住宅ローン返済比率の目安をシミュレーション|計算方法や年収に対する理想の額とは

住宅ローンを利用する際に、適切な借り入れ額を把握できている人は多くないでしょう。「返済比率(返済負担率)」は、金融機関が住宅ローンを貸し出す際の指標の一つで、審査でも重視されている項目です。

返済比率について理解すれば、適切な住宅ローンの借入額の目安がわかります

本記事では、住宅ローンの返済比率の計算方法や年収別のシミュレーションを紹介。返済比率を計算する際の注意点や返済比率を抑える方法も解説するので、無理なく返済できる借入額を確認したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

このコンテンツの3行まとめ
  • 住宅ローンの返済比率とは、年収に対する住宅ローンの年間返済額の占める割合のこと。返済比率は住宅ローンの申込要件や審査には、30~35%程度が上限に設定されている場合が多い
  • 返済比率は、住宅ローン以外の車のローン等の借り入れもすべて含めた総返済額で計算されるため、ライフイベントにかかる費用や金利・物価上昇の可能性を考えると、返済比率は手取り年収の20~25%以下に抑えると安心
  • 住宅ローンの返済比率を抑えたい場合は、頭金を増やしたり住宅ローン以外のローンを完済することで、借入金額が減り返済比率が下げられる
目次

住宅ローンの返済比率(返済負担率)とは

住宅ローンの返済比率とは、年収に対する住宅ローンの年間返済額の占める割合のことです。一般的には下記の計算式で表されます。

  • 返済比率(%)=住宅ローンの年間返済額÷年収×100

例えば年収500万円の人が住宅ローンを借入し、返済額が毎月10万円の場合、年間返済額は10万円×12月=120万円となり、計算式に当てはめると返済比率は以下になります。

例:年収500万円、返済額が毎月10万円の場合の返済比率

  • 120万円(住宅ローンの年間返済額)÷500万円(年収)×100=24%(返済比率)

返済比率は低いほど、毎月の返済に余裕があると言えます。

参考までに、住宅金融支援機構の「2022年度フラット35利用者調査」によると、フラット35利用者の2022年度の返済比率(平均)は23.1%でした。

返済比率は3年連続で上昇しており、返済比率が25%以上の割合は2022年度は44.1%と、全体の4割以上を占めていることがわかります。

上限の目安は年収の30~35%

フラット35では、申込要件として返済比率を以下のように設定しています。

フラット35の申込要件(総返済負担率)

  • 年収400万円未満:総返済負担率30%以下
  • 年収400万円以上:総返済負担率35%以下

参照:フラット35_2024年4月版_住宅ローンのご案内

また、令和5年に国土交通省が実施した民間住宅ローンの実態に関する調査によると、92%の金融機関は返済比率(返済負担率)を審査項目としており、返済比率は30~40%以内に設定している金融機関が大半でした。

高くても30~35%程度の返済比率を目安にすると良いでしょう。

ただしこの返済比率は、車のローン等含めたすべての借り入れを含めて計算されます。住宅ローン以外に車のローンの支払いやスマホ・タブレット代等の分割払いを行っている場合は、その分返済比率が高くなる点に注意しましょう。

無理なく返済できる目安は手取り年収の20~25%以下

住宅ローンは長期間の返済になるため、借入できる限度額近くまでローンを借りてしまうと、今後予測される以下のようなライフイベントや経済状況の変化等に対応できなくなってしまう可能性があります。

住宅ローンの借入額を検討する際に考慮すべきこと

  • 子どもの成長による生活費の上昇
  • 物価の上昇
  • 金利の上昇
  • マンションの管理費の上昇
  • 将来かかるリフォーム・メンテナンス費用 など

余裕を持って返済するためにも住宅ローンの返済比率は、手取り年収の20%~25%以内に抑えると安心です。

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年収別 住宅ローン返済比率のシミュレーション

年収や返済比率が変わることで、返済額がどのように変化するかシミュレーションをしてみましょう。以下の条件のもと、年収400万円と600万円でシミュレーションしています。

条件

  • 金利:年1.950%(2024年11月時点のフラット35の金利)
  • 返済期間:35年間
  • ボーナス払い:なし
  • 他のローン:なし
  • 返済方法:元利均等返済
年収400万円の場合のシミュレーション
返済比率年間返済額月々の返済額借入可能額
20%80万円6.6万円2,007万円
25%100万円8.3万円2,525万円
30%120万円10.0万円3,042万円
35%140万円11.6万円3,529万円
フラット35HPのローンシミュレーションで計算
年収600万円の場合のシミュレーション
返済比率年間返済額月々の返済額借入可能額
20%120万円10.0万円3,042万円
25%150万円12.5万円3,802万円
30%180万円15.0万円4,563万円
35%210万円17.5万円5,323万円
フラット35のHPのローンシミュレーションで計算

不動産会社や住宅メーカーから、「家賃並みの返済で住宅を購入できる」という宣伝文句を聞いたことがある人はいるかもしれません。

しかし住宅を購入すると、毎年固定資産税の支払い維持費(マンションであれば管理費や修繕積立金等)が発生します。また、住宅購入時には購入価格以外に金融機関に支払う諸費用が3~10%程度かかり、現金で用意しておく必要があることを理解しておきましょう。

