貯金が3,000万円以上あれば老後は安泰と考える人も多いと思いますが、実際に必要な老後資金についてご存知でしょうか?
貯金3,000万円以上を持っている方の割合は、20~40代は10%以下ですが、50代は10.5%、60代は19.2%、70代は17.6%という結果でした。(※)若いうちからコツコツと貯金および資産形成を続けていけば、3,000万円以上の貯金は可能です。
本記事では、3,000万円以上の貯金ができている人の割合について詳しく調査し、さらに3,000万円で老後資金は足りるのか、3,000万円貯金するためのコツなども解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
(※)家計の金融行動に関する世論調査[総世帯](令和4年)シート4|金融広報中央委員会
- 貯金3,000万円以上持っている方の割合は、年代別にみると20~40代は10%以下、50代10.5%、60代19.2%、70代17.6%という結果に。世帯別では単身世帯は8.8%、二人以上世帯は10%程度
- 65歳~100歳までの老後の生活費として貯金3,000万円を使う場合、毎月約7万円使うことができる。もらえる年金額にもよるが、趣味などを楽しみながらゆとりある生活を100歳まで続けるには貯金3,000万円では足りない可能性が高い
- 日々の生活を見直して貯金の目的や目標を明確にし、自身のマネープランを立てることが大切。余剰資金で資産運用をすることも、効率的に3,000万円の貯金をするためのコツ
3,000万円以上貯金できている人の割合
貯金3,000万円以上を達成している人の割合を、次の項目別に解説します。
年代別・貯金3,000万円の割合
「年代別」の貯金3,000万円以上の人の割合は、次の通りです。なお、今回ご紹介するデータの金融資産の中には、預貯金だけでなく株式や投資信託等の金融商品も含まれていますが、ここではすべてを含めて「貯金」として解説します。
年代ごとの金融資産保有額3,000万円以上の割合 | |
---|---|
20代 | 0.7% |
30代 | 2.4% |
40代 | 5.2% |
50代 | 10.5% |
60代 | 19.2% |
70代 | 17.6% |
60代は、退職金や保険の満期によってまとまったお金を手にする機会が多いため、3,000万円以上の資産を持つ方の割合がもっとも高くなっていると考えられます。70代以降になると収入が減り、貯蓄を消費するフェーズに入るため、割合がやや下がる傾向に。
次の表で、「50代の金融資産保有額の割合」を詳しく見ていきます。
50代の金融資産保有額の割合 | |
---|---|
金融資産非保有 | 28.4% |
100万円未満 | 9.9% |
100~200万円未満 | 5.7% |
200~300万円未満 | 4.2% |
300~400万円未満 | 4.5% |
400~500万円未満 | 2.9% |
500~700万円未満 | 4.5% |
700~1,000万円未満 | 5.6% |
1,000~1,500万円未満 | 7.7% |
1,500~2,000万円未満 | 5.5% |
2,000~3,000万円未満 | 6.4% |
3,000万円以上 | 10.5% |
無回答 | 4.2% |
50代では金融資産を保有していない方は約30%いるものの、金融資産を保有している方の中では3,000万円以上を保有する方の割合がもっとも多く、貯金がある人とない人の差が大きいことがわかります。
このことから、若いうちからコツコツと貯金および資産形成を続けていけば、3,000万円以上の貯金も可能だと推察できます。
年収別・貯金3,000万円の割合
貯金3,000万円以上持っている方の割合を「年収別」で見てみましょう。
年収別の金融資産保有額3,000万円以上の割合 | |
---|---|
収入はない | 2.1% |
300万円未満 | 6.0% |
300~500万円未満 | 9.9% |
500~750万円未満 | 12.0% |
750~1,000万円未満 | 16.2% |
