
平成28年版厚生労働白書(※1)では、「60.9%の人が経済上の問題から老後不安を感じている」という調査結果が出ています。また、総務省発表の消費者物価指数(※2)では、前年同月比で4%もの上昇が見られ、物価高の流れが顕著です。
このような状況下で、「今からお金をしっかり貯めて、将来の不安を解消したい」と考える方も多いと思います。しかし、なんとなくお金を貯めようとしても、途中で挫折したり、効率が悪かったり、なかなかうまくいかないものです。
貯金を成功させるには、正しいお金の貯め方を知ることが重要です。お金の貯め方のコツや効率のよいやり方を分かりやすく解説します。
全年代・世帯別の平均貯金額や中央値については、以下のコンテンツを合わせて参考にしてみて下さい。

参照※1 : 厚生労働省 平成28年版厚生労働白書-人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える-
参照※2 : 総務省 2020年基準 消費者物価指数 全国 2022年 12月分
お金を貯めるための仕組み
お金を貯めるためにやるべきことは、大きく以下の3つです。
この3つにバランスよく取り組むことで、意識せずにお金が貯まる仕組みを作ることができます。それぞれ詳しく解説します。
支出を減らす
どんなに高収入でも、それ以上に支出が多ければお金を貯めることはできません。効率よくお金を貯めたいなら、家計の支出を把握し、無駄を削る作業を最初に行うのがおすすめです。
現状の支出を把握できていない方は、家計簿をつけることから始めましょう。
家計簿をつければ、毎月何にいくら使っているのかがはっきりするので、「思ったより使いすぎていたな」「ここはもっと抑えられるな」と家計改善のポイントが見えてきます。
つけた家計簿をFPなどのお金の専門家に見せれば、何も資料がない場合に比べ、より的確なアドバイスがもらえるはずです。
収入を増やす
支出を削っても貯金にまわすお金の余裕がない場合は、なんらかの方法で収入を増やす必要があります。例えば、片働きから共働きになる、すきま時間に副業をするなど、収入を増やす方法を具体的に考えてみましょう。
クラウドソーシングサイトには、在宅で空いた時間にできる仕事もたくさん公開されています。「現職の給料が低すぎる」と感じている方は、今より給料の高い会社へ転職するのも1つの方法です。
とはいえ、いきなり会社を辞めるのはリスクが高いため、転職サイトに登録する、転職エージェントに相談するなどして、情報収集から始めましょう。
投資を始める
「ある程度貯金できているけど、十分な金額ではない」とお悩みの方は、貯金の一部を投資にまわすことを考えてみてください。超低金利時代の今、銀行預金にお金を寝かせているだけでは、わずかな利息しかつきません。
お金を増やすには、投資でお金に働いてもらうことも大切です。ただし、投資はリスクがつきもののため、きちんと知識をつけてから取り組む必要があります。
自分で仕組みを理解できない投資に手を出すと、損をする可能性が高いので注意しましょう。

