかる手数料の一例

  • 新規ローン契約にかかる費用(事務手数料など)
  • 現在契約中の住宅ローンの一括繰り上げ返済費用
  • 登記関連費用
  • その他費用(団体信用生命保険料・火災保険料など)

こうした手数料を含めて借入したために、新しく組む住宅ローンの借入金額が、借り換え直前の住宅ローン残高を超える場合があるでしょう。

その場合は、先述のとおり、控除額の計算に用いるのは借り換え後の住宅ローンの年末残高ではなく、以下の金額となります。

控除対象額=C(借り換え後の住宅ローンの年末残高)×A(借り換え直前の住宅ローン残高)/B(新しく組む住宅ローンの借入金額)

控除を受けるために確定申告が必要な場合がある

借り換え前から住宅ローン控除を受けている給与所得者の方は、2年目以降は会社の年末調整で控除手続きを行っているかと思います。

基本的には、借り換え後も年末調整での控除手続きは可能です。しかし、借り換えのタイミングが10月以降の場合、手続きに必要な「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」が年末調整までに届かない可能性があります。

必要な書類がなければ年末調整での控除手続きができないため、書類の到着を待って、翌年の2月16日~3月15日に確定申告での控除手続きが必要です。

年末調整での控除手続きを希望する方は、9月までの借り換え実施を検討するほうがよいでしょう。

FPのライフプランシミュレーションで適切な借り換えタイミングがわかる

住宅ローンの借り換えを検討している方は、FP(ファイナンシャルプランナー)への相談がおすすめです。

FPは将来の資金計画を立てることで相談者の人生の夢や目標の実現をお手伝いするお金の専門家で、住宅ローンに関する知識も豊富に持っています。

FPに相談すれば、ライフプランや借り換えのシミュレーション結果を踏まえて、適切な借り換えタイミング住宅ローンのプランを提案してもらうことが可能です。

中立的な立場のプロの意見が欲しい方、住宅ローンの借り換えによってどのくらいお得になるのか知りたい方は、一度FPに相談してみましょう。

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まとめ

住宅ローンの借り換え後も、要件を満たしていれば控除の適用が可能です。ただし、新しく組む住宅ローンの借入金額が、借り換え直前の住宅ローン残高を超える場合は、控除額の計算方法が変わるため注意しましょう。

住宅ローン控除の手続き方法は基本的に借り換え前と同じですが、借り換えのタイミングが10月以降だと必要書類の到着が年末調整に間に合わない可能性があります。年末調整での控除手続きを希望する給与所得者の方は、9月までの借り換え実施を検討しましょう。

住宅ローンの借り換え後の控除について不安なこと・わからないことがある場合は、オカネコの無料FP相談を利用するのがおすすめです。

住宅ローンに詳しいFPに相談すれば、借り換えメリットの試算やライフプランに関するアドバイスももらえるので、ぜひ気軽に活用してみてください。

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オカネコマガジン編集部

オカネコマガジンは、お金の悩みを抱えるユーザーとお金の悩みを解決する専門家をマッチングするサービス「オカネコ」を運営する株式会社400F(フォーハンドレッド・エフ、本社:東京都中央区、代表取締役社長:中村 仁)が運営する、みんなのお金のことが分かるオウンドメディアです。

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