1,000~1,200万円未満 | 25.1% |
1,200万円以上 | 33.6% |
無回答 | 0.0% |
所得の中央値は440万円です。(※)所得の中央値に該当する「年収300~500万円未満」の場合、約10%の人が貯金3,000万円以上を保有していることになります。
年収が増えると、預貯金はもちろん投資資金も増えます。キャリアアップや副業での収入アップに取り組みながら年収を増やし、余裕資金を投資にまわすことで、効率的な資産形成が実現するでしょう。
※参照:2021年 国民生活基礎調査の概況 Ⅱ各種世帯の所得等の状況 2.所得の分布状況 ページ10|厚生労働省
単身世帯の貯金3,000万円の割合
「単身世帯」の貯金3,000万円以上の方の割合は、8.8%でした。(※)
単身世帯は、二人以上世帯よりも世帯年収が低くなることが予想されますが、実際の収入はどのくらいなのか、割合を以下の表にまとめました。
単身世帯の年間手取り収入(税引後)の割合 | |
---|---|
収入はない | 8.4% |
300万円未満 | 53.8% |
300~500万円未満 | 26.4% |
500~750万円未満 | 8.0% |
750~1,000万円未満 | 2.0% |
1,000~1,200万円未満 | 0.5% |
1,200万円以上 | 0.8% |
無回答 | 0% |
単身世帯では年間手取り収入が300万円未満の世帯が圧倒的に多い状況から考えると、貯金3,000万円達成のためにはなるべく年収を上げ、貯金や投資にまわすお金をなるべく多く捻出する必要があるでしょう。
※参照:家計の金融行動に関する世論調査[総世帯](令和4年)シート4|金融広報中央委員会
二人以上世帯の貯金3,000万円の割合
二人以上世帯は「夫婦2人暮らし(世帯主夫婦のみ)」「子どもあり世帯(世帯主夫婦と子のみ)」「親と同居している夫婦世帯(世帯主夫婦と親のみ)」の3つにわけて、貯金3,000万円以上の割合を見てみます。
二人以上世帯の金融資産保有額3,000万円以上の割合 | |
---|---|
世帯主夫婦のみ | 16.9% |
世帯主夫婦と子のみ | 10.8% |
世帯主夫婦と親のみ | 18.6% |
単身世帯は貯金3,000万円以上の割合が8.8%だったのに対し、二人以上世帯は働き手が複数いる場合があるため、単身世帯よりも割合が高くなっています。
結婚後の世帯人数が増えるタイミングで、貯金3,000万円に向けて資産形成を加速するのが理想的です。
貯金3,000万円あれば、老後資金は足りる?
老後の生活費はどのくらいかかるのか、3,000万円の貯金があれば安心できるのか、などを確認してみましょう。
老後の生活は年金受給額や毎月の支出額などは各家庭によって異なりますので、今回ご紹介する内容はあくまで参考として考え、自分に合ったマネープランを立てることが大切です。
老後の生活費については、以下の記事でより詳しく説明していますのでご参考ください。

老後にもらえる年金額
老後の生活費をシミュレーションする前に、老後にもらえる年金額を確認しておきましょう。
令和5年度の年金額の例(67歳以下の場合) | ||
---|---|---|
国民年金(老齢基礎年金(満額))※1 | 月額6万6,250円 | |
厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)※2 | 月額22万4,482円 |
※1 令和5年度の68歳以上の老齢基礎年金(満額)は、月額66,050円です。
※2 平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
定年まで会社員として勤めた場合の平均的な年金受給額は約22万円であり、その場合は年間264万円分の生活費を年金でまかなうことができます。
「最低限の老後生活」を送るために必要な生活費
次に、老後の生活費はどのくらい必要なのか考えてみます。夫婦2人の老後生活において、「最低日常生活費として必要な金額」は、平均は23.2万円でした。(※)