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お金を貯められない人の特徴
お金を貯められない人には、共通する特徴があります。いくらお金の貯まる仕組みを整えても、そもそもの習慣が変わっていなければ、なかなか思うような成果は出ません。以下の特徴に当てはまる方は、特に要注意です。
- 毎月の収入と支出が把握できていない
- 予算を決めずに「衝動買い」が多い
- 趣味や自分へのご褒美に使うお金が多い
- 余ったお金を貯金にまわそうとしている
先述のとおり、家計の支出を減らすには、家計簿で家計収支を把握することが大切です。家計簿をつけていない方は、ぜひ今日から家計簿をつけてみましょう。衝動買いが多い方は、欲しいものリストを作るのがおすすめです。
また、その場ですぐにものを買うのではなく一旦リスト化し、しばらく時間を置いてから本当に欲しいかどうかを判断すると無駄買いを防げます。
趣味や自分へのご褒美にお金を使いすぎてしまう方は、使ってもよい上限額をあらかじめ決めておき、その範囲内で楽しむ習慣をつけましょう。お金のかからない趣味やご褒美を見つけることも重要です。
余ったお金を貯金にまわしている方は、収入が入ったらすぐに貯金分のお金を差し引く「先取り貯金」を実践しましょう。先取り貯金後に残ったお金で生活する感覚を身につければ、驚くほど貯金体質になれるはずです。
お金を貯める前に意識するポイント
お金を貯めるときは以下の3つのコツを意識しましょう。
お金を貯める目的を明確にする
なんとなくお金を貯めようとしても、なかなかモチベーションが続かないものです。まずは、お金を貯める目的を明確にしましょう。
例えば、旅行費用、結婚資金、住宅ローンの頭金、子どもの進学費、老後資金など、貯めたお金を何に使うのか、具体的に決めておくことが大切です。家族がいる場合は、お金を貯める目的をみんなで共有すれば、家族からの協力も得やすくなるでしょう。
また、お金を貯める目的が明確だと、お金が必要になる時期もはっきりするため、適切な貯金ペースや貯蓄方法を選べるようになります。
例えば、1年以内に使う旅行費用なら、すぐに引き出せる預貯金が向いていますが、数十年後に使う老後資金なら、NISAやiDeCoを活用した長期運用も検討したいところです。
戦略的にお金を貯めるためにも、目的意識を持って貯金を始めましょう。
貯蓄額の目標を決める
次に、お金を貯める目的から逆算して、毎月の目標貯蓄額を決めます。例えば、2年後の結婚式のために100万円を貯めたい場合、月々の目標貯蓄額は4万2,000円です。
もし、この目標が厳しすぎると感じたら、結婚式の予算を引き下げる、式の予定を先延ばしにするなどの対策もできます。もしくは副業で副収入を得て、貯金にまわすお金を用意する方法もあるでしょう。
これが身の丈に合わせて、計画的にお金を使うということです。
お金を貯める目的を踏まえ、月々の目標貯蓄額にまで落とし込めれば、自然と現実味のある貯蓄計画になります。将来叶えたい夢や目標がある方は、必ずお金を貯め始める前に、貯蓄額の目標をしっかり決めておきましょう。

自身の家計状況を把握する
貯蓄額の目標を決めたら、あとは自身の家計状況を把握し、目標貯蓄額を達成できるように支出を調整するだけです。
先述のとおり、家計状況を把握するには家計簿をつけるのが一番の近道となります。最近は機能の優れた無料の家計簿アプリがたくさんリリースされているので、ぜひインストールして使ってみましょう。
代表的な家計簿アプリは以下のとおりです。ご自身で使い勝手がよいものを選びましょう。
- マネーフォワードME
- おかねのコンパス
- OsidOri
- Zaim
- ドクターウォレット
- Moneytree
- おカネレコ
- 袋分家計簿
効率のよいお金の貯め方と6つの貯蓄方法
お金を貯めるなら、できるだけ効率のよい方法を選びましょう。おすすめできる6つの貯蓄方法を紹介します。無理なく取り入れられそうなものがあれば、早速実践してみてください。
家計の収支を見直して、ムダをなくす
効率よくお金を貯めるために、家計簿をつけて定期的に1か月の支出を振り返り、無駄がないかをチェックしましょう。家計の見直しポイントは以下のとおりです。
- 保険や固定費の見直しをする
- 気乗りしない飲み会や会食に参加しない
- 自炊中心の食生活を心がける
- クレジットカードやポイントアプリを活用する
最初にチェックすべきは、支出項目のなかでも大きな割合を占めている固定費です。家賃、通信費、水道光熱費の金額や契約内容を見直し、もっと安くできる方法がないか考えてみましょう。
生命保険に加入している方は、過剰な保障をつけて保険料が膨れ上がっていないかを確認しましょう。ただし、適切な保障内容を自分で見極めるのは難しいため、できれば保険の見直しを専門にしているFPなどに相談するのがおすすめです。
交際費や外食費がかさんでいる方は、飲み会や外食の回数を見直しましょう。飲み会は本当に行きたいものだけに絞り、普段の食事は基本的に自炊でまかなう意識を持つことが大切です。少し気をつけるだけでも、1か月あたり数千円から数万円の節約になるはずです。
普段の買い物で現金払いが当たり前になっている方は、クレジットカードやポイントアプリを上手に活用してください。いつもどおりに買い物するだけでポイントが貯まったり、ポイントやクーポンで決済額が安くなったりするので、とてもお得です。手間もかからないので、ストレスフリーに節約できます。
銀行口座を使い分けて、先取り貯金をする
生活費と貯金を同じ口座で管理している方は、普段使っている口座とは別に、貯金専用の口座を開設しましょう。
収入が入ったら、すぐに貯金分を専用口座に入金し、手をつけないようにします。銀行口座を使い分けて先取り貯金をすれば、貯金分をうっかり使ってしまうことがなくなるため、確実にお金を貯められるはずです。
預貯金のほか、会社の財形貯蓄制度を利用する、貯蓄性のある保険に加入する、積立投資を行うなど、別の方法で先取り貯金をするのもよいでしょう。
重要なのは「生活費と貯金分を分けて管理すること」「収入が入ったらすぐに貯金すること」の2点です。