住宅ローン返済比率を計算するときの注意点

住宅ローンの返済比率を計算する際は、以下の注意点を確認しましょう。

住宅ローン以外の借入も返済比率に含める

返済比率は、住宅ローン以外の借り入れもすべて含めた総返済額で計算されます。

住宅ローン以外の借り入れの一例

  • 自動車ローン
  • カードローン
  • 教育ローン
  • クレジットカードのリボ払い
  • スマホ・タブレットの分割払い

なるべく住宅ローンの借入額を増やしたい場合は、他のローンを完済してから住宅ローンの借入を行うと良いでしょう。

ライフイベントにかかる費用も考慮する

毎月の収入や支出額は、ライフスタイルの変化に伴って増減します。

子どもを持つ場合は産休や育休による収入の減少、子どもの成長に伴う食費や通信費の増加等のライフイベントの発生が考えられ、将来的には医療・介護費用の増大もあるかもしれません。

高い返済比率で住宅ローンを借りてしまうと、少しの収入の減少や支出の増加でローンの支払いに影響が出る可能性があります。今後発生しうるライフイベントを想定して、余裕のある返済計画を立てることが大切です。

個人事業主は売上ではなく所得で判断する

サラリーマンの場合は年収と所得は、源泉徴収票を見れば容易に確認できます。しかし個人事業主の場合、売り上げがあってもその分利益が出ているとは限らず、売上だけでは収入は把握できません。

金融機関は貸し出しできる金額を決める際に、個人事業主に対しては売上から経費を引いた「所得」を判断材料にします。適正な返済比率かつ3期黒字(所得がプラス)であれば借り入れできる可能性が高いですが、基本的に判断軸は金融機関によって異なります。

金利上昇リスクも考慮する

フラット35などの全期間固定金利の住宅ローンは、借り入れ時から返済終了まで金利は変わりませんが、変動金利の住宅ローンを選択した場合、返済途中で金利が変更されることがあります。

変動金利は、「短期プライムレート」に連動し、基本的に金利は半年に1度(4月・10月)、返済額は5年に一度見直しが行われるためです。

固定金利よりも低金利なため変動金利を選択する人は多いですが、どこまでの金利上昇(返済額)に耐えられるかなど、あらかじめシミュレーションしておくと良いでしょう。

家計によって最適な返済比率は異なる

適切な返済比率は、家庭によって異なります。

例えば共働きの世帯で、片方の収入だけで住宅ローンを組むのであれば、返済比率は少し高めでも返済余力はあるでしょう。また、貯蓄や資産が多い等でいずれまとまった資金で繰り上げ返済ができれば、返済比率が高くても金利負担が抑えられます。

ライフプランシミュレーションをすることで、収入や支出、生活スタイルを踏まえた、適切な借入額の確認が可能です。

オカネコ」ではFPに直接チャットやZoomで相談ができ、無料でライフプランニングをしてもらえます。住宅購入額のほか、教育資金や老後資金のつくり方など、トータルで提案してもらえるため、ぜひご活用ください。

住宅ローンの返済比率を抑える方法

返済比率が高いと住宅ローンの審査に通らなかったり、通ったとしても毎月のローン返済が家計を圧迫してしまう可能性があります。以下は返済比率を下げる方法の一例になるので、ぜひ参考にしてみてください。

頭金を増やして借入額を減らす

返済比率は年収に対する借入金返済額の比率のため、借入金額を減らせば返済比率が下げられます。借入金額を減らす方法として、以下の2つがあります。

  1. 購入する物件の価格を抑える
  2. 頭金を増やして借入金額を減らす

1つ目については、すでに希望の物件が決まっていたり、価格を抑えるのも限度があるため、あまり現実的な方法とは言えません。

一方で、なるべく多くの額を頭金に利用すれば借入比率が下げられるうえ、金融機関によっては頭金を入れることで金利が低くなる場合もあります。ある程度まとまった資金があれば、頭金を増やすことを検討すると良いでしょう。

ただし、住宅ローンの残高が多いほど住宅ローン控除額は増えるため、頭金を用意するよりもフルローンで借入した方が控除額は大きいです。フルローンで借入し、手元に残ったお金は繰り上げ返済に利用する方が、お得になる場合もあります。

参考までに、オカネコが2024年4月に行ったアンケート調査によると、3割程度の人が1~2割の自己資金を用意したことがわかりました。

住宅購入時の頭金の割合

頭金を入れるべきか、それともフルローンで借入れた方がお得になるかは家庭によって異なるため、シミュレーションをしてお得になる方を選択しましょう。

他のローンを完済する

先述したように、返済比率には住宅ローンだけでなく、自動車ローンやカードローンなどの他の借り入れも含めて計算されます。

したがって返済比率を下げるためには、住宅ローンを借りる前に他のローンを完済することが一つの方法です。クレジットカードのリボ払いや携帯電話の分割払いも返済比率の計算に含まれるため、住宅購入を検討している方は普段から分割払いなどを避けると良いでしょう。

まとめ

住宅ローンの返済比率とは、年収に対する住宅ローンの年間返済額の占める割合のことです。

住宅ローンの返済比率は、住宅ローンの審査では重視される項目であり、返済比率が高ければ融資を得られなかったり、借入金額が減額になる場合があります。

また、思わぬ出費や生活費の増加等で、住宅ローンの返済額が家計を圧迫してしまう可能性もあるため、返済比率は手取り年収の20%~25%に抑えるようにしましょう。

ただし、返済比率や借入額の目安は家庭によって異なるため、ライフプランシミュレーションをして今後のライフイベントや経済状況を踏まえて決定することが大切です。

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※2024年6月24日当社データベースより概算(オカネコサービスすべての実績総数)

オカネコマガジン編集部

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