65歳以降の年金受給月額を22万円、老後の最低日常生活における生活費の月額を23.2万円とした場合、老後の生活費の不足額は次の通りです。
最低限の老後生活を送るときの不足額 | |||
---|---|---|---|
年齢 | 年金受給額 | 老後の最低日常生活に必要な生活費 | 不足額 |
~70歳 | 1,320万円 | 1,392万円 | 72万円 |
~80歳 | 3,960万円 | 4,176万円 | 216万円 |
~90歳 | 6,600万円 | 6,960万円 | 360万円 |
~100歳 | 9,240万円 | 9,744万円 | 504万円 |
仮に100歳まで生きた場合の不足額は504万円ですので、貯金3,000万円あれば生活が可能ということがわかります。
(※)参照:生活保障に関する調査/2022(令和4)年度 ページ109|生命保険文化センター
「ゆとりある老後生活」を送るために必要な生活費
「ゆとりある老後生活に必要な生活費」は、平均37.9万円という結果でした。(※)ここでいうゆとりある生活とは、最低限必要な生活費にプラスして、趣味や旅行、友人との付き合いなども楽しめる余裕のある生活のことを指します。
年金受給月額を22万円、ゆとりある老後の生活における生活費の月額を37.9万円とした場合、不足額は次の通りです。
ゆとりある老後生活を送るときの不足額 | |||
---|---|---|---|
年齢 | 年金受給額 | ゆとりある老後生活に必要な生活費 | 不足額 |
~70歳 | 1,320万円 | 2,274万円 | 954万円 |
~80歳 | 3,960万円 | 6,822万円 | 2,862万円 |
~90歳 | 6,600万円 | 1億1,370万円 | 4,770万円 |
~100歳 | 9,240万円 | 1億5,918万円 | 6,678万円 |
仮に100歳まで生きた場合の不足額は6,000万円を超え、貯金3,000万円では生活費をまかなうことができません。
このパターンの場合、貯金3,000万円でゆとりある老後生活を送ることができる期間は約16年間(81歳まで)です。
(※)参照:生活保障に関する調査/2022(令和4)年度 ページ115|生命保険文化センター
貯金3,000万円で100歳まで生活した場合の月々の生活費は?
65歳で定年退職してから100歳までの間、3,000万円の貯金は毎月約7万円使うことができます。年金受給額を22万円とした場合、使える生活費は月約28万円です。
貯金3,000万円ではゆとりある生活を100歳まで送ることは難しいですが、月28万円の生活費であれば、十分に日常生活を送ることができるでしょう。
ただし、物価上昇や少子高齢化による年金の減額、医療費負担の増大など、今よりも生活費が膨らむ可能性があります。今から老後に備え、資産運用などを活用して効率よくお金を貯めていくことが大切です。


貯金3,000万円でセミリタイアは可能?
セミリタイアとは、本業を退職した後に副業やアルバイトで収入を得ながら、余暇の多い生活を送ることです。
貯金3,000万円を達成すれば、セミリタイアは可能と言えるでしょう。ただし、不足分の生活費を補うための収入源をしっかり確保しておく必要があります。
セミリタイアに踏み切る前に、ご自身の毎月の生活費を洗い出し、貯金3,000万円から毎月いくらずつ崩せるのか、不足額はいくらかなどを確認することが大切です。
お金のプロであるFPに相談すると、セミリタイアを想定したライフプランのシミュレーションもできますので、一度相談してみると良いでしょう。
貯金3,000万円を達成するための5つのポイント
貯金3,000万円を達成するためのポイントは、次の通りです。
貯金3,000万円の達成は簡単ではありません。効率的に資産形成ができる方法を取り入れましょう。
貯金の目的と毎月の目標額を明確にする
効率的な貯金のためには、目的と毎月の目標額を明確にすることが大切です。「老後資金のため」「教育資金のため」「住宅購入のため」など、目的によって目標金額や貯蓄期間は大きく異なります。
以下は、それぞれの目標に対して30歳から貯金を始めた場合の、目標期間や1か月の目標額を表しました。