借り換えで住宅ローンの利息負担を見直す
住宅ローンを払っている方は、借り換えにより利息負担を軽減できる場合があります。まずは、現在の住宅ローン金利が何%なのかを確認しましょう。
借入残高や返済期間の残りがどのくらいあるかにもよりますが、金利が年1%以上低くなる借り換え先があれば、十分なメリットを得られる可能性があります。
自分で住宅ローンの借り換え先を探したり、借り換えメリットを試算したりするのが難しいときは、FPなどプロの手を借りましょう。
以下のサイト(モゲチェック)では、各金融機関のさまざまな住宅ローンが一覧で表示され、簡単に比較検討ができます。金利だけでなく諸費用はいくらかかるのか、どのような団体信用生命保険が付いているのかなどの確認も可能。
ほかにもAIが審査に通りやすく自分に合う住宅ローンを提案してくれたり、銀行に行かなくても自宅で事前審査までスムーズに行うことができるので、住宅購入を検討している方はぜひ試してみてください。

つみたてNISAやiDeCoを活用する
資産運用でお金を貯めていきたい方は、つみたてNISAやiDeCoなどの非課税制度を有効活用しましょう。
通常、資産運用で得た利益には、約20%の税金が課されます。例えば、100万円を運用して5万円の利益が出た場合、そこから約1万円の税金が差し引かれ、手元に残る利益は約4万円になります。
ですが、つみたてNISAやiDeCoを活用した場合は非課税になるため、5万円の利益を丸々手元に残せます。
iDeCoを検討するうえで最も注意したいのは、60歳以上になるまで資産の引き出しができない点です。
iDeCoは老後の公的年金にプラスする私的年金として作られた制度のため、このような仕組みになっています。その代わり、iDeCoには以下3つの税制優遇メリットがあるので、老後資金を貯める際は積極的に活用したいところです。
- 掛金が全額所得控除されるため、所得税・住民税を節税できる
- 運用益が非課税になるため、通常より運用効率が高まる
- 60歳以降に年金を受け取る際、各種控除の対象となる
一方でつみたてNISAは、自分の好きなタイミングで商品を解約して換金できます。そのため、老後資金準備に限らずさまざまな目的に活用できますが、iDeCoのような掛金の全額所得控除はありません。
とはいえ、つみたてNISAにおいても運用益は非課税となるため、税制優遇のメリットは十分にあります。また、現行のNISA制度では、つみたてNISAの他に一般NISAも選択可能です。つみたてNISAと一般NISAの違いは以下のとおりです。
一般NISA・つみたてNISAの違い | ||
---|---|---|
一般NISA | つみたてNISA | |
投資可能商品 | 株式・ETF・投資信託・REITなど | 積立・分散投資に適した一定の投資信託 |
年間非課税枠 | 120万円 | 40万円 |
非課税期間 | 5年間 | 20年間 |
20年間の非課税期間を活かしてコツコツ積立投資したい方はつみたてNISAを、非課税制度を活用して株式投資がしたい方は一般NISAを選ぶとよいでしょう。
また、法改正により、現行のNISA制度は2023年で終わり、2024年からは新しいNISA制度が始まることも知っておいてください。2024年からの新NISAの概要は以下のとおりです。
2024年からの新NISAの概要 | ||
---|---|---|