目的別・貯金の目標期間と目標額の例 | |||
---|---|---|---|
目標 | 65歳までに3,000万円の老後資金を貯める | 50歳までに2,000万円の大学進学資金を貯める | 35歳までに200万円の住宅購入頭金を貯める |
目標期間 | 35年間 | 20年間 | 5年間 |
1年の目標額 | 約86万円 | 100万円 | 40万円 |
1か月の目標額 | 約7万円 | 約8万円 | 約3万円 |
貯金は目的を決めてからおおよその目標期間を定め、毎月の目標額を計算して取り組みましょう。
家計簿をつけて収支を把握する

目標額をしっかり貯金するためには、家計簿をつけて収支を把握することが大切です。
家計簿をつけてご自身の家計状況がわかれば、無駄な支出が可視化されます。その無駄を省いて節約できれば貯金や投資に回せる金額を増やすことも可能に。
最近では、手軽に家計簿をつけられるアプリが増えていますので、使いやすいものを選んで活用してみましょう。
固定費を見直して支出を減らす
家計状況を把握できたら、まずは固定費から見直してみましょう。固定費は、毎月支出額が決まっている支出項目のことを指します。
固定費の例は以下の通りです。
- 家賃や住宅ローン
- 光熱費
- 通信費
- 生命保険、医療保険
- サブスクリプション など
固定費は家計の中でも大きな割合を占めていることが多く、一度見直せば継続的に節約効果が長く続くので、大きな節約効果が期待できます。
貯蓄用口座を作り先取り貯金を心がける

効率的に貯金するためには、必ず「先取り貯金」を行いましょう。先取り貯金とは、給与を受け取ったらあらかじめ決めた貯金額を先に引き出し、残りのお金で生活をやりくりする方法です。
給与口座と貯金口座を分けて管理することで、生活費がどのくらい残っているのか把握しやすく、間違って貯金を使ってしまう心配もありません。
貯金口座は、比較的金利の高いネット銀行の口座がおすすめです。金利の低いメガバンクでは多額のお金を預けてもほとんどお金は増えませんが、以下の口座は普通預金や定期預金の金利がメガバンクよりもかなり高く設定されています。
銀行名 | 定期預金の金利 | 普通預金の金利 |
---|---|---|
SBI新生銀行 | 最大0.1% | 最大0.003% |
UI銀行 | 最大0.2% | 0.1% |
SBJ銀行 | 最大0.2% | 0.02% |
あおぞら銀行BANK | 最大0.25% | 0.2% |

お金を貯めやすい時期を知る

ライフステージによって、お金を貯めやすい時期と貯めにくい時期があります。お金を貯めやすい時期には、以下のようなパターンが考えられます。
お金を貯めやすい時期の例 | ||
---|---|---|
就職から結婚前まで | 就職したばかりの頃は貯金は難しいかもしれないが、独身かつ昇進など給与が上がれば家計が安定しやすく、貯金の計画が立てやすい時期。 | |
結婚から子どもができるまで | 共働きの場合は2人分の収入が得られ、独身のときよりも食費や固定費を抑えやすい。しっかりお金を貯めておきたい時期。 | |
産休・育休明けから子どもの進学まで | 公立の学校であれば教育費は抑えられ、共働きの家庭では昇進などで収入が増える可能性も。住宅ローンの繰り上げ返済等を考慮しながら貯金を進めたい時期。 | |
子どもの独立から定年退職まで | 教育にかかる費用がなくなり、住宅ローンの返済も終われば、出費は夫婦2人分の生活費のみに。老後に備えた資金準備を加速させたい時期。 |
これらのお金を貯めやすい時期がある一方で、結婚のときや子どもが産まれた直後は、お金を使う機会が多く、貯金が思ったより貯まらない時期です。
それが把握できていれば、お金を貯めにくい時期に備え、お金を貯めやすい時期に貯金を毎月3万円から5万円に増やすなど、計画的な貯金が実現します。
貯金3,000万を目指す資産形成の考え方
貯金3,000万円を目指すためには、副業などで収入アップを目指すほか、投資を始めたり、普段の生活から貯金に対して意識をすることが大切です。
転職・副業など収入を上げる方法を考える
収入が多いほど貯金できる金額が増えますので、転職や副業で収入をアップする方法は貯金3,000万円を目指すためには大きな選択肢の一つです。
本業も副業も収入が給与所得以外は、年間20万円以下であれば所得税が発生しません。副業で年間20万円以下に抑えながら稼ぎ、そのお金は投資にまわすなどすれば、効率的な資産形成に繋がるでしょう。
投資は余剰資金で始める
貯金は銀行預金口座に入れておくだけでなく、一部を投資にまわすことで効率的な資産形成が実現しますが、投資にまわすお金は必ず「余剰資金」を使うようにしましょう。
余剰資金とは、生活防衛費や貯金を除いて使い道のない余ったお金のことです。
突然の事故や病気、失業などの突発的な支出に備え、ある程度の資金は「生活防衛費」として現金で確保しておき、そのほかのしばらく使う予定のないお金を投資にまわすと安心です。
生活防衛費の目安は年齢や生活形態によって異なりますので、下記を参考にいくら残しておくべきか考えてみてください。
生活防衛費の目安 | |
---|---|
独身・ひとり暮らしの場合 | 1か月の生活費×3~6か月 |
夫婦2人暮らしの場合 | 1か月の生活費×3~6か月 |
夫婦2人+子どもがいる場合 | 1か月の生活費×6~12か月 |
収入が上がっても生活レベルを上げない
貯金3,000万円を貯めるためには、転職や副業などによる収入アップを目指すこと大切ですが、収入が上がっても生活レベルを上げ過ぎないよう心がけましょう。
収入が上がるとどうしても少し贅沢をしてしまったり、生活費が膨らみがちです。一度上げた生活レベルを下げるのはなかなか難しいもの。
上がった分の収入は、貯金3,000万円達成に向けて毎月の貯金の目標額を上げることや投資額を増やすことを心がけましょう。
できるだけ長く働く
老後費用、教育費、住宅購入・リノベーション費用などは計画的にお金を準備することができますが、生活の中で突発的に発生するお金も少なくありません。
老後に向けてなかなかお金が貯まらないなどといった場合は、早期退職や定年退職後も働き、長く収入を得られる方法を考えてみましょう。
少子高齢化などの影響で人手不足に対応するため、定年を引き上げる企業はこれから増えていくことが予想されます。
今後労働者として長く活躍できる時代がくるはずですので、働ける丈夫な身体でいられるよう、日々健康に留意しながら生活してみてはいかがでしょうか。
おすすめの資産形成の方法8選
現金による貯金だけでなく資産運用も同時に取り組むことで、3,000万円の貯金が早期に達成する可能性が高いです。
実際にどのような資産運用方法があるのか確認していきましょう。比較的リスクが低く、金額的に始めやすい初心者の方にもおすすめの資産運用方法8選をご紹介します。

NISA・つみたてNISA
NISA・つみたてNISAは、少額から金融投資を始めることができ、年間の非課税枠の範囲内なら、得られた利益は全額非課税となる制度です。
一般NISAとつみたてNISAでは、それぞれで投資可能な上限額や非課税保有期間が次のように定められています。
期間 | 2023年まで | 2024年以降 | ||
---|---|---|---|---|
区分 | 一般NISA | つみたてNISA | 成長投資枠 | つみたて投資枠 |
非課税保有期間 | 5年間 | 20年間 | 無期限化 | 無期限化 |
年間非課税枠 | 120万円 | 40万円 | 240万円 | 120万円 |
非課税保有限度額 | – | – | 1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで) | |
投資可能商品 | ・上場株式 ・ETF ・公募株式投信 ・REIT等 | ・長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託 (※金融庁への届け出が必要) | ・上場株式 ・投資信託等 | ・長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託 (※金融庁への届け出が必要) |