成長投資枠 | つみたて投資枠 | |
投資可能商品 | 上場株式・投資信託など | 積立・分散投資に適した一定の投資信託 |
年間非課税枠 | 240万円 | 120万円 |
非課税期間 | 無期限 | |
非課税保有限度額 | 1,200万円 | 成長投資枠含め1,800万円まで |
現行制度に当てはめると、「成長投資枠 ≒ 一般NISA」「つみたて投資枠 ≒ つみたてNISA」のイメージです。
現行制度では一般NISA・つみたてNISAのいずれかを選択する仕組みでしたが、2024年からは成長投資枠・つみたて投資枠の併用が可能になります。
また、年間投資枠が増額され、非課税期間が無期限となっている点も大きなポイントです。
各種控除やふるさと納税などの制度を活用する
貯金にまわすお金を増やすには、各種控除やふるさと納税を活用するのも有効です。
各種控除の活用は、所得税や住民税負担の軽減につながります。代表的な控除制度は以下のとおりです。
代表的な控除制度の例 | ||
---|---|---|
制度 | 対象者 | |
生命保険料控除 | 生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払っている方 | |
医療費控除 | 自分と家族(同一生計であることが条件)の医療費が年間10万円以上の方 | |
住宅ローン控除 | 一定の要件を満たし、10年以上の住宅ローンを組んでマイホームを購入した方 | |
iDeCo | iDeCoの掛金拠出がある方 |
また、ふるさと納税を利用すると、実質2,000円の負担で、寄付した自治体から返礼品がもらえます。返礼品はブランド牛や海鮮、うなぎなどの高級食材から、野菜や米、トイレットペーパーなど普段使いできる品までラインナップが豊富です。
返礼品をうまく使えば、家計の節約につながったり、少ない負担で贅沢を楽しめたりするので、貯金もはかどります。ふるさと納税を利用する際は、控除限度額を確認し、その範囲内で寄付を行うようにしましょう。

副業などで複数の収入源を持つ
貯金にまわすお金が足りない方、貯金額を増やしてペースアップしたい方は、本業以外に複数の収入源を持つのがおすすめです。
例えば、クラウドソーシングサイトを使えば、在宅でできる仕事を受注できます。自分の得意分野をSNSやブログで発信し、仕事を請け負うのもよいでしょう。
副業はハードルが高いと感じる方、副業が禁止されている職業の方は、フリマアプリでの不用品販売や、ポイントサイトを使ったポイ活に取り組んでみるのもいいかもしれません。
たとえ少額の利益でも、日々の積み重ねが貯金の効率アップにつながるはずです。
また、貯金方法については、以下のコンテンツでさらにくわしく解説しています。合わせて参考にしてみて下さい。

まとめ
お金を貯める方法はたくさんあります。ただ、どの方法を選ぶにせよ、まずは家計の現状を把握することが大切です。これまで家計簿をつけていなかった方は、ぜひ今日から家計簿をつけ始めてみてください。
家計の現状が把握できたら、お金を貯める目的や目標貯蓄額を明確にしたうえで、自分に合ったお金の貯め方を見つけましょう。
全年代・世帯別の平均貯金額や中央値については、以下のコンテンツを合わせて参考にしてみて下さい。


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