払出し制限 | なし | |||
対象年齢 | 20歳(※2023年1月以降は18歳以上) | 20歳※2023年1月以降は18歳以上 | 18歳以上 | 18歳以上 |
従来のNISA制度では、運用可能期間が5年や20年と決まっていましたが、2024年以降から始まる新NISAでは、非課税保有期間が無期限化されます。
つまり、いつ始めても決して遅すぎることはなく、将来を見据えた貯金をしながら、税金面で大きなメリットが得られることが特徴のおすすめの制度といえます。
なお、現行のNISA・つみたてNISAの買付・積立投資は2023年で終了となりますが、従来の非課税保有期間は2024年以降も別枠で継続されます。
2024年以降はこれまでのNISAやつみたてNISAの非課税保有枠を利用できなくなってしまうため、現行のNISA制度を活用していない方は、これを機にぜひ検討してみましょう。
SBI証券や楽天証券などのネット証券なら、オンライン上で簡単にNISA口座の開設手続きができます。

iDeCo

iDeCo(イデコ)は「個人型確定拠出年金」とよばれる制度で、老後を見据えた資産形成を目的とした運用方法です。
原則として60歳になるまで資産を引き出すことはできませんが、掛け金が全額所得控除の対象で、運用益が非課税になるなどの大きなメリットがあります。
また、60歳以降で資産を引き出す際にも所得控除が受けられるため、老後資金の貯蓄に備えながら税負担の軽減効果が期待できます。
なお、iDeCoの加入対象者は、国民年金の第1〜第3号被保険者や任意加入保険者となっており、それぞれで拠出可能な限度額も異なる点にはご注意ください。
これまでのiDeCoは「企業型DC(企業型確定拠出年金)」との併用ができませんでしたが、2022年の法改正に伴い、両者の併用が可能となりました。
より効率よく資産形成を行うことができるので、確定拠出年金制度を利用していない方は、ぜひ積極的にご活用ください。
参照 : iDeCo公式サイト
株式投資

株式投資は、証券会社に口座を開設し、企業の株式を購入して利益を得る運用方法です。投資の王道ともいえる方法で、株式の売買益によるキャピタルゲイン、または株主に分配される配当金によるインカムゲインの2軸で利益を得ます。
従来の株式投資は、購入可能な1単元が100株や1,000株に設定されていることが多く、数十万円を超える資金が必要となるケースが一般的でしたが、昨今では数万円から購入可能なミニ株が登場しており、資金が少ない方でも株式投資に挑戦できるようになりました。
ただし、株式相場は世界情勢や経済動向の影響を受けて大きく変動するため、安定した利益を得るためには、情報収集を怠らず、さまざまな分野の知識を身につける必要があります。
常に知識を吸収する貪欲さが求められるので、まずは投入資金が少なく済むミニ株から始めて、本格的な株式投資に少しずつ慣れていきましょう。
投資信託

投資信託は、投資家から集めた資金をファンドマネージャーが運用し、その運用で利益が出た場合に配当金が受け取れる運用方法です。
初心者の方におすすめの理由は、少額から資産形成を開始でき、投資家の代わりにプロの専門家が運用を行ってくれるので、自分で売買のタイミングを判断しなくて良いというメリットがあるためです。
投資信託による運用は、株式や債券、不動産など、多岐に渡る分散投資で行われるので、リスク分散が可能な点もメリットといえます。
一方で、投資信託で運用をする際には、定期的な運用コストが発生する点には注意が必要です。また、元本保証がされているわけではないため、市場相場によっては元本割れを起こしてしまう可能性もあります。
運用先を選ぶためにはある程度の金融知識も必要です。どれにすべきか迷ったときは、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談してみましょう。
債券
投資の世界における債券とは、投資家が国や地方公共団体などに対して資金を提供し、それに対して利子を得る方法をいいます。
資金の提供を受けた団体は「債券」という証書を投資家に発行し、償還までの期間中は利子を支払い続け、償還のタイミング(満期)を迎えたら額面全額を投資家に返却します。
債券の発行者は多種多様で、国や地方公共団体をはじめ、民間企業など多岐にわたります。発行者の信用度が高ければ高いほど、リスクが低い投資方法といえます。
債券の途中売却も可能ですが、途中売却の場合は損失が出る可能性があり、為替相場の状況によっても為替差損が発生する可能性があります。
また、発行者の財務状況が悪化すると、元本や利子の支払い不要リスクなどがある点には注意が必要です。とはいえ、他の金融商品への投資方法に比べて、比較的リスクが低めの方法です。
税制上の優遇制度である「NISA・つみたてNISA」や「iDeCo」を活用したうえで、なお余剰資金がある場合に検討するのがおすすめです。
財形貯蓄制度
財形貯蓄制度は、一定金額を勤務先の給料から天引きの形で、企業が提携する銀行口座へ自動的に貯金できる制度です。
毎月の給与から自動的に先取り貯金ができるので、わざわざ貯金用口座にお金を移す手間や手数料がかからず、お金の使いすぎを予防できます。
また、財形貯蓄制度には、貯金の目的によって「住宅用」「年金用」「その他」の3つに分類され、場合によっては税負担の軽減効果が期待できたり、住宅ローン融資が受けられたり、さまざまなメリットがあります。
制度の仕様上、財形貯蓄制度を導入済みの企業で勤務している方しか利用できませんが、手元のお金をついつい使い込んでしまう方にはおすすめの制度です。
積立保険
積立保険(貯蓄型保険)は、終身保険や養老保険、学資保険など、将来的に払い込んだ保険料が返ってくる可能性がある保険商品全般の総称です。
- 終身保険:解約時に解約返戻金が受け取れる
- 養老保険:死亡保障を備えながら、満期を迎えた際に満期保険金が受け取れる
- 個人年金保険:一定期間まで保険料を払い込み、以降は一定額の年金を定期的に受け取れる
- 学資保険:子供が一定年齢に達するとお祝い金が受け取れる
万一のときの死亡保障を備えつつ、毎月の保険料という形で保険会社へ貯金していくことが可能です。貯蓄性のある保険の特徴として、一般的な掛け捨て型保険に比べて保険料が割高なのが欠点として挙げられます。
現在の家計を圧迫しては元も子もないので、毎月の収支状況とのバランスを見ながら、掛け捨て型保険と積立保険を併用するのがおすすめです。
ロボアドバイザー
ロボアドバイザーは、投資家の資産状況や年齢など、AIがさまざまな状況を鑑みて、投資先や金融商品のアドバイスをしてくれる運用方法です。
ロボアドバイザーは複数の企業が提供しており、投資家への助言が中心の「アドバイス型」、投資家の代わりに資産運用を自動的に進めてくれる「一任型」の2種類があります。
投資知識が乏しい初心者でも、ロボアドバイザーの案内に従って運用を行えば、その時々の状況に合わせた効率の良い資産形成が行えます。
ただし、ロボアドバイザーによる運用は長期投資を前提としており、数ヶ月や数年程度の短期間では、十分な利益を得るのが難しいといえます。
また、機械学習による運用とはいえ元本割れの可能性がゼロではなく、運用手数料などのランニングコストも発生する点には注意が必要です。
まとめ
貯金3,000万円を達成している人の割合はそれほど高くないことがわかりましたが、日々の生活や働き方を見直し、目標を明確にしつつ資産運用を取り入れながら進めれば、難しいことではないでしょう。
貯金3,000万円あれば基本的に老後の生活に苦労することはないことが想定されますが、ゆとりある老後の生活を目指す方にとっては、貯金3,000万円では足りない可能性が高いです。
一人ひとりの生活スタイルや価値観は異なりますので、ご自身が今後どんな生活を目指して、そのために今できること、やるべきことは何かをしっかり考えることが大切です。
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ライフプランニングをするとお金の流れが可視化され、何をすべきかがはっきりしますので、ぜひコメント欄に「ライフプランニングをしたい」と記載し、FPからの返信をお待ちください。